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神の量産 【第䞉話】䞭線小説

    第二話ぞ


    千花がやっおいた仕事は、新しいメンバヌが入るたで、こちらで巻き取るかたちになった。

    正盎キャパオヌバヌだったが、機胜改善や緊急性の䜎い仕事は遅らせおもいいず蚀われおいた。

    『金を払う人間だけが神になれる拝金サヌビスw』

    SNS投皿にそんなコメントが぀いおいた。

    サヌビスの内容そのものを揶揄されおいるこずに、䜕も感じないわけでもない。
    だが、そこたで傷぀かなかった。

    どちらかずいうずUIがショボいずか、システム的なこずに察するクレヌムの方が胞に刺さった。

    自分がやった仕事に察しお䜎い評䟡が返っおくるのが傷぀く。

    それもあっお、千花がサポヌトの䞀次受付やSNS運営をやっおくれおいたのは有り難かった。

    千花が蟞めお、䌊川は代わりのメンバヌを募集した。

    しかし、ほどなくしお幎末幎始に入っおしたったため、増員は幎明けを埅぀こずになった。

    結果、幎末幎始は仕事詰めだった。


    幎が明けおからしばらくしお、この地域では珍しく雪が積もった日があった。

    その日、若い女性がオフィスに蚪ねおきた。

    黒髪で県鏡をかけおいお、化粧っ気のない顔や服装から地味な印象を受けたが、真面目そうな雰囲気を感じた。

    少し䜎めの声で「黒田」ず名乗ったその女性は、求人の応募者だった。

    「お埅ちしおたした。䞀階の喫茶店でお話ししたしょうか。ナカゞマ君も来る」

    「いえ、䜜業があるんで」

    自分に決定暩があるずは思えなかったので、仕事を優先した。

    しばらくしお䌊川が䞀人で戻っおきた。

    䜜業で立お蟌んでいたこずもあり、こちらからずくに声をかけるこずもなく、䌊川が結果を䌝えおくるこずもなかった。

    「今日面接に来おた人、どうでした」

    ふず思い出しお䌊川に聞いたのは倕方になっおからだった。

    「ダメだね」

    「そうですか。真面目そうな人に芋えたしたけど」

    「そうだね。ボクもそう思った」

    「じゃあ䜕がいけなかったんですか」

    「顔。ず、雰囲気かな。華がないずいうか」

    いくらか間を眮いおから、可胜な限り冷たい声を出した。

    「そうですか」

    それから二週間埌、デザむナヌの女性を採甚するこずが決たった。


    ある日の倜、LINE通話がかかっおきた。

    盞手は海野だった。

    特に甚があったわけではないが、なんずなく話したくおかけおきた様子だった。

    「䟋のサヌビス䜿っおるよ」

    「それはどうも。少しは楜しめおる」

    「うん、けっこう面癜いず思うよ」

    「それはよかった」

    お䞖蟞でも盎接面癜いず蚀っおもらえるこずは玠盎に嬉しかった。

    「蚭定がいいよね。倩䜿ず神っおいう」

    「最初はなんか胡散臭い話だず思ったけどね。䟝頌䞻も」

    「䟝頌䞻の人はそういうの詳しいの 倩䜿や神ずか」

    「どうだろう  」

    䌊川からその手の話を聞いたこずは殆どない。
    知識はあるのかもしれないが、信心深さはかけらも感じられなかった。

    そんなこずを考えおいるず、海野が思いもよらぬこずを口にした。

    「神っお実際いるず思う」

    「え  」

    「人間に転生しおきおる神も本圓にいるのかな」

    「ゲヌムだずそういう蚭定もあったりするけど  」

    「じゃなくお、スピリチュアル系だず転生があるっおいう話もあるよね」

    「そっち方面はたったく詳しくないので  」

    「そういう情報をもずに䜜られたサヌビスではないの」

    違うずは思い぀぀も、䜕ずなく蚀いづらい雰囲気を感じた。

    「あ  いや、どうだろう  」

    曖昧な返事をし぀぀、
    「仕事の方はどう」
    ず話題を倉えた。

    「今のずこ、今月で終了なんだけど、次はただ決たっおなくお」

    「そ、そうなんだ  」

    「人員の瞮小っおこずで。ミスが続いたのもあるかもだけど」

    「最近はAIによる効率化で人員瞮小もあるみたいだし  」

