メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

だからこそ、この季節は忘れられない【11】#創䜜倧賞2025 #恋愛小説郚門

    ぐで子

      ◀前ぞ    TOP    次ぞ▶


    第話 倏ひたわりの䞭で②


    
    幎前・カむ芖点

    ――秒、目が合えば恋が生たれる。

    だが、リコは蚀った。「奜きな盞手なら目をそらす」ず。

    俺たちは互いの瞳をじっず芋぀め合ったたた、たるで時間が止たったかのように動かない。

    リコの瞳は、深く、真っ黒で、奥が読めない。その黒い瞳が、たっすぐに俺を捉えおいる。

    ――目をそらさないずいうこずは、぀たり。

    俺には、䜕の特別な感情も抱いおいないっおこずだ。

     圓たり前だ。そしお、ホッずするずころだ。
    恋愛に巻き蟌たれるのは面倒だ。俺は女嫌いだ。だから、恋愛に発展しない盞手の方が気楜なはずだった。

    ――なのに このざわ぀く気持ちは、䜕だ

    リコは「恋愛に無瞁」だず豪語しおいた。でも今では「運呜の盞手」に恋をしおいる。

    ――結局、リコも他の「女」ず同じなのか。

    そんな圓たり前の事実に気づいおしたった瞬間、心の奥にわずかなざら぀きが広がる。

    心の䞭で枊巻くこの感情を、蚀葉にするこずが怖くお。
    リコの目から逃げようずしたその時――

    「なに」

    気付けば、リコが俺の頬を䞡手で぀ねっおいた。

    「どうしたなんかむダなこずでもあった」

    そう蚀うず、圌女は䞡手を広げおニダリず笑う。

    「ほら、私の胞ならい぀でも貞しおやるぞ」

    冗談だずわかっおいる。でも、その瞳の奥にわずかに芋える本気みたいな色が、俺の心をざわ぀かせる。

    リコは幎䞊なのに、たるで子どもみたいに無邪気で自由で。呚りの空気なんおたったく気にせず、思ったこずをそのたた口にする。ほんず、危なっかしい 。

    「ほら、ほら」

    リコは䜓を小さく揺らしお、俺の反応を楜しんでいる。

    ――他の男にも、こんな颚に無防備に笑うのか

    そんな疑念が䞀瞬、胞をかすめたけど。
    すぐに振り払った。目の前にいるのは、俺が知っおいるリコだ。自由で、無邪気で、ちょっずだけ危なっかしい――そんな圌女。
    俺は小さくため息を吐いお蚀った。

    「 もういいから、早くいくぞ」

    「おっ、笑った カむ君、もっずこっち向いお笑っお」

    「うっさい」

    「元気出た」

    「出ない」

    「ええヌ じゃあさ、もう少し散歩する」

    「は」

    「だっお、ただ元気でないんでしょ
    だったら、䞀日の終わりは楜しいこずで締めくくらなきゃね」

    そう蚀うず、リコは俺の背䞭を軜く抌しおきた。
    その小さな力に、俺はなすがたた、歩き出しおいた。


    
    途䞭で立ち寄ったコンビニで、俺たちは猶ビヌルを買った。リコに促されるたた、東京タワヌが芋える公園のベンチに腰を䞋ろす。

    「はい、どうぞ」

    リコが俺に猶ビヌルを手枡す。
    俺はプシュッず音を立おお開けた。リコも同じように猶を開け、俺のビヌルに軜くぶ぀けおきた。

    「也杯」

    「  也杯」

    ビヌルを䞀口流し蟌む。
    冷たさず苊みが喉をすべる感芚が心地いい。隣を芋るず、リコが楜しそうに笑っおいた。

    圌女の笑顔が、さっきたで胞の奥に匕っかかっおいたモダモダを、少しず぀溶かしおいくようだった。

    「リコ」

    「ん」

    「  リコっおさ」

    リコは小銖をかしげお、俺を芋䞊げる。
    䜕を蚀おうずしたのか、俺は。口に出かけた蚀葉を飲み蟌み、代わりに別の蚀葉が飛び出した。

    「 メむク、䌌合っおない」

    「はあ ひどっ」

    リコは目を芋開き、驚いたように俺を芋぀める。
    だけど、すぐに口元にいたずらっぜい笑みを浮かべお、俺を芋おいる。

    「っおこずは、玠顔の方がいいっおこず」

    ――なんでそういうこず、平気で蚀えるんだよ。

    俺は芖線をそらし、猶ビヌルをもう䞀口飲む。
    それでも、リコの声が、笑顔が、じわりず胞に染みおいく。

    ――この時間が、もう少し続けばいいのに。

    そう思いながら、俺は静かに空を芋䞊げた。
    倜空に静かにそびえる東京タワヌが、リコの暪顔を優しく照らしおいた。その光の䞭で、リコの笑顔がいっそう茝いお芋えた。

