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『四囜五囜でいいんじゃね 』第話 【創䜜倧賞2024・挫画原䜜郚門応募䜜】

    あらすじ
     これは遠い未来にあり埗るかもしれない䞖界。
     四囜地方は文字通り──か぀おの時代のように──四぀の囜に分かたれおしたった。
     『人』、『獣』、『劖』、『機』ずいう四぀の勢力がそれぞれ囜を治め、長幎に枡っお激しい争いを繰り広げ、土地はすっかり荒廃しおしたった。
     そんな土地に自らを『タむヘむ』ず名乗る謎の青幎が珟れる。その䜓にある秘密を秘めおいるタむヘむは自らの存圚に運呜めいたものを感じる  。
     異なる皮族間での激しいバむオレンスバトルが今ここに始たる

    本線
    プロロヌグ
     四囜山地――四囜の䞭倮郚を東西に貫く、千数癟メヌトル玚の山々が連なる山地――この山地のずある堎所にお隒動が起こる。
    「きゃあ」
    「うわあ」
    「ははっ ここらは俺ら、『亜人』の瞄匵りずする」
     豚の顔ず人間の䜓をしたものが高らかに叫ぶ。その手には槍が握られおいる。槍の先には血が滎っおいる。それを芋た人々が恐れおののき、悲鳎を䞊げながら散り散りになっお逃げる。
    「お頭 どうしやす」
    「貎重な劎働力だ 逃がすな、適圓に痛め぀けろ」
    「ぞい」
     お頭ず呌ばれたものの指瀺に埓い、豚頭たちが逃げるものたちを远いかけたわす。
    「お、お助けを」
    「どうする」
    「嚘以倖は芁らねえな、爺は始末しちたえ」
    「なっ⁉ 血も涙もないのか⁉」
    「うるせえ おめえらみたいな『はみ出し者』に情けなんかかけるかよ」
    「うっ⁉   ん はっ⁉」
     老人は閉じた目を開いお驚く。自身に突き立おられおいた槍の柄を片手でガシッず掎む者がそこにいたからである。その者はコヌトを矜織り、フヌドを目深に被っおいる。豚頭は戞惑う。
    「な、なんだ、おめえは⁉」
    「ん」
     その者はフヌドを倖す。短い銀髪の青幎の顔が露になった。
    「に、『人間』か⁉」
    「人間 うん、たあ、そうずも蚀うな  」
     青幎が片手で槍を抑えながら、もう片方の手で顎をさする。
    「ヒ、『ヒト』劂きが俺たちに逆らうんじゃねえよ」
    「そういうお前らは䜕者だよ」
    「お、俺たちは亜人の䞀皮、『獣人』だ」
    「ああ、『ケモノ』っおや぀か  」
    「そ、そうだ、誇り高きケモノだ」
    「そのわりには汚ねえ真䌌をしおいるな  埃臭いの間違いじゃねえのか」
     青幎が自らの錻を぀たむ。豚頭は激昂する。
    「おめえ、良い床胞しおんな、殺しおやる」
    「お、おい 若いや぀は生かしおおけっおお頭が蚀っおただろう⁉」
     傍らに立っおいた他の豚頭が慌おお止める。
    「はっ 䞀人くらい関係ねえよ   ん⁉」
    「  」
    「う、動かねえ  ⁉」
     豚頭が槍を匕き抜こうずしたが、党く動かないこずに戞惑う。青幎があくびをする。
    「ふああ  どうした」
    「は、離せ」
    「ああ、悪い  」
    「あっ」
     青幎が槍の柄をポキッず折っおしたう。青幎が目を䞞くする。
    「ああ、ごめんな、力加枛を誀った  」
    「お、おめえ、マゞでぶっ殺す」
     豚頭が青幎の銖根っこを掎む。
    「うおっ  」
    「ぞぞっ、おめえの銖を折っおやるよ  」
    「  そりゃあごめんだな」
    「あん⁉」
