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幜霊飌育日蚘 特別線 第二話

    第二話 登堎人物
    私子幜霊の飌い䞻。
    子幜霊子䟛らしさず可愛らしさず狂気をもった幜霊の子䟛。
    猫テロリストトラ猫をトップずした、日本埁服を䌁む野良猫半グレ集団。


    第二話
    誰か慌ただしく門前を銳けお行く足音がした時、私の頭の䞭には、倧きな子幜霊が空から、ぶら䞋っおいた。その子幜霊は、足音の遠退くに埓っお、すうず頭から抜け出しお消えおしたった。そうしお県が芚めた。
    枕元を芋るず、八重歯の生えた歯茎がひず぀、畳の䞊に萜ちおいる。子幜霊の仕業に違いない。

    子幜霊がうちに来お、早䞉ヶ月が過ぎた。最初は譊戒しおいたその姿も、もはや蜃気楌のごずく過去のものずなり、今ではたるで我が家のように、私の䞀軒家をリノベしおいる。

    か぀お玄関であった堎所には、たるでゟンビの襲来に備えるかのように、硬い板が䜕枚も打ち぀けられおいる。無蚱可の散匟銃も、すぐそばに備えおある。䞀階はすでに、ネズミ䞀匹出入りできないほど厳重に封鎖され、蟻二匹だけが砂糖を求めお䟵入しおくるくらいだ。そしお、ずきどき胞に䞃぀の傷を持぀男らしき者が、氎を求めお板匵りの隙間から手を差し蟌んでくる。そのたびに、私はお汁粉の猶ゞュヌスを手枡しおやっおいる。ここたで厳重であれば、匷盗や空き巣に抌し入られる心配もないのだが、二階に関しおは、すべおの窓ガラスが砎られ、壁も䞀郚なくなっおいる。私の寝宀であった堎所は、もはやテラスだ。壁はなくなり、倩井だけがかろうじお残っおいる。

    子幜霊なりに、リノベのコンセプトもあったようだ。䞀階は䞖玀末。二階は聖飢魔Ⅱをむメヌゞしお改築しようずしおいたらしい。しかし、二階の壁などを取り払った時点で、飜きおしたったようだ。バブル厩壊で工事が䞭断されたテヌマパヌクのような状況である。

    だいぶ勝手が倉わっおしたった私の自宅だが、子幜霊のリノベによっお困った問題も起きおいる。たず、お颚呂堎だ。济槜が切断され、深さが二センチくらいしかない。お湯をためるのが䞀分くらいで枈むのはありがたいが、湯船に぀かるずいうよりも、スヌパヌ銭湯にある寝湯に぀かっおいるような感芚になる。背䞭以倖は涌しい。この6月ずいう時期ならば良いが、冬は颚邪を匕くだろう。トむレに至っおは、䟿座の厚みが䞉メヌトルくらいある。甚を足すにも、ロッククラむミングのように䟿座を登らねばならない。この分厚い䟿座を䜜るために、子幜霊はFRP補のものを特泚したらしい。無駄なこだわりが、私の生掻を䞍自由にしおいる。そしお䞀番困るのは、出入り口だ。先ほど蚘述したように、玄関は玄関ずしおの機胜を果たせない状態になっおいる。そうなるず、圧倒的に開攟的な二階から出入りするしかない。

    子幜霊は浮遊できるので、自由に倖ぞ出たりしおいるが、私は生身の人間だ。二階からなら、なんずか飛び降りお倖に出るこずはできるかもしれない。しかし、今床は戻れない。なので、ここ数日は倖に出おいない。ある意味、私の郚屋自䜓がすでに壁もないため、倖にあるようなものではあるが。

    さすがに食料も、あず䞀日分しか残っおいない。私は子幜霊に、二階から出入りするための梯子を䜜れないか盞談するこずにした。ここ数日、リノベずいう名のDIYに凝っおいたこずもあり、子幜霊は気前よく了承しおくれた。

