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【連載小説】虹の架け橋 ━━第1話━━  ヤリ手ババアと若き営業マン

    「あんた、この部屋いくらで売れる?」

    湾岸の超高級タワマン42階。
    ガランとしたリビングに敷かれた
    ブルーシート。
    そこに座る謎の老女・木崎アサが、
    若き営業マン・タカハシに課したのは
    常識を超えた要求と、誰もが羨む「黄金のリスト」だった。

    欲望と執念が渦巻く湾岸エリアを舞台に、
    不動産の本質を炙り出すエンターテインメントが、今、始まる。

    第1章

    第1話

    ヤリ手ババアと若き営業マン

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    42階、2億円の査定依頼─────────────────────────────

     電話で査定依頼があったのは、昨日の昼だった。
     不動産営業マンのタカハシは、スマホのアラートを確認して、その電話の主へ会いに行こうとしていた。

     世はマンションブーム。昨今は、自分の住むマンションの値上がり具合を気にする一般人が増えている。『住みながら投資』とか『半住半投』とか言われているやつだ。売る気もないくせに売却価格査定の依頼が舞い込んでくる。大抵はインターネットによる机上査定止まりで、訪問査定にはたどり着かない。将来の顧客リストを手に入れられるのは悪い話ではないが、タカハシの歩合報酬には反映されない。できれば机上査定はやりたくはない雑用だ。不動産仲介は、売買が成立して初めて売り上げとなる商売。とりあえず媒介契約を取りたいが、それには訪問査定が第一関門となる。

     ただただ、売り物件を探すのみ。最近はそんな調子だったところに、昨日の電話である。机上査定をすっ飛ばし、いきなりの訪問査定依頼。たまたま昼休みを返上して電話番をしていたのがラッキーだった。
     昨日は朝から所長に売り上げの進捗について詰められていただけに、今朝はこの査定訪問について「がんばれよ」と声を掛けられていた。
     電話の主は、中高年らしき、しゃがれ声の女性であった。「キザキ アサ」と名乗り、開口一番、訪問査定をしてほしい旨と物件名、部屋番号、部屋の向き、広さを淀みなく言った。それは、湾岸エリアのタワマンで、タカハシのグループ会社が分譲したブランドマンションであった。

     42階の4224号室、南東角住戸、92.36㎡の3LDK。タカハシは昨日、メモを取りながらも、すぐにその物件を思い浮かべることができた。南側が海に面した48階建てタワマン。相場から類推して2億円前後の取引となるだろう。売却価格の3%+6万円+消費税でざっと仲介手数料は666万6000円である。さらに買い手も見つけた両手取引なら、2倍の1333万2000円の売上だ。ノルマ達成どころか、支店スタッフ全員に笑顔で拍手を受ける情景までもが目に浮かんだ。よーし、やってやる! タカハシは足取りも軽く、もはやスキップする勢いで、そのマンション『ガーデンタワー湾岸』に向かった。

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    威風堂々たる「リゾート」の正体
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     竣工は2019年、総戸数は1023戸。『ガーデンタワー湾岸』は、1棟建てとしてはかなり大規模である。その名の通り、敷地内に広々とした庭があり、2階から1階にそそぐ滝がリゾートホテルを思わせる。レインボーブリッジが一望できるビューラウンジや親族等が宿泊できるゲストルーム、最新刊の新聞・雑誌が読めるライブラリー、フィットネスジムやフットサルコート、バスケットゴール、キャンプやバーベキューのサイト、自家製野菜ガーデン、ランドリールーム、キッズルーム等、他にはない豊富な共用設備を持つ。
     こういった特徴が子育て世代のハートをつかみ、最近の取引価格は新築分譲時の2倍以上になった。この物件が欲しいという問い合わせは少なくないだけに、不動産仲介をしている者なら喜んで扱いたい物件と言っていい。

