トランプ政暩の関皎政策盞互関皎ずEU

新たな貿易摩擊の幕開けか



「盞互関皎」reciprocal tariffsの導入
 2025幎4月2日、トランプ倧統領は、これたで䜎く蚭定しおきた関皎を10に匕き䞊げるこずを衚明した。これは䞖界䞭の党おの囜から茞入される党商品を察象にした基本皎率であり、茞入超過が慢性化しおいる囜の産品には、より高い関皎が課される参照。䟋えば、アメリカはEUずの貿易で赀字に陥っおおり、それを解消するため、EUからの茞入にかかる関皎率を埓来の1から20に匕き䞊げた日本に察しおは24。なお、厳密には、「茞出囜」ではなく、「原産囜」原産地ごずに関皎率は決められおいる。たた、EUは囜ではなく、27のペヌロッパ諞囜が加盟する囜際機関であるが参照、加盟囜は貿易に関する暩限を党おEUに移譲しおおり、この囜際機関によっお党加盟囜に共通の通商政策関皎を含むが策定されおいるため、個々の囜ではなく、EUが「盞互関皎」の察象にされおいる。

 䞀般に関皎は茞入品目によっお異なり、工業囜であれば、工業補品よりも蟲産物にかかる関皎率を高く蚭定しおいるが、前述したように、「盞互関皎」は品目によっお異ならない。なお、トランプ政暩は、別途、特定の補品を察象にした制床を導入しおおり、䟋えば、自動車やその郚品には、䞀埋25の関皎を課しおいる。これは原産囜を問わない䞖界共通の関皎であり、「盞互関皎」より2日早い4月3日、適甚が開始された。それたでEUからの茞入車にかかる関皎は平均しお2.5でありこれに察し、米囜車に察するEUの関皎は10ず高い、倧幅に匕き䞊げられおいるため、「盞互関皎」より泚目されるこずが倚い。なお、かねおよりアメリカはフォヌド瀟の䞻力補品であるピックアップ・トラックF-150には、この囜内メヌカヌを保護するため、25の関皎を課しおいる参照。「トランプ関皎」はこの措眮を党おの車皮に拡倧する措眮に過ぎない。

 すでにトランプ政暩の第1期目、EUや䞭囜等ずの察立を匕き起こした鉄鋌・アルミニりム補品も「盞互関皎」の察象から陀倖されおおり、3月䞭旬、関皎率は、茞出先を問わず、25に倉わっおいる。なお、医薬品や半導䜓のように、関皎が匕き䞊げられない補品もある。

 EUにずっお米囜は䞖界最倧の貿易パヌトナヌであり、自動車の茞出でも巚額の利益を䞊げおいるだけに、関皎匕き䞊げの圱響は蚈り知れない。すでにトランプの政暩埩垰ずずもにEU経枈は萜ち蟌んでおり、景気の本栌的な埌退が譊戒されおいる参照。それ以䞊に急萜しおいるのはホワむトハりスに察する信頌感であり、トランプ政暩の特別顧問を務めるマスク氏に察する反感も匷たっおいる。圌がCEOを務めるテスラ瀟の自動車販売台数はペヌロッパでも萜ち蟌んでいるが、これには圌の政治掻動が圱響しおいるず分析されるこずも少なくない参照。

 第2次䞖界倧戊埌、EUずアメリカは協力し、「西偎」の秩序を築いおきた。珟圚は察ロシア制裁でも足䞊みを揃えおいるが、経枈面では争いを繰り返しおおり、䞀方の貿易措眮が報埩合戊に発展したこずもある。EUの行政機関である欧州委員䌚は4月14日にも「第1匟」を発するずみらおいるが、それには立法機関ずの協議や承認が必芁であるため、必ずしも迅速に察応できるわけではない。もっずも、ホワむトハりスずの察立はこれが初めおではなく、盎近では20182021幎に察抗措眮を講じおいるため、「戊いの準備」はできおいる。ずりわけ、トランプ支持者が倚い州や囜際的競争力のあるIT郚門をタヌゲットにした報埩や、米囜を象城する物品ゞヌンズ、バヌボン・りィスキヌ、ピヌナッツ・バタヌ、オヌトバむ等にかかる远加関皎の「埩掻」が考慮されおいるが、アメリカは最も重芁なパヌトナヌ囜であり、ひず月かけお慎重か぀冷静に怜蚎するずしおいる参照。

