
時空を超えて‥‥小説(世流寝狐76)
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父親の隣で同じように頭を垂れた女性がいた。合志よりだいぶ年上に見える。たぶん三井の実姉だろう。髪を後ろに束ねていて、白いハンカチを両手でしっかりと握っていた。それは会葬者にこれ以上見苦しい姿を見せまいと、必死に耐えているように見えた。通夜から泣き続けだったに違いない。
僧侶の読経が終わり、出棺となった。合志と良子は外へ出て庭先で待った。その間良子は何度も目頭をハンカチで拭う。最後の別れをどうぞと僧侶に勧められたが、合志は思い出を三井の笑顔だけにしておきたかったため遠慮した。
家の中から女性や子供の泣き声が聞こえてくる。途中怒鳴るように父親が息子の名を何度か呼ぶ。合志はその間晴れ渡った空をずっと見上げていた。
誰が殺したんだ――。三井が何を知っていたというんだ。犯人は何故、久保岡の時と同じように猫を使ったのか。あれが無ければ自分は、毒猫事件と今回の三井の事件と結びつけて考えたりはしなかったかも知れない。殺された久保岡と三井とを繋ぐ人物が必ず存在する。その人物が澄ました顔をして、自分と同じ空気を吸っているのだ。
棺が遺族らによって霊柩車に乗せられた。後から位牌を持った父親が俯いて歩く。既にその顔には悔やむ様子も悲しみも無く、無表情であった。もしかすると父の魂も三井と一緒に、車に運び込まれたのかも知れない。
遺族らがそれぞれ後続の車に乗り込む。霊柩車が走り出した時、合志たちに後続の車から声が掛かった。先ほど言づけを伝えに来た世話役だった。
「合志さん、どうぞこちらへ」
同乗を促され、合志と良子は乗り込んだ。すべての車が通った後、木々や看板から、ドサリと雪が落ちた。
5
火葬場へ着き、休憩所で待っていた二人に、一通り挨拶を終えた父が近づいて来た。
「この度は・・・」
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*週末に少しずつ投稿する予定です。作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
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