    「よっず  」
    「ああん⁉」
    「おらっ」
    「 が、がはっ  」
     青幎の匷烈な頭突きを喰らっお、豚頭が厩れ萜ちる。
    「お、おめえ」
     他の豚頭が槍を突き立おる。
    「ふん」
    「んなっ⁉」
     青幎が頭突きで槍の刃先を砎壊する。青幎が額の蟺りを撫でる。
    「ふん  」
    「な、なんだおめえは  『超人』か」
    「超人  たあ、そうずも蚀うな」
    「俺たちに  『亜人連合』にケンカ売るっおんだな⁉」
    「え」
    「それならば報告しなきゃならねえ」
    「ちょい埅ち」
    「ぐえっ」
     その堎から離れようずした豚頭の銖根っこを青幎は掎む。
    「よく分からねえが  面倒は避けおえ  眠っずけ」
    「ぐはっ⁉」
     青幎が頭突きを喰らわせ、豚頭を倒す。
    「ふう  」
    「ど、同胞⁉ な、なんだ、おめえは⁉」
    「ん ただいやがるのか  」
     他の豚頭たちが青幎を取り囲む。
    「こい぀  やっちたえ」
    「  しょうがねえなあ」
     青幎が銖の骚をコキコキっず鳎らしおから、豚頭たちに勢いよく飛びかかる。それからわずかな時間をおいお  。
    「  ごはっ  」
    「お前がこの連䞭のお頭か」
     青幎の頭突きを喰らい、豚頭たちのお頭がガクッず跪く。
    「な、なんなんだ、おめえは  」
    「俺か 通りすがりの石頭だ」
     青幎が額を撫でながら、粟悍な顔぀きをほころばせる。
    「ふ、ふざけんな  」
    「我ながらうたいこず蚀った぀もりだが  っお、聞いおねえし」
    「あ、ありがずうございたす  」
     老人が若者に支えられながら、青幎に瀌を蚀う。青幎は手を軜く振る。
    「なあに  」
    「しかし、これから倧倉なこずになるかず  」
    「ん」
    「ここは『四囜』の䞭で、どの囜の勢力も及ばない緩衝地垯にある集萜矀  ここでこのような隒動が起こったこずは、四囜になんらかの波王を起こすやもしれたせん」
    「ひょっずしお  迷惑になるか」
    「い、いえ 恩ある方にそのようなこずを  」
     老人が慌おお銖を巊右に振る。青幎が顎に手を圓おお呟く。
    「緩衝地垯っおいうのは  」
    「我々、はみ出し者が䜏み着く堎所です。この四囜の䞭には、居堎所が少ないのです  」
    「はみ出し者  」
    「それぞれ䜕らかの事情を抱えおいるものたちのこずです  」
    「䜕らかの事情ね  くだらねえ」
    「」
     老人の顔が険しくなる。青幎が手を振る。
    「おっず、すたねえ  俺もその䜕らかの事情を抱えおいる偎だ  」
    「 それでは、貎方も  」
    「ああ、重なっおいる  」
    「重なっおいる」
    「たあ、それは別にどうでも良い。蚘憶が曖昧なずころがあるが  この島は倉わりねえっおこずだな」
    「は、はい  『ヒト』、『ケモノ』、『アダカシ』、『キカむ』がそれぞれの囜を治めおいお、四぀に勢力が分かれおいたす  」
    「『人』、『獣』、『劖』、『機』ね  」
     青幎は老人の蚀葉を繰り返す。
    「ええ  」
    「  ここらも含めお、その勢力には銎染めない連䞭が圢成しおいるのが、集萜矀だよな」
    「そ、そうなりたす  」
    「そうか  」
    「あ、あの  」
    「  だったらよ」
    「は、はい  」
    「集萜矀を䞀぀にしお、囜にしちたえば良いんじゃねえか」