動画出展 WRAL
挔説の党容

「盞互関皎」reciprocal tariffs

 トランプ倧統領は新たに導入する措眮を "reciprocal tariffs" ず呌んでおり、日本語には「盞互関皎」ず蚳されおいるが参照、確立した専門甚語ではない。圌は「アメリカからの茞入品に高い関皎を課しおいる囜にはアメリカも課す」ずいう趣旚でこの抂念を甚いおおり、関皎の倧幅な匕き䞊げを正圓化するために「盞互」ずいう抂念を甚いおいるず解される。圌に同調しないのであれば、「盞互関皎」ず呌ぶべきではない。もっずも、それを固有名詞、぀たり、トランプ政暩が2025幎4月5日から実斜する公的賊課ずしお捉えるこずもでき、説明の簡易化や明瞭化に資する点もある。

 なお、䞀般に「盞互性」は「他囜が貿易ルヌルを守るならば、自囜も守る」「盞手が守らないならば、我々も守らない」ずいう意味で甚いられおおり、このようなアプロヌチは匷制執行力を持たない囜際法を他囜にも遵守させるための方策ずしお広く認められおいる。これずは異なり、トランプ政暩は関皎匕き䞊げを正圓化するために、「盞互」、぀たり、「お互いさた」ずいう抂念を甚いおいるず考えられるが、埌述するように、「盞互関皎」は囜際貿易法WTO法に合臎しおいない。

 䞀般に関皎率は茞入品目間で異なっおいるため、䞀抂には蚀えないが、これたでアメリカは関皎率を非垞に䜎く蚭定しおきた。EUからの茞入品に課される皎率は平均しお僅か1である参照。新政暩がそれを著しく匕き䞊げるのは巚額の貿易赀字を解消するためであり、諞倖囜やEUは米囜補品に高い関皎やその他の貿易障壁を蚭け、茞入を劚げおいるずいうトランプの持論に基づいおいる。圌は諞囜の関皎率を独自に算定し、それず同率ではなく、半分の倀の関皎を他囜に課すずしおおり、自らの寛倧さを吹聎するこずにも抜かりがない。なお、この算出法は必ずしも明らかになっおいないが、貿易赀字の額をベヌスにしおおり、それを盞殺するために必芁な倀ず解される参照。

 そもそも関皎ずは茞入品に課される皎金であり、倖囜産品の䟡栌を䞊げるこずで販売力を䜎䞋させ、囜内産を保護するこずを目的ずした公的賊課である。トランプは茞入品に圧迫されおきた囜内産業の「解攟」を宣蚀しおおり、メディアはこのポピュリズムをセンセヌショナルに報道した参照。たた、かねおより圌は、米囜内で生産するならば、関皎を支払う必芁はないずし、䌁業に生産拠点のアメリカ移転を蚎えおいる。むノノェヌティブな研究開発が進む米囜は先端技術で䞖界をリヌドしおいるだけではなく、寛容な移民政策の恩恵もあり、優秀な人材を確保しやすいため、合衆囜ぞの移転を䜙儀なくされおいるベンチャヌ䌁業もある䞀方、倧勢の埓業員や倧芏暡な斜蚭を抱える䌁業の移転は容易ではない。そのような䌚瀟が倖囜で生産する物品には高い関皎を課す䞀方、アメリカ囜民の皎負担を緩和する方針をトランプ政暩は衚明しおいる。぀たり、関皎は物䟡を䞊昇させるが、関皎によりアメリカの歳入は最うため、枛皎が実斜される予定である。消費皎が䞋がれば、たた、所埗皎の軜枛によっお実質所埗が増えれば、「盞互関皎」に起因する䟡栌䞊昇が盞殺される可胜性があり、アメリカ囜民はそれを期埅しおいる。なお、トランプが最も望んでいるのは倖囜䌁業が囜内䌁業に倉わるこずであり参照、ポピュリズムがアメリカの埩暩を垌求する倧衆の支持を埗おいるのは蚀うたでもない。

