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小役人日記 出先機関復帰編①平穏な日々

     私は、四年ぶりに出向元の出先機関へと戻ってきた。宮崎部長や真地課長、それに菜島課長といった本省庁からの出向組の方々は、全員いなくなってしまっていたが、鶴岡君や山尾さんを始めとする地元組(出先機関の「プロパー」と呼ばれる)は、ほとんど転職等することなく残っていた。

     配属先は、総務課庶務係である。どの役所にも高確率で存在するであろうこの係は、直接、組織の本来業務を担当するわけではないが、人事管理から雑事まで幅広く担う、組織の土台ともいえる部署である。おそらく、本省庁での地方関係業務の経験を買われての配置であろう。

     私は、この係で実に様々な業務を担当した。採用活動、研修の実施、非常勤職員の雇用、給与の支払い、健康管理などである。もちろん、一度に全てを担当していたわけではないが、我ながら色々やらされたものである。

     いずれの仕事も初めて行う上での大変さはあったものの、本省庁での激務を思えば、天国とも言える環境であった。残業時間は大幅に減り、怒られることも、また怒ることも、ほとんどなくなっていったのである。

     私がこの係にいる間、上司から注意されたのは、以下のようなことくらいである。

     ・職場で炭酸飲料は飲まないほうがよい。
     ・コートが大学生のようで格好悪い。
     ・スーツはオーダーメイドにすべきだ。

     どれも的確なアドバイスではあったのであるが(三つ目は黙殺したが)、本省庁時代との落差もあり、どこか物足りなさを感じる日々でもあった。

     もっとも、家族と夕食を囲めるようになったことは、何より嬉しい変化であった。本省庁時代は、夕食どころか、家族が寝静まったあとにそっと玄関のドアを開ける日のほうが多かったのである。

     ようやく二歳を迎えた我が娘も可愛い盛りであり、家族三人の穏やかな日々が続いていたのである。

     ところが、好事魔多しなのである。

     私には、黒い噂が流れ始めていたのだ。

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    40歳前後の国家公務員。小役人の日常や子どもの頃の出来事など、実話をもとにしたエッセイを書いています。

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