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悪役令嬢、生成AI時代にあえてSEOを学ぶ 第3回:リセットの過去とGoogleの深層~「知る」ための果てなき探求~

    < これまでのあらすじ >

    ECサイトの売上低迷に悩む公爵令嬢ロゼッタは、執事スティーブンスの進言でSEOを学ぶことに。指南役リセットから、Webの世界が「巨大な図書館」であり、検索エンジンが「賢い司書」であると教わり、Googleの誕生と「PageRank」の革命的な仕組み、そして「悪しきSEO」との攻防を知った。


    リセットの過去、そしてスティーブンスの告白~指南役招聘の真の理由~

    「さて、お嬢様。Googleがいかに賢い司書であり、その賢さが『ユーザーファースト』の理念に根ざしているか、ご理解いただけたでしょうか」

    リセットの問いに、ロゼッタは深く頷いた。前回までの学びで、Webという広大な知識の海で、いかにして人々が情報を探し、検索エンジンがそれを秩序立てているか、その基本原理は理解できたはずだった。

    「ええ、よく分かりましたわ。小手先の技ではなく、本質的な価値を追求することこそがSEOの肝だと。しかし、リセット。まだ一つ、私には疑問がございますのよ」

    ロゼッタはまっすぐにリセットを見つめた。

    「なぜ、スティーブンスはあなたを、このロゼッタの指南役として招聘したのか。そして、なぜあなたが、かくもWebの世界の『見つけられる』ことに精通しているのか……その理由を、まだお聞きしておりませんわ」

    ロゼッタの鋭い問いに、リセットは静かに微笑むと、背後に控えていたスティーブンスに視線を向けた。スティーブンスは、いつもの冷静沈着な面持ちを保ちつつも、どこか感慨深げな表情を浮かべて、ゆっくりと話し始めた。

    「お嬢様、その疑問にお答えするのは、このスティーブンスの役目でございます。今からおよそ2年前のことでした。旦那様(注:ロゼッタの父)に、大変珍しい病の兆候が現れました。主治医も診断に、そして情報収集に難儀しておりましたのは、お嬢様もご存じの通りかと存じます」

    ロゼッタの顔から笑顔が消え、真剣な表情になった。父の病は、公爵家にとって重く、デリケートな問題だった。

    「ええ、覚えていますわ。あの時は、私も……」

    「はい。医書を読み漁り、著名な医師を招き、あらゆる手を尽くしましたものの、なかなか確たる治療法は見つからず、情報も断片的でございました」

    スティーブンスは一呼吸置いた。その時の苦悩が、彼の声にわずかに滲む。

    「そんなある日、メイド見習いのエリシアが、慌てた様子で私の元へやってきたのでございます。彼女はスマートフォンの画面を私に見せながら、興奮した面持ちでこう言ったのでございます」

    スティーブンスは、まるでその時の光景が目に浮かぶかのように語る。

    「『スティーブンス様!日本に専門家の先生がいらっしゃるようです!このブログに詳しい情報が載っています!』と」

    ロゼッタは驚きの表情を浮かべた。

    「エリシアですって?あの、おっちょこちょいのエリシアが?」

    「はい。エリシアは日本の漫画やアニメが好きで、独学で日本語を勉強していたようでございます。彼女が見つけてきたのは、驚くことに、その珍しい病にかかった日本の医学生のブログ(*1)で、リアルタイムで闘病記を綴っていたものだったのでございます。エリシアは、そのブログの内容を必死に翻訳ツールで読み解き、さらに他の情報源を探し出すことで、なんとか旦那様の珍しい病気の情報を得ようと努力した結果でした」

    スティーブンスは軽く首を振った。

    「私には、そのような発想はございませんでした。これまでの我々貴族社会では、情報は限られた専門家の間で、あるいは特定の文献を通じてのみ得られるものと信じられておりました。しかし、いつの間にか、ごく普通の使用人のような階層のものでも、インターネットを介して、他国の診療ガイドラインや、個人が綴る専門的な情報さえも、簡単に閲覧できる時代になっておりました」

    ロゼッタは沈黙した。たしかに、自分も「インスタでバズる」ことばかりに目が行き、Webの本質的な「情報の共有」という側面から、どれほど自分が目を背けていたかに気づかされた。

    「結果として、エリシアが見つけてきた情報が直ちに画期的な新薬や新しい治療法につながったわけではございません。しかし、遠い地で同じ病気と闘病している青年がいるとわかった旦那様は、エリシアの仲介でその医学生とコンタクトを取るようになり、それは、なんと言いましょう、”勇気づけられて”おられました」