「盞互関皎」の適法性

 「盞互関皎」はアメリカの囜内法に基づいおおり、それに照らすず適法であるが、米囜はWTOWorld Trade Organizastion 䞖界貿易機関に加盟しおおり、「䞖界貿易の憲法」ず目されるWTO諞協定を遵守する必芁がある。自由で、公正な通商秩序を確立するため、同協定は締玄囜が茞入数量を芏制するこずを犁じおいるが、関皎を課すこずは認めおいる。これは数量制限が絶察的な貿易芏制にあたり、定められた量を越える茞入は行えなくなるのに察し、関皎は所定の金額させ払えば、制限なく貿易を行うこずが可胜なためである。ただし、関皎率の匕き䞊げは貿易の自由化に合臎しないため、蚱されおいないGATT第2条第1項。たた、党おの締玄囜を平等に扱う必芁があり、ある締玄囜に察する芏制のみを緩和し、その囜のみを最倧限に優遇するこずも認められおいない。぀たり、最も条件の良い措眮を党おの締玄囜に察しお適甚する必芁がある最恵囜埅遇、第1条第1項。トランプ政暩が導入した「盞互関皎」は数量制限には該圓しない点でWTO法に違反しないが、関皎率を匕き䞊げ、か぀、諞囜やEUを平等に扱っおいない点で違反する。

 ただし、WTO諞協定は幟぀か䟋倖を認めおおり、それによっお䞀方的な貿易芏制も正圓化されるこずがある。䟋えば、正垞な䟡額よりも安䟡で茞出し、茞入囜に損害を䞎えるような堎合、同囜はその補品に特別の関皎ダンピング防止皎を課すこずができるGATT第6条。もっずも、珟圚、米囜はそのような状況に盎面しおおらず、トランプ政暩もダンピング察策ずしお「盞互関皎」を導入しおいるわけではない。

 囜際貿易法は、茞入が急増し、囜内䌁業に倧きな損害を䞎える堎合にも、関皎の匕き䞊げを認めおいるがGATT第19条、米囜はこのような状況にない。たた、WTO諞協定それに含たれおいる「セヌフガヌトに関する協定」の第12条参照によれば、保護措眮の発動に先立ち、WTOに通報しなければならないが、米囜はそれを行っおいないず解される。

 WTO諞協定によれば、茞入品が囜の安党保障を脅かす堎合にも茞入芏制が認められおおりGATT第21条、 2018幎3月、぀たり、トランプは倧統領第1期目の䞭頃、安党保障を理由に鉄鋌やアルミニりム補品に察する関皎を匕き䞊げた。もっずも、圌はWTO諞協定が定める手続や発動芁件守らないどころか、それを無芖し、WTOからの脱退を口にしおいたほどである参照。

 圓時、アメリカは䞭囜ずの間で「貿易戊争」を行いかけおいたが、さらに、カナダやメキシコ、぀たり、米囜が䞻導するNAFTA北米自由貿易協定の加盟囜やペヌロッパから倧量の鉄鋌やアルミニりムが茞入された結果、それらを補造する囜内䌁業は衰退し、囜の安党保障が脅かされおいるず考えたトランプは䞡補品にかかる関皎を匕き䞊げるに至った参照。なお、倧統領に速やかな関皎匕き䞊げを提蚀した商務省ずは異なり、囜防総省は、たしかに䞡補品は茞入に䟝存しおいるが、アメリカ軍がそれらの調達に窮し、囜防を党うできなくなる危険性はないずした。むしろ、远加関皎によっお同盟囜ずの関係が悪化するこずに懞念を瀺しおいる参照。

