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【読書泊スポット?】"何もしない"を全力で体験した『ランプの宿 青荷温泉』(青森)

以前『太平洋フェリー』に乗った際、陸から離れて圏外になった時が読書に集中できました。

その経験からスマホの使えない環境なら、読書も捗はかどるのでは考えるようになったのです。

それならと思い今回向かったのが、
青森県黒石市の山奥にある『ランプの宿 青荷温泉』でした。

テレビもなく、コンセントもない。
明かりはガスランプだけ。

「これは読書のためにある宿なのでは!」

そう思ったのですが、結論から書くと、全然読書ができませんでした。


もっというと"何もしていない"というべきかもしれません。

読書泊の観点からすると少し趣旨が外れるかもしれませんが、それでも個人的に、この宿に泊まって良かったと思っています。

今回は、そんな"何もしない"を全力で味わった本好きのちょっとした体験談です。



『ランプの宿 青荷温泉』に泊まってみた

山奥の宿へ

青森県黒石市、黒石市街から20kmほど山に入った青荷渓谷にある一軒宿で、開湯はなんと昭和4年とのこと。

アクセスは青森の弘前駅から黒石駅へ向かい、そこから「虹の湖」方面のバスで終点の『虹の湖公園』まで行って、宿の送迎バスに乗り継ぐ形です。

弘前駅
黒石駅
虹の湖公園で旅館の送迎バスに乗り換え
(送迎バスは要予約)

所要時間はおよそ1時間ほど。

そして送迎バスで山道に入ってしばらくすると、気づけばスマホの表示がいつのまにか圏外に……。

圏外であることは、予約サイトの売り文句として書かれていましたが、陸地で電波が消えていく感覚は、戸惑いと共になんだか新鮮に思えました。

ようこそ、ランプの宿へ

フロントに入ると、複数のガスランプを吊り下げた広間が出迎えてくれました。

青荷温泉 入口

そして和室の客室にも、ガスランプ。

ここは「ランプの宿」という通り、館内は約200台といわれるガスランプで埋め尽くされ、非常灯など一部箇所を除けば、明かりはすべてランプでまかなわれています。

今回の客室 和室
タオルや浴衣などのアメニティー類は
ひと通りアリ
布団は自分で引くスタイルでした


まだ外は明るい時間帯だったので、ランプの灯りそのものは控えめでしたが、天井から吊るされたランプを眺めていると、それだけで非日常の世界に足を踏み入れた感じがあって印象的でした。

