
思考力は“教える”ものではない | AI時代に必要な子どもの育て方とプログラミング教育
なぜ今、プログラミング教育なのか
今の社会は、大きく変わり始めています。
AIの普及によって、「正解を出す仕事」は少しずつ減り、「問いを立てる力」や「試しながら進める力」が求められています。
そして、高校では「情報Ⅰ」が必修となり、パソコンを使ったプログラミングやデータ活用が全員に求められる時代になりました。
つまり、パソコンスキルは一部の人だけが必要なスキルではなく、誰もが向き合う必要がある状況になったわけです。
ちなみに、プログラミング教育には大きく分けて2つあります。
一方は、プログラミングを使ってアプリやゲームなどのモノ作りをするためのプログラミング教育。
もう一方は、みんなが身に付けるべき論理的思考力を育むためのプログラミング教育です。
この記事では、後者の論理的思考力を育むためのプログラミング教育を扱っていきます。
モノ作りのためのプログラミング教育は、論理的思考力を身に付けた後に、より高度なプログラミングスキルを身に付けるための専門教育となります。
私は13歳頃から独学でプログラミングを始め、システムエンジニアとして約20年働きました。
現在はパソコン教室でインストラクターをしており、子ども向けにはプログラミング教室やロボット教室の時間に教えています。
これから、私が実際の体験会や授業で見てきた子どもたちの様子をもとに、今のプログラミング教育の在り方についてまとめていきます。
教室でよく聞かれる質問があります。
「プログラミングって、本当に必要なんですか?」
・将来役に立つのか分からない
・子どもに合うのか不安
・お金と時間をかける価値があるのか迷う
そう感じるのは自然だと思います。
「大事そうだけど、よく分からない」
多くの方がここで止まります。
親世代はプログラミング教育を受けていないので、職業がエンジニアでもない限りは想像がつかないのも理解できます。
ただ、ここで一つだけ視点を変えてみてほしいことがあります。
今、社会で求められているプログラミング教育の正体は、「プログラミングをやるべきか」ではなく、「考える経験をどう作るか」です。
現場で見ていると、子どもはスキルより先に、考え方が変わっていきます。
ある子は、最初の授業でほとんど手が動きませんでした。
10分ほどで止まり、「分からない」と言っていました。
そのため、答えを教えずにヒントを与えて、問いかけを続けていきます。
「どこまでできてる?」
「どの部分が分からない?」
そんなやり取りを数回繰り返すうちに、少しずつ自分で考える時間が増えていきます。
3回目くらいの授業では、ほとんど止まらずに取り組めるようになっていました。
最初は手が止まっていた子も、少しずつ自分で試すようになります。
この変化は、2〜3ヶ月の中で現れることが多いです。
・分からなくても取り組む
・間違えてもやり直す
・自分で試す
こういう状態になったら、学び方は変わります。
しかも、その学び方というのは、プログラミングに限られたことではなく、普段の学校の勉強についても変わっていくので、実は学習の根底に影響を与える要素だったりします。
逆に、考える経験が少ないと、
・分からないと止まる
・答えを待つ
・あきらめる
こうした状態になりやすくなります。
実際に最初は「分からない」と止まる子も多いです。
ですが、関わり方で変わります。
大切なのは、答えではなく「きっかけ」です。
「どうしたらできそう?」
いきなり答えに導くようなヒントではなく、小さく解決できるような一言だけで思考は動きます。
最初は時間がかかります。
ですが、少しずつ考えることが習慣になります。
この差は、あとから大きな差になります。
ここで踏み出すかどうかで、数年後の学び方が変わる可能性があります。
この変化は、個人の問題だけではありません。
社会全体が、「考える力」を必要としています。
だからこそ、小さい頃から経験しておくことに意味があります。
ここで一つ、よくある疑問に触れておきます。
「いつから始めればいいのか?」
私が現場で見ている中では、小学生に上がるタイミングから考えれば十分早いと感じています。
実際に、教室では小学1年生から取り組んでいる子もいます。