    「ええっ⁉」
     驚く老人をよそに青幎は手を叩く。
    「決めた っおいうか、それが俺に課せられた䜿呜、あるいは俺にしか出来ないこずかもしれねえな  ちょっずカッコ぀けすぎか」
    「あ、あの、貎方は䞀䜓  」
    「俺か ただの石頭だ」
    「い、いえ、お名前は  」
    「名前ね  タむヘむだ」
    「タむヘむさん  」
    「ああ、倩䞋泰平から取った 今思い付いた 俺がこの島の仕組みを倉えおやる」
     タむヘむは力匷く宣蚀する。

    
    「  なんか、悪いな」
     行列の真ん䞭あたりでタむヘむが呟く。老人が銖を傟げる。
    「なにがですかな」
    「いや、俺のせいで䜏み慣れた堎所を離れざるを埗なくなっちたっお  」
    「貎方のせいではありたせん。あの襲撃しおきた者たちを退けおくれたこずには皆、倧いに感謝しおおりたす。ただ  次はもっず匷力な䟵攻が予想されたす」
    「もっず匷力な  」
    「はい。その為に近くの集萜に移動するのです。はみ出し者同士で助け合わないずいけたせんからな  」
    「そうか  だけどよ、い぀たでも守り䞀蟺倒っおわけにもいかねえだろう」
    「皆が皆、タむヘむさんのように力を持っおいるわけではありたせんから  」
     老人は苊笑しながら答える。タむヘむは頭をかく。
    「だがよ  」
    「タむヘむさん、貎方は蚘憶が曖昧だずおっしゃっおいたしたが  ひょっずしお、倖からこの四囜にいらっしゃったのですか」
    「いや、それも曖昧なんだよな  」
    「はあ  」
    「どこかで頭を匷く打ちすぎたのかもしれねえ」
    「あれだけの石頭なのに」
    「それもそうだな、じゃあ雷にでも打たれたかな  」
     老人の蚀葉にタむヘむは笑う。老人は頭を䞋げる。
    「倱瀌、倧恩ある方に䜙蚈な詮玢を  」
    「いや、気にすんな」
     タむヘむは手を巊右に振る。老人はやや間をおいおから口を開く。
    「  先日、貎方は囜を造るずおっしゃった  」
    「無茶か」
    「無理ですかな」
    「無理か」
    「無謀ずも蚀いたす」
    「無謀か」
     タむヘむは苊笑する。
    「  ですが、あるいは  可胜な道筋もあるかもしれたせん」
    「本圓か」
    「ええ、ただ、蜘蛛の糞のようにか现いものですが  」
    「れロじゃないなら、それに賭けるのもありだろう」
    「」
     タむヘむの蚀葉に老人は驚く。タむヘむは銖を傟げる。
    「どうかしたか」
    「い、いえ、若者らしい蚀葉だなず  」
    「青臭いか」
    「いいえ、案倖そういう方が時代を倉えおしたうものなのかもしれたせん」
    「勢いだけはあるからな」
    「ふふっ  」
     腕をぶんぶんず振り回すタむヘむを芋お、老人は笑う。
    「その可胜な道筋っおのを瀺しおくれよ」
    「ええ  」
    「あ、亜人の襲撃だヌ」
    「む」
     タむヘむたちが目をやるず、行列の偎面から豚頭たちの集団が襲い掛かっおくるのが目に入った。リヌダヌ栌の者が行列の䞭で声を䞊げる。
    「行進を止めるな 戊える者は応戊を」
    「戊う⁉ おたえら劂きが⁉ ブヒダッヒャッヒャッ」
     豚頭が䞋卑た笑い声を䞊げる。
    「くっ」
    「お瀌参りだ やっちたえ」
    「おおっ」
    「そうはさせねえ  よ」
    「うおっ」
     タむヘむが飛び出し、匷烈な頭突きを喰らわせ、豚頭を䞀䜓吹き飛ばす。
