
子どもの論理的思考力は家庭でも伸びる! ー保護者の関わり方とはー
1. なぜ家庭で論理的思考を育てる必要があるのか
「プログラミングをやらせた方がいいのは分かるけど、家庭では何をすればいいの?」
これは、私がパソコン教室で保護者の方からよくいただく質問です。
背景には、IT社会の進展があります。
高校では「情報Ⅰ」が必修となり、プログラミングやデータ活用といった内容が扱われるようになりました。
これは事実として、
これからの子どもたちは“考え方”そのものを求められる場面が増えていると言えます。
一方で、保護者の方の多くはこう感じています。
自分はプログラミングをやったことがない
家でどう教えればいいのか分からない
教室に任せれば大丈夫なのではないか
このように、「必要性は感じているけど、家庭での関わり方が分からない」という状態です。
ここで一つ、現場で強く感じていることがあります。
それは、
子どもは教室の中だけで育つわけではないということです。
教室で週1回学ぶよりも、
家庭で日常的にどんな言葉を聞いているかの方が、影響が大きいと感じる場面が多くあります。
例えば、同じように授業を受けていても、
自分で考えようとする子
すぐに答えを求める子
に分かれることがあります。
これはあくまで教室で多くの子どもを見てきた中での実感ですが、
保護者の方の言葉や考え方は、子どもにとって「思考の型」になりやすいです。
2. 保護者が抱えやすい悩み
ここからは、実際に教室でよく見られる子どもの様子をもとに、
保護者の方が感じやすい悩みについて整理します。
「全部分からない」と言ってしまう
まずよくあるのが、
分からないことにぶつかると「全部分からない」と言ってしまうケースです。
実際の授業でも、
少しつまずいただけで手が止まる
どこが分からないのか自分でも言えない
そのまま考えるのをやめてしまう
という場面があります。
ただ、よく見ていくと、
本当に「全部分からない」ことはほとんどありません。
多くの場合は、
一部分だけ理解できていない
手順のどこかでつまずいている
という状態です。
これは多くのご家庭で見られる自然な反応だと感じています。
答えを早く知りたがる傾向
もう一つよく感じるのが、
答えをすぐに知りたがる傾向です。
「答え教えて」
「どうやるの?」
これは、悪いことではありません。
ただ、ここで毎回すぐに答えを伝えてしまうと、
自分で考える時間が減る
試行錯誤の経験が積み上がらない
という状態になりやすいです。
何から考えればいいか分からない
そしてもう一つ大きなポイントが、
「何から考えればいいか分からない」状態です。
これは論理的思考がまだ育っていない段階では、自然なことです。
問題に直面したときに、
全体をそのまま見てしまう
分解するという発想がない
ため、結果として「全部分からない」と感じてしまいます。
3. 教室で実際に行っている関わり方
ここからは、私がパソコン教室で実際に行っている関わり方をお伝えします。
分からない部分を一緒に分解する
子どもが「分からない」と言ったとき、
まずやるのは、
「どこが分からないのか」を一緒に探すことです。
「どこまで分かる?」
「ここまではできてる?」
といった形で、少しずつ範囲を絞っていきます。
すると、
「ここまでは分かるけど、この先が分からない」
という状態になることが多いです。
「考える順番」を一緒に作る
次に意識しているのが、順序立てて考えることです。
何をしたいのか
そのために何が必要か
どの順番でやるか
という流れを一緒に整理します。
ヒントを出して自分で気づかせる
分からない部分が特定できたら、ヒントを出します。
「ここ、前にやったのと似てない?」
「これを先にやるとどうなる?」
といった形です。
4. うまくいかなかったときの共通点
ここからは、うまくいかなかったケースについてお話しします。
実際に教室で感じている「つまずきやすいポイント」です。
すぐに答えを教えてしまう
一番多いのが、
大人が先に答えを教えてしまうケースです。
例えば、
「こうやるんだよ」とすぐ説明する
手を動かして見せてしまう
正解まで一気に導いてしまう
これは決して悪いことではありません。
早く理解させてあげたいという気持ちからの行動です。
ただ、この関わり方が続くと、
子どもが自分で考える機会が減る
「分からなければ聞けばいい」となる
試す前に止まってしまう
といった状態になりやすいです。
思考のプロセスを飛ばしてしまう
もう一つの共通点は、
考える過程が抜けてしまうことです。
本来であれば、
状況を整理する
分からない部分を見つける
試してみる
という流れがあります。
しかし、答えをすぐに知ることに慣れてしまうと、
最初から答えを求める
自分で試す前に止まる
という状態になります。
子どもは「楽な方法」を選びやすい
これは少し正直な話になりますが、
子どもは基本的に「楽な方法」を選びやすいです。
考えるより答えを聞いた方が早い
試すより教えてもらった方が確実
この選択自体は自然なことです。
ただし、その状態が続くと、
考える経験そのものが不足してしまう可能性があります。
ここから見えてくる課題
これらをまとめると、
大人が先回りしすぎている
子どもが考える前に解決している
試行錯誤の経験が少ない
という点が共通しています。
大切なのは「時間の使い方」
ここで一つ大事な視点があります。
それは、
少し遠回りでも、自分で考えた時間の方が価値があるということです。
すぐに答えを知るよりも、
迷う
試す
間違える
といった経験の方が、
結果的には力につながりやすいと感じています。
5. 改善して見えてきたポイント
うまくいかなかったケースを踏まえて、
関わり方を少し変えるだけで、子どもの様子は変わってきます。
ここでは、実際に意識しているポイントをお伝えします。
小さく分けて考える習慣をつける
まず大切なのは、