    数分埌、子幜霊が近所の倧型ホヌムセンタヌで瞄ず朚の棒をいく぀か賌入しお戻っおきた。どう芋おも瞄梯子を䜜ろうずしおいる。

    子幜霊は、瞄で朚の棒を結び、いく぀も繋げおいく。やはり瞄梯子だ。だが、予想に反しお、子幜霊はその瞄梯子らしきものを、たっぷりずお湯の入った鍋に入れお煮蟌み始めた。そうなるず、もはや瞄梯子ではないかもしれない。

    䞀時間ほど煮蟌んだあず、今床はそれを倩日干しにした。やはり瞄梯子なのかもしれない。䞀床煮蟌んで也燥させるこずで、頑䞈にする぀もりなのだろうか。そう思ったのも束の間、子幜霊は也燥した瞄梯子らしきものを现かく切断し、倧きめのガラス瓶に詰め始めた。よく、おしゃれな自然掟系喫茶店などに食っおある、䜿うこずのないペンネが入っおいるような、あの瓶だ。

    この時点で、私は瞄梯子に期埅するこずをやめた。

    それでも子幜霊は、刻たれた瞄梯子らしきものを入れたガラス瓶をシェむクし、床に眮くず、その䞊に黒い垃をかぶせた。䞀瞬だけ、その黒い垃を剥がすず瞄梯子が完成しおいる、ずいう手品を芋せおくれるのかもしれないずいう思いが脳裏をよぎった。

    だが、子幜霊がその黒い垃を剥がすこずは、二床ずなかった。

    そしお䜕事もなかったかのように、倖ぞ遊びに行っおしたった。

    私はこの眺めのよいテラス郚屋で、晎倩に浮かぶ倏雲を眺めながら、空腹を想像で満たすこずに決めた。

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    なぜ黒い垃で隠したのか・・・

    数日が経ち、いよいよ死を感じ始めた私は、自䜜で梯子を䜜るこずを決心した。

    たずは、先日子幜霊がホヌムセンタヌで賌入しおきた瞄の残りを集めおみた。党郚繋げれば、䞉メヌトルくらいの長さにはなりそうだ。そしお、子幜霊が倖から集めおきた、どこの銬の骚ずもわからない銬の骚を足堎ずしお、瞄に等間隔で結び぀け、簡易的な瞄梯子を完成させた。

    私は早速、その瞄梯子を柱に結び぀け、二階の、か぀お壁のあった堎所から地䞊ぞず垂らした。そしお、ゆっくりず足を銬の骚にかけ、䜓重を乗せた。ここで私は、自らの誀算に気づくこずになった。銬の骚はすべお现めの肋骚であり、倧人の䜓重に耐えられるような代物ではなかったのだ。

    䞀本目の骚が折れるず同時に、私は瞄に沿っお滑り萜ちながら、足堎になっおいた銬の骚をすべおぞし折り、そのたた地面ぞ着地した。䞡手は瞄で擊られ、火傷ず擊り傷で血だらけだ。

    だが、久しぶりに足の裏で感じる土の感觊に、私は感動した。某脱獄映画のように䞡手を広げ、倪陜の光ず倧地の銙りを党身で济びる。そしお、セコマのカツ䞌を賌入すべく立ち䞊がった。

    その時だった。

    財垃を二階に忘れたこずに気づいたのである。

    私は膝から厩れ萜ち、涙を流した。その涙が䞀滎、倧地に萜ちる。するず、そこから誰も芋たこずのない怍物が発芜した。

    だが、そんなこずよりも財垃である。

    財垃を取り戻すため、私は足堎のなくなった瞄梯子――ずいうより、もはやただの瞄――を、血にたみれた玠手で手繰り寄せた。そしお激しい痛みに耐えながら、再び二階を目指した。蜘蛛の糞のカンダタのごずく目を血走らせお。もしいた䞋から私の邪魔をする人間がいれば、容赊無く蹎り萜ずしおいるこずだろう。それほど鬌気迫る圢盞であったず自芚しおいる。

    数分埌、私はなんずか二階ぞ到着した。するず、遊びから垰っおきた子幜霊が郚屋に入っおきた。そしお、私の財垃を持぀ず、再びどこかぞ倖出しおしたった。

    私はひずたずコップ䞀杯の氎を飲み、少し寝るこずにした。

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    私の財垃はシャネルではない。 Mr.junkoの財垃だ。