内容は難しいものではなく、順番を考えてちょっとした課題をこなすといったものです。
それでも、
・順序立てて考える
・原因と結果を理解する
・試してやり直す
こうした力はしっかり使われています。
大切なのは、早さそのものではありません。
無理なく続けられることです。
論理的思考は、一度覚えれば終わる知識ではなく、使いながら育てていく力です。
だからこそ、「早すぎるかどうか」で悩むより、「少しずつ触れていく環境を作れるかどうか」で考えてみてください。
知識と思考力は、同じ「頭の良さ」ではない
ここで一度、「頭が良い」とは何かを考えてみたいと思います。
小学校や中学校の頃の一つのクラスで、一人か二人くらい「頭が良い」と言われる子がいると思います。
私はその頭の良さには、大きく二つの種類があると考えています。
一つは、たくさんの知識を覚えている頭の良さです。
もう一つは、今ある知識を使って答えを導き出せる頭の良さです。
前者は、記憶を土台にしています。
後者は、思考力が土台です。
もちろん、知識は大切です。
何も知らなければ、考える材料が足りません。
ただ、知識は忘れることがあります。
そして、常に覚え続けなければ、「頭が良い」状態を保つことが難しくなります。
一方で、思考力が育っている子は、覚える知識そのものを選べるようになります。
何を覚えるべきか。
何を調べればいいのか。
今ある知識から、何を導き出せるのか。
そうした判断ができるようになります。
私はここに、学びの大きな分かれ道があると感じています。
受験勉強では、どうしても知識や受験テクニックを身に付けることが重視されます。
そのため、「覚えること」が学びの中心になりやすい面があります。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
ただ、覚える学習だけに偏ってしまうと、教科書に載っていない問題に出会ったとき、対応しにくくなることがあります。
社会生活には、学校のような教科書があるわけではありません。
仕事でも、人間関係でも、日々の判断でも、毎回きれいな正解が用意されているわけではありません。
その場で状況を見て、持っている知識を組み合わせ、どう動くかを考える必要があります。
だからこそ、知識だけではなく、思考力が必要になります。
知識をたくさん持っていても、それを目の前の状況に合わせて使えなければ、うまく対応できないことがあります。
目の前の状況が知識に合致していなければ、まったく動けなくなってしまうこともあるかもしれません。
逆に、持っている知識がそれほど多くなくても、考える力があれば、今ある材料から次の一手を導き出すことが可能です。
これは、社会に出たときに大きな差になります。
有名な学校を出ていても、仕事の現場で力を発揮しきれない人がいる理由の一つも、ここにあるのではないかと私は考えています。
知識を覚える力と、知識を使って考える力は、似ているようで別の力です。
そして、思考力は、自然に育つものではありません。
きちんと考える経験を日々重ねることで、少しずつ育っていきます。
だからこそ、できるだけ早い段階で、知識に頼る学習だけではなく、思考力を使う学習も身に付けていくことが大切だと感じています。
それは、テストの点数のためだけではありません。
将来、社会に出たときに、自分で考え、判断し、行動できる人になるためです。
子どもたちが社会人になったとき、社会人としてのスタートラインが大きく変わる。
私は、思考力にはそれくらいの意味があると考えています。
多くの親が誤解していること
「プログラミングは難しそう」
そう感じる方は多いです。
特に、「算数が苦手だから無理」と考えてしまうケースもあります。
ですが、現場では少し違います。
最初に必要なのは、計算力ではありません。
「試してみる力」です。
ゲームで工夫する感覚に近いです。
多くの子はすでにその感覚を持っています。
ただ、伸ばす機会があるかどうかの違いです。
最初は手が止まりやすく、すぐに答えを求めます。
ですが、経験を重ねると変化が出ます。
自分で試し、うまくいかなくても続けるようになります。
この違いは能力ではなく、経験です。
実際に、算数が苦手だった子がいました。
最初は手順を覚えるのも苦手でした。
ですが操作を繰り返す中で、「ここを変えたら動くかも」と試すようになります。