     タカハシは、自転車を漕いでいた。支店から『ガーデンタワー湾岸』までは5分程度。その外観は、総戸数が多いだけに一般的なタワマンに比べてひときわ大きく、遠くからでも視認できる。
     マンション敷地付近の路上に自転車を止めて鍵をかけ、改めて『ガーデンタワー湾岸』を仰ぎ見る。青空に向かってそびえたつ、威風堂々たるマンションである。正直、首がかなりツライ。風に大きな葉をなびかせているシンボルツリーのフェニックスでさえ、小さく見えてしまう。

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     テラコッタやレンガをあしらったリゾート感漂うファサードは、マンション名のレリーフを中央にして、2階のエントランスへ階段が左右に伸びている。その階段を上がるとき、タカハシは舞台に上がる俳優と自分の姿をオーバーラップさせてしまい、このマンションの内見時はいつも少々気後れする。
     エントランスまで上がると最初の自動ドアが優雅に開き、風除室に入る。オートロックドアの手前に設置されたインターホンを鳴らす。約束の時間、14:00ちょうどだ。
    「はい」
     昨日と同様の、少ししゃがれた女性の声だった。
    「四菱不動産販売のタカハシです」
     自動ドアは、無言のまま開いた。タカハシが館内に入る。

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    異質のブルーシート
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     キラキラとしたシャンデリアが天井から吊るされ、足元のモザイクタイルがその光を反射させていた。突き当たりは全面のガラス張りで、その向こうには湾岸エリアの海の景色が広がっている。
     タカハシは右に折れ、コンシェルジュカウンターのあるラウンジエリアに向かう。ホテルのロビーを思わせる広々としたスペースは、吹き抜けの天井が20メートル以上はあるだろう。
     漆黒のグランドピアノによる静かなクラシック音楽が自動演奏されている。天井まで続く南側の窓の外には水路が巡っていて、そのまま滝のように1階に落ちる。その音がまた心地よい。所々にセンスの良いソファセットやテーブルセットが並べられ、住人と思しき年配者が読書をしたり、小さな子ども連れの母親が寛いだりしていた。

     タカハシは、エレベーターホールに向かう。その手前に2つ目のオートロックインターホンだ。部屋番号を入れ、再度名乗ると無言のまま自動ドアが開いた。タワマンは、入室までに時間がかかる。やっとのことでエレベーターに乗り込む。35階まで一気に上がっていく高速エレベーターは、平日昼間のせいか乗り合わせた住民はおらず、42階までノンストップであった。

     絨毯敷きのホテルライクな内廊下を行く。4224。部屋の前でタカハシはもう一度、居住まいを正した。
     今日は何としても決めてやる。意気込んでインターホンを鳴らそうと思ったとき、不意にドアが開いた。そこにいたのは、年のころは70を超えたように見える、老婆というには少し若い、小柄な年配の女性だった。黒縁の丸眼鏡、化粧っけはなく、白髪混じりのひっつめの髪、ざっくりとしたグレーのセーターにパンツスタイルである。

    「タカハシさん、どうぞ入って」
     不意を突かれて、タカハシはいつものように挨拶ができなかった。営業マンは第一印象が大事なのに。
    「は、はい」
     女性はさっさと室内に戻っていく。
    「失礼いたします」
     タカハシは彼女の背中を見つめながら、室内に入った。
     玄関に客用スリッパの用意はなかったので、支店から持参した使い捨てスリッパを鞄から取り出し、そそくさと足を入れる。革靴を揃え、急いで後をついていった。玄関から続く廊下の左右にはドアが並んでおり、そのいくつかは開いたままだ。室内にカーテンはないが、この時間は東側に太陽は差さないため、窓からの光もそれほど強くはない。家具もないようなので、居住はしていないようだ。

     リビングに入る。
     正面にカーテンのない窓。広さは確か23帖だったか。昨日、間取り図は確認済みだ。窓の外には、湾岸エリアの景色が広がっていた。42階なので見晴らしはかなりいい。レインボーブリッジと、富士山も見える。リビングにもやはり家具はない。しかし、キッチンカウンターの前には、豪華な部屋には不釣り合いなブルーシートが敷かれ、その上にアウトドア用の折り畳み椅子が置かれていた。2脚のうちの一つに、女性は腰かけた。