ちなみに触れるのは禁止なので、眺めるだけ。光量の調節もできません。

ガスランプのほかにはお湯の入ったポットと茶葉、セーフティボックスがありますが、あとはテレビや電子機器はなし。コンセントすらありませんでした。

宿のすぐそばには渓流が流れているため、部屋には常に川の音が響きます。

静寂すぎず、でも騒がしすぎず。

そんな川の音に慣れてくるとむしろ心地よさがあり、やがて畳に横になっていると、頭の中が川の音だけでいっぱいになり、何も考えられなくなる。

そうして旅の疲れもあり、客室で30分ほど夢の世界を彷徨ったり、夕飯時まで小一時ほどは読書をして過ごしてました。

客室からの景色

4つの温泉を、ゆっくり巡る

温泉は4か所あり、すべて源泉かけ流し。

本館の内湯のほか、総ヒバ造りの『健六の湯』、滝を望む『滝見の湯』、そして混浴の『露天風呂』。

なお混浴の露天風呂は一部時間帯で女性専用にもなっているので、女性でも安心して利用できる仕組みになっていました。

そしてお湯はというと、正直かなりぬるめです。

熱い湯が好きな方だと、ちょっと物足りないかもしれません。

ただ、僕はぬるい湯に長く浸かっていたい人間なので、のぼせることなくお湯に浸かりながらランプを見たり渓流のせせらぎに耳を傾けられたのは良かったです。

写真:青荷温泉公式HPより
写真:青荷温泉公式HPより
写真:青荷温泉公式HPより

なかでも良かったのが『滝見の湯』。

すぐ近くに滝が落ちているのを眺めながら湯に浸かれるので、気づけばずいぶん長いこと座り込んでいました。

写真:青荷温泉公式HPより

ランプに囲まれながら、自然が育んだ料理を楽しむ

朝夕食は大広間の食堂で食べる形で、部屋番号の書かれたお膳で食べる形になります。

大広間にもガスランプが吊るされていて、その景色もまた見ていてキレイでした。

夕食は地元の山菜や川魚を使った料理でした。

青森の郷土料理である「けの汁」のほか、地元で取れた食材をつかった小鉢料理や川魚、イカメンチといった郷土料理など。

今回いただいた夕食
ちなみにご飯とけの汁は、おかわり自由でした🍚
朝食
卵は、鍋の卵とじ用です🍲

ホテルのビュッフェみたいな派手さはないですが、山奥の温泉宿なこともあり、個人的にこうした飾らない食事の方が風情に溢れていいなと思いました。

日が暮れて、本を諦めた

夕食を食べた頃には外が暗くなり、部屋の明かりはガスランプだけ。

ゆらゆらと揺れる淡いオレンジ色は、暗い中だと雰囲気があって幻想的。

ただ、LEDと比べると光量がまるで足りません。

客室では本を開いてしばらく粘ってみましたがーー。

結局、目が悪くなりそうだと思い、読書は断念。

読書泊のつもりで来たのに、その読書ができない。

その事実には少しショックでしたが、やることもなく"ぼーっと"ランプを眺めるうち、そんな事がどうでもよくなりました。

ガラス筒の中で炎がゆらゆらと揺れるたび、ランプがなす部屋の影が微かに形を変えていく。

影を見つめるなんて実に子供の頃以来にやったことですが、なぜか飽きませんでした。

その後は夜の温泉にも入りました。

温泉の写真はありませんが、それでも暗闇のなかでガスランプが灯された光景は、湯気がその光を受けてぼんやりと浮かび上がってくる。

それこそ「幻想的」という言葉がしっくりくるぐらいに。

結局その日は、食事と温泉、あとはガスランプをみるだけで1日が終わってしまいました。

はっきりいえば「何もしない」1日。

でも、お湯に浸かりながら思ったのです。

ここは「何もしない」を全力で楽しむ場所なのだと。

本は読めなかった。でも、ここに泊まって良かった理由

読書泊として泊まるなら、多分あまり向かないかもしれません。

それでも、僕としてはこの宿に泊まって良かったと感じています。

ある意味、真の意味で「何もしない」時間を過ごせたと言えるでしょう。

家に帰れば明るい電気やテレビなどの電気機器に囲まれ、何不自由なくスマホやネットで暇つぶしができてしまう。

でも青荷温泉では、そんな"便利さ"を徹底的に取り上げていきます。

電波がないからスマホは使えないし、明かりも足りないから何もできない。

食事が終わって日が暮れるとやることもないから、ただ何もせず"ぼーっと"するか、温泉を楽しむか、ただ寝るしかない。

はっきり言って、ここまで何もしない夜を過ごしたのはだいぶ久しぶりでした。

そして同時に、日常を便利に彩る文明の利器に自分がどれだけ突き動かされているのかということも痛感したのです。

ネットで調べ物や誰とも繋がれるようになった一方、本好きとしてnoteの記事を書いたり交流を深めようとSNSを確認しては発信をしたり。

むしろ便利になったからこそやる事が無限に増えて、まるで操り人形のごとくデジタルを使わねばいけない状態になっていたのです。

noteで「何もしない時間が大事だ」と普段から書いておきながら、人の事がいえないなと感じずにはいられませんでした。

そういえばあの夜、僕は何もない場所に来ておきながら、まず本を開こうとしていました。

読書もまた、"何かをすること"だったわけですね。


知っておくといいこと

宿としてはかなり賛否が分かれそうな箇所があるので、こちらにまとめておきます。

①コンセントがない

客室にはコンセントがないので、スマホなどの電子機器の充電ができず、ドライヤーもないので髪を乾かす手段がタオルしかありません。

そもそも圏外なので写真を撮る以外スマホの出番は少ないと思いますが、翌日以降の移動で使うことを考えると、モバイルバッテリーは持っていくと安心かなと思います。

②ガスランプでは、読み書きはできないと思ったほうがいい

これは実際にやってみて痛感したところです。

ランプの光量では、読書はまず無理だと思ったほうがいいです。粘れば読めなくもないのでしょうが、目を悪くしそうでやめました。メモを取るのも厳しいと思います。

携帯用の読書灯を持ち込めば読書なりある程度作業もできると思いますが、それをやるとこの宿の魅力が半分くらい消えてしまうので個人的には非推奨です。

この宿では夜になったら何もしない。

あるいはグループや家族連れなら談笑しながら過ごす。

そんなアナログ的な過ごし方をする場所だと割り切った方がいいと思います。

ちなみに売店があり酒などもあるため、
夜酒を楽しむのもアリかなと🍶
売店の様子


③熟睡したいなら、アイマスクや耳栓を持っていくといいかも


客室を含め館内を照らすガスランプは四六時中灯されており、接触禁止のため消すこともできません。

そのため客室は夜が更けても常に淡い光が灯されている状態になります。

起きている時間はいいのですが、いざ寝ようとすると完全に暗くならないので、人によっては光が気になり眠りにくいと思う人がいるかもしれません。

また前述のとおり、近くの渓流からは川音が響いてきます。

いずれも僕はあまり気になりませんでしたが、もしも「暗い状態で寝たい」とか「川の音が気になる」という人は、アイマスクや耳栓などを持っていくといいかもしれません。


④洗面所やトイレが共用

客室にトイレや洗面所がないので、基本的には各階にある共用の水場やトイレを使う形になりました。

一応トイレにはウォシュレット付きの洋式がありましたが、誰かと一緒に利用する共用方式に抵抗がある方は一度確認しておくと良いかもしれません。

⑤特に冬はアクセス手段が限られる

冬期(12月〜3月)は、国道から先の道が自家用車通行止めになるため、この期間は道の駅「虹の湖」からの送迎バスが唯一の手段となります。

季節を問わず送迎は予約制の定時便なので、行きも帰りも時間を先に押さえておく必要があります。

冬場はふらっと立ち寄れる宿ではない、というのは念頭に置いておいたほうがいいかなと思います。


まとめ

結局、本を読むために行って、一冊も読まずに帰ってきました。

読書泊の宿としては少し趣旨が外れるかと思います。

それでも、読書が進まないことに焦ってしまう日は、僕にもあります。

そんなときに、いっそ読めない場所へ行ってみる。そんな選択肢もあるのかなと思います。

あなたの旅と、その一冊に、幸あれーー。



今回泊まった宿の情報

・住所:青森県黒石市大字沖浦字青荷沢滝ノ上1-7 ・アクセス:弘南鉄道弘南線 黒石駅から弘南バス「虹の湖公園」行きで約30分、終点下車。そこから宿の送迎車で約15分(予約制の定時便)

・チェックイン15:00/チェックアウト10:00
・日帰り入浴:10:00〜15:00
・冬期(12月〜3月)は国道102号から先の自家用車通行が禁止。道の駅「虹の湖」からの送迎バスのみ

(公式サイト)



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