    スティーブンスの目は、遥か遠くを見るようだった。

    「誰もが、あらゆる情報を手にし、また発信できる。素晴らしいことと同時に、恐ろしくも感じたわけでございます。これまでの世界の秩序が、情報の民主化によって大きく揺らぎかねない、と。しかし、私はその時、確信いたしました。この広大なWebの世界で、真に価値ある情報を、本当に必要としている人に届けることこそが、これからの世の中において、最も重要になるだろう、と。そして、失礼ながら、若い頃にご自身の持病の情報を探すのに苦労したという、リセット様のブログ(*2)を拝読しまして、このかたは、この Web の本質を深く理解し、まさにそれを実践している人物だと強く感じたわけでございます。それが、リセット様をこの公爵家にお招きした真の理由でございます」

    スティーブンスの語りが終わるのを待って、今度はリセットが静かに語り始めた。

    「お嬢様。私には、幼い頃からの持病がございます。気管支喘息という病気です。私は14歳の頃、”あるもの”が周期的に発作を起こすことに気づき、それに関する情報をずっと追い求めてきたのです。喘息患者にとって、自分の発作の引き金(トリガー)となるものを特定しておくことは、治療の過程で重要な行為です。」

    「存じていますわ。友人にも喘息持ちの子がいますもの。でも、そのトリガーになる”あるもの”とは何なの?」

    「月経周期です」

    公爵令嬢は、驚いたように息を呑んだ。さほど珍しくもない病気で、ほとんどの女性にあるありふれたものだというのに、そういったことが起こるとは。そんなロゼッタに向かい合いながら、リセットは続けた。

    「しかし、1990年代半ば、日本のティーンエイジャーだった私には、「男女の違いに基づいて最適な医療を検討する」という概念さえない世界で、図書館の本からは何も得られませんでした。主治医からは『女性の患者さんで、たまにそのようなことを言う人がいるが、どうにもならない』、と言われました。

    転機が訪れたのは、大学生になってからです。時代は変わっていました。大学にはインターネットが整備され、世界中の最新の学問に触れられる環境が整いつつあり、海外の論文データベースにアクセスできる端末もありました。英語の勉強に励んでいた私は、”もしかしたら、世界にはこのことを研究している人がいるかもしれない”とふと思いつき、海外の医療系論文のデータベースを検索してみたのです。

    そこには、ありました、ひとつだけーー。スウェーデンの王立病院の研究でした。サンプル数が少ないため、統計上優位な結果は出ませんでしたが、個人差が大きく、月経周期と喘息発作がはっきりと関係する女性は、確かに存在する、と言う結論でした、また、この現象には名前がついていました。『月経前喘息』と。私はそれまで、その単語にすらも出会っていませんでした。結局、治療という点で有益な情報はなかったにも関わらず、私にとってこれらの情報は長年の闇を照らす希望となりました。あの時、情報に救われた経験が、今の私の原動力なのです」

    ロゼッタは納得したように頷いた。リセットは、ただのSEOコンサルタントではなく、情報の価値と、それを必要とする人々の苦悩を知る人物だったのだ。

    「2012年には、スウェーデンの研究者たちは大規模な調査によって女性の呼吸器症状と月経周期との関連を突き止めました(*3)。そして今や、「月経前喘息」というキーワードをGoogleの検索窓に入れると、この症状に関する情報を簡単に得ることができます。呼吸器内科や婦人科、アレルギー科といった街の診療所のホームページにも、こういった情報が掲載されるようになりました」

    穏やかに微笑みながら語り終えたリセットの顔を見てから、感慨深げに公爵令嬢はじっとタブレットの画面を見下ろした。

    白いシンプルな背景の中央には5色の文字で「Google」と書かれている。検索窓では虫メガネのアイコンの横でカーソルが点滅し、「探し物」を示すキーワードが入力されるのを待っている。見慣れたはずの画面が、まるで、巨大な図書館の入口に思えた。

    「ついでながら……」

    スティーブンスは、少し咳払いをすると、やや重くなったその場の空気を和ませようとしたのか、不意に少し口元を緩め、コミカルな口調で続けた。

    「私どもは、旦那様がお世話になった日本の医学生をいつか当家でおもてなしするために、ひそかに日本語の鍛錬を積んでおりまして……今回は、その実地練習にふさわしかったというわけでございます。一石二鳥でございますな」

    「なるほど、どうりで、ご連絡をいただいたときに『日本語通じますので、大丈夫です』と言われたわけですね……!」

    リセットが大きく頷きながら、右の拳を丸めて左の手のひらの上にポンっと置く、日本の漫画の中でしかお目にかかったことがないジェスチャーをしたので、ロゼッタは思わず噴き出しそうになった。

