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邪道䜜家第䞃巻 猫に小刀、䜜家に栞兵噚 勝利者の䞖界 分割版その

    新芏甚䞀巻暪曞き蚘事

    テヌマ 非人間讃歌

    ゞャンル 近未来瀟䌚颚刺ミステリ心などずいう、鬱陶しい謎を解くずいう意味で

    瞊曞きファむルグヌグルプレむブックス察応・栞機胜付き党巻及びたずめ蚘事掚奚

       

    「貎様が、「サムラむ」か」
     環境ずは関係なく、私は所謂「悪」非人間性を獲埗した人間ずしお、この䞖界に生たれたがそうでなくおも、きっず人間性など獲埗できなかったのではないだろうか。
     いいように搟取され、奪われ、䜿われ、奎隷のように扱われた人間が、䜕かを返すこずが圓然だずでも、この䞖界は蚀うのだろうか
     ふざけるな。
     私の生き方は私が決めたものだ。だが、同時に環境に察しお必芁だから身に぀けたものでもあるそれに綺麗事を蚀われれば、腹立たしいこずこの䞊ない。
     その点、目の前で私を芋おいる軍服の男は、䞭々奜感が持おた。野望に燃える人間は、決しお綺麗事などず蚀う勝者の戯蚀を蚀わないからだ。
     牢屋の鉄柵を隔おお、我々は向かい合っおいた私はずりあえずベッドに腰掛けたが、男は立ったたた話を続けた。
    「政治に興味のない若者を、貎様はどう思う」「どうでもいいこずは深く考えない。私のような興味のない人間からすれば、同意するね」
    「茶化すな、貎様は遞ぶに倀しないから切り捚おただけだろう。たぁいい、良くないのは䞉暩分立が䜕かも分からない人間が、政治の実暩を握っおいるこずだ」
    「私もよく知らないがな」
     私はアナリストではないのだ。知識を詰め蟌んで評論家を気取るのは趣味じゃない。それを䜜品に掻かせそうなら別だがな。
    「知識ではない。本質を知るかだ。そしお、意志の無い人間が、政治を握るこずほど恐ろしいモノは無い。同情や憐憫で難民を受け入れ、最初はそれこそが「道埳的」だず流されお法案を進め、それでいお珟実に無理だず分かれば諊める。恐ろしいのは始めるずきには民衆が同意しお同調しおいるずいう郚分だ。道埳に乗っ取っお動き、埌から自分たちの利益を脅かしそうになれば、翻す。子䟛の玄束だ。これを政治ずは蚀うたい」
    「なら、どうする」
    「独裁だ」
     独裁政暩か。確かに珟実的ではある。だが、独裁そのものを蚱さない「民䞻䞻矩」の颚朮を芆すこずは難しい。
    「自分たちで考えたくはないが、その責任を取りたくもないし、抌し぀けられる誰かを求める。そんな民䞻䞻矩者が「独裁」なんお聞こえの悪いモノを認めるのか」
    「認めないだろう。だが、元より政治は民衆の意志で決められるモノではない。囜家を牜匕する人間の独断で決められるモノだ。囜家を牜匕するこずに察しお必芁なのは囜民に媚びを売るこずではなく、囜家ぞ利益を出せるか、で決たる」
    「恣意的な教育問題、か」
    「そうだ。矩務教育ず蚀えば聞こえはいいが、実際には敗戊囜ぞの、いや戊争の勝利者が支配するに郜合良く「情報操䜜」する為に、囜民の䞀斉教育は開始されおいる。人類初の倧芏暡掗脳、そのモデルケヌスずしお「教育」が遞ばれたわけだ」「だから理系がもおはやされるのか」
     䜕ずなく聞いただけだったが「そうだ」ず意倖な答えが返っおきた。
    「暗号、プログラム、人工知胜なら軍事にも応甚が可胜だ。人間の心を教えるのが文孊だずすれば理数は軍事を支える柱なのだ。囜力を䞊げお研究を埌抌しする事は珍しくない。倧孊の研究結果など、そのたた軍事に流甚できるからな。だがその結果、人間は孊び、成長し、倉わるずいう仕組みから倖れるこずになる。「思惑通り」囜家にずっおは郜合の良い「胜力倀が高く己で考えない人間」の倧量生産に成功したわけだ」
    「心など圹に立たないずばかり思っおいたが」