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    サーっと見て、サーっと」
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     タカハシは内ポケットから名刺を取り出した。まずは挨拶である。
    「本日は、お声がけいただきまして、ありがとうございます。四菱不動産販売のタカハシでございます」
     電話で『キザキ アサ』と名乗っていたその女性は、無言で頷き、タカハシが両手で差し出した名刺を片手で受け取った。眼鏡の奥の落ちくぼんだ目が、一瞬名刺をにらむ。5年前に取得した「宅地建物取引士」の記載を確認しているのか、もしくは肩書を見ているのか。
     タカハシの肩書はチームリーダーとなっている。とはいっても、自分より格下は入社1年目の若手がひとり、別のチームに3年目がもうひとりいるだけだ。所属する湾岸支店は賃貸課と仲介課に分かれており、所長の下にそれぞれの課長がいて、仲介課長の下にチームが2つ。それぞれにリーダーが2人ずつ、その下に若手がひとりずついる。あとは事務スタッフの女性が2人いるだけだ。以前はもう少しいたが、湾岸エリアの物件が増えるにあたってエリアを細分化して支店を作るようになり、支店自体のメンバーが少なくなった。ある意味、同じ会社でありながら、支店同士が互いに競争しているような状態である。

     アサが名刺をキッチンカウンターの上に置いたのを機に、タカハシが切り出した。
    「42階はやはり見晴らしが素晴らしいですね。夜景なんかも、綺麗でしょうね」
     自分で思ったよりも大きな声が響いた。がらんどうの部屋では、どんな音も反響する。タカハシは大げさに聞こえるくらい、わざと感動的な言葉を口にした。不動産営業の基本は、まずは部屋をほめることである。窓に近寄り、外の景色を眺めながら畳みかける。
    「このエリアは何といっても、レインボーブリッジが見えることが強みとなります。いやあ、素晴らしい、本当に気持ちがいい。富士山も見えていますしね。しかも、こちらの部屋は90㎡以上で3LDKですからね。コロナ禍以降、広めの3LDKをご希望される方が非常に増えていまして……」
    「タカハシさん」
     突然遮られ、タカハシは言い淀んでアサの方を振り返った。その表情は、おべっかはいらないとでもいうような、硬いものだった。
    「もう、それくらいでいいから。とりあえず、室内をサーっと見て、サーっと。査定しに来たんだから。話は、それからでいいから」
     急いでいるのだろうか? タカハシは機嫌を損ねないようにしなければ、と気を取り直した。
    「あ、そうですね。早速、見させていただきます」
     ブルーシートの上にカバンを置き、昨日のうちに取り寄せておいた間取り図と査定シートを挟んだバインダーを取り出した。予め間取り図を調べておくのは、基本中の基本である。

     まずはリビングを見まわし、天井を見る。エアコンは天井埋め込み式タイプ、いわゆる『天カセ』だ。高級マンションたる設備だが、最近は資材高騰のせいか、高級物件と言われていても壁付けエアコンが増えている。天井にはオプション設備と思われるダウンライトもあった。壁のスイッチ類を見ると調光式のようだった。スイッチの横には、カメラ式インターホンと、リビングとダイニングに分けて使用できるガス式床暖房の操作パネルがあった。壁紙は新築当時のままで、エコカラットなどは見当たらない。キッチンを調べる。天板は天然石で、キッチンカウンターとデザインが揃っているため純正であろう。食洗機、ディスポーザー付き。シンクは傷ひとつなく、三口コンロも、グリルも使用した形跡はなく新品同様である。冷蔵庫置き場の電気焼けもない。
    「非常に綺麗なお部屋ですね。では、あちらの洋室なども拝見させていただきますね」
     アサは、無言で座ったままである。よく見ると、タブレット端末を覗き込み、なにやら調べ物をしているようだった。
     タカハシは、そのままリビングから各洋室、浴室、トイレ、玄関と順にチェックしていく。間取り変更の形跡はなかった。どの部分にも他にオプション設備はなく、居住された形跡もない。最後に、サッシ周りと建具の状態をチェックした。どの部屋も、建て付けの悪いところや壁紙の破れ、剥がれもなかった。リビング以外の居室にはエアコン設備もなかった。