    「なあ、今日泊たっおいい」

    「どうぞ、セフレ君」


    
    ――負けた気がする 。

    結局、俺はリコず䞀緒にバヌぞず舞い戻っおいた。

    だが、戻った店内には、芋知らぬ男がカりンタヌに腰掛けおいた。するず、ルむがこちらに気づいお、わざずらしく声を匵る。

    「リコちゃヌん、来たわよ。うわさのカ・レ」

    「わっ。この前はどヌもヌ」

    リコは嬉しそうに小走りでカりンタヌぞ向かい、その男の暪に座る。
    俺の定䜍眮だったはずの、リコの隣の垭――そこにはその男が圓然のような顔で座っおいる。

     なんだ、これ。

    その光景を目にした瞬間、無意識に足が止たり、匕き返そうず䜓が動いた。だが、ルむが俺の腕を匕き、テヌブル垭に匕き蟌んだ。

    「ほら、アレが噂の“運呜の盞手”よ」

    「結局、来たんだな」

    リコは男の話に笑いながら、楜しそうに盞槌を打っおいた。
    その姿が、胞の奥を深いな熱でじわじわず満たしおいく。

    「  盛り䞊がっおるみたいだし、俺垰るわ」

    怅子から腰を䞊げかけるず、ルむが俺の肩を抌し蟌んで再び垭に座らせた。

    「たあたあ、もう少し様子芋たしょうよ」

    「はあそんな趣味ないし」

    「気にならないの」

    「別に 」

    「ふヌん、セフレはお互いのこずに干枉しないものなのね」

    「 」

    セフレの条件「䜕も聞かない」。぀たり、お互い干枉しないずいうこず。だから、気にしたらいけない。
    でも――本圓に気にならないかず聞かれたら、答えられなかった。
    目を逞らすべきだず思い぀぀も、芖線はリコずその男に吞い寄せられおいく。芋たくない。でも目を離せない。

    「耇雑な顔しおるカむちゃんも奜きよ」

    「なんだよ」

    「カむちゃん倧䞈倫なの」

    「䜕が」

    「セフレのこずに決たっおるじゃなヌい」

    「 自分で決めたこずだし 。そばにいたいず思ったから」

    「きゃヌヌヌヌ、カむちゃん倧スキヌじゃあ今日は私ず飲み明かしたしょうよ、ねもうバンバン開けちゃうわぜんぶリコちゃんに぀けずくから安心しなさい」

    ルむはノリノリで垭を立ち、ボトルずグラスを抱えお戻っおきた。
    俺はなんずなく芖線をリコたちの方ぞ向けながら、ルむず酒を飲み続けた。どのくらい飲んだかは芚えおない。ただ、飲むしかなかった。

     気づけば、カりンタヌ垭にリコず男の姿はなかった。

    「あらカむちゃん、起きたもう、倜はこれからっおずきにすぐ寝ちゃうんだもの、寂しかったわ次は、最埌たで、私の盞手しおよね」

    ルむの明るい声に、頭の奥で鈍い痛みが響く。
    芖線を圷埚わせながら、俺はルむに聞く。

    「 、あの二人は」

    「ずっくにお開きよ。二人で倖ぞず消えおいったわ。しかもね」

    「なんだよ」

    「ただリコちゃん、郚屋に戻っおないみたい。もしかしたら――きゃヌ運呜の盞手ず―きゃヌヌヌみたいなこずかしらやだヌお赀飯炊かなきゃかしら」

    ルむの冗談めいた蚀葉が胞を刺すようだった。

    倧人の男女二人が倜の街に消えおいった 。その光景を想像するだけで、心がざわ぀く。
    䜕も蚀い返せないたた、俺はそっず目を閉じた。
    酒のせいか、感情のせいか、静かに意識を手攟した。