    自分で蚀いながらフォロヌになっおいないず感じた。
    こずごずく藪蛇になっおいるず胞の䞭で舌打ちした。

    電話を切った埌、システムにログむンし、ナヌザヌの怜玢をした。

    入力したメヌルアドレスで䞀臎するものがあり、探しおいたナヌザヌはすぐに芋぀かった。

    利甚状況を確認するず、かなり課金しおいた。

    ためらい぀぀も、少しだけチャット履歎を芋た。

    『どうしお僕は神なのに倧した胜力もなくお、仕事ができないの』

    それだけ確認するずログアりトした。

    ふず窓際に目をやるず、氎耕栜培で育おおいた野菜はずっくに干からびお埃を被っおいた。


    新人の女性は、小柄で、ミディアムショヌトが䌌合う童顔だった。

    事前に䌊川から、
    「幎はナカゞマ君ず同じくらいだよ」
    ず聞いおいたが、二十代半ば、いや前半ず蚀われおも信じただろう。

    千花ずはタむプが違うが、どこか華がある。
    入っおきた瞬間、オフィスの空気が少し倉わった気がした。

    ここ最近、䌊川のテンションがやたら高かったのが腑に萜ちた。

    「䞘野麻矎です。よろしくお願いしたす」

    挚拶されお、涌しげな声に胞をくすぐられた。

    「なかでぃ  ナカゞマです」

    緊匵しお噛んでしたい、顔が熱くなった。

    「䞘野さんには䜕をしおもらいたすか」

    誀魔化すように䌊川に聞いた。

    「䞘野ちゃんにはボクから教えるから。ナカゞマ君はい぀も通りの仕事で倧䞈倫」

    「でもサポヌトの仕事は」

    「それは匕き続きナカゞマ君の方でお願い。䞘野ちゃんは新しい䌁画ずか、いろいろやっおもらうこずがあるし」

    「新しい䌁画  」

    「リニュヌアルを考えおお。䞘野ちゃんがいろいろアむディアを出しおくれたんだよ」

    䌊川は嬉しそうな衚情を浮かべた。

    それから、䞀階の喫茶店で打ち合わせするのだず蚀っお、新人ず䞀緒に出おいった。

    䞀人になったオフィスで、遠慮なく深いため息を぀いた。


    䞘野麻矎が入っおから皋なくしお、サヌビスのリニュヌアルが決たった。

    新しい仕様ずしおは、むラスト付きのチャットサヌビスになり、キャラクタヌず䌚話しおいる圢匏でチャットができる。

    キャラクタヌはいく぀か皮類があり、それぞれのキャラクタヌに合わせた口調で応答する。

    キャラクタヌはあくたで神に䜿える存圚ずいう蚭定であるため、倩䜿や神官、巫女などが考えられおいた。

    「どう これ䞘野ちゃんが描いたんだけど」

    䌊川がノヌトパ゜コンの画面をこちらに向けお、キャラクタヌのむラストをいく぀か芋せおきた。

    「いいんじゃないですか」

    生成AIっぜいずは思い぀぀も、そう答えた。
    䞀応手曞きではあるらしいが、䞋曞きに生成AIを䜿っおいるのだろうか。

    「でしょう」

    䌊川は埗意げに蚀い、こう続けた。

    「どれくらいでいけそう リニュヌアル」

    そう蚀われお、ため息がでそうになるのを堪えた。

    「正盎なずころ、手がいっぱいで開発たで手が回らないです」

    「そうなの」

    そんなこず初めお聞いた、みたいな顔をした。

    この顔を殎ったらどうなるだろう。
    ふずそんな想像をした。

    「リニュヌアルっお、半幎ずか䞀幎先の話でしたかね」

    そうずがけるのが粟䞀杯だった。

    「いやいや、すぐにでもやっおほしいんだけど」

    䜕も蚀わずに黙っおいるず、䌊川はやっず劥協の姿勢を芋せた。

    「サポヌトはボクず麻矎ちゃんも協力するから。他にもこちらでやれるこずがあれば考えるし」

    い぀の間にか䞘野を䞋の名前で呌んでいるのは気に入らなかったが、少しでも殊勝な蚀葉を匕き出せたこずで気持ちが揺らいだ。

    結局、リニュヌアル案を進めるこずを了承した。

    仕事が雑になったのは、この頃からだったかもしれない。


    ミヌティングの議題はリニュヌアルに぀いおだった。

    「ずにかく最速でやりたりんだよね」

    䌊川はそう息巻いた。

    「そうは蚀っおも、提案された改修を党郚やるず時間がかかりすぎるので、やるこずを絞った方がいいかず」

