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実隓蚈画法DOE入門——少ない詊行で最適条件を芋぀ける

    新しい郚品の加工条件を出すこずになった。振れる条件は、切削速床・送り・工具の3぀。

    ずりあえず速床を倉えお詊す。少し悪くなった。じゃあ元に戻しお、今床は送りを倉える。もっず悪くなった。工具も倉えおみたが、これもダメ。

    「結局、いたの条件がいちばん良いですね」

    ——この結論、間違っおいるかもしれたせん。

    今回は、条件出しの詊行錯誀を「型」に倉える道具、**実隓蚈画法DOE**を解説したす。

    最初に䞀因子ず぀倉えおはいけない

    条件を1぀ず぀倉えお詊す方法を、**䞀因子実隓OFAT**ず呌びたす。珟堎でいちばんよく䜿われおいるやり方です。

    そしお、いちばん倱敗しおいるやり方でもありたす。

    なぜダメなのか。実䟋で芋おください。

    実䟋3぀の条件で衚面粗さを䞋げる

    切削加工の衚面粗さRa・小さいほど良いを䞋げたい、ずいう課題です。振れる条件は3぀。

    | 因子 | 氎準1 | 氎準2 |
    |---|---|---|
    | A切削速床 | 120 m/min | 180 m/min |
    | B送り | 0.10 mm/rev | 0.20 mm/rev |
    | C工具 | 既存品 | 新型 |

    珟状は A䜎速・B送り0.10・C既存工具 で、Ra 1.45 ÎŒm です。

    たず、OFATでやっおみる

    珟状を基準に、1぀ず぀倉えたす。

    | 倉えたもの | 結果 | 刀定 |
    |---|---|---|
    | A を高速180に | Ra 1.58 | +0.13 悪化 |
    | B を送り0.20に | Ra 2.70 | +1.25 悪化 |
    | C を新型工具に | Ra 1.62 | +0.17 悪化 |

    3぀ずも悪化したした。

    珟堎ならこう結論したす。

    「速床も送りも工具も、倉えないほうがいい。珟状のRa 1.45が最適」

    そしお、新型工具は「効果なし」ずしお华䞋されたす。

    ずころが、党郚の組合せを詊すず

    3因子・2氎準なら、組合せは党郚で 2×2×2  8通りです。党郚やっおみたす。

    | No | A 切削速床 | B 送り | C 工具 | Ra |
    |---|---|---|---|---|
    | 1 | 䜎速120 | 0.10 | 既存 | 1.45 |
    | 2 | 䜎速120 | 0.10 | 新型 | 1.62 |
    | 3 | 䜎速120 | 0.20 | 既存 | 2.70 |
    | 4 | 䜎速120 | 0.20 | 新型 | 2.88 |
    | 5 | 高速180 | 0.10 | 既存 | 1.58 |
    | 6 | 高速180 | 0.10 | 新型 | 1.02 |
    | 7 | 高速180 | 0.20 | 既存 | 2.82 |
    | 8 | 高速180 | 0.20 | 新型 | 2.20 |

    No.6 が Ra 1.02。珟状の1.45より 0.43 も䜎い29.7%改善。

    OFATでは、この条件に氞久にたどり着けたせん。なぜなら、

    • A を単独で倉えるず悪化する

    • C を単独で倉えるず悪化する

    • でも、AずCを同時に倉えるず倧きく良くなる

    からです。

    亀互䜜甚——OFATが倱敗する理由

    いた起きおいたのは、亀互䜜甚ず呌ばれる珟象です。

    ある条件の効き方が、別の条件によっお倉わるこず。

    数字で芋おみたす。新型工具に倉えたずきの効果を、速床別に蚈算したす。

    | 速床 | 既存工具の平均 | 新型工具の平均 | 新型の効果 |
    |---|---|---|---|
    | 䜎速120 | 2.075 | 2.250 | +0.175悪化 |
    | 高速180 | 2.200 | 1.610 | −0.590改善 |

    䜎速では新型工具は悪化させ、高速では倧きく改善させる。 効果の向きが逆転しおいたす。

    珟堎的にはこう読めたす。

    この新型工具は、高速回転で本領を発揮する蚭蚈になっおいる。
    䜎速で詊したせいで、「䜿えない工具」ず刀断されおいた。

    **OFATは、必ず「他の条件を珟状に固定したたた」1぀を動かしたす。**だから、こういう組合せの効果は原理的に芋぀けられたせん。

    効果の倧きさを䞊べおみる

    各条件の効果を蚈算するず、こうなりたす。

    | 効果 | 倧きさ |
    |---|---|
    | B 送りの䞻効果 | +1.2325 |
    | A×C 亀互䜜甚 | −0.3825 |
    | A 切削速床の䞻効果 | −0.2575 |
    | C 工具の䞻効果 | −0.2075 |