    Googleのアルゴリズムの進化~賢い司書が磨く「識別眼」~

    スティーブンスの話を聞き終えたリセットは、再び穏やかな声で話し始めた。

    「スティーブンスさんの言う通り、Webの世界は常に進化しています。Googleもまた、その『賢い司書』としての役割を全うするため、日夜その『識別眼』を磨き続けているのです。第2回で、Googleが『PageRank』という画期的な仕組みでWebサイトの『推薦』を読み解いたお話をしましたね」

    ロゼッタは頷いた。

    「ええ、リンクが、まさか本の推薦文のようなものだとは、驚きましたわ」

    「PageRankは基本中の基本ですが、Googleの賢さはそこで止まりませんでした。むしろ、その成功ゆえに、『悪しきSEO』(*4)を行う者たちとの、果てしない攻防が始まったのです」

    リセットは表情を引き締める。

    「例えば、キーワードを不自然に詰め込む『キーワードスタッフィング』、ユーザーには見えない文字で情報を隠す『隠しテキスト』、質の低いサイトからの大量のリンクでごまかす『リンクファーム』など、司書を欺くための悪質な手口が次々と現れました。まるで、図書館の本を不正に改ざんしたり、偽の推薦状を大量にばらまいたりするようなものです」

    「まったく、愚かな者たちですわね!そんな小手先の技で、賢い司書が騙されるとでも思ったのかしら?」

    「おっしゃる通りです、お嬢様。検索エンジン、とりわけGoogleは、そのような『悪しきSEO』の手法を見抜き、排除するために、そのアルゴリズムを日々進化させていきました。当初はこうした不正な試みに対応するためにアルゴリズムが頻繁に更新(アップデート)され、検索順位が大きく変動することも珍しくありませんでした。まるで、図書館の警備が強化され、不正を働く者が次々と見つけ出されていくようなものです」

    リセットは続ける。

    「この戦いは、Googleにとって決して楽なものではありませんでした。ときに、賢い司書を以てしても、してやられることがあります。それは、日本で起こりましたーー」

    「2014年頃にアメリカに遅れて日本でもコンテンツマーケティングの流行が起こり始めました。

    医療・健康に関する不安や悩みは、多くの人が抱えていますが、なかなか医師の診察を受けたり、専門家に相談するのは気が引けるものです。 こうしたユーザーのニーズにつけ込む形で、特に医療・健康系の分野で問題が起こりました。

    2016年頃、専門知識を持たない者が運営するキュレーションサイトが、不正確な情報(例:「肩こりの原因は幽霊」など)を検索結果の上位に表示させ、社会問題となった(*5)のです。 これを受けて、Googleは2017年12月に、Googleは「医療や健康に関連する検索結果の改善」を目的として、日本独自のアップデート実施しました。これはのちに、2018年に実施された医療や健康、金融など人々の人生に大きな影響を与える分野(YMYL領域)のコンテンツ品質を厳しく評価する大規模なアルゴリズムアップデートへと繋がっていきます。これは通称『Medicアップデート』(*6)と呼ばれ、信頼性の高い医療・健康情報をユーザーに提供するため、検索アルゴリズムや表示方法が大幅に強化されたのです。」

    「まあ、でもそれってーー」

    ふと、ロゼッタがリセットの話を遮るように話し始めた。

    「ナントカの”コーミョー”? …と、言うんでしょう、日本の諺(ことわざ)では?」

    「もしかして、『怪我の功名』でしょうか、お嬢様?」

    リセットが驚いた表情で見つめ返したので、ロゼッタは思わず得意げに頷いた。そばで控えていたスティーブンスが、その様子に「やれやれ」というように肩をすくめたが、それが他の人間の目に映ったかどうか。

    「そう、それ。『怪我の功名』。スティーブンスが歴史、歴史というものだから、私も少し考えてみましたのよ」

    ロゼッタは持っていたタブレットを脇に置くと、胸の前で腕を組んで続けた。

    「だって、その『Medicアップデート』が行われた翌年、2019年の年末には、COVID-19が世界規模で流行しだして、2020年の春には多くの国がロックダウンに追い込まれたわ。Medicアップデートがない状態で、この、未知の感染症によるパンデミックを迎えていたらと思うとーー(*7)。寒気がしませんこと?」

    言葉とは裏腹に、ロゼッタは勝ち誇るようにニヤリと口角を上げた。リセットはますます驚いたように口を開けて、しばしポカンとしていたが、やがて目を輝かせながらこう言った。

