
小役人日記 霞ヶ関出向編②予算要求
霞ヶ関出向となった私が配置されたのは、本省庁内で地方関係の調整を行う部署であった。その中には、自らの出向元である出先機関の支援業務も含まれる。出先機関から出向している私には、まさにうってつけの部署であった。
そこでの私の仕事の一つに予算要求があった。今回は、この予算要求業務についてご紹介したい。
省庁における予算要求は、大きく分けて二つの段階がある。
まず、第一段階として概算要求と呼ばれるものだ。これは、各省庁の予算案と言ってよいだろう。職員の人件費から、補助金・交付金に至るまで、必要とする予算を取りまとめ、八月頃に財務省へと要求するのだ。
ここで特筆したいのは、省庁の予算案だからといって、無制限に要求できるわけではないということだ。概算要求にはシーリング(天井)というものがあり、各省庁で要求できる予算の枠は決まっているのである。こうなると、必然的に各部局間で予算の取り合いの様相を呈してくる。
これを差配するのが、各省庁に置かれている会計課である。会計課には各部署の予算案を査定する担当がおり、各部署の担当者は必死に予算の必要性を説明するわけである。
もっとも、会計課へ要求する前には部局内の調整があり、その前には課内の調整もある。予算要求のプロセスとは、すなわち説明のプロセスなのである。
そして、秋頃から始まるのが第二段階となる財務省との折衝である。年末の予算案閣議決定に向けて、数カ月の激しい折衝が繰り広げられるのだ。
私の部署は、出先機関の予算についても要求を行っていた。私は、出先機関の出向者である利を活かし、実際に現場でどのような事業に使われているかを、省内外の担当者に説明した。もちろん、実際にはわからないものも多かったのであるが、こっそり出向元の先輩に教えてもらったりしたわけである。
そうこうしながら、何とか必要な予算は確保された。公務員にしては珍しく、はっきりとした形で勝敗がわかれる仕事なだけに、誰もが必死なのである。
もちろん、この予算の確保は私の力によるものではない。このとき、私の直属の係長として、市川係長という会計課出身の優秀な人材がついていたのである。
次回は、そんな市川係長との間に起きたある事件について語りたい。