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撤退、含み損の夜、NISA選びの3週間——27歳OLが2年で通った5つの分岐

    半年で資産が半分近く消えた27歳OLが、2年で見つけた『5つの転機』

    「-8,430円」——NISAの画面を開いて、初めて自分の口座が4桁マイナスになった夜。心臓のドクドクが止まらなくて、布団の中で目を閉じても眠れなかった、あの夜のことを、最近よく思い出します。

    あの夜、私はなんとか心を立て直して、翌朝には少しだけ笑えました。でも、あの夜を乗り切れるようになるまでに、私は2年かけて5つの転機を通ってきていた——それが、ここ最近の私の気づきです。

    27歳OLとして投資を始めて、ちょうど2年。失敗の1ヶ月、撤退の決断、NISA選びの3週間、含み損の夜、続ける仕組み。

    ぜんぶ、私が転んだり、立ち止まったり、決めたりした、普通のOLの普通の夜の話です。専門家ぶった話は、私にはできません。でも、もしアナタが今、似た夜にいるなら、私が辿った5つの分岐を、こっそり置いておきます。

    一つでも、誰かの今夜をちょっとだけ軽くする道しるべになれば、それで十分です。


    転機1 / FX手動の半年で、私は『自分は判断に向いていない』と気づいた

    投資を始めたとき、最初に手を出したのは手動FXでした。

    2024年の春、PayPayのポイント運用で300円が350円になった日——私はそこからチャートを毎晩見るようになって、気づけば10万円を一括で口座に入れていました。「もっと真剣に動かせば、もっと増えるかも」——そんな、後から振り返るとちょっとうぶすぎる確信で。

    その10万円が、半年で6万円台になりました。

    損失額は約4万円。コート1着分。同期との飲み会8回分。美容院2ヶ月分。金額として大きいかと言われると、人によります。私の手取り月収から見れば、1割を少し超えるくらいの傷でした。

    でも、4万円より、私を疲弊させたのは『時間』の方でした。

    朝の通勤電車で、ドル円が前日より下がっていないか確認する。昼休みのカフェで、ランチを食べながらチャートを開く。仕事中、トイレに駆け込んで、5分だけポジションを見る。上司に**「最近トイレ長くない?」**と冗談で言われた日、私は鏡の前で笑いながら、心の中ではドクドクしていました。

    夜、家に帰っても、布団の中で何度もスマホに手が伸びる。日付が変わってからも、「あと10分だけ」と画面を見つめる。気づけば朝3時で、月曜の朝、目の下のクマが消えていない。

    ——4万円が消えたことより、私の半年の生活が、4万円のために、ぐにゃぐにゃに歪んでいたことの方が、ずっと重かった。

    あの半年、私は**「自分の判断で投資を動かすこと」**に、明らかに向いていませんでした。メンタルが弱いから、ではない。判断ミスが多いから、でもない。たぶん、もっと根本的なところで、私の脳のつくりが、それに合っていなかったんです。

    失敗の1ヶ月、と書きましたが——正確には半年です。**「あ、これ向いてないな」と心の中で言葉にできるまでに、1ヶ月くらいかかりました。最初の1ヶ月は「もっと頑張れば」と思っていた。次の1ヶ月で「コツがわからない」と感じた。その次の1ヶ月で「やめる選択肢がチラつく」**ようになった。

    4万円は授業料として、**「自分は判断に向いていない人間だ」**と知るための、ちょうどよい金額だったのかもしれません。

    これが、私の転機1。失敗の1ヶ月が、自分の輪郭を教えてくれた。

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    転機2 / FXをやめる夜、『撤退』ではなく『方向転換』と呼ぶことにした

    失敗の1ヶ月(実質は半年)を経て、やめるという選択肢が、頭の中にぼんやりと浮かんでいました。

    でも、やめる勇気が、なかなか出ませんでした。

    なぜか。「ここでやめたら、4万円が確定する」——その感覚が、ずっと足を止めていました。「もう少し続ければ、取り返せるかも」。「ここで諦めるのは、負けだ」。「自分が決めたことなのに、途中で逃げるのは情けない」。

    投資の本では、これを「サンクコスト効果」と呼ぶそうです。払ったコストを取り戻したい一心で、撤退できなくなる心理。専門用語を借りるとそれですが、私の場合はもっと単純で、「私が間違っていた」と認めたくなかっただけです。

    ——でも、ある夜の布団の中で、私は唐突に思いました。

    「『やめる』って、本当に『負け』なのかな」

    仕事でも同じです。「この方向、違うかも」と気づいた時、やり方を変えることを、私たちは普通に「改善」と呼びます。「方向転換」と呼びます。誰も「撤退」とは呼ばない。

    なのに、なぜ投資だと、「やめる=負ける=逃げる」になってしまうんだろう。

    ——それは、たぶんお金が絡むからだ、と布団の中で思いました。お金が絡むと、「勝ち負け」の言葉が頭の中で大きくなる。勝つか負けるか、稼ぐか溶かすか、そういう二択でしか考えられなくなる。