 このように䞀囜内でも立堎は分かれるこずがある「安党保障に察する脅嚁」に぀いおWTO諞協定は䜕ら定矩を蚭けおおらず、締玄囜に倧幅な裁量暩が䞎えられおいるず蚀っおよい参照。1996幎、キュヌバに察するアメリカの制裁Herms-Burton Actが争点になったケヌスで、米政府は囜の安党保障は貿易問題ではなく、WTOの管蜄に属さないず述べおいる。このような䞻匵にも䞀理あるが、GATT第21条を揎甚する締玄囜には慎重な刀断が求められ、それは説埗力のあるものでなければならない。

 2018幎䞊半期、EUは米囜の関皎匕き䞊げに真っ向から反発するずずもに、WTOの枠組みを利甚し、米政府ず協議を重ねた結果、䞀旊、新しい措眮の発動は猶予されたが、同幎6月より実斜されるこずになったため、翌月、EUは米囜産のゞヌンズ、バヌボン・りィスキヌ等に25の「報埩関皎」を課した参照。これを受け、アメリカは茞入車にかかる関皎を25に匕き䞊げる構えを芋せたため、䞡者間の察立ぱスカレヌトし、同幎10月、EUはWTOの玛争解決機関に提蚎するに至った。ずころが、2021幎12月、EU・米間で亀枉が成立したため、䞡者間の手続は、翌幎1月、䞭止された参照。これに察し、䞭囜、ノルりェヌ、スむス、トルコは蚎えを取り䞋げなかったため、手続が続行し、2022幎12月には小委員䌚パネルの刀断が瀺されおいる。それによれば、鉄鋌ずアルミニりムに察する米囜の远加関皎はGATT第21条によっお正圓化されず、最恵囜埅遇GATT第1条第1項ず関皎匕き䞊げの犁止第2条第1項に違反する。この玛争解決機関パネルは安党保障を図るために貿易制限が必芁になる理由は客芳的に審査されなければならないずも述べおいるが、米政府は、これを䞍服ずし、䞊玚委員䌚に控蚎する意向を瀺しおいた。もっずも、同委員䌚は2019幎末より埌任人事が行われおおらず、機胜停止状態にあったため、控蚎審は開かれおいない。

 なお、WTO加盟囜は他の加盟囜の措眮を自ら違法ず刀断し、察抗措眮を発しおはならず、WTOの玛争解決手続を利甚する必芁がある。ただし、前述したセヌフガヌド措眮に぀いおは、玛争凊理機関が刀断を瀺す前に、その承認の䞋、察抗措眮を講じるこずができるセヌフガヌド協定第8条第2項。そのため、2018幎、EUは米囜の远加関皎を安党保障にかかる措眮ではなく、セヌフガヌド措眮ずしお捉えおいたが、米囜の意向にも、その措眮の実態にも合臎しおいない。

EUに察する「盞互関皎」

 これたでアメリカはEUからの茞入品に平均しお1の関皎を課しおいたが、2025幎4月2日、トランプはこれを䞀埋20に匕き䞊げる倧統領什に眲名した。この「远加関皎」ないし「盞互関皎」の理由ずしお、圌は囜の安党保障ず囜内産業の保護を挙げおいるが、端的には茞入超過を解消するために必芁な措眮であり、それは倧統領什の名称参照にも衚われおいる。2023幎、アメリカはサヌビス郚門でこそ、1090億ナヌロの黒字であったが、物品郚門ではそれを垳消しにする倧幅な貿易赀字を蚈䞊した結果、トヌタルでは480億ナヌロの赀字であった。なお、この額はEU・米間の貿易総額の3に過ぎず、決しお倧きな額ではないず欧州委員䌚は捉えおいる参照。

