
『茶寮都路里』 と 『中村藤吉本店』
娘を連れ回し始めたスタートは2018年、大丸東京の『茶寮都路里』だった。地元でも電車に乗ることがあまりないまま育った娘が、都心の満員電車に詰め込まれて通学することを決めた、高校1年のオープンキャンパス帰り。八重洲口からのビルを眺めるカウンターに並んで腰掛けた。
『茶寮都路里』は、1860年に宇治で創業し、台北で立ち上げた『辻利茶舗』を経て、1948年祇園に『祇園辻利』を出店。そこから1978年に誕生した京都の名店であり、私が好んで抹茶味を食しに行く、数少ない店舗の1つだ。

(写真:筆者)
いつも、『特選都路里パフェ』の『ほうじ茶』と迷いながらも『抹茶』に落ち着く。大ぶりカットされた濃厚抹茶ゼリーが、グラスにこれでもかとふんだんに詰め込まれ、その頂には、抹茶を丁度良く活かして生クリームと合わせた、抹茶ホイップクリームが鎮座する。下には大粒の栗の甘露煮が、大切に収まっている。グラス1つで味が完成する、バランスの取れた一品だ。

(写真:筆者)
いつも迷うほうじ茶のゼリーは、
食すと茶葉を炒った香ばしさが、口いっぱいに広がります。
柄の長いスプーンでバランスを取りながら、抹茶ゼリーを口へと運ぶ。その危うさと、娘の大学生活への杞憂が重なった。いくら心配しても、不安は尽きない。それでも、自分にはできなかった、そのときにしかできない経験を、娘には味わい尽くしてほしくて、娘の背中を押すことを心がけた。

『中村藤吉本店』の『生茶ゼリイ 抹茶』
(写真:筆者)
『茶寮都路里』と同じく、好んで抹茶味を選択する『中村藤吉本店』は、1854年に宇治で創業し、茶商として150年以上続く老舗だ。京都駅でお土産を物色していたときに出合った。

『中村藤吉本店』の『生茶ゼリイ 抹茶』
(写真:筆者)
カップ仕立てでテイクアウトできる見た目に感動して以来、毎回『生茶ゼリイ』の『ほうじ茶』と迷いに迷って『抹茶』を購入する。つるんとした喉越しで、抹茶の風味が鼻を抜けるゼリーと、程よく粒を残して炊いた小倉餡、もっちりとした白玉を合わせていただくと、口の中に爽やかさが生まれる。毎回京都へ行く度に購入するだけでは飽き足らず、冷蔵庫に常備するかのように、お取り寄せしていた時期もある。現在は『GINZA SIX』に出店してくれたおかげで、だいぶ購入が容易になった。

(写真:筆者)
東京タワーを見ると、幾つになっても
「やるぞー!」と気持ちが高揚します。
思い返すとこれまでの50余年、中学の修学旅行から始まって、高校では遠足、大学では講義と、この年になるまで、数えきれないほど京都へ足を運んだ。1992年、大学のクラスメイトが立ててくれた旅行プランは、京都でのお座敷遊び体験だった。苦学生だった当時の私は、
(そんなお金ないから、行かなくて良かった。)
と思ったけれど、今にして思えば、そのときでなければできない体験だったなと思う。人生には余裕が必要だ。お金にも、時間にも、心にも。そのときには「そんなこと」でも、後になると、思い出や経験になる。
あなたにはお金を理由に、これから巡ってくるであろう、人生のチャンスを逃すことだけは、絶対にしないでと釘を刺しておきたい。自分の求める生き方を、お金が理由で断念する後味の悪さは、生涯断てないものだから。
人生の時間もお金も有限だからこそ、投資する使い所を見極めて、しっかりと生き切ってほしい。
前章(Songs & Movies)と付録は、エッセイ部門に投稿。
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