1ヶ月ほどで、自分から触る時間が増えていきました。
もし、常に正解を教えられる環境だと、考える機会は減ります。
大切なのは、試して気づくことです。
家庭では、「これだとどうなると思う?」と聞いてみてください。
この一言で思考が動き始めます。
ここで一度考えてみてください。
教えてもらう子と、自分で試す子。
数年後に伸びているのは、どちらでしょうか。
子どもが変わる瞬間はどこにあるのか
「本当に変わるのか」
そう思う方もいると思います。
現場では、ある共通した変化があります。
それは、「遊び方が変わる瞬間」です。
最初は正解を求めます。
ですが、慣れてくると試し始めます。
「こうしてみたら、どうなる?」
という行動に変わります。
ここが分かれ目です。
少し視点を変えてみてください。
実は、この「試して変える」という流れは、特別な学習の中だけで起きているわけではありません。
日常の遊びの中でも、すでに起きています。
例えば、ブロックおもちゃで遊んでいる時です。
子どもは、自分なりに形を作ろうとします。
思った通りにならないと、一度崩して、また組み直します。
そして、少し形を変えて試します。
この「作る→崩す→試す」という流れを、自然と繰り返しています。
実際にブロック遊びでは、子どもは形やバランスを考えながら試行錯誤を繰り返します。
ここでやっていることは、実はプログラミングとほとんど同じ考え方です。
・どうすればうまくいくか考える
・試してみる
・うまくいかなければやり直す
違うのは、それを「遊びとしてやっている」かどうかです。
ある子は、最初は指示がないと動けませんでした。
ですが、ブロックのように自由に試す経験が増えると、少しずつ自分から動けるようになりました。
「こうしたら面白そう」
その発想が出たとき、遊びと学びがつながったと感じました。
大切なのは、この流れを止めないことです。
教えすぎると、思考が止まることがあります。
家庭では、「どう考えたの?」と聞くだけで十分です。
この積み重ねが思考力になります。
そして、この積み重ねがあるかないかの差が、あとから一気に開きます。
現場で見てきた子どもたちの変化
最初からうまくいく子は多くありません。
むしろ、戸惑う子の方が多いです。
・手が止まる
・間違いを怖がる
ここから始まります。
ここで、もう一つ私にとって印象的なことがあります。
ある子は、画面を見たまま、5分以上まったく操作しませんでした。
分からないのではなく、動けない状態でした。
理由を聞くと、「失敗するのがイヤ」と答えました。
間違えること自体に、ブレーキがかかっていました。
これは実は珍しいことではありません。
多くの子が、最初から必ず正解を出さないといけないかのように、間違えることを避けるようになっていると感じています。
学校の成績が、テストという正誤が問われる仕組みで判断されることが多いため、間違わずに正解を出すことに拘ってまうのは分かりますが…
この状態では試行錯誤が止まります。
だからこそ、ここでの関わり方が重要になります。
「間違えても大丈夫だよ」と伝えるだけでなく、
「まずやってみよう」と背中を押すことが大切です。
ある子は、30分の中で5回以上止まりました。
ですが、声かけを続けることで変化が出ました。
「どこがどう分からないか教えて?」
この一言で、考え始めます。
2〜3ヶ月後には、自分で試し続けられるようになっていました。
もう一つの変化は質問です。
「どうやるの?」から、「こうしたらどうなるの?」へ変わります。
この差は大きいです。
家庭では、「さっきより考えてたね」と伝えるだけでも変わります。
小さな変化を見つけることが重要です。
気づけるかどうかで、成長のスピードは変わります。
家庭でできること
「家で何をすればいいのか?」
ここが一番の悩みですが、難しいことは必要ありません。
ポイントは3つです。
・答えをすぐ教えない
・過程を見る
・小さな変化を見つける
ここで、よくある場面があります。
子どもが少しつまずいたときに、「全部分からない」と言ってくるケースです。
実際の教室でも、
・少し止まるとそのまま動けない
・どこが分からないか言えない
という場面があります。
ですが、きちんと聞いてみると、本当に全部分からないことはまずありません。