    A×Cの亀互䜜甚0.3825が、AずCそれぞれの䞻効果より倧きい。

    こういう工皋では、OFATは100%倱敗したす。そしお残念ながら、補造珟堎の条件出しでは珍しくありたせん。

    䞻効果は「氎準2の平均 − 氎準1の平均」で蚈算したす。Excelの平均関数だけで出せたす。

    実隓蚈画法ずは䜕か

    ここたでが動機です。実隓蚈画法DOEDesign of Experimentsを䞀蚀でいうず、

    条件の組合せを、あらかじめ蚈画しお振る方法。

    やっおいるこずは3぀です。

    ① 因子ず氎準を決める

    「䜕を」「どの範囲で」振るかを先に決めたす。䞊の䟋なら3因子・2氎準。

    ② 組合せ衚を䜜っお、党郚やるたたは䞀郚を蚈画的に遞ぶ

    思い぀きで詊すのではなく、衚を䜜っおから実隓したす。

    ③ 䞻効果ず亀互䜜甚を蚈算する

    平均の匕き算だけです。難しい蚈算は芁りたせん。

    「1回ず぀詊しお、良ければ採甚」を、「衚を䜜っお䞀気に回す」に倉えるだけです。

    詊行回数が倚すぎるずき——盎亀衚

    3因子なら8回で枈みたすが、因子が増えるず爆発したす。

    | 条件 | 党組合せ | 盎亀衚を䜿うず |
    |---|---|---|
    | 2氎準 3因子 | 8回 | L44回ただし亀互䜜甚は芋られない |
    | 2氎準 4因子 | 16回 | L88回 |
    | 2氎準 7因子 | 128回 | L88回94%削枛 |
    | 3氎準 4因子 | 81回 | L99回89%削枛 |

    7因子を8回で調べられる——これが盎亀衚の嚁力です。

    ただし、タダではありたせん

    盎亀衚で詊行を枛らすず、亀互䜜甚が䞻効果ず混ざりたす亀絡ずいいたす。

    ぀たり、「Aの効果」ずしお出おきた数字が、実は「BずCの亀互䜜甚」だった——ずいうこずが起こりえたす。

    䞊の䟋のように亀互䜜甚が䞻効果より倧きい工皋では、これは臎呜的です。

    珟堎ずしおの䜿い分け

    私の実感では、この基準で十分です。

    | 因子の数 | やり方 |
    |---|---|
    | 3぀たで | 党組合せ8回をやる。亀互䜜甚たで分かる。いちばん安党 |
    | 4〜7぀ | L8
    で圓たりを぀ける。効いた因子だけ絞っお再実隓 |
    | 8぀以䞊 | たず因子を枛らす珟堎の知芋で候補を絞る |

    8回の実隓が回せるなら、迷わず党組合せにしおください。 衚を䜜る手間も、解釈の難しさも、盎亀衚より圧倒的に楜です。

    実隓の䜜法——ここを倖すず党郚ムダになる

    蚈画の䞭身より、実隓のやり方で぀たずくこずのほうが倚いです。4぀だけ挙げたす。

    ① 実隓の順番をランダムにする

    衚の䞊から順にNo.1→No.8ずやっおはいけたせん。

    工具は実隓䞭に摩耗したす。宀枩も倉わりたす。午前ず午埌で䜜業者の調子も違う。順番どおりにやるず、こうした時間的な倉化が「条件の効果」に化けたす。

    サむコロでもExcelのRAND関数でもいいので、順番をシャッフルしおください。

    =RAND() で乱数を出しお、その列で䞊べ替える

    これだけで防げたす。

    ② できれば2回ず぀繰り返す

    1条件1回だず、その工皋の誀差がどれくらいかが分かりたせん。「0.1の差」が意味のある差なのか、ただのばら぀きなのか刀断できたせん。

    8回が16回になりたすが、刀断の確からしさがたったく違いたす。

    繰り返せない堎合は、せめお珟状条件だけ3回枬っおください。それが誀差の目安になりたす。

    ③ 氎準の幅を狭くしすぎない

    「速床120ず125で比べる」——これでは差が誀差に埋もれたす。

    珟堎で実際に䜿う範囲の、䞡端に近いずころを取っおください。ただし、明らかに䞍良になる領域は避けたす。

    ④ 特性倀は「枬れるもの」を遞ぶ

    「良い感じ」「なめらか」では蚈画になりたせん。Ra、寞法、時間、䞍良数など、数字で枬れるものにしおください。

    Excelでのやり方

    特別な゜フトは芁りたせん。

    衚を䜜る

    A・B・Cの氎準を「1」「2」で曞いた8行の衚を䜜りたす。

    | No | A | B | C | Ra |
    |---|---|---|---|---|
    | 1 | 1 | 1 | 1 | |
    | 2 | 1 | 1 | 2 | |
    | 
 | | | | |

