
時空を超えて‥‥小説(世流寝狐73)
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「良子の勘に賭けたのさ。女性は第六感が鋭いんだろ。三井の事件と毒猫の事件には、それが必要な気がしたんだ。少しは役立ってくれよ」
合志は良子のグラスにビールを注ぐ。良子がそれだけという顔をしたので、合志もそれだけという顔を返した。
二人にテレビの声が飛び込んでくる。夜九時のニュースだ。三重町の誘拐事件だった。丁度これ食べてと、良子が焼き魚を差し出した時だった。見入ると犯人が再び身代金を要求してきたことを伝えていた。
身代金を要求したのが夕方四時頃。今度は大分県警に電話が入り、金の受渡し場所は城島高原だった。画面は、先月末の事件発生からこれまでの経緯を改めて映し出した後、いまだ幼児は発見されていないことを、キャスターが苦渋の顔で伝えた。
合志は、途中別府署の捜査状況が報じられると厭な気分を味わう。
「可哀相だけど、もう生きてる可能性はゼロね、きっと」
良子が言う。合志も言葉には出さなかったが、同感だった。こういうケースで無事に保護された例は少ない。
「普通じゃないわね。一週間ぐらいでまた金を奪おうなんて」
「やっぱり警察への挑戦だ」
合志はニュースを見ながら係長のことを考えていた。城島での逮捕となれば、充分に署も貢献できるはずだと考えていた。前回の失態を帳消しにはできないが、少しでも汚名返上ができることを願っていた。
食後良子は部屋に戻っていく。その夜は、雪の舞う音が聞こえそうなくらい静かだ
った。
3
朝、気持ち良く目が覚める。予想していたほどでは無かったが、雪景色だった。部屋の明かりを白っぽく感じて、裏の杉の木を覆った雪に朝日が照り返して眩しいほどだった。
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*週末に少しずつ投稿する予定です。作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
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