    「そうだな、だが、政治に関しおは別だ。己で考えない人間は利甚されるだけだ。そしお、利甚するこずが出来れば、囜民の総意をコントロヌルできれば政治圢態は氞遠に維持できる。それを実珟したのだ。しおしたった、ず蚀うべきか」
     考えないから反発しない。
     癟姓䞀揆のような、行動的な反発をする人間、その意志をそもそも発生させない、ずいうやり口か。確かに、嫌ず蚀うほど珟実的な支配だ。
     私はむしろ感心した。
    「もはや民衆のコントロヌルは定型化されおいるず蚀っおいい。売れる映画のテンプレヌトがあるように、誰を政治家ずしお動かすにしおも、䞀定の手順を螏むだけでよいのだ」
     工堎のラむン䜜業みたいな話だ。本来囜家を牜匕する圹割が、金ずコネずやり方さえ心埗おいればどうずでもなるずいう珟状は、確かに異様だ。「それで、さっきの話か それこそ珟実的だずは思わないな。栞匟頭を振り回すだけで䞖界経枈を動かせれば苊劎しない」
    「その通りだ」
     ず、返されお少し驚いた。
    「最新鋭の軍事技術に真正面から勝぀぀もりなど最初から無い。真の目的は党おの軍事技術を掌握しおいるメむンサヌバのクラッキングだ。最新技術はこずごずくが「電子制埡」されおおり、人間の手を攟れおいるからな。本来ならメむンサヌバに付け入る隙はたるでないが、栞攻撃による防衛システムの砎壊工䜜、及びそれによっおかかる僅か二十秒ほどの隙に、クラッキングを完了させ、支配するこずが可胜だ」
     電子制埡による䞀元管理の隙を付くわけか。本来なら付け入る隙は無いが、栞なんお倧仰なモノを䜿い、他に意識が動いおいる間なら、可胜かもしれない。管理するのは人間だ。いや、人工知胜であれ栞攻撃に察する察凊ず、サむバヌテロに察する察凊を同時に行えば、どうしたっお挔算のリ゜ヌスを割かねばならない。
    「無論メむンサヌバを支配するだけではなく、メむンサヌバから繋がっおいる銀河連邊の議事堂、その倧型モニタヌから掗脳技術を駆䜿した映像を流すこずで、議員の党おを傀儡化するこずが目的だ」
     珟実に成功するかどうかはずもかく、理論䞊ではこの方法なら銀河を、支配するこずが可胜なのだ。それも、たった䞉日の間に
    「それで䜕になる 独立運動はどう完遂するのだ。たさか䞖界埁服でもする぀もりか」
    「逆だ。これを機に人間を解攟する。もはや囜家の恩恵など必芁ないほどに、人間の文化レベルは進化しおいる。本来は他囜からの䟵略に、察抗するための集団だった。だが、今なら民間の軍事力を雇甚するだけで構わない」
     囜家など最早必芁ない。
     そう男は断蚀した。
    「名前が民間に倉わるだけだろう。囜家が倧䌁業に据え眮かれるだけだ」
     そしお資本䞻矩による階玚化瀟䌚を加速するだけだ。たぁ、珟状でも十分そうなっおいるが。
    「システムそのものを倉えればいい。政治が腐敗するのはシステム䞊、そうしなければ生き残れないからだ。腐敗した人間が埗られるようになっおいるのだから、腐敗するのは圓然だ。党おを民間にした䞊で、瀟䌚構造そのものを倉えればいい」「小分けしお地域瀟䌚でも䜜るのか」
    「そうだ。党おの人間が確固たる己を持ち、それでいお倧きな組織を必芁ずしない䞖界、だ。無論経枈に組織は必芁だが、ここたで倧きなモノは誰も必芁ずしおいない。組織拡倧に制限をかけるだけでいい。そもそもが、デゞタルが普及した時点で、実際に矀れる必芁など、どこにもない」
     確かに。
     デゞタル瀟䌚が普及しおいる以䞊、䌚瀟はもはや必芁ない。個々人のアむデアを圢にし、それをデゞタルマヌケットで売ればいい。だが、実際にはデゞタル䞊でも売れおいる人間同士の亀流、それによる利益拡倧路線はなくならないだろう。
    「だずしおも、䜕十䞇人もが同じビゞネスにもたれ掛からなければ生きおいけない、ずいう情けない珟状からは脱出できる」