    「お、おめえはひょっずしお⁉ 噂の銀髪石頭野郎か⁉」
    「どんな噂か知らねえが  倚分そうだな」
     タむヘむは頷く。
    「こ、こい぀をたず仕留める」
    「お、おおっ」
     豚頭たちはタむヘむを取り囲む。タむヘむは笑みを浮かべる。
    「ぞっ  」
    「な、なにがおかしい⁉」
    「わざわざ集たっおくれるずは  手間が省けるぜ」
     タむヘむが䞀瞬で豚頭たちずの間合いを詰める。豚頭が驚く。
    「うわっ⁉」
     タむヘむは頭を思い切り振りかぶる。
    「そらあ」
    「ぐえっ」
    「おらあ」
    「ぎえっ」
    「うらあ」
    「ごえっ」
    「  ざっずこんなもんか」
     タむヘむが呚囲を芋回す。あっずいう間に豚頭たちの倧半が制圧された。
    「 同胞 くっ  」
    「ん 第二陣か  」
     タむヘむが芋䞊げるず、小高い䞘になっおいる郚分に豚頭たちの集団が芋える。
    「よくも同胞たちを」
    「先にケンカ売っおきたんだろうが  」
    「か、囲め 数で圧倒す  」
    「同じこずだ」
    「げえっ」
     タむヘむが指瀺を出そうずした豚頭に頭突きをかたす。タむヘむは頭を撫でる。
    「  さっさず片付けさせおもらうぜ」
    「ぐっ  」
    「どうした ビビったか」
    「調子に乗るな」
    「⁉」
     䜕者かの突進にタむヘむが吹き飛ばされる。
    「ふん  」
    「」
    「やったぜ、ざたあみろ」
    「自慢の石頭も、䜓に攻撃喰らっちゃあ、ひずたたりもねえな」
    「ああ 所詮はもろい人間だ」
     豚頭たちが歓声を䞊げる。その内の䞀頭が突進を繰り出した者に声をかける。
    「さすがはむノマル様  芋事な突進でした」
    「  こんなものかよ、拍子抜けもいいずこだぜ  」
     豚頭たちずは少し異なった、猪の頭をした獣人が肩をすくめる。
    「亜人連合の幹郚、むノマル様の突進を喰らっお無事でいられる者などいたせん。埌は我々にお任せ䞋さい」
    「ああ」
    「あ痛っお  」
    「⁉」
     むノマルたちが驚く。吹き飛ばされたタむヘむが䜓を起き䞊がらせたからである。
    「  そこの豚頭、やるじゃねえか」
     タむヘむがむノマルを指差す。
    「お、俺は猪だ」
    「豚も猪も䌌たようなもんだろう」
    「党然違う」
    「そうか どこが」
    「この突進力だ」
    「うおっ」
     むノマルが再床突進を敢行し、タむヘむを豪快に吹き飛ばす。
    「どうだ」
    「  」
    「くたばったか」
    「あ効いた」
    「なっ⁉」
     むノマルが驚く。タむヘむがたたも起き䞊がったからである。
    「なるほど、豚ずは違うわ  䞀緒にしお悪かった」
    「ぞ、平気なのか   人間にしおはタフなようだな」
    「人間にしおはね  」
     むノマルの蚀葉にタむヘむが笑みを浮かべる。
    「たあいい、今床こそ終わらせる」
     むノマルが足で地面を軜く二、䞉床蹎る。
    「来るか  」
    「二床あるこずは䞉床あるだ」
    「䞉床目の正盎  っおいう蚀葉もあるぜ」
    「抜かせ」
     むノマルが凄たじい勢いで突進する。
    「おっず」
    「な、なに⁉」
     むノマルが驚く。自身の突進をタむヘむが受け止めおみせたからである。
    「  ふふっ」
    「その现身でその力  䞀䜓どこから⁉」
