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Photo byフィンセント・ファン・ゴッホ / メトロポリタン美術館

オッス! オレはオッサン! 3 「古着の思い出」

    オッサンがヤングだった90年代は古着ブーム、しかもヴィンテージブームやった。
    高騰している現在から見れば、当時は安かったのかもしれない。
    だが学生には手が出なかった。
    雑誌で知識だけは吸収した。ビッグE、大戦モデル、66、ファースト、セカンド、サード……。

    野球じゃねえぞ。

    テレビでは芸人のダウンタウン浜田がヴィンテージのリーバイスやらカウチンセーターやらスカジャンを着ていた。
    ダウンタウンの番組は面白かったけども、
    カラオケではよくH Jungle with tを歌ったけども(歌いやすいのおススメ)、
    浜田を、ボロを来た小汚いオッサン、としか思わなかった。

    その点、所ジョージさんはヴィンテージを着こなすのが上手くて、
    素直にかっこいいオッサンやな、
    と若かりしオッサンは思った。
    浜田と所さんの差は何なのだろうか。

    浜田は古着に着られていたような気がする。
    よく成り金がブランドものを着ているけど、服に着られている、あの感じ。

    所さんはとことん好きで着ている感じが滲み出ている。
    おそらくめちゃくちゃ古着を持っているだろうし、むちゃくちゃ失敗もしてきたのだろう。
    いや、失敗とも思ってないのかもしれない。
    ともかく膨大な経験値が服装に表れているのが何となく分かる。
    言語化するのがムズいのやけど、無理やりするならこんな感じ。

    いつか働くようになったらヴィンテージを買おうと思っていたものの、社会人になった時には、古着の匂いがダメになっていて、もう興味が失せていた。
    ビッグE、大戦モデル、66、ファースト、セカンド、サード、どれも持っていない。

    で、若かりしオッサンはだな、
    古着屋へ行けば安いレギュラー古着を探す日々を過ごしていた。
    あの頃は古着の匂いが好きだったのにな。
    よく行った宇都宮の古着屋は今やほぼなくなっている。
    少ない小遣いの中から、悩んで悩んで買った服よりも、悩んだ末に買わなかった服のことをよく覚えているのは何故だろう。

    友達と茨城の海へ行き、帰りに水戸の古着屋で赤いギンガムチェックのウエスタンシャツを悩んだ末に買わなかった。
    気に入りはしたが、買っても着ないだろうな、と思って買わなかった。
    今振り返って、仮に買ったとしてもやはり着なかっただろうし、人生が大きく変わったとも思えない。
    ただ、なんとなく覚えている。
    成就した恋よりも、実らなかった恋のことをいつまでも覚えているのと似ている。
    「人生は片思いの連続です」という言葉を残したのはジャーナリストの竹田圭吾さん(1964-2016)。
    竹田さんの明晰な語り口とユーモアが好きだった。

    オッサンは女々しい。
    それは自覚している。
    おっと!
    女々しい、なんて言ったら、女性蔑視だ!なんてコンプライアンスに引っかかっちゃうよね。
    上場企業の社長じゃなくてよかった〜。
    株価大暴落よ。
    いつの間にか、言いたいことも言えない世の中に、ポイズンになってきているわ。
    言葉の持つ自由がどんどん狭められてきている。
    同時に新たな言葉や価値観がじわじわと浸透してきている。
    言葉には言霊があると言う。
    ウイルスのように人間の口から口へ、はたまた文字となり広く伝播していく。
    ただ「女々しい」、「女の腐ったような」、こんな言葉が使われることで、傷ついてきた人たちが性別問わずいたのも確かなことであり、
    「多様性(オッサンはこの言葉があまりに便利に、いいように使われすぎてないか?と疑問視しているけれど)」の名の下に言葉の新陳代謝が進んでいる。

    コンプライアンスなんか置いといてさ、
    「じいじ」、「ばあば」も新しい言葉だよね。
    「じじい」、「ばばあ」の文字を入れ替えただけでなんら意味は変わらないんだけど、響きが柔らかくなる。
    マジック。
    オッサンの8歳になる子どもは「じいじ」、「ばあば」という単語は
    じじい、ばばあ(おっさんの両親な)を持ち上げて小遣いをせしめるのに最適な言葉だと気づいている。
    何か狙っている時だけ
    「ばあば、ピアノの発表会で優秀賞取ったよ。だから新しい自転車買って~」
    「じいじ、僕小学校2年生になったよ。だからアイス買って~」
    と甘えた声でじじい、ばばあから金銭を巻き上げている。

    子ども、アイスと自転車ゲット。
    じじい、ばばあ、孫のために気持ちよく出資、というか散財。
    おっさん、懐を痛めることなく子どもを笑顔にし、親孝行もできた。
    三方よしである。

    閑話休題、あれ、なんで古着の話してたのに、じじいとばばあの話になってるんだろ。

    今のオッサンは日常着としてギンガムチェックのシャツを好んで着ている。
    赤いギンガムチェックは持っていないが、
    80超えたじじいが赤いギンガムチェックのウエスタンシャツを着てたら、かっこいいよね、と密かに思っている。
    腰曲げたり杖ついたりしてられないよね。
    筋トレに勤しむ日々である。

    これまでのあらすじ~

    読まなくても問題ないんだけどさ、そんなに話つながってないから。
    ま、よかったら読んでやってよ。



     
     
    主に短編小説と感想文。 育休取得、単身赴任、マイナーな職業。 以前は三度の飯より旅行だったが今は子どもファースト!

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