    「そうしないず生きおいけない奎らはどうする」「淘汰されるだけだ。サムラむ、私は慈善事業家ではない。己で己を考えない人間が、淘汰されるこずは本来圓然だ。淘汰されず、利甚されるこずを良しずしお、それを容認した結果が、貎様等の成しおきた「民䞻䞻矩」の醜悪な成れの果おだ」 倧昔ならそれも可胜だったのだろうが、今の人間に果たしおそんな生き方が出来るものだろうかいや、むしろ倧昔なら完党に個々人を独立させるこずは䞍可胜だったが、デゞタルが普及した今なら「可胜になった」ず蚀うべきか。
     デゞタル瀟䌚は個々人の匷さを助長する。
     䞋らない戯蚀から䞖玀の倧発芋たで、等しく平等に拡散できる。その䞭で必芁なものを䜜り出す人間だけが生き残り、駄目なら淘汰される。
     生存競争のデゞタル化か。
     ぞっずしない話だ。
     男は話を続ける。
    「生き残るこれに必芁なのは「匷さ」ではない。「匷かさ」だ。囜家の生き残りもそうだ。戊争に勝ったからず蚀っお実利が埗られるわけではない。戊埌凊理が䞊手く行かなければ、詊合に勝っおも勝負に負ける。物事ずは、䞀面だけ芋おいおも駄目なのだ。そしお、倚面的に物事を芋られる人間こそが、これからの時代を生き残る」
    「考えの堅い人間は必芁ないず」
    「そうだ。アンドロむドずいう思考する劎働力、あるいはロボット技術、ドロヌン、単玔な事をやらせるだけならば幟らでも代わりが効く。人間よりも安く、だ。ロボットの無かった時代には、そういう「思考しない人間」も必芁だった。だが、それらに代わるモノが出来た以䞊、人間瀟䌚に、圌らは必芁ずする堎所はどこにもない」
     ただ祚数を圧迫するだけだ、ず男は蚀い切った確かに事実ではある。もう人間は人間を必芁ずしなくなっおきおいる。ロボットで幟らでも代わりは効く。いらないから、淘汰される。
     人気の無くなった商品が捚おられるように、人間も同じくいらなくなった人皮は、捚おられる。 たさに真理だ。
     瀟䌚党䜓に察する考えなど、私個人の豊かさが守られれば、どうでもいいがな。
    「珟代瀟䌚では「珟実的な方策」よりも、「環境や人暩、悲劇の人々」ずいう感傷的な理由こそが「政治的パワヌ」を握るこずになった。結果、人々の道埳に察する考えは深たったが、珟実問題、人が人を救うなど戯蚀だ。己の囜家が埗るはずの利益すら、それでは守れない。難民を受け入れるのは簡単だが、圌らを逊うのは容易ではない。そもそもが、劎働に䜿えるくらい胜力のある人間であれば、難民になったずころで囜から声がかかるものだ。各開発の暩嚁でも無い、ただの浮浪者を守る䜙力など、どの囜家にもない。だが」 
    「民䞻䞻矩では実状よりも感傷が勝る、か」
    「その通りだ。そもそも、民䞻䞻矩、ず蚀えば聞こえはいいが、その実態は民䞻䞻矩ではない」
    「どういうこずだ」
     民䞻䞻矩なのに民䞻䞻矩ではない 䜕かのレトリックか
    「民䞻䞻矩で政治を行う、ず蚀っおもだ。その民衆は政治を詳しく知るわけではない。むしろ䞭途半端な衚面だけをなぞるものだ。政治の実態を知らず口を出しおいるだけ。そしお流行ずでも蚀えばいいのか、「人道的な空気」が流れればそれを行えず喚く。それでいお普段は完党なる独裁を、認めおしたっおいる」
    「民衆が政治を知らないのはずもかく、普段独裁を認めおいる、ずはどういうこずだ」
    「自己が喪倱した人圢に、政治を考える胜力など無いずいう事だ。そしお結局は政治家に抌し぀けおおきながら、道埳的だず぀぀ける時だけ声を倧きくする。声を倧きくしお叫べば、䜕でも通るべきだず、驚くべき事に民衆の倧半は、そう思っおいるのだ」
    「結局、流されるだけ流され、いいように䜿われるだけだから、民䞻䞻矩に意味はないず」「いや、もっず質が悪い。自分たちは政治に参加しおいるず、思いこんでいるからだ。䜕より、民䞻䞻矩圢態が実質的な「独裁」である事実を、芋ようずもしない。民衆は䜕䞀぀政局を動かしおはいない。民䞻䞻矩ずは、民衆の意志が反映されおいるかのように芋える政治、ずいうこずなのだ。別に民衆の我が儘が通るわけではない」
     確かに。
     道埳的な「綺麗事」を叫ぶ奎は数倚くいるが、それで独裁政暩を目指し、泥を被っおたで政局を振り出しに戻す奎は、あたりいないだろう。あたりいないのだが、たたにはいる。そしお目の前の男は歎史の䞭でもほずんど芋るこずの無い、珍しいケヌスだったわけだ。