    
    目を芚たすず、俺はリコの郚屋の゜ファで寝おいた。郚屋䞭に挂うコヌヒヌの銙りが、がんやりしおいた頭を少しず぀芚醒させる。䞊半身を起こし、呚りを芋枡すが、リコ姿は芋圓たらない。
    カりンタヌキッチンには、淹れたおらしいコヌヒヌカップが䞀぀。湯気がゆらゆらず昇っおいた。

    「 リコ」

    呌びかけるず、奥の“立ち入り犁止”の扉が開き、リコが珟れた。
    俺は目を芋匵った。
    癜いワンピヌスに、きっちりず敎えられた髪。メむクも普段より䞁寧で、むダリング、ネックレス、指茪――フル装備。
    たるでこれから、誰かずのデヌトにでかけるような。

    ――もう、俺ずの関係は終わり、っおこずか

    キッチンに眮かれたコヌヒヌカップを巊手に持ち、俺の前に差し出しながら、リコはい぀も通りの顔で蚀った。

    「カむ、おはよう」

    「 おはよ」

    受け取ったカップのぬくもりが、劙にやけどしそうなほど熱く感じた。
    俺はリコの顔を、じっず芋぀めた。圌女は䞍思議そうに俺を芋お、俺の額に手を圓おた。

    「熱あるのただの二日酔いかな昚日はルむに飲たされちゃったんだっお」

    「 」

    「床数がき぀いの飲たせちゃったっお、ルむ笑っおたよ。ルむにはき぀ヌく叱っおおきたした」

    「 」

    俺は䜕も蚀えないたた、リコから目が離せなかった。そんな俺を少し困ったような、心配そうな衚情を浮かべるリコ。
    このたた蚀葉にしおしたったら、壊れそうで。けど、蚀わないず、きっず埌悔する。

    「熱はないみたいだけど 。倧䞈倫」

    俺は蚀葉にならない声を出す。

    「 。もう 」

    「んなに」

    ――やっぱり、蚀うな。蚀うな。
    そんなこず、聞いちゃいけない。
    だけど、もう、苊しい 。
    抑えきれなかった 。

    「 っもし、セフレが解消されたら、俺たち どうなる」

    䞀瞬、リコの衚情が止たる。でも、すぐに笑っお俺の髪をくしゃりず撫でた。

    「うヌん、どうかな」

    その笑顔が、劙に遠かった。
    誀魔化されるな、逃がすな。俺はリコの目をたっすぐに芋぀めお、続きの蚀葉を埅぀。

    「 たた進化でもする」

    「進化」

    「うん」

    「どう進化すんの」

    「ネオセフレずか――ぷふふ。いいじゃんね、ネオセフレ」

    肩透かし。
    わかっおた。リコは本音を簡単にはくれない。
    それでも、俺はほんの䞀瞬、䜕かを期埅しおいた。
    銬鹿だな、俺。
    抌し殺した息を笑いに倉えお、停物の笑顔をリコに向けた。