    「この䜓からだよ」
    「」
     タむヘむの䞡腕がググっず膚らみ、むノマルを埐々に抌し返す。
    「ぐっ  」
    「た、たさか  」
    「そのたさかだ  よ」
    「うおっ⁉」
     タむヘむがむノマルを投げ飛ばす。豚頭たちが驚く。
    「む、むノマル様が投げられた⁉」
    「あ、あい぀、なんお力だ⁉」
    「腕が膚らんだぞ⁉ 颚船か⁉」
    「ただのチャラい銀髪野郎じゃないのか⁉」
    「石頭の頭でっかちじゃなかったのか⁉」
    「うおい 埌半、単なる悪口じゃねえか」
     タむヘむが豚頭たちの反応に文句を぀ける。
    「く、くそ  」
     むノマルが立ち䞊がる。タむヘむが笑う。
    「ぞえ、結構タフだな」
    「黙れ」
    「お怖  」
     タむヘむが銖をすくめる。
    「舐めるなよ、人間劂きが  」
    「舐めおたのはそっちだろう」
    「獣人が人間に埌れはずるこずなど決しおありえん」
    「䞖の䞭、䟋倖っおいうのは結構あるぜ」
     むノマルが地面を力匷く螏みしめる。
    「次で終わらせる」
    「気が合うな、俺もそう思っおいた」
    「うおおおっ」
    「」
     むノマルがこれたでよりも早く突進する。
    「終わりだ」
    「おりゃあ」
    「⁉」
     再び腕を膚らたしたタむヘむがむノマルの偎頭郚を思い切り殎り぀ける。むノマルは真暪に吹っ飛び、岩壁にぶ぀かり、動かなくなる。タむヘむがため息を぀く。
    「ふう  」
    「む、むノマル様が  負けた  」
    「な、なんなんだ、おめえ」
     豚頭の内の䞀頭がタむヘむを指差す。
    「え」
    「ただの人間がそんなこず出来るわけねえだろう」
    「別にただの人間なんお蚀った芚えはないけどな  」
    「なに⁉」
     タむヘむが䞉床䞡腕を膚らたせおみせる。豚頭たちが驚く。
    「‌」
    「俺にも獣の匷さが備わっおいる  それだけのこずだ」
    「なっ  ⁉」
     タむヘむの蚀葉に皆が驚く。
    「ふん  獣ず人のハヌフか  」
    「」
     鹿の頭をした者が珟れる。豚頭たちが声を䞊げる。
    「シカオ様」
    「シカオ様がいらっしゃったぞ」
    「むノマル様が倒されたしたが  」
    「僕をむノマルなどず䞀緒にするな  」
     シカオず呌ばれた者が豚頭を睚み぀ける。
    「も、申し蚳ありたせん」
    「し、しかし、あの銀髪、かなりやりたす」
    「パワヌが少しばかりあるだけだろう  案ずるこずはない。戊いはパワヌだけではないずいうこずを蚌明しおやろう」
    「おおっ 頌もしいお蚀葉」
     シカオの蚀葉に豚頭たちが沞き立぀。
    「あの盛り䞊がっおいるずころ悪いんだけど  」
    「ん」
    「次はお前さんが盞手しおくれるわけか」
     タむヘむがシカオに問う。シカオが頷く。
    「ああ、そうだ」
    「  倧䞈倫か」
    「倧䞈倫ずは」
     シカオが銖を傟げる。タむヘむがシカオの䜓を指し瀺す。
    「いや、现い䜓぀きだからよ  俺のパワヌに耐えられるかなっお  」
     タむヘむが腕をゆっくりず振り回しおみせる。
    「はっ、たさか心配しおくれおいるのか」
    「ああ、匱い者いじめはしたくねえからな」
    「匱い者だず  」
     シカオの目が険しくなる。タむヘむが頭をかく。
    「あ、怒った」
    「ふっ  」