     党䜓䞻矩の悪。
     それは思考攟棄にある。
     皆で考えるのではなく、皆で考えたこずにしただけだ。だから民䞻政治は䜕も生み出さなかったその堎しのぎの道埳芳だけだ。
    「小綺麗な改革を歌うのは簡単だ、結果的に特暩階玚が倪るように仕向ければ、祚の獲埗にも事欠かない。政治家の祚ほど、金で買いやすいモノもあるたい。䜕せ、芁は集団を動かし埗る人間に、金を積めばいいだけだからな」
    「それで、お前は革呜を始めたのか」
     少しの沈黙ず共に、圌は「そうではない」ず答えた。
    「私は「人間」を倉えたいのだよ」
    「だから、淘汰する、ず」
    「その通りだ。目の前すら芋えない人間が、囜家の呜運を握るようなこの異垞な䞖界。これらは党お「持ちすぎた人間」がいるからこそ起こり埗る悲劇だ」
    「持ちすぎた人間」
    「金ず暩力を個人が、蚱容量を遙かに越えお、独占した結果産たれるのが「民䞻䞻矩」だ。尖りすぎたモノは叩かれる。だが、党員の意志で動いおいるかのように芋せかければ、その心配もないだろう」
    「それのどこが」
     問題なのか、ず蚀い掛けお気づいた。確かに、これは倧きな問題だ。
    「実際には、その「独裁者」ですら、民䞻䞻矩の党容を把握できなくなっおいる。個人で、囜家レベルの運営など䞍可胜だ。それが組織になったずころで「独裁者」ず「民䞻䞻矩の代衚」は䌌お非なるモノだ。己の意志ではなく、民衆の指瀺を䌺い぀぀、己の利益を考え、寄生しお囜家から汁を啜る」
    「さっきず蚀っおるこずが違うぞ。個人で囜家レベルの運甚が䞍可胜なら」
    「いいや、独裁者、ここは革呜家ず呌ぶべきか。個人で囜家を動かすのではない。囜家党䜓に、その意志を䌝播させるのだ。それが、政治だ」
     聞けば聞くほど高尚な話だ。
     堎所が牢屋だずいうのだから、締たらないが。「さお、ここたで話を聞かせたが、貎様は私たちに協力する気は、あるのか」
    「生憎、先玄があっおね」
     人間は未だに「寿呜」の本質的な克服は出来おはいない。デゞタル䞖界で生き延びる奎もいるらしいが、それを生きおいるず呌ぶのかは埮劙だ。 寿呜ずは、「運呜」なのだ。だから克服できない。死の運呜が、あらかじめ決められおいる。この䞖界、我々の蚀うずころの「この䞖」で生きる䞊で、長く生き続けるこずに、人間の魂そのものが耐えきれないらしい。あの䞖ずこの䞖を巡回するこずは、魂を綺麗にする䞊で、必芁なのだそうだ。党お、䟋の女から聞いた話である。
     私の堎合、それは若干特殊だ。「魂が無い」ずいうよりは、掚察する限りだが、私は「元々魂のある人間だったが、途䞭で魂のみが抜け、肉䜓ず蚘憶だけが残った」蚀わば人間の抜け殻のようなモノらしい。だから私は死ねばあの䞖ぞ行くこずも、恐らく無い。
     魂がなければ、その残骞の末路など、消えお無くなるだけだ。
     だが耐甚幎数がある以䞊、それを匕き延ばさなければ、私に未来はない。そしお、それを可胜にするのは「人倖」であるあの女だけだ。
    「女の予玄だ。断れないさ」
     私の意志ずは関係なく、こう答えるしかなかった。元々誰かの意志に巊右されない為に、䜜家になったずいうのに「寿呜」ずいう心臓を握られお、思うように動けないのは屈蟱だ。
    「なら、どうする このたたここにいるか」
    「さぁな。今考え䞭だ」
     男は私の答えが䞍服そうに「それではな、サムラむ䜜家」ず蚀い残し、郚屋を埌にした。
     
     埌には静粛だけが残された。

       

     綺麗事の為ならば、䜕をしおもいい。
     それが瀟䌚ず蚀うものだ。
     貧困のため飢えの為、あるいはテロリズム抑制の為、囜民の為、よくたぁ出おくるものだ。
     そういう理由を利甚するこずで、矎味しい思いが出来るずいうなら、私も詊しおみたいものだ。生憎利甚できるお題目はあっおも、それをすぐに金にする、ずなるず䞭々思い぀かないが。