    「お嬢様…、素晴らしい洞察眼です!なんとご聡明なんでしょう、私には思い及びませんでした。お嬢様のような柔軟な発想が、これからの時代には必要なのかもしれません」

    それは予想外の反応だったようで、ロゼッタは思わずスティーブンスを仰ぎ見た。

    「……コレは、どういう反応かしら、スティーブンス?」

    「はっ。リセット様は、本心からお嬢様の頭の回転の速さを褒めているのでございます」

    殊更にニコニコとしながら、老執事が答える。

    「今までの教育係は、だいたいこういうことをすると、生意気だ!と赤くなるか、面目丸つぶれという感じで青ざめるか、ではなかった?それとも、私の言い方が甘かったかしら」

    「いいえ、お嬢様のご指摘は常と変わらず舌鋒鋭くーー。ただ、この方はそのどちらでも無い、ということですよ、お嬢様」

    ロゼッタは、若干バツが悪そうに咳払いすると、つんと澄ました顔で言った。

    「わ、わかればよろしくってよ!…続けてちょうだい!」

    リセットは穏やかに微笑むと、再び検索エンジンのアルゴリズムが辿ってきた軌跡を追い始めた。

    「不正な手法との攻防だけでなく、社会情勢やユーザー行動の変化もまた、Googleのアルゴリズム進化を絶え間なく促してきました。お嬢様のおっしゃるように、コロナ禍ではさらに正確な医療や公衆衛生に関する情報、交通機関や施設の利用制限といった情報が求められ、ユーザーがアクセスしやすくなるための対応が取られました。最近では、2023年から2024年にかけて、生成AIによって大量に制作されたコンテンツがWebの世界に投入され、検索結果の質の低下やユーザー体験の悪化(*8)が問題視されるようになりました。これに対しても、2024年3月の大規模アップデートでGoogleが本格的な対策を講じ始めています。」

    「そう、つまり、こういうことねーー」

    ロゼッタは細い指先を顎に当てて、考え込むようなそぶりを見せた。

    「Googleの検索結果で上位に表示されるための”テクニック”というのは、確かに存在する。…でしょう?でも、そのテクニックを上位表示のためだけに使い始めると、程なく返り討ちにされる」

    「その通りです、お嬢様。本質的ではない偽りの最適化は、やがて通用しなくなり、むしろ検索エンジンからのペナルティを受けることになります。Googleは、ユーザーに本当に価値のある情報、質の高い本を届けるという信念(*9)を貫き、そのためのアルゴリズムを進化させてきたのです」

    リセットはそこまで語り終えると、一息ついてロゼッタに向き直った。

    「ところで、お嬢様」

    「ーー何かしら?」

    リセットは心持ち真剣な表情をしながら、指先でメガネをクイっと持ち上げながら真顔で尋ねた。

    「このような長話にもお疲れでしょう。手っ取り早く、その”テクニック”をお伝えすることもできますが…?」

    するとロゼッタは、誇らしげに胸を張って答えた。

    「あなたも案外、人が悪いわね。答えは決まっていますわ。私はロゼッタ・グレイス。ベリーズが5年後も10年後も、お客様の憩いの場でい続けるためにこそ、あなたの力をお借りしたいの。いっときの売上のためのテクニックは不要ですわ」

    リセットは、公爵令嬢の凛とした表情を見定めると、ロゼッタを次のテーマへといざなった。

    「Googleの方を向くのか、それとも、ユーザーの方を向くのかで、SEOへの取り組みかたは変わってまいります。いま、お嬢様は「ユーザー」を選択されました。それでは、次はその検索を通じて情報を探す人々の話をいたしましょう」

    キーワードの裏に潜む心~「検索意図」の深掘り~

    「さて、検索窓に調べたいものに関する「キーワード」を入力するという、”ググる”は、もはやお馴染みの行動になりました。Googleはその賢さを増すにつれて、単にキーワードが含まれているか、だけでなく、もっと深い部分を理解しようとしました。それが、お客様の『検索意図』(*10)です」

    リセットは、ロゼッタが使用していたタブレットの画面に、検索窓といくつかのキーワード例を表示した。

    「お嬢様が何かを知りたいと思った時、検索窓に言葉を入力しますよね。その言葉の裏には、お客様『何を知りたいのか』『何を解決したいのか』という真のニーズが隠されています。司書がお客様の表情や言葉のニュアンスから、本当に求めている本を探し出すように、検索エンジンもまた、お客様の『心』を読み解こうとしているのです」

    「心の奥底まで、ですって?」

    ロゼッタは興味津々といった様子だ。

    「はい。お嬢様、探偵になった気分で想像してみてください。手がかりは、キーワードのみ。例えば、『紅茶』と検索するお客様がいたとします。その方は、もしかしたら『紅茶の種類』を知りたいのかもしれませんし、『美味しい紅茶の淹れ方』を探しているのかもしれません。あるいは、『ベリーズの限定紅茶』を探しているかもしれませんし、単に『紅茶を今すぐ買いたい』と思っているのかもしれません」