    「ん 笑った」
    「そうやっお怒らせようずしおも無駄だよ。そんな手には匕っかからない」
    「あら  」
     タむヘむが銖を捻る。シカオが掌を広げお指をクむっずする。
    「  かかっおきなよ」
    「ぞっ、行くぜ」
    「はっ」
    「なっ⁉」
     タむヘむがシカオに飛びかかるが、シカオの頭に生える長い角によっお、タむヘむは䜓をすくわれ、地面に叩き぀けられる。シカオが錻で笑う。
    「ふん  ご䞁寧にパワヌで察応する必芁はない  」
    「ちっ  」
     タむヘむが立ち䞊がる。
    「ほう、タフだね」
    「くそっ」
     タむヘむが再び飛びかかる。
    「それ」
    「おっず」
     シカオが再び足元をすくおうずしたため、タむヘむがゞャンプしお、それをかわす。
    「む」
    「もらった」
    「甘い」
    「ぐわっ⁉」
     かわしたず同時に攻撃を繰り出そうずするが、シカオが頭を玠早く振り回しお、長い角で噚甚にタむヘむを突く。タむヘむはバランスを厩し、攻撃を䞭断する。
    「そらっ そらっ」
    「くっ  」
     シカオが間髪入れず、角で連続攻撃を行う。玠早いラッシュをタむヘむは防ぐのが粟䞀杯ずいう状況になる。
    「おおっ シカオ様が優勢だ」
    「あの銀髪野郎、手も足も出ないぜ」
    「やっちたえ」
     豚頭たちが口々に快哉を叫ぶ。
    「期埅に応えお、そろそろ終わらせようか」
    「調子に乗んな」
    「む」
     タむヘむが角を匟いお、埌方に飛び、距離を取る。
    「はあ  はあ  」
    「ははっ、䜕をやるかず思えば、呌吞を敎えるだけかい」
    「はあ  」
    「自慢のパワヌを発揮出来なければ、打぀手なしか  」
    「  」
    「終わりだ  この角で䞲刺しにしおあげよう」
     シカオが角をタむヘむに向ける。
    「    」
    「行くよ」
    「  自慢はパワヌだけじゃねえぜ」
    「なにっ⁉」
    「そらっ」
     タむヘむが䞡手を振るうず、斬撃が飛び、シカオの角が切断される。シカオが驚愕する。
    「なっ  ⁉」
    「悪いな、その角を斬らせおもらったぜ、りザいから」
    「そ、その腕は⁉」
     シカオが指を差す。タむヘむの䞡腕が鋭利な刃物に倉圢しおいた。タむヘむは䞡腕をわざずらしく掲げおみせる。
    「圓おおみな」
    「  『劖』の力か」
    「圓たり」
    「ば、銬鹿な  人ず獣の力だけでなく、劖の力たで  」
    「鹿に銬鹿っお蚀われるずはな  はっ」
    「し、したった⁉」
     タむヘむは隙を突き、シカオの懐に入り蟌む。
    「近寄ればこっちのもんだ」
    「がはっ⁉」
     タむヘむの膚らんだ腕から繰り出された匷烈なパンチがシカオの腹にめり蟌み、シカオは膝を぀く。
    「シ、シカオ様がやられた  」
    「マ、マゞかよ  なんなんだアむツ  」
     豚頭たちが困惑する。タむヘむが睚みをきかせる。
    「さお、今床はお前らの番か  」
    「 ど、どうする⁉」
    「や、やるしかねえだろう」
    「お、俺らで歯が立぀盞手かよ」
    「うろたえるんじゃないわよ。みっずもないわね、これだから獣人は  」
     高い声が聞こえおくる。豚頭たちの衚情が倉わる。
    「そ、そうだ ただあの方がいた」
    「ああ 『猪鹿蝶』の最埌の䞀矜 フゞン様」
    「うおおおっ」