問題をそのまま見せないことです。
子どもは最初、全体を一気に見てしまうため、
「全部分からない」と感じやすくなります。
そこで、
「まずここだけ見てみよう」
「次はこの部分だけ考えよう」
というように、
小さく分けて考える習慣をつけていきます。
順序立てて考える問いかけをする
次に意識しているのが、
順番を意識させる問いかけです。
例えば、
「最初に何をする?」
「その次はどうする?」
といったシンプルな質問です。
これを繰り返すことで、
手順を考える習慣
頭の中を整理する力
が少しずつ身についていきます。
「なぜそうなる?」を日常的に使う
もう一つ効果を感じているのが、
「なぜ?」という問いかけです。
「どうしてそう思ったの?」
「なんでこうなったと思う?」
この問いかけをすることで、
子どもは自然と理由を考えるようになります。
改善によって感じた変化
こうした関わり方を続けていると、
「分からない」が具体的になる
自分から試すようになる
説明できる場面が増える
といった変化が見られるようになります。
ポイントのまとめ
問題は小さく分ける
順番で考えるように促す
「なぜ?」を習慣にする
この3つを意識するだけでも、
子どもの思考の流れは変わっていきます。
6. 実際に得られた変化
ここまでお伝えしてきた関わり方を続けていると、
教室の中でも、子どもたちの様子に少しずつ変化が見えてきます。
「分からない」が具体的になる
最初は「全部分からない」と言っていた子でも、
「ここまではできるけど、この先が分からない」
「この動きがおかしい気がする」
といったように、
分からない部分を言葉にできるようになってきます。
これは大きな変化です。
なぜなら、問題を解決するためには、
まず「どこが分からないのか」を把握する必要があるからです。
自分で考える時間が増える
もう一つの変化として感じるのは、
すぐに聞かずに、自分で試す時間が増えることです。
以前は、
すぐに「教えて」と言っていた子が
少し試してから相談するようになる
といった変化が見られます。
この「少し考える時間」が積み重なることで、
思考力は徐々に育っていくと感じています。
思考の引き出しが増えていく
さらに続けていくと、
「前もこうやったから、今回も使えそう」
「これを先にやった方がいいかも」
といったように、
自分なりの考え方のパターンが増えていきます。
これはいわば、
「思考の引き出し」が増えている状態です。
教室で感じたこと
ここまでの変化を見ていて感じるのは、
特別なことをしなくても、
関わり方を少し変えるだけで、子どもは変わっていくことが多いですということです。
もちろん、個人差はありますし、すぐに結果が出るわけではありません。
ただ、継続していくことで、
少しずつ確実に変化していく様子を見てきました。
7. 気づいたこと|家庭での影響の大きさ
ここまでの経験を通して、強く感じていることがあります。
それは、
子どもの論理的思考は、家庭での関わり方の影響を大きく受けるということです。
子どもは「考え方」を見て学んでいる
子どもは、大人が思っている以上に、
言葉の使い方
考え方の順序
問題への向き合い方
を日常の中で見ています。
例えば、
すぐに答えを出す大人
一つずつ整理して考える大人
では、子どもが受け取る「思考の型」は変わってきます。
保護者の言葉が思考の型になる
教室で見ていると、
「どうしてそう思ったの?」と聞かれている子
「これやりなさい」と指示されることが多い子
では、考え方に違いが出るように感じます。
これは教室で多くの子どもを見てきた中での実感ですが、
保護者の言葉がそのまま思考のクセになる場面は多いです。
日常会話がトレーニングになる
特別な教材や時間がなくても、
「次は何をする?」
「なんでそうなると思う?」
といった会話は、日常の中でいくらでも作ることができます。
つまり、
家庭での何気ない会話そのものが、論理的思考のトレーニングになる
ということです。
教室だけでは補えない部分
週に1回の教室での学習よりも、
毎日の家庭での関わりの方が、
時間としては圧倒的に長くなります。
そのため、
教室で学ぶ内容
家庭での関わり方
が組み合わさることで、
より効果が出やすいと感じています。
8. 家庭でできる具体的な実践方法
ここまでの内容を踏まえて、
「家庭で何をすればいいのか」を具体的にまとめます。
特別な準備は必要ありません。
日常の中で、少し意識を変えるだけで取り入れられます。
① 「どこが分からない?」と聞く
子どもが「分からない」と言ったときは、
すぐに答えを教えるのではなく、
「どこまで分かる?」
「どの部分が難しい?」
と聞いてみてください。
これだけでも、
「全部分からない」から「一部分が分からない」に変わることがあります。
② 「順番」を一緒に考える
次に意識したいのが、順序です。
「最初に何をする?」
「その次はどうする?」
といった形で、
考える流れを一緒に整理します。
これを繰り返すことで、
順序立てて考える習慣が身についていきます。
③ 答えではなくヒントを出す
どうしても分からない場合でも、
直接答えを言うのではなく
ヒントを出す
ことを意識します。
例えば、
「前に似たことやらなかった?」
「これを先にやるとどうなるかな?」
といった問いかけです。
④ 「なぜ?」を習慣にする
日常の会話でも、
「なんでそう思ったの?」
「どうしてこうなったの?」
と聞いてみるだけで、
子どもは自然と理由を考えるようになります。
⑤ 無理なく続ける
一番大切なのは、継続です。
毎回完璧にやろうとしない
短い会話でもOK
できた部分を認める
といった形で、無理なく続けることが大切です。
まとめ
家庭で論理的思考は育てられる
親の関わりが大きく影響する
声かけを変えるだけでも変化が出る
まずは、日常の中で1つ問いかけを変えるところから始めてみてください。