    「なるほど、”キーワード”という証拠から、ユーザーの意図を推理するのね?」

    リセットはうなずいた。

    「はい。Googleは、こうした様々な『意図』を読み解き、それぞれに最も適した情報を提供しようとします。大きく分けると、お客様の検索意図は、以下の4つの瞬間(マイクロモーメント)に分類できると言われています」

    • 知りたい(I-want-to-know): 何かの情報を求めている時。「紅茶 歴史」「四字熟語 由来」など。

    • 行きたい(I-want-to-go): 特定の場所に行きたい、店舗を探している時。「ベリーズ ティールーム 場所」「カフェ 東京駅」など。

    • したい(I-want-to-do): 何かをしたい、特定のタスクを実行したい時。「紅茶 淹れ方 レシピ」「DIY 棚 作り方」など。

    • 買いたい(I-want-to-buy): 商品やサービスを購入したい時。「ベリーズ 紅茶 オンラインショップ」「[商品名] 通販」など。

    「お客様がどんな『意図』で検索しているのかを深く理解し、その意図にピンポイントで応えるコンテンツを提供すること。これが、Googleに『この本こそが、お客様の探し求めていたものだ』と評価されるための、非常に重要な鍵となるのです」

    リセットは、再びスティーブンスに視線を向けた。

    「スティーブンスさんが話してくださった旦那様の件も、まさに『知りたい』という強いニーズ、そしてその先の『解決したい』という願いがあったからこそ、エリシアさんが見つけてきた情報が大きな意味を持ったのです。Webの世界では、お客様の小さな『知りたい』から、大きな『買いたい』まで、あらゆる意図が入り混じっています。その一つ一つを丁寧に読み解くことが、私たち情報発信者に求められるのですよ、お嬢様」

    ロゼッタは、タブレットの画面を食い入るように見つめ、Webサイト「ベリーズ・オンライン」を開いてみた。

    (このサイトは、ユーザーが探しているものを見つけやすくなっているかしら?そもそも、どんな検索をする方がこのサイトに辿り着き、あるいは辿り着けずにいるのかしら…)

    今まで考えても見なかった複数の視点が、ロゼッタの頭の中で急速に形作られていく。気がつくと窓の外はすっかり暗くなっていた。程なく夕食の準備が整ったという報せを受けて、講義1日目は幕を閉じたのだった。

    幕間:甘き香りの記憶、夢の扉が開くとき

    サイドテーブルの上に置かれたティーカップから、一筋の湯気がたちのぼる。はちみつの入ったミルクティーを飲むことは、公爵令嬢にとって入眠前の習慣だ。柔らかな甘みを舌の上に感じながら、ロゼッタはふと、去り際のリセットの言葉を思い返していた。

     ”お嬢様にも、情報に救われた経験はありませんか?”

    (紅茶にブレンドしたら合いそうな、マイナーなハーブを見つけたときとか?学位論文を書くときに、キーとなる学説に出会ったときとか? いいえ、違うわね、もっとこうーー)

    そんな体験がかつてあっただろうかと物思いに沈みながら、やがてロゼッタは深い眠りに落ちていった……。


    📗次回、ロゼッタは夢の中で巨大な図書館に迷い込む。本で埋め尽くされた広大な空間で、彼女を導いた人物とはーー?

    ➡️ 第4回:夢幻の図書館の主〜ググリ・アルカイブスとの邂逅〜


    引用・参考・小ネタ)

    (*1)珍しい病にかかった日本の医学生のブログ

    日本のブログサービスは2000年代に一大ブームを巻き起こしました。大手サービスを中心に、個人の他、芸能人や企業も次々とブログを開設しました。

    しかし、2010年代頃からのスマホの普及、SNSの対等でブログ利用が徐々に減少。ビジネスモデルの変化もあり、近年は大手出会ってもブログサービスの終了が相次いでいます。多くのユーザーがWordPressなど自己運営型ブログへ移行したものと思われますが、このnote🖋️へ移行してきたユーザーもかなりいるのではと推測しています。

    本作中の医学生のブログは完全にフィクションですが、同様の経験をしたことがあります。難病や障害を持つ患者や家族が情報発信する場として、ブログサービスは利用しやすかったのでしょう。

    専門家による情報が少ない分野において、個人のリアルな体験談や考察が、時に公式な情報源以上に価値を持つことがあります。これは、SEOにおけるE-E-A-T(経験、専門知識、権威性、信頼性)の概念にも通じるもので、個人の「経験(Experience)」が情報の信頼性を高める一例と言えます。