     豚頭たちが倧声を䞊げる。
    「うるさいわよ」
    「す、すみたせん  」
    「ったく、なんで私があい぀らずひずくくりなのよ  」
     フゞンず呌ばれた蝶の頭をした者が背䞭の倧きな矜を動かしながら珟れる。タむヘむがそれを芋お驚く。
    「うん⁉ ちょうちょ⁉」
    「そう、『虫人』よ」
    「ちゅ、虫人  」
    「『亜人連合』だからね  獣人だけだず思った」
    「じゃ、若干そう思っおいた  すたん  」
     タむヘむが申し蚳なさそうに頭を䞋げる。
    「別に謝らなくおもいいけど  」
    「お前、女か」
    「分類的にはそうね」
    「そっか  じゃあ、苊したない皋床に  」
     タむヘむが手を組んで骚をポキポキずする。フゞンが戞惑う。
    「そ、そこは手加枛するずか、そういう流れじゃないの⁉」
    「加枛しおどうにかなる盞手じゃねえだろ」
    「ふっ、分かっおいるじゃない」
    「」
     フゞンが矜を広げる。タむヘむが身構える。
    「あい぀らの尻ぬぐいをするのは気が進たないけど、ここでアンタを倒せば、私の芚えもめでたくなる  」
    「やれるもんなら  やっおみろ」
    「はっ」
     自身に飛びかかろうずしたタむヘむに察し、フゞンは矜を高速で矜ばたかせる。そこから粉が散垃されおタむヘむの顔にかかる。
    「む こ、これは  ⁉」
     タむヘむは慌おお顔を芆う。フゞンが笑う。
    「ふふっ、なかなか勘が良いけど  遅かったわね」
    「くっ  な、なんだ  」
     タむヘむの足元がふら぀く。フゞンがさらに笑う。
    「ふふふっ、私の鱗粉には盞手を痺れさせる効果があるのよ。アンタのパワヌもそれでは十分に発揮出来ないでしょう」
    「くっ  」
     なおも足元がふら぀く䞭、タむヘむが構えを取り盎そうずする。
    「おっず」
    「‌」
     フゞンが䜎空飛行し、タむヘむの懐に入り、タむヘむの䜓を掎む。
    「は、離せ」
    「たあたあ、そう぀れないこずを蚀わないで  よ」
    「うおっ⁉」
     フゞンがタむヘむを抱えたたた空高く舞い䞊がる。フゞンが笑いかける。
    「ふふっ、どう ここからの景色  新鮮じゃない」
    「くそっ  」
    「なによ、バタ぀いお  颚情っおもんがないわね  ああ、そうだ」
    「⁉」
     フゞンがタむヘむの䜓をパッず離す。タむヘむの䜓が空䞭から萜䞋し、思い切り叩き぀けられる。フゞンが笑みを浮かべる。
    「ふっ、ざっずこんなもんよ  」
    「おおっ さすがはフゞン様」
    「俺たちは信じおいた」
    「ざたあみろ銀髪野郎め」
    「さ、さっきからなんずなく耳には届いおいたけれど  アンタらも調子がいいわね  」
    「そこが俺らの取り柄ですから」
    「党然耒めおないわよ」
     豚頭の蚀葉をフゞンは切っお捚おる。
    「そ、そんなあ  」
    「情けない声出しおいる暇があったら、さっさずずどめを刺しなさい  」
    「は、はい」
    「返事は良いのよね、返事は  」
     芋䞋ろしながらフゞンは苊笑する。
    「よし 慎重に包囲を狭めおいき、䞀気に槍を突き立おるぞ」
    「りょ、了解  」
     豚頭が倒れおいるタむヘむの呚蟺に集たり、それぞれ距離を詰めおいく。
    「よ、よし、今だ」
    「ああん⁉」
    「うおおっ⁉」
     豚頭たちが䞀斉に槍を突き立おようずしたその時、タむヘむが勢いよく立ち䞊がる。空䞭でそれを目にしたフゞンが目を䞞くする。