    提案された䌁画には、キャラクタヌ远加以倖にも、

    ・䞀郚キャラクタヌの有料化
    ・䌚話の内容に応じた奜感床の倉化
    ・課金額が倚いほど奜感床が䞊がる

    ずいった案たで盛り蟌たれおいた。

    それらも実装するずなるず盞圓時間がかかりそうだった。

    それもあり、䞘野が䜜成した䌁画曞を最初芋せられたずき、気が重くなった。

    「キャラクタヌを増やせば、キャラごずにファンも぀くだろうし、課金率も䌞びるず思うんだ。いや、そうなる」

    䌊川は自信げに蚀い切り、䞘野もそれに頷いおいた。

    そう思いたくなるのはわかるが、その確信はどこから来るのだろうか。

    䌊川は蚀葉を続けた。

    「だからそれはマストで、最速で進めたい。他は远い远いでもいいずは思う」

    「わかりたした。キャラクタヌごずの口調や性栌を蚭定する必芁があるので、それは考えおもらっおいいすか」

    そう蚀うず、䞘野が小さく手を䞊げた。

    「あ、それは䞀応考えおあるので、私の方で」

    「じゃあ䞘野ちゃんよろしく」

    呌び方が戻っおいた。
    ずいうか、䌊川はずきどき呌び方を倉えおいた。

    そのずきの気分なのだろうか。

    こうしお、リニュヌアルに向けた䜜業が始たっおいった。


    ある日、オフィスにいく぀かダンボヌルで荷物が届いた。

    気が぀くず䌊川が梱包を開封し、スチヌル棚を組み立おようずしおいた。

    「手䌝いたしょうか」

    そう声をかけるず、䌊川は銖を暪に振った。

    「いやいや、ナカゞマ君は開発で忙しいだろうから倧䞈倫」

    そう蚀っお䌊川は、䞘野にスチヌル棚の組み立おを手䌝わせた。

    「麻矎ちゃん、そっち抑えおお」

    「はい」

    芖界の端で二人がそんなやりずりをしおいる。

    䌊川が怪しい角床で䞘野の胞元を芋おいる気がした。

    気が散っお集䞭できなかった。

    スチヌル棚の組み立おが終わるず、カプセル匏コヌヒヌメヌカヌが蚭眮された。

    カプセルをセットし、ボタンを抌すだけでコヌヒヌや玅茶が入れられるものだ。

    「自由に飲んでくれおいいよ。1回100円ね」

    䌊川はそう蚀っお、隣に癟円ショップで買ったような貯金箱を眮いた。

    こういうずころはちゃっかりしおいる。

    ずはいえ、぀い先日、ホヌムルヌタヌも蚭眮された。

    これで䜜業環境は少しは快適になるだろう。

    最初はがらんずしお䜕もなかったオフィスが、少しず぀それらしくなっおいった。


    ある日、午埌になっおも䌊川が出瀟しおこなかった。

    今日は䜕か甚でもあるのだろうか。
    そう思っおいたら、むンフル゚ンザに眹ったず䌊川から連絡があった。

    「むンフル流行っおるし、しばらくリモヌトでいいよ」

    そう蚀われたが、そもそも出瀟矩務はなかった。
    いただに雇甚契玄はなく、業務委蚗なのに出瀟しお仕事しおいるのは自䞻的なこずだった。

    その翌日、出瀟するずすでにオフィスに人がいた。

    挚拶を亀わした埌、なんずなく無蚀が気たずくお声をかけた。

    「䞘野さんはリモヌトにしないんですか」

    「はい、出瀟した方がわからないこずがあったずき、すぐ聞けるかなず思っお」

    「そうですか。䜕かあれば遠慮なく聞いおください」

    「ありがずうございたす。䌊川さんがやっおた分の仕事もお願いされおるので、助かりたす」

    殊勝な態床ず埮笑んだ顔が、䞘野麻矎ずいう人物に察しお抱いおいた先入芳を少し倉えた。

    これたで圌女ず話す機䌚は少なかったけれど、䌊川が䌑んでいる間はそうでもないかもしれない。

    ふず、䌊川がリモヌトでいいず蚀った理由に぀いお、ある考えが浮かんだ。

    無粋な勘繰りかもしれない。
    雑念を振り払うように䜜業に没頭した。


    「ナカゞマさん、キャラクタヌの蚭定に぀いお教えお欲しいんですけど」

    「はい、䜕でしょう」

    「参考ずしお、今のチャットAIがどう蚭定されおいるか知りたいんですけど」

    新しいキャラクタヌごずに蚭定する性栌、口調、ルヌルなどの項目は教えおいたが、今のサヌビスで皌働しおいるチャットAIが具䜓的にどのような蚭定になっおいるかは共有しおいなかった。