    「お待たせいたしました」
     タカハシはリビングに戻り、声をかけた。
     いつの間にか窓辺に立っていたアサが振り返り、言った。
    「それでタカハシさん。この部屋はいくら?」
     突然の価格査定要求に、タカハシは面食らった。通常は、いったん持ち帰り、再訪問する。周辺の成約事例等をまとめつつ、所長と打ち合わせながら標準成約価格、スピード成約価格、チャレンジ価格の3段階に分けて査定書を作成し、後日改めて訪問して媒介契約する、というのが一般的である。
    「あー、そうですね。いったん持ち帰らせていただきまして、改めて査定書をお持ちいたします」
    「タカハシさん、どうぞ座って」
     ため息交じりにアサが言い、自分も座った。アルミ製のアウトドアチェアの軋み音が、ガランとしたリビングに反響する。
    「タカハシさんね、あなた、この街を担当して何年?」
     5年です、とタカハシは答えた。今の支店で5年、その前は横浜支店に5年いた。
    「このマンションは、あなたのグループ会社の物件でしょう? 間取り図だって用意してきているみたいだし、成約事例だってだいたい頭に入っているんでしょう? この仕様で坪単価、いくらかだいたいわかっているんだから、電卓出して、ほら、今計算してみて」
    「あっ、はい」
     促されるまま、カバンから会社の電卓を取り出す。仕事の際は、スマホではなく、表示が大きな電卓を使う。商談中に電話が鳴っても、数字が表示されたままのほうが都合がよい場面が多いからだ。電卓は不動産屋の必須アイテムといっていい。
     この部屋は92.36㎡。坪で計算すると約28坪である。この部屋なら坪単価は700万円はいけるだろう。カチカチと電卓を叩く。その音もまた、がらんどうの室内に乾いた音を立てる。
    「そうですね、坪700万円で1億9600万円でしたら確実かと。上値狙いなら、10%上げて2億1560万円ですから、募集をするならこの辺りのイメージでしょうか? ただ、最近の相場もありますから、一度持ち帰って改めて査定書をお出しいたします」
     アサは口をへの字にして、尖らせた。金額が気に入らないのだろうか?
    「そんな金額しか出せないの? じゃあ聞くけど、この部屋のウリ文句は何? マイソクにはどう書くの? メイン写真はどこにするの?」
     畳みかけられて、タカハシは言葉に詰まった。売却物件情報のチラシのことをマイソクというが、専門用語を使うのは業界の人間だ。正直、油断していた。初日からそこまで考えていない。
    「そ、そうですねー。やはりレインボーブリッジと富士山が見えるというのが最大の特長ですから、そこをキャッチコピーにして……」
    「まあ、大概はそんな感じだね。そんなの、このマンションに限らず、このあたりのマンションならみんなそうさ。このマンションの他の部屋もライバル、同じような景色の他のマンションもライバル。このあたりで今、いったい何件の区分が売られていると思っているの? それ全部との競争なんだからね。この景色で、このマンションならではの特長を出さないとね。まあ、タカハシさんの商売は、右から左に動かしていれば儲かる手数料ビジネスだから、面倒くさいのかもしれないけどね。でも、そういう点を全部わかったうえで仲介しないと、ノルマに追われるばっかりで、仕事がつまんなくなるよ」
    「はぁ」
     痛いところを突かれてしまった。まるで、所長に詰められていた昨日の自分を見られたかのようである。タカハシは、自分の顔が紅潮していくのを感じた。
    「その査定書ね、いつできるの?」
     通常は土日しか時間がないという売主が多いので、1週間後と言いたいところだが、アサの場合は土日は関係なさそうである。
    「早い方がよろしいでしょうか?」
    「そうだね、人生は短いから。このくらいの年になると、気が短くなるのよ」
     本気なのか冗談なのか、タカハシには判別はつかなかったが、アサが少し苦笑したように見えた。
    「でしたら、3日後にはご用意いたしますが、お時間はいかがでしょうか?」
    「じゃあね、4日後にして。その時にはマイソクのプランも出してちょうだい。1日長くしたんだから、準備できるでしょ。あ、お宅に媒介させるからね。その時、契約書も持ってきて」
     え、契約もできる? タカハシは急な展開に言葉を失った。
    「あ、ありがとうございます。それであの、契約には3種類あるのですが……」
     媒介契約には、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3つがある。一番うれしいのは当然、タカハシのみがこの物件を仲介する権利を持つ専属専任である。ライバルを意識せず売却先を見つけられる上に両手取引を狙えるチャンスも多い。