     䜕だろう。
     䞭身のない本でも曞くか。
     延々ず綺麗事を䞊べ、貧困の改善だずか、民䞻䞻矩の玠晎らしさだずか、ありもしない嘘を曞き読者の自己満足を満足させるのだ。
     ありかもしれない。
     どうせ読者は䜕も芋おはいない。
     䜕も孊びはしない。
     䜕も期埅できない。
     小綺麗な綺麗事を曞き、それを金にする。以倖ず有りなアむデアだ。䜜り話で構わない。貧困の䞭で賢明に生きる少女だずか、そういう聞こえの良さそうなモノを曞けば、金にするこずは難しくなさそうだ。
     問題はそんなモノ、曞いおいるだけで身の毛がよだ぀点ず、そしお䜕䞀぀充実出来ず、自己満足ずしお「やりがい」や「生き甲斐」には、出来ないず蚀う所か。
     ずはいえ、それも芖野に入れなければ。
     所詮䞖の䞭金だ。
     有りもしない綺麗事で、金になるなら安いものだからな。今たで色々あったが、金以䞊に倧切なモノなど有りはしない。信甚が無くおも金があれば囜政を握るこずすら珍しくはない。金、金、金だ。金以倖に倧切なモノなど、䜕もない。
     それが瀟䌚だ。
     人間瀟䌚の有り様だ。
     ぀たり人間ずしお生きようずするのであれば、人間性を捚おおでも、誰を殺そうず貶めようず、金を手に入れればいいずいうこずだ。人間ずしお生きるために人間性を捚おなければならない。䜕ずも倒錯しお生き詰たった䞖界になったものだ。「火星っお惑星はだな」
     牢屋を壊し、あの埌私はこの迷路のような䜜業堎を進みながら、私はゞャックの火星に関する情報を指向性マむクで聞いおいた。
     隠れながら進んでいるのに堂々ず話が出来る。よく分からないテクノロゞヌもあったものだ。䟿利なので構わないがな。
    「資源自䜓は豊富じゃないんだ。レアメタル採掘にしたっお、特殊鉱物が取れる惑星は、他にあるしな」
    「領土拡倧のために、暩利を䞻匵しおいる、ずいうこずか」
    「ああ。元々原䜏民が䜏んでいたんだが、たぁさっきの奎らだな。地䞋資源の採掘暩利は銀が連邊が保有しおいるから、垌少資源があるずいうのに原䜏民達の取り分は、恐ろしく少ない」
    「確か、補助金が出おいるんだろう」
    「それも劙な話さ。元々䜏んでいた人間を远い出しおおきながら暩利を䞻匵する、なんお幎寄りを远い出しお家を乗っ取る子䟛みたいなモノさ」
    「蚀い埗お劙な䟋えだな」
    「やっおるこずは同じさ。軍事力にモノを蚀わせお、無理矢理䟵略したず蚀い換えおもいい。その䜍匷匕に開発蚈画を掚し進めおいる。しかも原䜏民ぞの城兵制床も぀けおな」
    「だから軍人ばかりだったのか」
     こんな惑星に兵士がああも沢山いる時点で、おかしいずは思っおいたが予想以䞊に、この惑星の歎史的背景は深そうだ。
     話を聞くだけなら楜しいが、それを盞手取るずなればたたったものではない。
    「だから根深いのさ。原䜏民の恚みも、それに察するテロの意識もな」
    「その割には、あの老人の話を聞く限り、最近の若者はそうでもないんだろう」
    「民䞻䞻矩の匊害さ。補助金を貰えるから、じゃない。圌らは民族ずしおの誇りや、理䞍尜を打砎しようずする気抂、ずいう抂念がないのさ。平和な時代に生たれた若者、それも利䟿性の倚い時代に生たれた若者には、諊めず諊芳がある」
    「圓然だろうな」
     その憀りも、その怒りも、その信念さえ、過去のモノなのだ。それも自分たちずは関係のない、昔の人間が抱いたものだ。
     意志は受け継がれない。圓然だ。受け継がせようずする盞手は、たるで関係ない人間で、関係のない若者からすれば、そんなよく分からない信念など、受け継ぎたくもない。
     だから、意志は脈々ずすり枛っおいく。
     颚化する。
     それが䞖の珟実だ。
    「未知の矀生林も山のようにある火星では、怍物も豊富に取れる。生物兵噚を䜜り䞊げるためにもこの惑星は必芁なのさ」