「日本語が読めないの?」と聞いてみると、それは否定すると思いますので。
ここで大切なのは、「分からない」を分解してあげることです。
例えば、「どこまで分かってる?」と聞くことから、考えが整理され始めます。
この一言で、「ここまではできるけど、この先が分からない」という状態に変わっていきます。
この違いはとても大きいです。
なぜなら、問題を解決するためには、まず「どこが分からないか」を知る必要があるからです。
また、答えをすぐに教えてしまうと、考える時間が減ってしまいます。
子どもは自然と、楽な方法を選びやすいです。
だからこそ、少し待つことが大切です。
実際に、ある保護者の方が声かけを変えただけで、変化が出たことがあります。
それまで答えを教えていたのを、「どう思う?」に変えました。
すると、1週間ほどで、自分から考える時間が増えたと話していました。
大切なのは、結果ではなく過程です。
この関わりが思考力を育てます。
この関わり方を続けるかどうかで、子どもの未来はきっと変わっていきます。
ロボット教室とプログラミング教室の選び方
教室選びで迷う方が多いポイントです。
条件よりも、学び方を見ることが大切です。
体験して、子どもの反応を見ることをおすすめします。
実際に体験に来た子が、最初はなかなか思うように動けなかったのに、帰る頃には「もう一回やりたい」と言うこともあります。
これは環境が合っているサインです。
「どうだった?」
この一言で十分です。
完璧に選ぶ必要はありません。
合わなければ変えれば大丈夫です。
現在、プログラミング教育の市場は急速に広がっています。
その一方で、
・内容が子どもに合っていない
・カリキュラムが一律
・思考力より操作が中心
といったケースも少なくありません。
その結果、「通っているのに力がつかない」という状況も生まれています。
だからこそ、「何を学ぶか」ではなく、「どう学ぶか」を見る視点が重要になります。
ここで、実際にあったケースを一つ紹介します。
小学校低学年のお子様が、最初からプログラミング教室に通ったケースです。
最初はやる気もありましたが、授業が進むにつれて手が止まることが増えていきました。
・指示の文章が理解しきれない
・何をすればいいのか分からない
こうした状態が続き、次第に興味も薄れていきました。
これは能力の問題ではなく、「段階が合っていなかった」ことが原因です。
その後、ロボットを使った学習へ切り替えてもらったところ、状況が変わりました。組み立てて、動かして、試す。
この流れの中で、自然と試行錯誤が増えていきました。
そして、ある程度慣れてきたタイミングで、再びプログラミングに戻ると、スムーズに取り組めるようになりました。
この経験から感じているのは、「どちらが良いか」ではなく、「どの順番で経験するか」が大切だということです。
ロボット教室もプログラミング教室も、どちらも思考力を育てる手段です。
だからこそ、今の子どもの状態に合ったものを選ぶことが、結果として一番の近道になります。
AI時代のプログラミング教育の在り方
ここで、この記事の冒頭であげた"モノ作りのためのプログラミング教育"についても触れておきます。
保護者の方にとっては、論理的思考力を学ぶプログラミング教育と非常に違いが分かりにくいと思います。
"モノ作りのためのプログラミング教育"は、将来的にプログラマーなどの開発職を目指していきたい方のための教育です。
基本的には、既に論理的思考の土台ができあがった後の次のステップとしての教育ですので、興味のある子だけがやるものです。
社会的に必要とされているプログラミング教育は"論理的思考力を身に付けるためのプログラミング教育"の方ですので、間違えないようにしてください。
このお話を前提に、AI時代のプログラミング教育の在り方について解説していきます。
AI時代になると、「モノ作りのためのプログラミング教育」は、少しずつ形を変えていくと考えています。
なぜなら、これまで人が一つひとつ書いていたプログラムのを、AIが代わりに作れるようになってきているからです。
もちろん、プログラミングそのものが完全になくなるとは思っていません。