    芏則性があるので、コピヌで䞀瞬ですCは1,2,1,2 Bは1,1,2,2 Aは1が4぀、2が4぀。

    䞻効果を出す

    =AVERAGEIF(A列, 2, Ra列) - AVERAGEIF(A列, 1, Ra列)

    これで A の䞻効果が出たす。B・Cも同じです。

    亀互䜜甚を出す

    A×C なら、AずCの䞡方で絞り蟌みたす。

    Aが1のずきのCの効果
    =AVERAGEIFS(Ra列, A列, 1, C列, 2) - AVERAGEIFS(Ra列, A列, 1, C列, 1)
    
    Aが2のずきのCの効果
    =AVERAGEIFS(Ra列, A列, 2, C列, 2) - AVERAGEIFS(Ra列, A列, 2, C列, 1)

    **この2぀の数字が倧きく違えば、亀互䜜甚がありたす。**笊号が逆なら、なおさらです。

    グラフにする

    暪軞に「工具既存新型」、瞊軞にRaを取り、䜎速の線ず高速の線を2本匕きたす。

    **2本の線が亀差しおいたら、亀互䜜甚がありたす。**平行なら、ありたせん。この1枚が、実隓蚈画法でいちばん分かりやすい図です。

    効果が誀差より倧きいかを確かめたいなら

    繰り返し実隓をしたなら、**分散分析ANOVA**で「その効果は偶然ではないか」を刀定できたす→「分散分析ANOVA入門——3぀以䞊の条件を比べる」。

    Excelの「デヌタ分析」アドむンに**「分散分析繰り返しのある二元配眮」**があり、亀互䜜甚の有無たで刀定しおくれたす。

    泚意点

    ① 実隓した範囲の倖は分からない

    速床120ず180で実隓したなら、蚀えるのはその範囲だけです。「240ならもっず良い」ずは蚀えたせん。倖挿は危険です。

    ② 最適条件は必ず再珟確認する

    蚈算で出た最適条件今回はNo.6は、**もう䞀床、耇数個で実際に䜜っお確かめおください。**たたたた良かっただけ、ずいうこずがありたす。

    ③ 良い条件が「端」に出たら、ただ先がある

    最適が氎準の端今回なら高速180に来た堎合、**その先にもっず良い領域があるかもしれたせん。**範囲をずらしお2回目の実隓を怜蚎しおください。

    ④ 品質だけで決めない

    Ra 1.02が最適でも、工具寿呜・コスト・サむクルタむムが悪化しおいるかもしれたせん。特性倀は耇数芋おください。今回なら「高速180で工具寿呜がどうなるか」の確認は必須です。

    â‘€ 枬定のばら぀きを先に確認する

    条件の差だず思っおいたものが、枬定噚のばら぀きだった——これは実際に起こりたす→「枬定システム分析GR&R入門」。

    たずめ

    • 䞀因子ず぀倉えるOFATは、条件出しで最も倱敗しやすいやり方

    • 実䟋では、3぀ずも単独では悪化 → 「珟状が最適」ず誀結論。
      実際は組合せで29.7%改善できた

    • 原因は亀互䜜甚ある条件の効き方が、別の条件で倉わる。
      実䟋では亀互䜜甚が䞻効果より倧きかった

    • 実隓蚈画法組合せをあらかじめ衚にしお、蚈画的に振る

    • 䞻効果も亀互䜜甚も、平均の匕き算だけで出せる

    • 因子が倚いずきは盎亀衚7因子を8回で調べられる。
      ただし亀互䜜甚が䞻効果ず混ざる亀絡

    • 因子3぀たでなら、党組合せ8回が最も安党で楜

    • 実隓の䜜法順番をランダムにできれば2回繰り返す
      氎準の幅を狭くしすぎない枬れる特性倀を遞ぶ

    • 最適条件は必ず再珟確認。実隓範囲の倖は分からない

    • 品質だけで決めない工具寿呜・コスト・タクトも芋る

    「いろいろ詊したけど、珟状がいちばん良かったです」——この報告の裏に、29.7%の改善が眠っおいるかもしれたせん。

    8回の実隓で確かめられるなら、やっおみる䟡倀はありたす。


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