
あなたの"心配"は善意か、支配か【漫画xユル社会学】第12話
#創作大賞2026 #マンガ部門
前回のお話
第一話
本編
Benevolent Sexism(慈悲的性差別)
好意的性差別とも訳されます。
一見優しく好意的、時には褒めているようにも聞こるけれど、その本質は、上下関係を前提にした保護…それが慈悲的性差別です。
2種類の性差別
この概念は、1996年に社会心理学者のピーター・グリックとスーザン・フィスクによって提唱されました。彼らは、性差別には2つの側面があると考えました。
敵意的性差別(Hostile Sexism): 「女は能力が低い」「男は粗暴だ」といった直接的な偏見。
慈悲的性差別(Benevolent Sexism): 「女性は守られるべき存在だ」「男性は強く頼りがいがある」といった、一見ポジティブな表現。
この2つはセットで研究されており、現在ではジェンダー平等を語る上で欠かせない学術用語として世界的に浸透しています。
善意という名の「制限」
慈悲的性差別は、差別と気付かれにくいところに特徴があります。当事者が不快感を自覚しないこともあるうえ、時にはマナーと結びついていることも。
しかし、慈悲的性差別は以下のような問題をはらんでいます。
役割の固定化/上下関係の形成:
「女性はか弱く、守られるべきだ」
→女性は未熟で甘えているというさらなる偏見につながることも。
→「守る側/守られる側」という上下関係を生み、対等な関係性の構築を難しくします。その結果、女性の意思決定が軽視されたり、男性側に過剰な責任や役割が期待されたりするなど、男女双方の自由な選択を制限する要因に。チャンスの剥奪:
「女性には大変な仕事(あるいは出張など)は任せない方がいいだろう」→本人のキャリア形成や成長に機会を奪うことも。
「男性は仕事で輝きたいはず」
→育児参加や子供の成長を見守る機会を奪うことも。
慈悲的性差別は、悪意がない形で表れるため、問題として認識されにくく、理解や是正が難しいという特徴があります。