    でも、私が本当にしたかったのは、勝負じゃなかったはずです。もう少し将来のお金を、増やしておきたかっただけ。勝ちたかったわけじゃない。

    ——だから、「もう手動はやめる」と決めた夜、私は心の中でこう言葉を置き換えました。

    「私はFXに負けたんじゃない。手動という方向が、私には合わなかっただけ。だから、別の方向に変える」

    たったこれだけの言葉の置き換えで、胸のあたりがふっと軽くなったのを、今でも覚えています。

    やめる、ではなく、変える。撤退、ではなく、方向転換。私の場合は、それで決断できました。

    これが、私の転機2。『やめる』の言葉を変えたら、立ち止まれた。


    転機3 / つみたてNISA・銘柄選び3週間で、『完璧を待つこと』をやめた

    手動FXをやめると決めた次に、私が選んだのはつみたてNISAでした。

    口座を開設したのは、決断の翌週末。スマホで5分で開設手続きが終わって、**「あれ、こんなに簡単なんだ」**と拍子抜けしたのを覚えています。

    ——なのに、その後3日間、私はアプリを開けませんでした。

    開設したはいいけど、何を買えばいいか、わからない。「投資信託って何?」「インデックス型って何?」「アクティブ型と何が違うの?」——情報を調べるたびに、知らない言葉が増えていく。日本で買える投資信託は約6,000本あると、ある記事で読みました。6,000本。選ぶ前に、知らない言葉が私の中で渋滞を起こす。

    3日目の夜、ベッドの中で**「もう、わからない」**と声に出して、布団を頭まで被ったのを覚えています。

    でも、やめないのが、転機2の自分との約束でした。やめるんじゃなくて、方向を変える。だから、選ぶことから逃げるのもやめよう——そう自分に言い聞かせて、3週間かけて、消去法で銘柄を絞り込みました。

    私の消去法は、3つだけです。

    1. アメリカ単独に投資する商品(S&P500など)は、ちょっと怖かった。 1ヶ国に集中すると、その国に何かあった時にダメージが大きい気がして。理屈じゃなく、気分で外しました。

    2. 信託報酬が年0.1%を超える商品は、外しました。 信託報酬は、毎日払う**「保有コスト」みたいなもの。年0.1%以下なら、月1万円分にかかる手数料はコンビニの袋代より安い**。「安いものを選んでおけば、まあ後悔は少ない」——そんな緩い理由でした。

    3. 同期や友達が買っていない商品は、外しました。 投資の本では**「他人と同じだと負ける」と書いてあったりしますが、私の場合は逆。「みんな買ってる」**安心感がないと、続ける勇気が出ない人間でした。

    残ったのが、eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)でした。信託報酬は年0.05775%。月1万円の積立に決めて、設定完了画面のスクショを、私は今でもスマホの**「投資メモ」フォルダ**に保存しています。

    3週間も悩んだのに、設定自体は5分で終わった——そのギャップが、何かを私に教えてくれた気がしました。

    完璧な答えを待っていたら、たぶん私は今もアプリを開けていない。**「気分」「コスト」「みんな」**で外して、残ったものに賭ける——これが、私の銘柄選びの3週間でした。

    これが、私の転機3。完璧を待つのをやめたら、不完全に始められた。


    転機4 / NISA含み損の夜、『過去の傷』が『今夜のお守り』になった

    オルカンを始めて、ちょうど1年くらい経った頃。人生で初めて、私は自分の口座が4桁マイナスを見ました。

    「-8,430円」。

    NISAの画面を開いた瞬間、画面の文字が頭に入ってこなくて、心臓がドクドクして、私はスマホを伏せて布団に潜りました。時計は23時35分。10分くらい目を閉じても眠れなくて、結局またスマホに手が伸びました。

    ——その瞬間、私は気づいたんです。

    「あ、これ、手動FXの時の感覚だ」

    仕事中にトイレでチャートを確認していた、あの半年の感覚。布団の中で何度もスマホに手が伸びて眠れなかった、あの夜の感覚。私は今、また同じところに戻ろうとしてる——そう気づいた時、ようやく一度、深呼吸ができました。

    布団の中で、私は思いました。

    「過去の4万円失敗があるから、この程度か」

    -8,430円は、4万円の5分の1。あの冬の4万円を**「ちぎって5つに分けたうちの1個」くらいの傷です。過去にもっと痛い目を見ているから、今夜の小さな傷を相対化できる。失敗体験は「負債」ではなく、いざという夜の「お守り」**でした。

