
人を採るより、仕事を消そう
カウシェで取締役COOをしている山田です。
先日CEO門奈の記事で、「39人で東証トップ10水準の一人当たり売上総利益」という数字と、その背景を公開しました。
でも、そこではほとんど触れなかった部分があります。
それがこの図の一番下にある "OSレイヤー" 。

ビジネスモデルも、事業の核となるB/Sも、全ては人がつくる。
つまり、この価値創造構造全体を支えているのは、組織であり、カルチャーであり、人です。
たった39人で一人あたり「売総1.6億円/年」という数字を出す組織とは、どんなものか。なぜこれが実現できたのか。
答えはAI活用そのものではありません。もっと手前にあります。
そして正直に言うと、最初からこの形を目指していたわけでもありません。
事業ピボットで、生き残るために必死にもがいた結果生まれた組織OSでした。
事業ピボットが、「仕事を消す」という発想を生んだ
3年前、カウシェは事業をピボットしました。
出口の見えないトンネルの中で、生き残るために固定費を削る日々。オフィスも移転し、多くのSaaSも解約しました。
退職者が出ても補充はできない。でも、残ったメンバーで事業をもう一度成長軌道に・・・毎日が崖っぷちでした。
特に課題だったのがECオペレーション。
2年前まで、カウシェのホーム画面の商品は人が並べていました。
発見型ECだからこそ、人のキュレーションこそが良い体験を作れると考えていたからです。
商品登録、商品選定、日々の運用・・・サービスを支えるために必要な仕事は増え、事業が伸びるほど現場の負荷も大きくなっていく。それでも当時の僕らには、人を増やす選択肢はなかった。
だから考え方を変えるしかありませんでした。「人を採る」ではなく「仕事を消す」という発想です。
そこで変えたのが、商品表示のあり方。人が並べるのではなく、機械学習モデルに任せることにしました。
結果、顧客体験は向上し、数字も伸び、運営負荷も劇的に下がりました。日々の商品陳列から解放され、僕らはアルゴリズムやそれを支えるデータ収集へ時間を使えるようになりました。
この経験から、少しずつ考え方が変わっていきました。
人の仕事は、手を動かして価値を生み続けることだけではない。価値が生まれ続ける構造を作ること。そして生まれた余白で、また新しい価値に向き合うこと。
道具を作り、機械を作り、コンピューターを作ってきた人類もまた、いつも仕組みによって自分たちの可能性を広げてきたのだと思います。
今思えば、この経験がカウシェの組織OSの原点でした。
評価するのは、成果ではなく構造
もちろん成果は評価します。
でも、人は風邪もひくし、転職もするし、何より毎日眠ります。
その成果は個人の労働に依存したものか。構造が生み出したものか。
同じ数字でも、経営的にみたその質はまったく異なります。
だから僕らが本当に評価するのは、B/S的成果です。
自分が抜けても回り続ける仕組み。時間が経つほど複利で価値が積み上がる資産。
カウシェの評価会議でよく問う質問があります。
「その人が明日辞めても、残る価値を生んだか?」
ハイレイヤーの評価ほど、この視点を重くしています。
役割が大きいほど、求められるのは一度きりの成果ではなく、成果が生まれ続ける仕組みを残すことだからです。
例えばCMO。
単なる広告運用の最適化は彼の仕事ではありません。
ミッションは、広告を止めても成長し続ける構造をつくること。
フローでユーザーを獲得するのではなく、ユーザーストックから次のユーザーが生まれ続ける構造。
CTOも同じです。
AIで速くコードを書くことではありません。
AIがコードを書き続けられるシステムを設計すること。
コンテキスト、スキル、ガードレールを資産化し、AIが学び、働き、その成果がさらにAIを強くする構造。
そしてこの考え方は、ストックオプション制度にも反映しています。
カウシェのSOは、3年間貢献すれば退職後も権利を持ち続けられるというもの。
仕組みは、作った人が辞めても価値を生み続ける。
だから僕らは、「在籍」ではなく「残り続ける価値」に報いる会社でありたい。
AI時代、組織の勝ち筋は「願い駆動型」少数精鋭
ここまで、価値が生まれ続ける構造こそ大切だと書いてきました。
でもAIの進化を見ていると、その構造すらAIが作る未来も遠くないと思うのです。
では、その時に人に残る価値は何か。
僕は、「これを実現したい」という、その人自身の「願い」だと思っています。
合理的な答えを出す力がコモディティ化していく時代。
でも、人は論理だけで動いているわけではありません。
「なんか好き」
「なんか楽しい」
そんな感情が人を動かす。
だからカウシェのValueには「好きを大事に」があります。

これは福利厚生でも、働き方でもありません。
「願い」の根っこにある「好き」を大切にする、僕らの競争戦略です。
そしてもう一つ重要なのが、「願い」を価値に変える速さです。
これまで大きな価値を生むには、多くの人の力が必要でした。でも人が増えるほど、役割も調整も増え、意思決定は遅くなる。
AIで実行コストが下がるほど、組織のボトルネックは実行力から意思決定の質と速さへ移っていく。
だからこそ、強い願いを持った少人数が、迷わず決め、すぐ動く。その積み重ねが大きな差を生む。
僕たちが少人数にこだわるのは、人件費を削りたいからではありません。
カウシェの事業モデル、そしてこれからの時代における組織戦略の一つの最適解だと思うからです。
次の時代の企業のあり方を、日本から
世界では、AIのレバレッジで少人数ながら巨大な価値を生み出す企業が次々生まれています。
一方で日本では、AIは「仕事を奪うもの」「導入して効率化を進めるもの」として語られることが圧倒的に多く感じます。
もちろん、それも間違いではありません。
でも、もう一歩先へ進みたい。
僕らが挑戦したいのは、日本企業の新しいスタンダードをつくることです。
「100人で時価総額1兆円」
これは僕たちが掲げる企業スローガンのようなものですが、100という数字そのものに意味はありません。150人でも、300人でも本質は同じ。
伝えたいのは、「企業のあり方そのものを変えるんだ」という願いです。
AI時代、あらゆる手段は今よりもっと広がっていく。
だからこそ問われるのは、「何を実現したいのか」。
強い願いを持つ人が、AIと共に新しい価値を生み出していく。
そんな未来を、僕らはカウシェという企業で実験しています。
もしあなたにも「実現したい未来」があるなら、一度お話しましょう!