ただ、人間がすべてのコードを手で書く時代から、AIに対して正しく指示を出し、作られたものを確認し、必要に応じて修正していく時代へ移っていきます。
そうなると、"モノ作りのためのプログラミング教育"は、単にプログラミングをする教育ではなくなっていきます。
AIに何を作らせたいのかを整理する力。
条件を正しく伝える力。
出てきた結果を見て、どこが違うのかを判断する力。
必要に応じて改善の指示を出す力。
こうした力を育てる教育へ、変わっていくのではないかと思います。
一方で、"論理的思考力を育てるためのプログラミング教育"は、AI時代になっても本質的には変わりません。
むしろ、AI時代だからこそ、より重要になると感じています。
AIを使うためには、ただ「お願いする」だけでは足りません。
何をしたいのか。
どんな条件があるのか。
どこまでできれば成功なのか。
何を優先し、何を捨てるのか。
こうした論理的な検討ができなければ、AIにうまく指示を出すことはできません。
つまり、AIを使いこなすためにも、論理的思考力は欠かせないのです。
AIは便利です。
ですが、考えることそのものを、すべて代わりにやってくれるわけではありません。
むしろ、考えられる人と、考えることをAIに丸投げしてしまう人の差は、これから大きく開いていく可能性があります。
AIに使われる側になるのか。
AIを使う側に立つのか。
その分かれ道にあるのが、「自分で考える力」だと思います。
AI時代に必要なのは、AIより多くの知識を覚えることではありません。
AIをどう使うかを考え、自分の目的に合わせて活かす力です。
本当に必要なのは、自分で考え、試し、修正し、また考える子を育てることです。
その意味で、"論理的思考力を育てるプログラミング教育"は、AI時代になっても価値を失いません。
むしろ、AI時代を生きる子どもたちにとって、土台となる力になっていくと考えています。
遊びを“思考トレーニング”に変える仕組み
ここまでで、家庭での関わり方や、教室の選び方を見てきました。
更に、もう一歩踏み込むと、
「どうすれば継続して思考力を育てられるか」
という課題が残ります。
声かけだけでは、続かないことがあります。
そこで必要になるのが、「遊びそのものの設計」です。
私が現場で取り入れているのが、ブロック玩具を使った論理的思考トレーニングです。
これは、単に作って遊ぶのではなく、思考の流れを育てるように設計したものです。
構造はシンプルです。
・課題を与える
・考える
・結果を確かめる
・言葉にする
この流れを繰り返します。
ポイントは、過程や結果の「言語化」まで含めることです。
「なぜそう考えたのか」
「どこで間違えたのか」
これを言葉にすることで、思考が整理されます。
実際に、ブロック遊びが好きな子は、ロボットの組み立てでも手が早い傾向があります。
順番を考え、形をイメージし、試しながら調整する。
すでに思考の型ができているためです。
この思考トレーニングでは、段階的にレベルを上げていきます。
最初は手順通りに作る段階。
次に、続きを予測する段階。
さらに、完成形から逆算する段階。
制約の中で解決する段階。
そして、本質を捉える段階へと進みます。
どの段階でも共通しているのは、「試して、直す」ことです。
この経験が、プログラミングや学習全般に繋がります。
特別な教材は必要ありません。
ブロック玩具は、おもちゃとして手に入りやすく、家庭でも取り入れやすいです。
だからこそ、再現性があります。
重要なのは、遊びをそのままにしないことです。
少しだけ視点を変え、思考の流れを意識する。
それだけで、遊びが思考トレーニングの面を見せていきます。
思考力は、教えるものではありません。
普段から触れあいながら、育んでいくものです。
論理と感性のバランス
考える力だけでは足りません。
感性、すなわちアイデアも必要です。
プログラミング教育においては順番に考える子もいれば、アイデアを試しながら進む子もいます。
どちらも大切です。
伸びる子は、この2つをバランスよく使っていきます。
ある子は最初、感覚だけでプログラミング教材を動かしていました。
適当にプログラミングをしてみて、単に動くかどうかを試してみる感じです。
ですが授業を進める中で、適当なだけでは無理だということを悟り、順番を考えるようになったりします。
