
小説 (仮)時を超えた想い 第48話
目を閉じると、涙が頬を伝うのがわかって余計に虚しくなるから目を開けた。
わたしの視界は大きく歪んでいて、そしてたくさんの光を集めている。
大粒の涙が今にもこぼれ落ちてしまいそうなことが、よくわかる。
虚しいはずなのに、見える景色は虚しくない。
ひどく不思議。
変だけど、、きれいだ。
、、海に、沈んでいるみたい。
むかしむかしに、海の上を漂いながらあいつとデートした時を思い出す。
ふざけて少し水中に潜って、そこから夜空を見上げた、、まるであの風景のようだ。
ちいさな、ちいさな、星の光をたくさん反射して
水面をキラキラと揺れながら輝く。
瞬く星がどれだかわからないほどにたくさんの水面が輝いていて、とにかく綺麗としか感じなかった。
あの、風景みたいだ。
ぐすっ
両腕で目元を大きく擦り、涙を拭う。
不思議と口元は緩んで微笑んでいた。
こうして幸せだった時を、 ふとした瞬間に思い出すだけで笑みが零れる。
割と単純だな、わたし笑
きれいだった、本当に綺麗で吸い込まれそうな、永遠だと思えるようなあの光景をこうして思い出せる。
たくさんのちいさな幸せは、わたしを笑顔にするから不思議なものだ。
あいつが言っていた"魔法みたいだ。"なんてセリフは、こんなちいさな幸せの為にあるものなのかもしれない。
「…まー、あいつは
そんなくっさいことに対して言った訳じゃ
ないだろーけど?
…ふっ、ふふふっ
くすくすくすっ」
やっばい。
一人で笑うとか、やっばい笑
そんな事を思いながら一人声を押し殺して笑うわたしの隣で、ラッキーが ふぅん と鼻を鳴らして欠伸をした。
そしてその後、いびきをかき始めた。
…カーテンから朝日が入る。
朝の日差しが眩しい。
さて、今日だ。
約束の時間まで数時間はある。
ラッキーと共に水を飲みながら先日撃墜させたドローンを分解して、必要な部分のみ取り出しておくことにした。
ラッキーには補助食加工した虫を食べさせておく。この家に虫が出るとは限らないからね。
「あ、そうだ、発電もしとかないと…」
いそいそとトイレに向かう。人の家のトイレがどんな仕組みになっているのか少し気になる。
ワンッ!
と嬉しそうに吠えながらなぜかまたトイレに着いてくるラッキーをがんばって追い払い、トイレしたり発電に使ったり、案外あっという間に時間は経った。
使えそうなドローンの部品は加工して、、
弾丸として使用できる状態で補填しといたし、、
「よし。行きますか!ラッキー、カム。」
わうっ
と元気よく吠えるラッキーとわたしは、日が暮れる街へ飛び出した。
1キロの移動なんてあっという間過ぎた。