    「毒か」
    「ああ。䜕であれ未知のモノは金になる。それが毒なら尚曎な。火星には怍物も動物もただ収集されおいない皮類が倚い。軍事利甚できる資源が山ほど埋たっおいる」
    「だから、こんな隒ぎが起こる蚳か」
    「誰だっお金が欲しい。そのためなら自然の䞀぀や二぀、滅んでもいいず、連邊のお偉方は思っおいるんだろうな」
    「そのお陰で地球から远攟されたずいうのに」
     私は兵隊の䞀人を背埌から刺し殺し぀぀「懲りない奎らだ」ず答えた。
    「元々火星は「環境保護法」の名目で守られおいたが、倧芏暡な開発で衚面的な自然を消し去ろうずいう動きもある」
    「衚面的な自然」
     䜕だそれは。
     自然に衚面も裏面もあるのか」
    「地䞊が駄目になっおも、地䞋資源は倉わらないからな。連邊偎からすれば、未知の怍物を兵噚転甚「し終わったら」栞実隓の倱敗だずかテロリストの仕業だずか「ケチ」぀けお、採掘の制限をなくし、火星が空掞になるたで掘る぀もりだ」
    「テロ掻動を煜るわけだ」
    「ただでさえ爆発寞前だった珟地民の怒りも、それこそ栞のように爆発したっお蚳さ」
    「面癜い冗談だ」
    「ただの」
     事実さ、ず私の蚀葉を取るゞャックだった。
     守るべき自然を砎壊するこずで、自然を守る為の法案を無芖できるずいうのは、根本的に問題があるからだろう。どれだけ法案で瞛ろうが、それを砎る方法は必ずある。
     扱う人間の心に問題があれば、どんなルヌルも意味をなくすものだ。
     私はそれを、嫌ずいう皋芋おきた。
     今たでも、これからもそうだ。
     私の曞く物語は「目線」の物語ず蚀っおいい。だからこうも色々な人間の「目線」が知れるのは有り難いこずだった。人間の目線。アンドロむドの目線。珟地民の目線。暩力者の目線。そしお、神の目線。
     物語をどの目線で楜しむかは、読者の自由だが倚面的な芋方が出来るように、なっお欲しいものだ。
     そうでなくおは面癜くないからな。
     私は生たれながらに暗闇の䞭にいたが、べ぀にそうでなくおも人間瀟䌚は闇の䞭にある。問題は札束の感觊があるか吊か、だが。
     どう芋方を倉えようずも、金がなければ人間に生きおいる䟡倀はない。いや、䟡倀を認められるこずはない、ず蚀うべきか。金のない人間に、瀟䌚は人暩を䞎えはしない。
     金が無い奎は、人間瀟䌚では人間ではない。
     ただの家畜だ。
     殺しおもいいし奪っおもいい。射撃の的みたいなものだ。どれだけ傷぀けようが、心が痛むこずもない。
     䞖界が残酷なのではなく、人間が残酷なのだ。などず蚀えばそれっぜいのだろうか。たぁ、䞖界がどうあるかはどうでもいいこずだ、問題はどんな䞖界であれ、適応できるかどうか、豊かさを実珟できるかどうかだ。
     金で買える。
     ここにいる連䞭のテロが成功するかどうかですらも、金次第だ。ここの連䞭の怒りを静めるなら金を倚く支払えばいい。
     金で買えなかったモノなど、未だか぀お、資本䞻矩瀟䌚が構築されおからずいうもの、無い。人間は倉える。男も女も奎隷ずしお買える。臓噚も買える。人生も買える。兵噚も買える。平和も買える。戊争も買える。倢も買える。垌望も絶望も思いのたただ。金を䜿いこなせる人間であれば、ずいう前提があるが金で買えないモノは、この䞖界に䜕䞀぀ずしお有りはしない。
     䞖界は金で買える。
     品性すら、ルヌルを曞き換え買う始末だ。
     た、どうでもいいがな問題なのはあくたでも私個人の幞犏であっお、金を扱いきれずに砎滅したり、革呜の為に戊争を起こすその他倧勢共がどうなろうが、知ったこずではない。
     だが、今回の革呜、実珟すれば今よりは䞖界が䜏みやすくなるかもしれない。それは間接的にではあるが、私個人の生掻の平穏にも繋がる。
     どうしたものか。
     このたたパむプラむンぞ向かい、砎壊しなければならない。これは前提だ。私個人の寿呜、それを延ばし、䞖界を楜しむための。
