
時空を超えて‥‥小説(世流寝狐77)
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合志と良子が立ち上がり、父親の心中を思いやった。
「遠い所からありがとうございます。一樹の父でございます」
父親は頭を深々と下げた。焼香の時よりだいぶ落ち着いていた。どうぞ、と二人を促し自分も畳敷きの長椅子に腰掛けた。
「合志さんのことはよく一樹から聞いております。大変お世話になったと。この前もこちらへ帰って来た時にそう言っておりました」
「この前? ――ですか」
「はい、色々と私どものことで相談に乗って頂いたとか」
「いつのことですか、こちらへ帰って来たのは」
合志が訊ねる。
「珍しく休みを貰ったとか言って祝日の日に帰って来て、十一日ですよ。それから二日ほど居ましたけど。いや実は火葬までお引き止めしたのはその時のことでして」
「何かあったんでしょうか」
「警察では一樹が女のことで悩んで自殺したんじゃないかと、一度家にも大津署の人が聴きに来たりしましたが、自殺なんかじゃないんですよ。一樹がこっちへ帰ると言った時、私は初め、あのもうご存じでしょ、あつ子さんと別れたショックを癒しに来るのだろうと考えて待っておりました。しかしそのことは一言私に告げたくらいで、いつもの一樹と何も変わっていませんでした。そりゃ内心は辛かったでしょうけど、死ぬなんてそんなこと絶対にあり得ません。あつ子さんのことは、ある程度心の中で整理をつけていたようでした。あの子は本当に親孝行な息子でしたから、自分から先に逝くなんて……」
父親は涙声になった。良子がハンカチを差し出すと、礼を言い目頭をそれで押さえながらまた話を続けた。
「そのことは警察の方へもハッキリとお話したんですが、ただ今考えると一つだけ気になることを思い出したんです」
「三井に何か」
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*週末に少しずつ投稿する予定です。作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
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