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もしも学習指導要領が「弁当箱」だったら(下)

    立田 順一

    (前回のつづき)
     前回の記事でも述べたように、次期学習指導要領の策定に向けた「論点整理(素案)」では、
    「主体的・対話的で深い学びの実装」
    「多様性の包摂」
    「実現可能性の確保」
     が3本の柱となっている。

     1本目の柱に出てくる「主体的・対話的で深い学び」は、現行の学習指導要領の目玉だったとも言える。その「実装」が今回の「論点整理(素案)」の中で強調されているということは、その実現が道半ばだという現れだろう。

     そこへ2本目の柱として「多様性の包摂」が加わり、さらには生成AIやデジタル教科書をはじめとする教育DXの推進が「トッピング」される見通しだ。

     仮に「調整授業時数制度」を活用したとしても、今よりも「やることが増える」のは確実ではないだろうか。

     この状況を「弁当箱」にたとえるならば、
    ・箱に詰めるご飯やおかずの量・種類は、平均すると今よりも微増
    ・学校の実態や児童生徒の状況に応じて、箱に詰める量、種類、詰め方などを変える必要が生じるため、弁当をつくる側の負担は増加
     ということになるだろう。

     もちろん、「上手くやる」自治体や学校は出てくるに違いない。けれども、結果的に「先見性や実行力のある自治体・学校」と「そうでないところ」との差が拡大するように思われる。

     もっと正確に言えば、「差が拡大する」というよりも「差が見えやすくなる」ということなのかもしれない。


     こうした自治体間・学校間の格差を生まないようにするために大切なのが、3本目の柱である「実現可能性の確保」なのだろう。

     今回の「論点整理(素案)」で示された理念を学校現場で本当に実践化できるようにするためには、
    ・自治体レベル、学校レベルでの「底上げ」の支援
    ・自治体間、学校間の実践共有ネットワークの構築
    ・子どもの学びを行政ぐるみ、地域ぐるみで支える仕組みづくり
     などが不可欠だ。

     その点で、柱の1本として「実現可能性の確保」を位置付けたことは高く評価したい。

     ・・・せっかく数多くの有識者が時間と労力をかけて次期学習指導要領について議論をしてきたのだから、「絵に描いた餅」「紙に書いたキャリア・パスポート」にならないことを願いたいものだ。

     
     
     
    横浜市在住。現在は東京学芸大学教職大学院の特命教授。教育関連のことを中心に書いていきます。

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