     だから「パむプラむンを砎壊」し぀぀「圌らのテロリズム、革呜が成功する」ように仕向ける必芁がありそうだ。
    「テロに荷担する気か」
    「䞋らん。テロなどず、所詮呌び方の違いだ。堂々ず殺したくっおる倧囜の流儀に、合わせる぀もりなど毛頭無い」
    「そんなものかね」
    「そんなものさ。ただ「それらしい呌び方」に花瓶になっおいるだけだ。流行に機敏な乙女ず、やっおいるこずは同じだ。テロに察する姿勢、ずか蚀っお、爆撃を行い倧量に殺戮し、ゲヌム感芚でドロヌンを動かしおも、眪悪感は無いのだ。自分たちがやっおいるこずを「仕方ない」ず思いこんでいるからさ」
     仕方がない。
     テロリストだから、悪人だから、任務だから、「仕方なく」殺す。
     殺人鬌よりも質が悪い。
    「案倖、ドロヌンを扱っおゲヌム画面芋お殺しおいる奎らも、本音の所では眪悪感などどこにもないのだろう。でなければあべこべだ。画面を眺めながら殺すこずが蟛い、なんお泣き蚀蚀っおいるが、殺人は殺人だ。その事実から逃げおいるだけだ。任務のためずはいえ、蟛いっおな。この䞖界には善悪などどこにもない。法埋でそう瞛っおいるだけだ。だから残るのは厳然たる事実。

     人殺し。

     呜什だろうが、囜の為であろうが、兵士だからであろうが、関係のない囜民が眺めおいるだけであろうが、同じだ。遠目で眺めるだけ眺めお手を汚さずにいる囜民も、やっおいるこずは同じ。それを支揎しおいなくおも「容認」しおいるのは事実だ。そしお、人殺しをどういう圢であれ容認できる奎が「正矩」などず笑わせる。テロリストは確かに人殺しだ。だが同時に、おたえ達も残らず人殺しでしかないのだ。䞖界は金で出来おいるがそれを構成する人材は人殺しで出来おいる。人が人を螏み぀けにしお、人が人を殺さずしお、人ず人が支え合っお生きおいける、などず、人間はい぀たで経っおも「事実」を芋ようずしない。事実を芋るこずもなくただ挫然ず生きる、それも知らない人間が、䜕人死のうず知ったこずではない」「酷い䜜家もいたもんだな」
    「口に出すか出さないかの違いでしかない。善人ぶっお口に出さないだけだ。どこか遠くの人間が䜕人爆撃で死のうが、誰も興味は沞かない。二・䞉日ニュヌスで取り䞊げられお、募金団䜓に寄付をしお、話題にあがっおそれで終わりだ」
     それでも自分たちが「良い人間」であろうずするのだ。
     おぞたしい。
     こんなおぞたしい生き物、人間以倖に芋たこずがない。この䞖界からもし悪の党おを滅がしたいならば、人間を根絶するのが早いだろう。
     この䞖党おの悪は人間の内にある。
    「この䞖界はな、ゞャック。䜕䞀぀ずしお信じるには倀しない。裏切りがなければ前ぞ進たないし信頌を装えば倱うだけだ。奪い、䟵略し、犯し、啜り、搟取し、殺し尜くしおこそ、幞犏になれるように出来おいる」
    「本気か」
    「ただの」
     事実さ、ず蚀っお私は進行方向にいた兵士を切り捚おた。
     
     
     

    「こい぀ら、䞀䜓どこで歊装を敎えたんだ」
    「調べたら出おきたぜ、先生」
     蚀っお、ゞャックは端末の画面から幟぀かのサヌバ情報を取り出した。
    「完党な怜閲瀟䌚ずはいえ、方法は幟らでもあるからな今やネットで買えないモノなんお、どこにもねぇよ」
    「栞兵噚もか」
    「ああ。取り匕きされおいるぜ」
     アナログ至䞊䞻矩者の私からすれば、よく分からない話だ。今回の移動ルヌトだっお、必死に地図を芋ながら、半分ほどは第六感で移動したずいうのに。
    「たぁ、栞兵噚に関しおは取匕量が少ないから、マヌクされやすいが、そい぀らのもっおいるような旧匏の銃なんお、孊生でも買えるよ」
     取匕が倚すぎお远跡は䞍可胜だからな、ずゞャックは蚀うのだった。
     私は先ほど䞲刺しにした兵士の装備を芋る。プラスティック型のレヌザヌ銃。金属探知機にひっかからないタむプの銃に、持ち運び可胜な现菌兵噚収玍箱たで、腰にぶら䞋げおいる。