    今年(2025年)には、「goo blog」「ファンブログ」が終了を発表。「アメブロ」「livedoor Blog」「はてなブログ」など一部の大手サービスは継続中ですが、今後も終了リスクがあるでしょう。筆者も「Yahoo!ブログ」が終了(2019年)した際に経験がありますが、ブログの移行はなかなか難しく根気のいる作業です。ひょっとしたら貴重な体験が書かれたブログも、サービス終了とともにWeb上の図書館からひっそりと姿を消してしまうのかもしれません。

    参考)
    ブログサービスの歴史を振り返る〜流行りのブログサービスまで〜 - 株式会社ライトコード
    「Yahoo!ブログ」がサービス終了 「ネット上の遺産が消えて悲しい」「黒歴史が消えて安心した」などさまざまな声|ITmedia NEWS

    おそらく筆者と同年代であろう方が書いた、ブログの歴史を毒(強め)のスパイスと自戒とともに振り返るnote記事を見つけましたので、ご紹介します。
    🗒️20年間のブログ遍歴をその歴史と共に振り返る(紀原ひろ さん)


    (*2)若い頃にご自身の持病の情報を探すのに苦労したという、リセット様のブログ

    ここに筆者の個人的な体験(実話)を持ってくるのはどうかと思い、最初はこのブログの中身については触れずに済まそうと思っていましたが、後半の「WELQ」事件の話をするならば書かねばならないと思い、書いてみました。ええ、Gemini♊️やPerplexity🎓に、これで大丈夫なのかを何度も確認しましたとも。
    曰く、

    読者に伝わるか不安とのことですが、ストーリーテリングやSEOコンテンツの観点から見ると、むしろ強い共感と説得力を生む要素になっています。ストーリーの流れやキャラクターの成長と、SEOの専門性がしっかり融合しているので、安心してこの路線を続けてください。

    「この回には、私の個人的なエピソードが盛り込まれており、読者にうまく伝わるかが不安です」と相談したときの、Perplexityの回答より

    …だそうです。カウンセラーの鑑のような回答です。そうまで言われたら、腹を括るしかありません。

    この個人的な経験は、筆者がSEO、特に「本当に必要な情報を見つける」ことの重要性を深く理解する原点となっています。


    (*3)女性の呼吸器症状と月経周期との関連を突き止めました

    2012年、ようやくスウェーデンの研究者たちによって、女性の呼吸器症状と月経周期との関連が大規模な調査で突き止められました。「月経前喘息」に関する科学的根拠が確立されたわけですが、だからといって効果的な治療法があるわけではなく、「意識してスケジュールを組む」「他の発作トリガーと重なりそう(台風の時期など)なときは早めに受診する」「妊娠・出産の時は専門家と相談しながら対応を決める」といった方法しか対応方法しか取れません。

    実は喘息はありふれた病気であり、性差が顕著な疾患の一つであるにもかかわらず、「女性の喘息」の研究はまだまだ解明が始まったばかりです。

    このことにはかなり多くの要素が関連しています。医療のジェンダーギャップ、性差医療が発展段階であること、研究や調査に長期間参画することの難しさ、などです。子どものころは男児の患者割合が多いものの、思春期を超えた頃から女性の患者割合が増えていきます。症状の出方には個人差が大きく、個別化された治療が必要です。

    こんな時こそAIの出番ではないでしょうか。今なお多くの課題が残っているとはいえ、今後の発展を願ってやみません。

    参考)
    Macsali, F., Svanes, and C., Sothern, R. B., et al. (2013). Menstrual cycle and respiratory symptoms in a general Nordic–Baltic population. American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, 187(4), 366–373. https://doi.org/10.1164/rccm.201206-1112OC

    Women and asthma – addressing the inequality | Asthma + Lung UK
    喘息は女性のほうが重症化? 免疫にも「性」がある|特集 多様な性|ヘルシスト262号(2020年7月10日発行)掲載


    (*4)『悪しきSEO』

    本文中でもいくつか出てきましたが、検索エンジンを欺き、不当に検索順位を上げようとする手法の総称です。Googleは、こうしたスパム行為を検出・排除するために、アルゴリズムを継続的に改善しています。悪しきSEOは、短期的な効果をもたらすことがあっても、最終的には検索エンジンからのペナルティを受け、長期的なサイトの評価を損なうリスクが高いです。

    下記の公式ページで、どのような手法がスパム(=悪)とみなされるかについてまとめられています。
    Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー|Google検索セントラル

    実際には、ここで紹介されている手法の中には、今でも使われているものが多数あります。使われているということは、Googleの努力にも関わらず、幾ばくかのSEO効果(ここでは特定の狙ったキーワードでランキング上位をとる)があるのではないかと考えています。