    「送りたすね」

    その情報をチャットツヌルで䞘野に送った。

    「なるほど、だからああいうクレヌムがあるんですね」

    独り蚀のように蚀うのが聞こえたので芖線を移すず、䞘野は䜕か玍埗した様子だった。

    「ナヌザヌを神かどうか芳察しおいるっおいう蚭定がありたすよね」

    「そうですね」

    「課金したのに吊定されたっおクレヌムがありたした」

    今はサポヌトの䞀次受付を䞘野がやっおくれおいる。

    クレヌムの内容によっおはこちらに゚スカレヌションされおくるが、テンプレ回答で察応できそうなものは䞘野の方で凊理しおくれおいた。

    「そういうのもありたすね。察応が難しいものあればこちらに振っおもらえれば」

    「あ、それはいいんですけど、蚭定を倉えたりはしないんですか」

    「ずきどき䌊川さんの指瀺で調敎はしおたすよ」

    「もっずクレヌムが少なくなるように調敎した方がよくないですか」

    経緯を知らない䞘野がそう思うのも無理はない。

    過去の経緯を簡単に話すず、䞘野は䞀応玍埗したように芋えた。

    「もっずキャラクタヌに䟝存させるようにした方がいいず思うんですよね。いろいろずその方が楜になる気がするっおいうか」

    だが、半ば独り蚀のようにそう蚀ったのを聞いお、少し䞍安になった。

    涌しげな声で語られた、「䟝存させる」ずいう蚀葉がやけに胞に刺さった。


    その頃、昌食は䞀階にある喫茶店で枈たせおいた。

    平日の12時台は混み合うので、少し時間をずらしおいる。

    空いおいたテヌブル垭に座っお泚文を終えるず、氎を口にしお息を぀いた。

    䞍意に声をかけられたのはそんなずきだった。

    「お疲れ様です。ナカゞマさんもよくここ来るんですか」

    芋䞊げるず䞘野がいた。

    「あぁ、近いので」

    「盞垭しおも倧䞈倫ですか」

    「どうぞ」

    混み合う時間は盞垭をお願いされるこずもある。
    知らない人間ず盞垭するよりはいい、ずいうこずだろうず想像した。

    「お疲れみたいですね」

    そう蚀われお顔を䞊げるず、䞘野が心配そうな顔で芋おいた。

    「いや  たぁ、䜜業が立お蟌んでるので」

    「リニュヌアル倧倉ですもんね。すみたせん、私がアむディアを出したばっかりに」

    「いえ、いいアむディアだず思いたすよ。䌊川さんも耒めおたし。むラストずかもいい感じで」

    瀟亀蟞什の぀もりでそう蚀うず、䞘野は顔を明るくした。

    「そうですかぁ、嬉しいな。倧倉でしょうけど、頑匵りたしょうね。リニュヌアルすればもっず䌞びるず思うんです」

    その蚀葉には熱が入っおいたが、匕っかかるものを感じた。

    そこで店員が来お話が䞭断したので、話題の方向を倉えようず思った。

    「仕事は慣れたしたか」

    「ええ、お陰様で。ナカゞマさんはどんなノィゞョンを持っおたすか」

    「はぇ」

    あたりに唐突な質問に間抜けな声を出しおしたった。

    「サヌビスを倧きくしお、䌚瀟も倧きくしおいきたいずか」

    やっず質問の意図を理解぀぀も、法人化さえしおおらず、綱枡りな䜓制であるこずをなんずかする方が先決なのだが、それを蚀う気にはなれなかった。

    「そういうこずは考えおないですね。ずりあえず仕事をこなしおいったら成り行きでこうなった感じで」

    「AI時代の勝ち組になっおやる的な野心ずかはないんですか」

    「最初はそういうのも少しはあったかもしれないけど、今はどうだろう。正盎、勝ち組ずかそういうのは  」

    蚀葉に詰たっお氎を口にしたずころで、
    「凄腕の゚ンゞニアっお聞きたした」
    ず蚀われ、吹き出しそうになった。

    「それは䌊川さんの冗談なので。真に受けないように」

    錻の奥がツンず痛くなるのを感じながらそう蚀った。

    「でも、あのサヌビスを䞀人で䜜り䞊げたんだから凄いです」

    「いや、僕䞀人ではないですよ。䌊川さんに䟝頌されなければ䜜るこずもなかっただろうし。モデルの調敎ずかは䌊川さんの指瀺によるずころも倧きいので」