 この貿易赀字を解消するため、トランプ政暩はEUに察する「盞互関皎」を20にしたず考えられる。なお、EUは米囜からの茞入に平均しお1の関皎を課しおいるが参照、付加䟡倀皎や補品の品質管理基準ずいった非関皎障壁が築かれおおり、それを含めるず、関皎率は39になるずトランプ政暩はみ぀もっおおり、「盞互関皎」はそれを半分にしたものである。消費皎の䞀皮である付加䟡倀皎や品質管理基準はEU内で生産されたか、たたは、茞入されたものであるかを問わず、党おの商品に平等に適甚されるため、EU偎はそれらは茞入を劚げる芁因になっおいないずし反論しおいる参照。たた、ホワむトハりスはブリュッセルの品質管理基準消費者保護、劎働者の安党保護を含むを䞍圓に批刀するものであり、受け入れられないずする芋方もある参照。

 なお、「盞互関皎」は囜ごずに決められおいるのに察し、EUは囜ではなくが、27のペヌロッパ諞囜が加盟する囜際機関である参照。もっずも、加盟囜は関皎やその他の貿易に関する暩限は加盟囜からEUに完党に移されおいるため、アメリカずの貿易に぀いおもEUが定めおいる。たた、付加䟡倀皎の枠組みや品質管理基準に぀いお定めるのもEUであり、加盟囜ではない。そのため、トランプ政暩は個々の加盟囜単䜍ではなく、EUを察象にしお、関皎率を決定した。このような実務は広く認められおおり、EUが加盟囜に代わっお行動するのはWTOでも受け入れられおいる。なお、か぀おEUずの間で貿易摩擊が生じたずき、アメリカは圱響力のある加盟囜䟋えば、フランスに報埩を加えるため、その䞻芁な茞出品に高い関皎を課すこずもあったが、「盞互関皎」はそのような制床をずっおいない。珟圚は特定の加盟囜ず察立が生じおいるわけでもない。

EUの察応

 前述したように、EU加盟囜は貿易に関する暩限を党おEUに移譲しおおり、ホワむトハりスずの亀枉は、個々の加盟囜ではなく、EUによっお行われる。EUでそれを担圓するのは欧州委員䌚であり、委員長自らが米囜ず亀枉するこずもたれではない。「盞互関皎」に関しおも、珟委員長のフォン デア ラむ゚ンは、こずあるごずに発蚀しおおり、トランプ挔説の前日にあたる4月1日には欧州議䌚で挔説し、保護䞻矩を批刀した。たた、䞀般の垂民に向けた解説はすでに2月に公開されおいる参照。

動画出展 EU Debates | eudebates.tv


 4月2日のトランプ挔説埌、欧州委員䌚は政策の芋盎しを求め、ホワむトハりスず協議するこずを明らかにした参照。EUは倧西掋間の亀枉にナむヌブではなく、ホワむトハりスずの正面衝突を厭わない傟向にある参照。
 
 亀枉の「ガむドラむン」ずなるのはWTO諞協定であり、同協定はEU法の䞀郚になっおいる。EUの前身にあたるEECも、1958幎、この䞖界貿易法に照らし蚭立された。党おのEU加盟囜はWTOにも加盟しおいるが、そのメンバヌシップはEUが代行するようになっおいる。

 なお、「盞互関皎」が囜際貿易法に違反するこずは明確であるが、EUがWTOに蚎えるこずなく、察抗措眮を講じるずすれば、自ら囜際法違反を犯すこずになり、適切ではない。その䞀方、WTOの制床を利甚するずすれば、速やかに察抗するこずはできず、「盞互関皎」を受け入れざるをえない状態になる。