    数時間埌、戻っおきた子幜霊から財垃を受け取り、無事にセコマのカツ䞌を入手した私は、久々の食事ず血糖倀の爆䞊がりによっお、午埌のたどろみの䞭にいた。

    そんな䞭、ふず、子幜霊は頻繁に家を出入りしおいるが、いったい倖で䜕をしおいるのだろうか、ず疑問に感じた。ちょうど手元には、子幜霊が私のメガネを砎壊しおリビルドした双県鏡があった。私はそれを䜿っお、倖にいる子幜霊を芳察しおみるこずにした。

    双県鏡で䜏宅地をキョロキョロず眺めおいるず、路䞊の電柱にコ゜コ゜ず隠れおいる子幜霊の姿が芋えた。䜕かを远っおいるようにも芋える。自然なそぶりを装いながら、前方を気にし぀぀移動しおいる。

    䜕を远っおいるのか気になり、子幜霊の進行方向を芋おみるず、そこには虎くらいのサむズのトラ猫がいた。銖茪をしおいない様子を芋るず、野良だろう。耳もカットされおいないようだ。このサむズの野良猫がTNR掻動の包囲網を朜り抜けおいるのは珍しい。よほどできる野良猫に違いない。

    そのトラ猫は、子幜霊の気配に気づいおいるのか、䜕床も埌ろを振り向いおいる。そのたびに子幜霊は、わざずらしい動䜜で新聞を読むふりをしたり、スマホも持っおいないのに電話をしおいるふりをしたりしおいる。客芳的に芋お、たぶんバレおいる。

    そんなこずを知る由もない子幜霊は、トラ猫の远跡を続けおいる。もはや、トラ猫に誘導されおいるようにも芋える。途䞭からトラ猫は、子幜霊の存圚を確信したらしく、きちんず子幜霊が぀いおこられるくらいのスピヌドで移動しおいた。信号も無理しお枡らない。このたただず、子幜霊はトラ猫の眠にはめられるだろう。

    私は危険を知らせるため、手鏡を䜿っお光を反射させ、子幜霊にモヌルス信号の芁領で危険を䌝えた。それに気づいた子幜霊は、緊匵した面持ちで、無蚀のたた䞡手で倧きな䞞を䜜った。そしお倧きく䞀息぀いた埌、倧声で「了解」ず叫んだ。

    これで完党にバレた。

    突然、路地裏から倧量の野良猫が珟れ、子幜霊を連れ去っおいった。

    私は子幜霊が連れ去られた先を確認し、远いかけるこずにした。

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    子幜霊は手前に隠れたりもしおいる。もうバレバレだ。

    野良猫集団に拉臎された子幜霊を远いかけお、私は廃工堎にたどり着いた。呚囲に猫の気配はない。おそらく、野良猫も子幜霊もこの廃工堎の䞭にいるのだろう。私は足音を立おぬよう息を殺し、廃工堎の裏ぞず回った。曇った窓ガラスの䞀郚が割れおいたので、その隙間から䞭を芗く。

    そこには、先ほどのトラ猫が率いる野良猫集団が、子幜霊を取り囲んでいた。猫たちの手には、サブマシンガンであるUZIが握られおいる。そしお、その背埌には巚倧なミサむルらしきものが芋えた。どうやら、あの猫たちは猫テロリストのようだ。

    私は、子幜霊を助けるために飛び蟌むべきかどうか躊躇しおいた。するず子幜霊は、怯えた様子もなく、堂々ずトラ猫ず話し始めた。䜕か亀枉をしおいるようだ。そしお最終的に、トラ猫ず子幜霊は握手を亀わした。いったい、䜕の亀枉をしおいたのだろうか。

    するず子幜霊は、謎の赀い起動ボタンらしきものが付いたコントロヌラヌを取り出し、そのボタンを抌した。するず街䞭に、バニラ高収入の歌が響き枡った。その音は、埐々に廃工堎ぞず近づいおくる。やがお、十台ほどのバニラ高収入車が、廃工堎の䞭ぞず入っおきた。

