
AGE65 -優先順位-|第16話「間に合わない」
玲は、真剣な目で画面を見つめていた。
玲《少子高齢化の原因と責任を簡潔に教えて》
思考時間: 9s
AI《簡潔に言うと、少子高齢化の原因は「子どもが生まれにくい社会になったこと」と「人が長く生きる社会になったこと」です。
■原因
①少子化の原因
結婚する人が減った
結婚する年齢が遅くなった
子育てにお金がかかりすぎる
若い世代の収入が安定しない
仕事と子育ての両立が難しい
都市部では住宅費が高い 子どもを持つことより、自分の生活を守ることで精一杯
②高齢化の原因
医療が発達して寿命が延びた
戦後に生まれた人口の多い世代が高齢者になった
子どもの数が減ったため、人口全体に占める高齢者の割合が大きくなった
■責任
誰か一人、どこか一つの責任ではない。
ただし、責任を分けるならこう。
①国の責任
一番大きい。
長期的に分かっていた問題なのに、子育て、雇用、住宅、介護、社会保障の仕組みを十分に変えられなかった。
②企業の責任
若い世代を安く使い、長時間労働や不安定雇用を放置してきた。
子育てしながら働きにくい環境も原因になった。
③社会全体の責任
子どもを育てることを、家庭だけの責任にしすぎた。
介護も同じで、家族に背負わせすぎた。
④個人の責任
ほとんどない。
結婚しない、子どもを持たないという個人の選択を責めても解決しない。多くの場合、その選択をさせている社会条件の方が問題。》
玲《10年後、最悪どんな未来が待ってる?》
AI《社会の崩壊がさらに進みます。助けを呼んでも、順番が来ない社会です。
救急車は来る。
でも、病院が受け入れられない。
介護施設はある。
でも、空きがない。
家は余っている。
でも、高齢者が安全に住める家は足りない。
子どもを産みたい人はいる。
でも、育てる余裕がない。
働きたい人はいる。
でも、親の介護で働けない。
店はある。
でも、人手がなくて開けられない。
制度はある。
でも、支える人が足りない。
最悪の未来とは、誰かが見捨てようと決めた社会ではありません。
全員を助けるつもりで、結果的に、誰も間に合わなくなる社会です。》
玲の指が、キーボードの上で止まった。
玲「え、間に合わない」
玲《10年後、経済的には最悪どんな未来が待ってる?》
AI《国がゆっくりと貧しくなっていきます。
働いても、豊かになれない社会。
給料は上がらない。
でも、税金と社会保険料は上がる。
物価は上がる。
でも、年金だけでは生活できない。
企業は人手不足になる。
でも、人件費を上げる余裕がない。
若い世代は働く。
しかし、その収入は自分の生活だけでなく、医療、介護、年金を支えるために使われる。
高齢者も苦しくなる。
若者も苦しくなる。
店は値上げする。
客は買えなくなる。
売上は落ちる。
人を雇えなくなる。
さらにサービスが減る。
全員が少しずつ余裕を失っていきます。
最悪なのは、貧困が一部の人だけの問題ではなくなることです。
普通に働いている人が、普通に生活できなくなる社会です。》
玲《もしこのまま20年が経ったら?》
AI《次の世代が、次の世代を作れなくなります。
その連鎖が止まらなければ、最終的には国家としての存続そのものが危うくなります。》
玲は、下唇を噛んだ。
しばらくして、進路希望調査用紙を見た。
高校名を書く欄が、急に小さく見えた。
自分がどこへ進むかより先に、
この国がどこへ進むのかを知らなければならない気がした。
▶ 次の話
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