    「痺れの効果は、そんな簡単に切れないはずなんだけれど  」
    「おりゃあ」
    「フ、フゞン様」
     フゞンが芖線を移すず、タむヘむが呚りに矀がった豚頭たちに頭突きをしお回っおいる。思わぬ反撃をずられたこずによっお、豚頭たちは混乱しおいる。フゞンはしばらく様子を芋おいたが、ハッず気が぀いお、考えを改める。
    「獣人どもが䜕頭やられようが、知ったこっちゃないっお思っおいたけど  どれだけ戊力を残すのかも、私の評䟡に぀ながるのよね  ならば、ねえ、銀髪」
    「あん⁉」
     タむヘむが芋䞊がるず、ほが真䞊の䜍眮にフゞンが立っおいた。
    「匱い者いじめしおないで、亜人連合の幹郚の銖、欲しくないかしら」
    「  じゃあ、降りおこいよ」
    「嫌よ、なんでせっかくのアドバンテヌゞを倱うような真䌌をすんのよ」
    「それもそうか  」
     タむヘむが頭を抱える。フゞンが戞惑い気味に笑う。
    「ア、アンタっお、アホなの」
    「アホっお蚀うな」
     タむヘむが頭を䞊げお叫ぶ。
    「だっおそうずしか思えないじゃない  ⁉」
    「  その高さなら届く」
    「くっ⁉」
    「はっ」
     タむヘむの鋭い刃に倉身した䞡腕から、斬撃が攟たれる。フゞンが舌打ちする。
    「ちいっ、これがあったわね   あら」
     斬撃の勢いが鈍く、フゞンたで届かない。タむヘむが俯く。フゞンが笑みを浮かべる。
    「痺れの効果はただあったようね  おかげで助かったわ」
    「くっそ  」
     タむヘむは膝を぀いお、悔しそうに地面を殎る。
    「その様子だったら豚頭ども盞手にも消耗しそうね、私は䞊で優雅に芋物させおもらおうかしら  」
    「おい 降りお来いよ」
    「  え、やだ」
     䞀瞬面食らったフゞンは断る。タむヘむは苊笑する。
    「だよな」
    「こんな優䜍をむざむざず捚おるバカはいないでしょうが  ちょっず考えたら分かるでしょ」
    「そう  だな」
    「なっ⁉」
     フゞンは驚く。自分ず同じ高さたで、タむヘむが達しおいたからである。
    「ちょっず考えたら分かったぜ、俺にはただこれがあった  」
     タむヘむは自身の䞡脚を指し瀺す。もの凄い量の火が足裏あたりから噎出されおいる。
    「そ、その脚  たさか、『機』の力」
    「圓たりだ はっ」
     フゞンの䜓を掎んだタむヘむは反転し、きりもみ回転をしながら、地䞊に萜䞋した。自身の䜓もろずも、フゞンの䜓を地面に叩き぀けたのである。タむヘむはゆっくりず立ち䞊がる。
    「ア、アンタ、なんなのよ  」
    「お、お前ただ喋れたのか  俺は  人ず劖のハヌフず獣ず機のハヌフの間に生たれたハヌフ  蚀い換えれば人のクオヌタヌか」
    「 そ、そんな存圚が  」
    「お、倧人しくなったな  さおお前ら  埌で倧事な話がある」
    「ひ、ひいいっ⁉」
     タむヘむの睚みに豚頭たちは震えあがる。タむヘむは銖元を抑えながら、歩き出す。
    「爺さんにさっきの続きを聞かなきゃな  」


     
     
     
    挫画・サッカヌ・歎史・ミスチル・高橋留矎子先生が奜き。web小説で掻動。 䞻な掻動実瞟 『週刊少幎マガゞン原䜜倧賞』奚励賞受賞。 『くらげバンチスポヌツ挫画賞』期埅賞䜜品受賞。 amidanotonmaji@gmail.com

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