    もう一つ、布団の中で気づいたことがあります。

    投資を始める前の私は、別の不安を抱えていました。「老後のお金、足りるかな」。「親の老後、大丈夫って言える?」。「給料は上がらないのに、卵の値段だけ上がっていく」——これらの不安には、共通点がありました。全部、数字にならない。だから対処もできない。

    -8,430円は、画面に出ます。確かに減ったとわかる。だから、対処もできる。

    数字に出ない不安より、数字に出る不安の方が、ずっと扱いやすかった——私の場合は、そう気づいた夜でした。

    翌朝、画面を開いたら、-7,210円に動いていました。少しだけ戻っていた。**「あ、ほんとに動くんだ」**って、当たり前のことに少し笑ってしまったのを覚えています。

    これが、私の転機4。傷ついた過去が、未来の夜のお守りになる。


    転機5 / つみたて投資を続ける仕組みは、『気合い』を使い切らない設計だった

    最後の転機は、**「続ける勇気は、気合いではなく仕組みから生まれる」**という気づきです。

    オルカンの月1万円積立を自動引き落としに設定したのは、最初から決めていたことでした。「給料が振り込まれた翌日に、勝手に1万円が引かれる」——その仕組みを作ってから、私はNISAについて月1回しか、画面を開かなくなりました。

    月末の日曜日、ヨガから帰ってきた後の30分だけ。

    スプレッドシートに、その月の積立額・含み損益・口座残高を3行書きます。3行。それだけ。「あ、今月もちゃんと積み立てられてる」。「先月から少し増えた/減った」。「来月もこのままで」——そういう、短くて、退屈な確認を、月1回だけ。

    ——退屈、と書きました。わざと退屈な仕組みにしました。

    手動FXの半年で、私は**「投資が頭から離れない時間」が、自分の生活をぐにゃぐにゃに歪めることを、身をもって学びました。仕組みは、考えないで済むほど良い。「投資のことを考える時間が、月30分以内」**——これが、私の中の合格ラインです。

    もう一つ、続ける仕組みとして効いたのが、ヨガでした。

    私はジムでヨガに通っていますが、ある日、先生がレッスン中にこう言いました。「不安があってもいい。それと一緒にいるだけでいい」。投資の話とは関係ない言葉なのに、含み損の夜には、ちょっとだけ効きます。

    投資を続けるって、「不安を消す」ことじゃない。「不安と一緒にいる時間に慣れる」ことだと、私はヨガを通して少しずつ、体で学びました。

    自動引き落とし、月30分の確認、ヨガで呼吸を整える時間——この3つの仕組みが揃ってから、投資が私の生活を歪めなくなりました。

    続ける、って、気合いではなく、仕組みで決まる。仕組みが整っていれば、続けるための勇気はほとんど要らない——私の場合は、そう思っています。

    これが、私の転機5。続ける勇気は、考えないで済む仕組みから生まれる。

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    もしアナタも始めるなら、私はこの5つから始めた

    5つの転機を、もう一度短くまとめておきます。

    1. 失敗の1ヶ月——自分の判断は、投資に向いていなかった、と知った1ヶ月。

    2. 撤退の決断——「やめる」を「方向転換」と呼び直したら、立ち止まれた夜。

    3. NISA選びの3週間——「気分」「コスト」「みんな」で外して、残ったものに賭けた3週間。

    4. 含み損の夜——過去の4万円が、今夜の8,430円のお守りになった夜。

    5. 続ける仕組み——自動引き落とし、月30分の確認、ヨガで呼吸を整える時間。

    ——もしアナタが今、投資を始めようとしている、または、すでに始めて夜眠れなくなっているOLなら、私の場合は、この5つの順番で辿りました。

    アナタの順番が違うかもしれない。アナタの転機が3つかもしれないし、10個かもしれない。「私の場合の答え」が、アナタの答えになるとは、私の場合は思っていません。

    ただ、「-8,430円の夜」を抱えているアナタへ、私はこの5つから始めたよ、と置いておきたかった。

    ——失敗の1ヶ月から、続ける仕組みまで、2年でした。たかが2年、されど2年。たぶん、人によっては5年かかるし、人によっては3ヶ月で済む。急がなくていい、と私の場合は思います。

    アナタが自分の順番で、自分の転機を見つけるためのヒントに、5つのうちの一つでもなれば、それで十分です。


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    このnoteは、27歳OLが投資を始めて2年目までの記録を綴る連載シリーズ「27歳OL・ほったらかし投資の記録」とは少し離れた、2年間の振り返り単発記事です。連載は水曜から再開します。

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    ゆづ


    ※このnoteは個人の体験談であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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    ※特定の金融商品の推奨・勧誘を目的としたものではありません。

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