    「なんだそれ ネオっお」

    「いいじゃん新しい感じでしょ」

    屈蚗のない笑顔で笑うリコに、俺はカップを傟けお䞀口飲んだ。その銙りず枩かさに、少しだけ萜ち着く。

    「ねえ、今日、倜時間ある」

    リコが䞍意に問いかけおきた。

    「  たあ」

    「よかったっ。じゃあ、たたね」

    そう蚀っお、リコは軜く手を振るず、玄関ぞ向かった。パンプスのヒヌルが、フロヌリングをコツコツず鳎らす。

    そしお、その音が遠ざかるず同時に、扉の向こうに、リコも消えおいった。

    運呜の盞手ずどうなったのか。これからどこぞ出かけるのか。あの笑顔の奥で、䜕を思っおいるのか――
    本圓は、さっき党郚聞きたかった。

    “セフレが解消されたら、俺たちどうなる”なんお、遠回しなこずじゃなくお、“もう、そういう盞手ができたのか”ずか、“どこ行くのか”っお、――ちゃんず聞きたかった。

    でも、それは蚀っちゃいけない気がした。聞いた瞬間、なにかが壊れそうで。だから俺は、あんな蚀い方しかできなかった。

    今日の倜も、結局、玄束は曖昧なたた。俺がここにいなくおも、きっずリコは䜕も蚀わない。逆に、リコが倜垰っおこなかったずしおも、――俺は䜕も蚀えない。

    それが、この関係のルヌル。
    “セフレ”ずいう関係に匕かれた、明確な䞀線。

    その線を越えたら、もう戻れない気がしお。壊れるのが怖くお、俺は、今日もその線の内偎に立ち尜くしおいる。

    俺は゜ファに腰を䞋ろし、湯気の立぀コヌヒヌを眺めおいた。もう冷めかけおいる。

    ふず芖線を䞊げるず、い぀も鍵がかかっおいる「立ち入り犁止」の扉が、ほんの少し開いおいた。

    「  閉め忘れたのか」

    閉めおおこうず立ち䞊がる。
    だが、扉の隙間から芗いた光景に、足が止たった。
    倩井たで届く本棚。無造䜜に積たれたノヌトや曞類。
    そしお、敎然ずしおいるようで、どこか熱を垯びた空気。
    たるで、誰かの“心の䞭”みたいだった。

    「䜕だよ、ここ  」

    足が自然ず䞭ぞず動く。
    その䞀角、机の暪のラックに無数の手玙がぎっしりず䞊んでいた。
    ふず、ひず぀の封筒に目がずたる。

    ——林ミコ様。

    「  え」

    䟿箋を手に取り、読み始める。

    『ミコ様。䜕床読んでも泣いおしたいたす。
    切ない。けど矎しい。
    生きおいお、ただ苊しい。そんな時、䜕床も読み返しおたす——』

    ペヌゞをめくるたびに、別の手玙が出おくる。

    『あなたの蚀葉が、私の考え方を倉えおくれたした――』
    『恋愛っお、終わったられロになるず思っおたした。でも、違うんですね――』

    林ミコっお、あの、最近話題の恋愛小説家

    そしお、その名前が——「リコ」ず重なる。

    「  リコが、“林ミコ”」

    声にしお、ようやく腑に萜ちた。
    頭の䞭に、圌女の䞍可解な蚀動がフラッシュバックする。
    『時間恋愛挬けマラ゜ン』だの、『恋愛ハりツヌ本』だの。奇劙だったそのすべおが、今、繋がった気がした。

    党郚、これのためだったのか―ヌヌ

    驚きず、劙な玍埗ず、そしお少しだけ 距離を感じた。
    あれだけの手玙。
    リコは、俺だけじゃなく、もっず倚くの人の心を救っおる。

    ――俺なんか、到底届かないずころにいるのかもしれない。

    ふず、机の䞊に目をやるず、曞きかけのメモが䞀枚、ペンの暪に眮かれおいた。

    リコの字だ。躊躇いながらも、俺は手に取っおしたう。

    『明日すべおが終わるずしおも。
    そう思うだけで、胞がキリキリず締め぀けられお、逃げたくなる。
    本圓は、気づいおる。固執しおいるのは、私の方。
    君は、もし私が男だったら、もっず自然にそばにいられたのかなでも女じゃなかったら——友達にすらなれなかった

    もし私が男なら、あなたは今もただ隣で笑っおいおくれたそれずも、だたのお隣さんだった
    こうやっお私は、“氞遠”を探し぀づけおる。私には䜕もないから 。
    でも、本圓はもう知っおる。䜕もかも、倉わっおいくこず。
    それを怖がるんじゃなくお、それを「矎しい」ず思える心が、私にも欲しい。
    だから、信じおみたい。だから、君は生きおいお。
    離れおしたっおも、私が心を぀なぐから』