 2019幎以降、WTOの玛争解決制床参照は完党に機胜しおいないが、この囜際機関に蚎えるこずには、「盞互関皎」の執行を差し止める効力はない。数幎の玛争解決手続を経お、「勝蚎刀決」を埗たずしおも、それを匷制執行する制床をWTO法やその他の囜際法は持っおおらず、EUはWTOの蚱可を埗お、察抗措眮を講じるこずができるに過ぎない。これは米囜の貿易芏制によっお生じた経枈的損倱を経枈的に補填するこずであり、貿易の自由化を達成するものではないこずが倚い。

 「盞互関皎」や茞入車ににかかる远加関皎に「報埩」を加えるこずは時期尚早であるが、EUは、4億5000䞇の垂民ず富をを守るため、4月14日にも「報埩の第1匟」を発するずみられおいるが、実際に発動すれば、EUもWTO諞協定に違反するこずになるばかりか、米囜ずの察立の激化は避けられない。トランプはワむンやシャンパヌニュに200の報埩関皎を課すこずを衚明しおいるが参照、EUは匱腰ではなく、米囜が囜際的競争力を誇っおいるIT産業や同囜を象城する物品ゞヌンズ、りィスキヌ等に高い関皎を課すこずも考慮されるおいるが、ひず月かけお慎重か぀冷静に怜蚎するずしおいる。たた、南米諞囜メルコスヌルずの連携匷化を求める声もある。

 なお、EUは「法的共同䜓」であり、察抗措眮の発動を認める独自の法が敎備されおいなければ、それを発するこずはできない。前述したように、EU・米囜間の貿易摩擊は過去にも床々、生じおおり、EUは察抗措眮の発動を可胜にする法埋を敎備しおきた。珟行法である芏則第652/2014は、EUの機胜に関する条玄第207条に基づき、2014幎5月、欧州議䌚ずEU理事䌚によっお制定されおおり、同芏則第7条第2項は察抗措眮を講じる暩限を欧州委員䌚に䞎えおいる。これは「絵に描いた逅」ではなく、2018幎7月、委員䌚は米囜に察しお「報埩関皎」を発動しおいるが、これは貿易玛争をかえっお悪化させるこずになった。

 察抗措眮の発動に関し、欧州委員䌚は唯䞀の意思決定機関であり、狭矩の立法機関である欧州議䌚ずEU理事䌚ず共同で措眮を発する必芁はないが、議䌚ず理事䌚は委員䌚の決定を芆すこずができる芏則第652/2014号第40条第5項。それゆえ、委員䌚は事前に議䌚の意芋を聎取し、か぀、理事䌚加盟囜ず協議するこずが必芁になる。なお、欧州議䌚もかねおよりトランプ政暩の動向を泚芖しおおり、欧州委員䌚ず密接に連携しおいる。

 EUは27の囜の連合䜓であるが、議題をめぐり、加盟囜が激しく察立するこずも少なくなく、近時は、りクラむナぞの支揎やロシアぞの制裁に぀いお察立が生じおいる。もっずも、「盞互関皎」に反発しおいる点では足䞊みが揃っおおり、トランプ政暩ずの察立はEUずしおの䞀䜓性を高める機䌚になりうる。ずはいえ、その意思決定手続は耇雑であるため、4月14日、玄440䞇のEU垂民を守るため、緊急の察応を行うものの、ひず月かけお慎重に、か぀、米囜ずの察立を深めないよう、冷静に刀断するずされおいる。

 トランプ倧統領の「解攟宣蚀」、すなわち、茞入品から囜内産業を守るずいう挔説を受け、自由貿易のルヌルや䟡倀芳を守る必芁性を蚎えるメディアも少なくないが参照、WTO諞協定は自由貿易を絶察的な制床ずしお保障しおおらず、加盟囜の亀枉に倧きく委ねおいる。぀たり、ある囜の貿易制限によっお被った経枈的䞍利益は察抗措眮によっお補うほかない。たた、䟋倖を党く蚭けず、たた、囜内の特定の産業を支揎するこずなく、自由貿易を掚進しおいる囜などなく、䞖界貿易は盞互の利益調敎によっお成り立っおいる。トランプ政暩のポピュリズムも自由貿易がもたらした匊害の珟れずしお捉えるこずができる。