    例えば、アスリートはフェアな戦いをする為に、ドーピング規定には気を払います。人間のやることですから、全くゼロにはならないにしろ、多くのアスリートはフェアであろうとします。しかし現状では、SEO対策を始めようとする企業や人は「何がドーピングに当たるか」を知ろうともしないまま、その世界に入っていくことが多くは無いでしょうか。

    SEO対策を発注する企業も、それを受託するSEO会社も、双方がSEOの真の意義を理解し、倫理に基づいた取り組みを行う必要があります。そうでなければ、一時的な成果は得られても、長期的にはサイトだけでなく、ブランドや企業全体の信頼性を損ない、ユーザーからの支持を失うことになるのではないでしょうか。


    (*5)キュレーションサイトが、不正確な情報(例:「肩こりの原因は幽霊」など)を検索結果の上位に表示させ、社会問題となった

    2016年頃に日本で社会問題となった、医療・健康情報を扱うキュレーションサイトにおける不正確な情報の問題を示しています。これは、専門知識を持たない運営者が信頼性の低い情報を発信し、それが検索上位に表示されたことで、ユーザーに誤った情報が広まった事例です。この問題が、Googleのアルゴリズムアップデートの引き金の一つとなりました。

    ……というのが当時のニュースで流れた内容で、本文中では闇が深すぎてサラッと流すだけになっております。ですが、問題の本質としては、

    「一部のろくに訓練を受けていない名ばかりライターが色々なサイトの情報を寄せ集めてつぎはぎで書いた不正確な記事が紛れていたのに気づかなかった」

    からなのではなく、むしろ、

    「非常によくできたマニュアルで訓練されたライターたちが上場企業の指示のもとに書き」、「正確さはどうでもよくて、SEOだけを重視してむしろ渾身の出来栄え」

    だったことにあると、個人的には思っています。

    しかも、「キュレーションメディア」というお洒落な名前をつけていたところが凄い。加えて、ライティング業務では「クラウドワーカーを安く買い叩く問題」が発生していたなど、いろいろな闇が凝縮して、起こるべきして起きた問題と言えましょう(残念ながら、今なお闇が晴れたわけではないです)。

    東洋経済の『「WELQ問題」の本質とは何か』と題された一連の記事に詳しいので、詳しく知りたい方はそちらもお読みください。

    参考)
    DeNA報告書が示すSEO最優先の実態 守安社長が定めた目標が優先された|BuzzFeed News
    DeNAの「WELQ」はどうやって問題記事を大量生産したか 現役社員、ライターが組織的関与を証言|BuzzFeed News


    (*6)通称『Medicアップデート』

    『Medicアップデート』とは2018年8月1日にGoogleが実施した大規模なコアアルゴリズムアップデートの通称です。特に医療、健康、金融など、人々の人生(Your Money or Your Life: YMYL)に大きな影響を与える分野のコンテンツ品質評価が厳格化されました。これにより、専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)から構成されるE-A-T、の高いサイトが優遇され、信頼性の低いサイトの順位が大きく下落する結果となりました。E-A-Tには、後に体験(Experience)が加えられ、E-E-A-Tに拡張されています。


    (*7)Medicアップデートがない状態で、この、未知の感染症によるパンデミックを迎えていたらと思うとーー

    ガチのSEO解説が続いてしまうので、ちょっと休憩☕️。

    この発想は、まさにロゼッタが思いついたものです。
    ……は👀?
    と、目が点になった方に説明をば。

    創作の経験がある方には覚えがある方も多いと思いますが、「ある日勝手にキャラクターが動き出す現象」が起きます。
    (多くの作家や漫画家が体験しているにもかかわらず、この現象にはまだ名前がないようです)

    今回は、"悪役令嬢"感の少なさに、ご不満をお持ちだったのでしょう。ロゼッタ様は自ら動かれてしまわれたのでございますーー。こうして、新たな教育係をやりこめようと、、鋭い指摘を披露なさったのでした。

    まあ、コロナ禍での出産を経験した身としては、これを聞いて本当に寒気がいたしました🥶。


    (*8)生成AIによって大量に制作されたコンテンツがWebの世界に投入され、検索結果の質の低下やユーザー体験の悪化

    筆者は、これはWELQ問題の焼き直しのような事件のように思えました。あの時は人海戦術で大量生産をやっていたわけですが、今度はグローバル規模で生成AIに書かせた人たちがいたということです。

    2024年3月コアアップデートで、多くの生成AIによる低品質のコンテンツがランキングから除外されましたが、Googleはコンテンツ制作にAIを利用するなと言っているわけではありません。