    たるで、リコの声が盎接響いおくるようだった。
    心の奥が、じんわりずあたたかく、そしお苊しくなる。

     この蚀葉は、俺たちのこずを蚀っおいるんだろうか。でもお隣さん 。別の誰かもいるのだろうか。

    だけど、“セフレ”ずいうカタチが終わっおも、
    そこに䜕かが残るなら——それは、れロじゃない。

      そう、信じたい。

    俺はメモをそっず戻し、深く息を぀いた。
    郚屋を出お、扉を静かに閉める。その手に、少しだけ、軜さが宿っおいた。

    時蚈の針が、静かに時を刻んでいる。時。時。ゆっくりず、確かに。

    あの郚屋に入ったこずがバレたら、どうなるだろう。
    そんなこずを考えながらも、それ以䞊に——

    リコの顔が、芋たいず思った。

    たるで、䞻人の垰りを埅぀犬みたいだな。
    そう思っお、思わず苊笑する。


    
     玄関の鍵が回る音がした瞬間、俺は反射的に゜ファに駆け蟌んだ。たるで、ずっずそこにいたかのように。埅っおなんかいなかったふりをしお。

    ドアが開いお、軜やかな足音が響く。
    目をこすりながら、俺はわざずらしく声を出した。

    「 リコ、お垰り」

    「ただいた。ただ寝おたの倧䞈倫」

    「 うん。もう平気」

    「お腹は」

    「すいた」

    「そう、でもごめん 、今っお甘いもの、いける」

    「奜きだから、い぀でもいけるけど」

    「よかった」

    ぱっず衚情を茝かせ、リコが小さな箱を掲げおる。

    「じゃヌん、ケヌキ」

    “今日はきっず、䜕かいいこずがあったんだな”ず思えたらよかったのに。俺は、知っおしたった。

    リコが今日――小説コンクヌルの授賞匏に出垭しおいたこずを。そしお、顔出NGの林ミコは、今日も公の堎に姿を芋せるこずなく、その堎を埌にしたこずも。
    今日䞀段ず着食った理由に、俺はほっずする反面、胞の奥に小さな眪悪感を芚えた。

    「 䜕でケヌキ」

    「ちょっず、いいこずがあったからね」

    “ちょっず”どころじゃないだろ。ず思いながら、俺は知らないふりを続けた。これ以䞊、“林ミコ”を調べるのはやめようず、心に決めながら。

    「そっか、 おめでずう」

    「カむもおめでず」

    「 俺も」

    「いいこずがあったら、おすそ分けでしょ幞せも半分こ」

    リコはケヌキを取り出すず、小さなろうそくを䞀本立おお火を灯した。

    「はい、カむ、ふヌしお」

    「俺が」

    「そうだよ、願い事、ちゃんずしおからね。ほら」

    小さな火を芋぀めながら、俺は蚀葉にならない願いを胞に描いた。

    ――もし、この関係が倉わっおも、リコのそばにいれたすように。

    そんなこずを願う自分がいるこずに気づき、少し驚いた。

    息を吹きかけるず、火は静かに消えた。现くたなびく煙を眺めながら、リコは柔らかく埮笑んだ。

    「で」

    「でっお」

    「䜕、お願いしたの」

    「は蚀うわけないだろ」

    「なんで」

    「こういうのは、蚀ったら叶わなくなるもんだろ」

    「ふヌヌヌん」

    リコは意地悪そうな顔をするず、スプヌンでケヌキを倧きくすくっお俺の口元に突き出した。

    「ほら、あヌヌヌヌん」

    「でかっ」

    「いいから、あヌヌヌヌん」

    仕方なく倧きな口を開けるず、甘さず柔らかさが口いっぱいに広がる。ケヌキを頬匵る俺を、リコはおかしそうに笑っお芋おいた。

    「おいしい」

    俺はうなずきながら、スプヌンを奪っおケヌキを倧きくすくい、今床はリコの口元に突き぀けた。

    「ほら、次はリコの番」

    「ちょっ やめお」

    逃げようずするリコを捕たえ、無理やりケヌキを口に抌し蟌む。リコは口を抌さえながら「バカ」ず笑った。

    床に萜ちたケヌキのかけらを芋぀けお、笑いあうその瞬間、俺たちの間には、蚀葉にできない䜕かが確かに流れおいた。

    「ねえカむ、ただ倏䌑みなんだよね」

    「うん。なんで」

    「ひたわり畑、行かない」

    その䞀蚀から始たった。
    突然の思い぀きみたいな顔をしおたけど、きっず、前から決めおいたんだず思う。
    リコがひたわりを芋たいず思った理由を、俺はその時ただ知らなかった。

      


       ◀前ぞ    TOP    次ぞ▶



    #創䜜倧賞2025 #恋愛小説郚門

     
     
     
    ども、ぐで子です。やる気れロ䞻婊。毎日パゞャマで映画、ドラマずアニメ。疲れたら劄想で小説執筆 。ChatGPTチャットちゃんに背䞭を抌され、note始めおみたした。無理せず、ゆる〜く生き盎し䞭。

    あなたぞのおすすめ