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    提示された『所有物件リスト』
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    「あ~、一般よ。申し訳ないけど、タカハシさんには、もう一社と競ってもらいますから」
     やはり、一般か。内心でガッカリしたが、今日のうちに媒介契約をもらえただけでも御の字である。
    「あ、それと、これを見て」
     アサがタカハシの目の前にA4サイズのタブレットを差し出した。先ほど、アサが眺めていたものだろう。画面をのぞき込む。

       『所有物件リスト』

     そこには、駅名とマンション名、部屋番号、広さ、部屋の向き、間取りがまとめられたリストが表示されていた。

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    「それね、私が持っている不動産のリストね。これ、全部売るから。タカハシさん、もしあなたがこの部屋を高く売ってくれたら、全部あなたに仲介を任せてもいいと思っているんだけど、どう?」
     タカハシは言葉を失った。なんなんだ、この人は。タブレットから顔を上げ、アサの顔を見る。ニヤリと笑ったその表情が、タカハシをゾクゾクさせた。興奮なのか恐怖なのか、タカハシにも判断ができなかった。
    「あ、スゴイですね。これ、全部所有されているんですか?」
     再びタブレットに目を落とす。スクロールすると、そこには湾岸エリアのめぼしいタワマンの名前がズラリ。数えると8棟それぞれに区分所有である。さらには都内の木造アパート数棟、RCマンション数棟。県外にもあるようで、一つは埼玉、あとはなぜか福岡にもいくつかの区分マンションとアパートを持っていた。
    「そういうわけだから、とにかく頑張って。取り急ぎ、4日後ね。このあと、あなたのライバルが来ることになっているのよ。だから、そろそろ帰ってちょうだいな」
     宝くじの一等を当てたような高揚感をジワジワと感じていたタカハシに、アサは冷水を浴びせる。
    「あ、はい。わかりました」
     慌てて立ち上がり、タカハシは鞄にバインダーと電卓をしまうと帰り支度をし、玄関に向かった。
    「ところで、あなたのライバルは誰だと思う?」
     玄関で革靴を履こうと屈みこんだタカハシは、背中越しに問いかけられた。どこだろう? 似たような財閥系の不動産会社か、もしくは駅前に3店舗出している湾岸に特化した地元密着のあの会社か……。タカハシが考えあぐねているのを見かねてアサが口にしたのは、意外な人物だった。

            ✦ ✦ ✦

    意外なライバルの名は?
    タカハシはシゴデキに生まれ変われるのか?
    人生史上最大のチャンスをかけての大勝負が
    いよいよ、始まるーー。



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    • 本作のストーリー、キャラクター設定、および掲載しているイラストの著作権は著者に帰属します。

    • 掲載イラストは、著者の作成したプロンプトおよびプロットに基づき、AI生成技術を用いて制作・構成したものです。

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    連載小説「虹の架け橋」執筆中。第1章はTALES掲載版で「創作大賞2026/お仕事小説部門」中間選考を通過。現在、第2章を鋭意執筆中。noteには、登場人物・木崎アサの作中エッセイを掲載。また、月イチ連作ホラーにチャレンジ。TALESとカクヨムにて同時公開中です。

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