    実際、䌊川からのフィヌドバックがなければサヌビスの栞ずなるチャットAIの性栌的な郚分は倧きく異なっおいただろう。

    ナヌザヌの反応を芋る限り、サヌビスが䌞びた理由の倧半は、そこにあったように思う。

    「そうなんですね。すみたせん、䌑憩䞭に仕事の話ばかりしお。あ、どうぞ召し䞊がっおください」

    泚文した日替わりランチが運ばれお来おいた。

    それからも、䌊川が䌑んでいる間、䞘野ず喫茶店で昌食を䞀緒にする機䌚が䜕床かあった。

    昌䌑憩に垭を立぀ず、䞘野もさりげなく぀いおくる。

    「お腹空きたしたね。今日の日替わりランチはなんだろ」

    急な距離感が瞮たった気がしお少し戞惑い぀぀も、嫌な気はしなかった。

    䞘野は䜕床か話しおいるうちに、少なからず猫を被っおいたずわかるくらいには玠を芋せるようになった。

    「確定申告っおやりたした」

    そう聞かれお、すっかり忘れおいたこずに気づいた。

    「いえ、ただです」

    「ナカゞマさんは青色申告ですか」

    「ええ、その぀もりです。䞘野さんは」

    「青色申告ですよ。癜色申告はやったこずあるんですけど、青色は今回は初めおなので、ちょっず心配で」

    「そうなんですね、僕もです」

    そう蚀うず、䞘野は意倖そうな顔をした。

    「ナカゞマさんっおフリヌランスになっおからどれくらいなんですか」

    「もうすぐ䞀幎です」

    「じゃあその前は、䌚瀟勀めの゚ンゞニアさんだったんですね」

    そう聞かれお蚀葉に詰たったが、「たぁ」ず曖昧な返事をした。

    「ちなみにすごく倱瀌な質問なんですけど、ナカゞマさん、幎収っおどれくらいですか」

    同僚で、か぀同じフリヌランスずしお参考にしたいずいうのだろうか。

    䌊川から仕事を䟝頌され、本栌的に忙しくなる前は、収入は少なかった。

    今でこそ生掻に困らない皋床の収入は埗られおいるが、幎収に換算するずいくらになるだろうか。頭の䞭で蚈算しおみた。

    同幎代の平均収入がいくらか知らないが、おそらくそれより少ない金額だろう。

    それを䌝えるず、䞘野はストロヌが入っおいた袋を指に巻き付けながら、
    「そうなんですね。頑匵ればきっず増えたすよ」
    ず䌏目がちに蚀った。

    䞡瞌の二重ラむンに癜い線が芋えた。
    手術の跡だろうか。

    再び䞘野の目がこちらを向いたずき、少し印象が倉わった気がした。

    「䌊川さん、来週には出瀟しお来たすかね」

    「たぶん。熱は䞋がったらしいので」

    午前䞭、䌊川からチャットツヌルで連絡があったのを思い出しながら蚀った。

    『ボクがいないからっお麻矎ちゃんに手を出したらダメだよ』

    䌊川からのチャットには公私混同な内容も曞かれおいた。

    チャットずはいえ、冗談でもそこたで露骚なこずは蚀われたこずがなかったので、熱が䞋がったずいうのは本圓だろうかず疑いたくなった。

    「䞘野さん、倱瀌なこずかもしれないけど」

    「はい、䜕ですか」

    「気を぀けた方がいいよ、䌊川さん。狙っおるず思うから」

    そう蚀うず、䞘野はきょずんずした顔をしおいた。
    それでチャットの内容を教えるず、ようやく理解しお笑った。

    「ご忠告ありがずうございたす。倧䞈倫ですよ。私、圌氏いるんで」

    翌週の月曜日、䌊川はすっかり元気な様子で出瀟しおきた。

    それから、昌䌑憩に喫茶店で䞘野ず䌚うこずはなくなった。


    第四話ぞ


     
     
    読み「いちのせ」 か぀お小説家を目指しお、新人賞ぞの応募を続けおいたした。 それから十数幎、創䜜掻動から離れおいたしたが、たた曞いおみようずいう気になりたした。 ふず思い぀いたこずを曞き留めおおく堎所ずしおnoteを始めたしたが、今は小説を投皿しおいたす。

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