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『水曜どうでしょう』大泉洋を中心に、韓国サイコロで完成した「どうでしょうらしさ」|第50夜

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    📖第1夜から読める連載まとめ(目次ページ)

    前回の第49夜では、全州、韓国館で「全員食べれる」の札を引いたことで、ようやく普通の食事が特別な喜びへ変わる瞬間について考えました。

    何度も食べられない苦労を重ねたからこそ、一杯のビビンバが忘れられない思い出になったのでした。そして第四夜では、その旅は最後まで私たちの期待どおりには進みません。

    しかし、その結末こそが『水曜どうでしょう』という番組を完成させたように思います。

    韓国食い道楽サイコロの旅は、タイトルだけを見れば韓国グルメを紹介する企画です。しかし、最後まで見終えたあとに記憶へ残るのは料理ではありません。

    大泉さんの表情であり、ミスターとの掛け合いであり、藤村Dの容赦ない追い込みであり、それを記録する嬉野Dのカメラでした。

    この企画を通して、後の『水曜どうでしょう』を支える4人の役割が完成していったのです。


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    食事後にグリーン車を取れて一安心のお二人
    (引用元:DVD「韓国食い道楽サイコロの旅」より)

    第四夜は、前夜に全州の韓国館でようやく全員が食事を終えたところから始まります。しかし安心したのも束の間、旅は再び理不尽な方向へ進みます。

    麗水へ向かうグリーン車の車内では、久しぶりにミスターが大泉さんへ次々と質問を投げかけ、大泉さんが即興でホラ話を広げていきます。

    後の解説で、大泉さんは「あれはいじめですよ」と笑って振り返っていますが、ミスターは相手の反応を信じて投げ続け、大泉さんはその期待に応えるように話を膨らませていきます。

    実は、この掛け合いは企画とはまったく関係ありません。しかし、だからこそ面白いのです。

    旅の途中に生まれる何気ない会話が、そのまま番組になる。この頃から、『水曜どうでしょう』は目的地を映す番組ではなく、人間を映す番組へ変わり始めていました。


    麗水へ到着すると、「鈴井と大泉食えない」のカードが選ばれます。結局、食べられるのはディレクター2人だけ。藤村Dは食べられないミスターと大泉さんを容赦なく追い込みます。

    途中で「じゃんけんに勝ったら食べられる」というチャンスタイムまで考えますが、そのルールを始める前にミスターがホヤを食べてしまい、結局チャンスタイムは使えませんでした。

    さらに藤村Dは、ミスターへエビの頭まで食べさせます。大泉さんもホヤを食べて「おいしくない」と言い、エビの頭を食べます。

    ミスターもホヤを食べればエビの頭が食べれるのかと真似をします。そのやり取り自体が笑いになっていきます。

    普通の旅番組なら、料理がおいしいかどうかを伝える場面でしょう。しかし『水曜どうでしょう』では、料理そのものよりも、それを囲む4人の関係性の方が面白くなっていました。


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    部屋の広さを2人並んで表現するお二人
    (引用元:DVD「韓国食い道楽サイコロの旅」より)

    その夜は麗水ビーチホテルへ宿泊します。部屋は広く、大泉さんは久しぶりに体を伸ばして休めることを喜んでいました。

    ホテルでは、おなじみとなった絵画の品評も始まります。壁に掛けられた絵を見るなり、「雪舟」と即答する大泉さん。このテンポこそが大事だったと、後年本人も語っています。

    さらに、部屋の鍵が壊れている場面では、実は撮影がTAKE2だったそうです。『水曜どうでしょう』では珍しいことですが、大泉さんは二度目でも同じテンションで演じ切ります。

    それを見た藤村Dは、「さすが役者だ」と半分感心し、半分からかっていたそうです。

    一方、嬉野Dは正面から人物を撮ることをほとんどしませんでした。ワイドレンズの端に顔を置き、歪みを強調するように撮影することで、大泉さんの表情はさらに印象的になります。

    顎を出したり引いたりしながら、その歪みを自ら利用する大泉さんとの呼吸も、この頃には出来上がっていました。ここには、それぞれの役割があります。

    ミスターは話を引き出す人。
    大泉さんは何でも笑いへ変える人。
    藤村Dは追い込み、反応を引き出す人。
    嬉野Dは、カメラを寄りで歪める人。

    誰か一人だけでは成立しません。4人がそれぞれの役割を理解し始めたからこそ、『水曜どうでしょう』らしさが形になっていったのです。

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    「全員食えない」を引き、帰国便に乗るお二人
    (引用元:DVD「韓国食い道楽サイコロの旅」より)

    そして旅は最終目的地・済州島へ向かいます。最後の食事を前にカードを引きます。結果は、またしても「全員食えない」。

    ここまで来ても、企画は誰にも優しくありませんでした。

    後年、大泉さんは、この最後の場面では編集では使われなかったほど、本気で怒ってぼやいていたと語っています。それほど理不尽だったのでしょう。

    それでも視聴者は笑ってしまいます。それは、大泉さんが怒ること自体が面白いからではありません。

    その怒りを受け止めるミスターがいて、さらに追い込む藤村Dがいて、その空気を逃さず撮る嬉野Dがいる。その4人の関係性そのものが、一つのエンターテインメントになっていたからです。


    後年、大泉さんは「当時は韓流ブームもなく、とにかく食べられないから楽しくなかった」と笑いながら振り返っています。しかし、その「楽しくなかった旅」が、30年後の今では何度も見返される名作になっています。

    韓国食い道楽サイコロの旅は、グルメ企画として成功したから語り継がれているのではありません。

    この旅の中で、4人それぞれの役割が完成し、『水曜どうでしょう』という番組の"型"が完成したからこそ、30年経った今も愛され続けているのです。


    (※記事中の画像は、作品紹介および考察を目的として、解像度を下げて引用しています。著作権は各権利者に帰属します。)


    次回、第51夜は「鈴井貴之は、なぜ『旅』を作れたのか」について考えていきます。

    この連載は、これからも『水曜どうでしょう』の魅力を一つずつ読み解いていきます。「❤️スキ」「👤フォロー」で応援いただけると励みになります。


    📌今回の内容を踏まえて、皆さんは……

    A:『水曜どうでしょう』の一番の魅力は、大泉さんを中心とした4人の掛け合いだと思う
    B:『水曜どうでしょう』の一番の魅力は、旅そのものや企画の面白さだと思う

    どちらに近いでしょうか。理由もあればぜひコメントで教えてください。(コメントには必ずご返信させていただきます)
    今後の『水曜どうでしょう』考察の参考にさせていただきます。


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    ■運営者(ユウナ)について
    このnoteでは『水曜どうでしょう』をテーマに執筆しています。以下の別アカウントでは、普通の会社員だった私が、FIREを達成するまでの資産形成の実体験を記録しています。

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