    Google公式の「ウェブサイトで生成 AI によるコンテンツを使用するための Google 検索のガイダンス」がありますので、ぜひ参考にしましょう。


    (*9)ユーザーに本当に価値のある情報、質の高い本を届けるという信念

    Google の​使命は、​世界中の​情報を​整理し、​世界中の​人々が​アクセスできて​使えるように​する​ことです。

    Google について: 歴史、オフィス所在地、コミットメント、取り組み - About Google

    この使命は、Googleが検索アルゴリズムを継続的に進化させる根本的な理由であり、その哲学の中心にあるものです。ユーザーが求める情報に正確かつ効率的にたどり着けるよう、常に検索体験の向上とWebの健全性維持を目指していることを示しています。

    1997年のリリース以来、時代を追うにつれてGoogle検索そのものの精度向上に加え、画像検索や動画検索、マップ機能などの追加でさまざまな”情報”へのアクセスが容易になりました。

    一方で、YouTubeなどのサービスを次々に買収、ブラウザである『Chrome』やデバイスである『Pixel』シリーズのシェアも伸ばし、巨大化してまさに「帝国」となってしまったGoogleには、批判の声も上がっています。

    参考)
    日米で相次ぐ「グーグルへの逆風」を考える【西田宗千佳のイマトミライ】-Impress Watch
    Google「検索」に排除命令、公取委が違反認定 巨大ITで初 - 日本経済新聞


    (*10)『検索意図』

    大事なことなので、2度目の解説!

    検索意図とは、ユーザーが検索エンジンにキーワードを入力する際に、その裏に隠された「なぜ検索しているのか」「何を知りたいのか」という目的やニーズのことです。検索意図を理解することは、ユーザーが本当に求めている情報を提供し、サイトの訪問者満足度を高める上で不可欠なSEOの要素です。

    スマホの普及やSiri、Alexaなどの利用に伴う音声入力の増加、そもそも人々がGoogleを使い慣れてきたという社会的な状況のおかげで、人々が検索窓に投げかける検索”キーワード”はどんどん長文化・複雑化して、今はSEO界隈では検索”クエリ”と呼ばれています。

    クエリ(Query)とは、検索エンジンに入力される単語やフレーズのことです。Googleレンズという機能では、写真で探すことも可能。もはや言葉ですらありません(余談ですが、公園で見つけた虫の名前を調べるのに重宝しています🐝)。

    ユーザーが何かを検索する際に打ち込む言葉そのものを指し、その背後には必ず「検索意図」が存在します。SEOにおいては、単なる「キーワード」という言葉よりも、ユーザーの意図を含んだ「クエリ」という表現が使われることが増えています。

    Google自らSEOのアレコレを解説してくれる「Google検索セントラル」では、「クエリ」という用語が使われていますので、覚えておくと良いでしょう。


    本作の制作に利用されている生成AIについて

    本作では複数の生成AIを利用して制作にあたっています。
    主な用途と生成AIの種類は、以下のとおりです。生成AI活用のご参考まで。

    • Googleの「Gemini」
      Googleのマルチモーダル生成AIです。
      プロットと文章の推敲・執筆補助🖋️、主にインターネットやGoogleの歴史についての調査に使用🔍。
      流石に検索エンジンの歴史については詳しいですが、Googleのことをやや美化した描写になっている気がします。

    • Microsoftの「Microsoft Designer」
      Microsoftが提供するAI搭載のグラフィックデザインツールです。プロンプトから画像生成ができます。
      ロゼッタ、スティーブンスなどキャラクターイラストの生成に使用しました🎨。
      イケおじスティーブンスをありがとう!!モノクルの構造が怪しいけど気にしちゃいないよ🧐!

    • OpenAIの「Chat-GPT」
      インターネットやGoogleの歴史、その他、さまざまな物事についての調査。
      Designerで生成したイラストの表情パターンの作成(例えば、ロゼッタのイラストを悪役令嬢風に不敵な笑みを浮かべて☺️→😏、のような)をしました。

    • Microsoftの「Copilot」
      インターネットやGoogleの歴史、その他、さまざまな物事についての調査。補助的に使用していますが、キャラクターの「キノコのエリン🍄‍🟫」が可愛いので、癒しツールとしても使っています。

    • Perplexity AIの「Perplexity Pro for SoftBank」
      前回から相棒になったPerplexity君には、全体の校正をしてもらいました。また、このシリーズの方向性についていろいろとご相談するようになりました😀。


    解説の最後まで読んでくれてありがとうございます🙏!
    次回は新キャラクター、夢幻の図書館の主「ググリ・アルカイブス」📚がついに登場!ぜひ、ググリに会いにきてください〜👋


    「悪役令嬢、生成AI時代にあえてSEOを学ぶ」が本📕になりました!

    Kindle版とペーパーバック版、どちらでもお楽しみいただけます。

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