
もしも学習指導要領が「弁当箱」だったら(中)
(前回のつづき)
今回の「論点整理(素案)」は、
「主体的・対話的で深い学びの実装」
「多様性の包摂」
「実現可能性の確保」
を3本の柱とし、そこに情報教育の拡充や授業時数の弾力化、教科書の精選などを加味したものだと言えるだろう。
ちなみに、注目の「カリキュラム・オーバーロード」の問題については、学校ごとに授業時数を一定の範囲で調整できる「調整授業時数制度」の創設を盛り込んでいる。
言い換えれば、抜本的な授業時数・学習内容の削減には踏み込んでいない。
だが、日本の国際競争力が低下しているという指摘や、直近の全国学力・学習状況調査の結果などを踏まえれば、いいかどうかは別として、この方向性は予想されていたことである。
そうしたなかで新設される予定の「調整授業時数制度」は、多様な子どもたちを包摂できる教育課程の実現に向けて、標準授業時数の弾力化を可能にするという触れ込みである。
また、それによって浮いた授業時数を活用して「裁量的な時間(仮称)」を設け、子どもの特性に応じた学習支援や教員研修に充てることができるとしている。
表面的には「インクルーシブ教育」の視点から、学習面や行動面に著しい困難を抱える子ども、不登校の子ども、特別な才能を持つ子どもなど、多様な児童生徒を包括的に支えようとする制度だと言えよう。
その一方で、標準授業時数の弾力化を可能とすることによって、「カリキュラム・オーバーロード」の問題についても一定の配慮を示したと言える。
このほか、不登校などの特別な配慮を必要とする児童生徒のため、個別のニーズに合わせた「特別の教育課程」の編成・実施や、子どもの状況に合わせた学年区分の柔軟化なども検討されている。
「弁当箱」にたとえれば、箱に全員同じ分量のご飯やおかずを詰め込むのではなく、学校の実態や児童生徒の状況に応じてその量や詰め方、場合によってはおかずの種類を変えていこうとするものなのだろう。
(つづく)