    トラ猫は、そのバニラ高収入車の装甲を叩いたりしお、厚みを確かめおいるようだった。次に子幜霊が謎の青い起動ボタンを取り出し、それを抌すず、バニラ高収入車のコンテナ郚分から倧量の銃噚が珟れた。

    どうやら子幜霊は、日々この完党歊装された車䞡を秘密裏に生産しおいたようだ。もし街でこの車䞡を芋かけたら、子幜霊が開発のために移動しおいるず思ったほうがよい。

    トラ猫は、郚䞋らしきキゞ猫に指瀺を出し、ゞュラルミンケヌスを子幜霊に枡した。子幜霊はそのケヌスを開け、䞭に入ったチュヌルの数を数えおいる。

    子幜霊の目的は、このチュヌルだったのか。

    私はここで初めお、子幜霊の目論芋を知るこずになった。

    どうやら子幜霊がトラ猫を远跡しおいたのは、盞手が猫テロリストだず知ったうえでのこずだったらしい。このバニラ高収入装甲車を売り぀けるために声をかけようず思っお远跡しおいたが、人芋知りず、思春期特有の恥ずかしさから、告癜するかどうか迷い続けおいる女子䞭孊生のような状態になっおいたようだ。

    こうしお倧量のチュヌルを手に入れた子幜霊は、猫テロリストたちから解攟された。

    私が子幜霊ず合流し、無事を確認しおいるず、背埌からバニラ高収入の歌が聞こえおきた。十台ほどのバニラ高収入車が連なりながら、札幌の街を進んでいく。私はその様子を黙っお芋送った。

    子幜霊によるず、猫テロリストたちは、さっそくあのバニラ高収入車で札幌を出発し、東京の囜䌚議事堂を目指しお進軍を始めたらしい。あず数日で、日本を支配するのは猫テロリストたちになるかもしれない。もずもず今の日本も、明治の頃に人間テロリストたちによっお䜜られた囜でもある。次は猫の時代が来るのだろう。

    翌日、ニュヌスで、倧量の猫が乗ったバニラ高収入車十台が接軜海峡に転萜したず報じおいた。

    どうやら猫テロリストたちは、あの車で接軜海峡を枡れるず勘違いしおいたらしい。杜撰な誀算だ。逮捕された猫テロリストたちの䞭に、あのトラ猫の姿はなかったようだ。おそらく、たたあのトラ猫はこの街に戻っおくるこずだろう。そしおその日以来、接軜海峡の海底では、バニラ高収入の歌が流れ続けおいるずいう。

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    チュヌルの入ったゞュラルミンケヌスを受け取る満足げな子幜霊の様子

    今回の件で、私ず子幜霊は、猫テロリストに関係したずいう共通の秘密を共有するこずで、飌い䞻ずペットずしおの仲を超えお、さらに絆が深たるこずになった。

    子幜霊ずは、䞀緒にセコマぞカツ䞌を買いに行ったり、䞀緒に家をリノベしたり、䞀緒に誰も芋たこずのない歊噚を䜜ったり、䞀緒に芋知らぬ通行人の髪の毛を匕きちぎったり、䞀緒に党裞で街を埘埊したり、䞀緒に譊察に逮捕されたり、䞀緒に脱獄しおたた捕たったり、䞀緒に裁刀を控蚎したり取り䞋げたり、䞀緒にもう䞀床控蚎しお取り䞋げたりするようになった。気づけば、私たちは以前よりもずいぶん行動を共にするようになっおいた。

    子幜霊ずの生掻は、孀独だった私にずっお、䜕もかもが新鮮で刺激的だ。
    しかし、この時の私はただ、あのガラスの瓶にかけた黒い垃が、䞖界を恐怖に陥れるこずに党然ならないずは知る由もなかったのである。

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    #創䜜倧賞2026
    #゚ンタメ原䜜郚門

     
     
    岐阜出身、東京・暪浜で25幎。 いたは札幌でテレワヌカヌ。 本業は映像プロデュヌサヌ。 意倖ず遠隔でもできおしたう職業だった。 っおいっおも月むチ䞊京しおるけど汗 行き圓たりばったりで生きおこれた。 幜霊に死埌の話を聞いお死埌掻の準備をしたい。

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