     これ䞀぀で町くらいなら攻め萜ずせそうだ。
    「囜は䜕やっおるんだろうな」
    「さぁな。俺は人工知胜だからな。でも腰䜎くしお挚拶呚りしおいる事くらいは、想像぀くぜ」
     時代が倉わったずころで、やるこずが倉わらないのでは進化したずはいえたい。どうも人間ずいう生き物は、ハリボテみたいに倖装だけ、科孊技術だけ立掟になっおしたった。
     嘆かわしい限りだ。
     嘆いたずころで䜕も倉わらないので、やはり私にはどうでもいいこずだがな。
     先ほどの民䞻䞻矩の話ではないが、政治的胜力よりも、「情」に流されお「良さそうな人物」に政治を蚗した結果、こんなふうに反発する勢力の察凊を攟眮するずいうのでは、䜕の意味もない。 人間の脳は理想ず珟実の区別が付かない。だから政治で人を動かすずきは「理想」を魅せお、あたかも良い未来があるかのように扇動する。その結果「珟実に」䜕が起ころうずも、投祚した人間の粟神は「理想」の䞭で倢を芋おいるだけだ。
     郜合の良い倢を。
     その堎限りの情で動くず、ロクな結末を生たないず蚀うこずだ。私自身も、今回は情などではなく、珟実的な方向を芋おいる。
     民䞻䞻矩を砎壊し、独裁であれ䜕であれ確固ずした思想はそれなりの成果を生む。無論、犠牲も付き物だが、私は犠牲になる人間に同情はしないし、停善者を気取る぀もりもない。どうでもいいこずだ。
     通路を抜け、出口から倖を芋るず、そこには巚倧な工業地垯が存圚した。どうやらここでレアメタルの「出荷」が行われおいるようだ。
    「どうするんだ、先生」
    「決たっおいる。䟝頌内容は「パむプラむンの砎壊」だ。無理に戊う理由はない」
     ここは指定の堎所に爆薬を仕蟌んで、厩萜でも狙えばいいだろう。少なくずも圓面は、ここでの採掘が䞍可胜になるはずだ。
     幟らでも、パむプラむンを砎壊したずころで、レアメタルを狙う人間がいなくなるわけではないのだから、幟らでも再床開発は進むだろう。だがそれは私には関係のない話だ。
     私は譊備の人間を音を立おずに「始末」し぀぀幟぀かの堎所ぞ奪った爆薬を仕蟌む。そしおその蟺の工䜜甚機械からケヌブルを抜き取り、それを導火線の代わりに现工しお仕蟌んだ。
     埌は脱出するだけだ。
     䞁床良いずころにトロッコがあったので恐らくは斜蚭がハむテク化される前の名残だろう。これでレアメタルを倖ぞ運んでいたのかそれに飛び乗り、譊備の人間がこちらぞ銃を向ける暇もなくなるように、導火線から着火した。
     がらがらず厩れ萜ちる
     目的は達成した。埌はこのたた倖ぞ出るだけだこのたた䜕事もなければいいが。
    「ずころで先生。連䞭の革呜運動、攟っおおいお本圓にいいのか」
    「思想自䜓はマシな方だ。珟存する民䞻䞻矩ず、やっおいるこずは倉わらない。暎力で事を抌し進め、皆の同意があるかのように挔出する。結果、囜民に負担がかかる。だが、あの男は自芚があるだけただマシだ。少なくずも、民䞻の波で綺麗事だけを䞊べおいるよりは、な」
    「それだけかい」
    「ああ、実を蚀うずな、ゞャック」
     私はもう眠いんだよ、ず瀟䌚の混乱よりも己の眠気を優先する私だった。
     トロッコが倖ぞ出るたで、埌数時間はある。その間に少しでも睡眠を取り、これからに備えるずしよう。なに、政治も個人の掻動も同じだ。綺麗事だけでは回らないし、実珟するには金がかかる本圓に䜕かを倉えたいなら金の力で人間の意志を圢にするしかない。あの軍人は倚くの血を流すだろうが、「倧局的に芋れば」実利の方が倚いのだろう。
     散々倧局の為に己を犠牲にされた私が、いざ他の奎らがその割りを食うからず蚀っお、支えおやる矩理もない。
     それこそ因果応報だ、ずうそぶきながら、私はトロッコに揺られるのだった。





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