 トランプ政暩の「盞互関皎」がWTO諞協定に反するこずが明らかな堎合であれ、EUがそれを自ら確定し、報埩に出るこずはWTO諞協定に反する。珟圚、WTOの玛争解決手続は麻痺しおいるずはいえ、小委員䌚パネルに蚎える必芁があり、その刀断に先立ち、察抗措眮を講じおはならない。なお、前述したように、「盞互関皎」がセヌフガヌド措眮であれば、特䟋が認められる実際はそうではない。その堎合であれ、WTO諞協定が定める手続を守る必芁があるのは蚀うたでもない。

EUずWTO埓来のGATT

 EU内の貿易は完党に自由化されおおり、加盟囜間の茞出入に関皎は課されない。぀たり、EUの前身にあたるEEC欧州経枈共同䜓はGATT第24条がが定める「関皎同盟」ずしお蚭立された。この囜際協定は倧芏暡な貿易摩擊が第2次䞖界倧戊に発展したこずを螏たえ、終戊からほどない1947幎に制定されおおり、党おのEU加盟囜はGATT珟圚のWTOにも加盟しおいる。

 アメリカ、むギリス、むンド、䞭華民囜等を始めずするGATT締玄囜は公正で、自由な䞖界貿易秩序の確立ずいう理念では䞀臎しおいたものの、諞囜には保護すべき産業や特殊な制床があり、争いは絶えなかった。これを解決するため、玛争機関パネルが蚭けられるこずになるが、その手続に匷制力はなく、蚎えられた囜は手続の開始を阻止するこずができた。たた、仮に手続が開始され、パネルが刀断を瀺す状況に至った堎合であれ、「敗蚎」した囜はその採択を阻止するこずができた。1995幎に蚭立されたWTOは、このような欠点を改善しおいるが、締玄囜に違法状態の陀去を匷制するこずができない点は倉わっおおらず、「勝蚎」した締玄囜は、WTOの蚱可を埗お察抗措眮を発するこずができるに過ぎない。特に、「敗蚎」した囜に察する関皎の匕き䞊げが認められおきた。これは新たな貿易摩擊を生むこずになるが、諞囜間の経枈的な争いは経枈的に補うこずで劥協しなければならないこずが倚い。

 第2次䞖界倧戊埌、EUは米囜ず共に「西偎」の秩序を築いおきたが、経枈面では察立が続いおいる。䞡者間の貿易玛争ずりわけ、EUのバナナ垂堎芏則をめぐる争いは1995幎に刷新された玛争解決制床の実効性を詊すこずになるが、抂しお、双方はWTO法違反の陀去ではなく、盞手方の報埩措眮を受け入れるこずで察凊しおきた。今日でもEUぱアバス瀟に察しお、他方、米囜はボヌむング瀟に察しお違法な公的支揎を行っおおり、それぞれが囜際貿易法に違反しおいるこずはWTOによっお確認されおいるが、状況は改善されおいない。

 なお、EUはGATTが定める「関皎同盟」を基瀎ずしお蚭立されたが、GATTずは異なり、盞互性に䟝拠しおおらず、EU法の遵守は絶察的であり、違法状態を残したたた、亀枉により争いを解決するこずは蚱されおいない。たた、他の加盟囜がEU法を守っおいないため、自囜も守らないずするのは蚱されおおらず、他の加盟囜の状況にかかわらず、EU法䞊の矩務を履行しなければならない。もっずも、近幎は、EU法を守らないばかりか、EU裁刀所の刀決に埓わない加盟囜もあり、法の支配を脅かす状況が生じた。