この行き来で理解が深まります。
ここで、もう一つ大切な気づきがあります。
教室で子どもたちを見ていると、論理だけで進める子が、途中で詰まる場面があります。
手順は正しく考えられているのに、発想が広がらない状態です。
「こうするしかない」と考えてしまい、別のやり方を試せなくなります。
一方で、アートや自由な遊びに触れている子は、違う動きを見せることがあります。
「こうしたらどうなる?」と、自然に別のパターンを試し始めます。
この違いは、能力ではなく経験の違いです。
実際に、発想と論理は対立するものではなく、役割の違う力として補い合う関係にあると感じています。
・アイデアを思いつく(感性)
・それを形にする(論理)
この流れがそろうと、学びの質が変わります。
家庭でも、特別なことをする必要はありません。
・絵を描く
・音楽に触れる
・自由に遊ぶ
こうした時間が、発想の土台になります。
そしてその発想が、プログラミングの中で活きてきます。
家庭では、両方を認めることが大切です。
「考えてたね」
「試してたね」
この声かけだけで変わります。
ほんの小さな違いが、大きな結果を生みだすことがあります。
AI時代のプログラミング教育の本当の目的
目的はスキルではありません。
「考える力」を育てることです。
その力は、日常のあらゆる場面で使われます。
考えてみてください。
これまで見てきた中で、最初は手が止まっていた子が、数ヶ月後には自分で考えて動いています。
この変化は特別な才能ではなく、関わり方と環境で起きています。
・自分で考える
・試して進む
・あきらめない
こうした力が身についたら、どうなるでしょうか。
逆に、経験が少ないと、止まりやすくなります。
だからこそ、今できることがあります。
関わり方を少し変えることです。
まずは、「どうしたらできそう?」
この一言から始めてみてください。
その小さな一歩が、大きな変化につながります。
このまま何もしないか、少し変えてみるか。
その違いが、後から大きく違いとして現れます。
ここで、もう一つだけ未来の話をさせてください。
今の高校では、「情報Ⅰ」という科目が必修になっています。
この科目では、プログラミングやコンピュータの扱い方、問題解決の考え方を学びますが、これを全員が学ぶ前提になっています。
実際の内容は、
・プログラミングの基礎
・コンピュータリテラシー
・ネットワークの理解
など、思っている以上に幅広いです。
ここで問題になるのは、「やるかどうか」ではありません。
「準備しているかどうか」です。
プログラミング教育経験がある子は、そこで身に付けた知識・能力を使って進めることができます。
一方で、経験が少ない子は、どこから手をつけていいか分からず、手が止まってしまうことが懸念されます。
これは能力の差ではなく、これまでの経験の差です。
だからこそ、今の段階でできることがあります。
難しい内容を先取りする必要はありません。
「考える経験」を少しずつ積むことです。
それが、将来必要になった時に、つまずかないための準備になります。
ここまでの内容で、家庭でできることもお伝えしてきました。
ですが、これを家庭だけに任せるには限界があります。
これからの時代に必要なのは、
・学校教育
・民間教育
・家庭
この3つが役割を分担しながら、子どもの思考力を育てていく仕組みです。
学校は「基礎」を担い、
民間は「実践」を補い、
家庭は「習慣」を支える。
このバランスがあって初めて、継続的な成長が生まれます。
そして、プログラミング教育はその中心にあります。
単なるスキルではなく、「考え方」を育てる手段として、これからの教育の軸になっていくと感じています。
この変化にどう向き合うかで、あなたのお子様のこれからの選択肢が大きく変わっていきます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
私のnoteでは、
子どものプログラミング教育や、
パソコン初心者の方の悩みについて、
実際の教室での経験をもとに発信しています。
「これからどうすればいいか分からない」
そんな方のヒントになるような記事を書いていきます。
本当に私の記事が必要な方は、あなたの周りにいます。
私の記事の内容を是非あなたの周りの方々に教えてあげてください。