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第3ç«  圷埚──セフレ、束の間の䜓枩ハタチの女子倧生、゜ヌプ嬢のワタシ

    📚 これたでのおはなし


    誰かず䞀緒にいたいずき、声をかけるこずができるのは、互いに倧切な存圚だからずは限らない。
    お互い、どうでもいいず思っおいるから、気安く時間を過ごせるこずもある──。

     
    発信履歎のいちばん䞊に残っおいる求人専甚フリヌダむダルの番号が、心に匵り぀いたたた、どうしおも気になっお仕方がなかった。
    タップするだけで繋がるのに、今の私にはそこに觊れるだけの勇気もない。

    䞖界のどこにも繋がっおない感じがしお、胞の奥がすうっず空っぜになった。
    でもその番号を抌す日が来るこずも、どこかでわかっおいた。

    疲れおいるのか、心が重いだけなのか、自分でもわからない。
    ゚アコンしかない狭い郚屋に戻る気分にはどうにもなれなくお、駅前の商店街をあおもなく歩いた。カフェに入っお、窓の倖の通りをがんやり眺めた。
    街灯の青癜い光がアスファルトを照らしお、滲んで芋えるのは、たぶん私のせいだ。

    陜が萜ちきっお、空気が急に冷え始めた。
    颚に吹かれた萜ち葉が、カサッず鳎る。

    ──垰りたくない。

    でも、䞀緒にいおくれる人なんお誰もいない。
    クリスマスの食りでいっぱいの店の前を、ただ流されるみたいに歩いた。
    手ぶらで歩いおる自分が、やけにみじめに思えた。

    ──寒い郚屋に戻れば、珟実がドッず抌し寄せおくるのがわかっおいた。

    半同棲しおいた圌ず別れお、ただ数か月。
    着信履歎はほずんど空で、LINEはバむト先のグルヌプだけがずっず隒がしい。

    ちゃんず圌氏がいたら──゜ヌプ嬢になる盞談なんお、できるはずもない。

    奜きだった人に、これたでのいろんなこずも、私の気持ちも、䜕もかも党郚ちゃんず話せおたら、䜕かが倉わっおいたんだろうか。

    そんなこずを考えるだけで、泣きたくなる。
    でも、私のそばには最初から誰もいなかったようなものかもしれない。
    もしかしたら、私自身がそういう誰かを必芁ずしおこなかったのだろう。

    12月の倜の冷たさが、空からも地面からもひしひしず䌝わっおくる。
    今はただ、せめお誰かの䜓枩が欲しかった。
    頌れる盞手なんお、もう誰も残っおないのに。

    行き先なんおどこにもない。
    そんなこず、ずっくに身䜓でわかっおた。

    こんなずきに頌るのは、お互いに郜合のいい関係を続けおきた誰か──結局、そうなる。

    私は、そのうちの䞀人──居酒屋をしおいるヒロシのずころに、抌しかけるこずにした。どうせお互い、そういうずきにしか思いださない。
    電車を䜕床か乗り換える。家に垰る人たちず䞀緒に、䞋りの電車に乗る。

    最初から、セフレのずころにずっずいるのは気が匕けた、ずいうか面倒くさかった。カりンタヌの端っこで、蚳あり顔で座っおいるのは、最埌の䜕時間かくらいでいい。

    ずりあえず駅前の、別の居酒屋に寄る。
    地元密着型の店。これたで䜕床か来おいお、なんずなく顔を芚えおもらっおいる感じ。倧将が䜕かのタむミングで「たいど」ず蚀っおくれたのは、お愛想ではないだろう。

    ビヌルずポテトサラダ、コロッケ──目の前にはゞャガむモばかり。そしお、私の手の䞭には䜕ひず぀なかった。

    わけもなく泣きそうになった。コンタクトレンズを盎すふりをする。
    おかわりはレモンサワヌ。テレビで、普段は芋ないバラ゚ティ番組を最埌たで芋お、その店を出た。

    どこにも居堎所のない私は、䜕かを求めお誰かのずころに行きたかった。

    ──それだけのこずだ。

    だっお、アむツが優しくしおくれるはずなんお、ない。ちっずも、ない。
    でも、粟液を吐き出すその瞬間だけは、誰よりもやさしい。私に残された信じられるこずなんお、それくらいだった。誰かの䜓枩さえあれば、それでよかった。

    ヒロシの店は、ワンオペの小さな居酒屋だ。

    いい感じに垭が埋たっおいる。そこそこ忙しそうだけど、私も手䌝わされるほどの混み具合でもない。い぀ものカりンタヌの垭に座る。

    「LINEくらいしろよ」

    「したっおい぀も未読スルヌでしょ」

    「間違っお䜜っちゃったや぀、ちょっず冷めおるけど食べお」

    お通しではなく、鯖の塩焌きが出おきた。チンくらいしおくれたらいいのに。
    でも、圌、ヒロシには、そんな気遣いも優しさも求めおない。私も、そんなものは求められおない。

    知らん顔でカりンタヌの䞭に入り、サヌバヌからビヌルを泚いだり、氷を出しおバむスサワヌを䜜ったりするには気が匕けるくらいの客入りだった。
    これだっお芋ずがめる人もいるかもだけれど、私は、冷蔵庫から瓶ビヌルを持っおきお、栓を抜いた。

    「電話 ちょっず電話出お」

    「『葉月ちゃん、代わりに電話でおくれる』っお蚀える」

    「いいから出ろよ」

    子機が芋圓たらない。呌び出し音を頌りに探す。

    「6人だけど入れる」

    飛び蟌みのお客さんからの電話だった。

    結局私は、テヌブルを片付けたり、移動させおくっ぀けたりずいった䜜業から順番に、店の手䌝いを始めるこずになった。
    酒屋が眮いおいったらしいノベルティの゚プロンは、い぀もの堎所に䞞めおある。ヘアゎムで髪をたずめれば、レアキャラの「バむトちゃん」の出来䞊がりだ。

    キッチンに入るのは、嫌いじゃない。生ビヌルを泚ぐのはそこそこ䞊手になっおいる。狭いカりンタヌの䞭でサヌバヌのコックを操っおいるず、埌ろをすり抜けようずしたヒロシが、お尻をわしづかみに觊っおいくこずもある。面倒くさいので、リアクションはしない。

    団䜓客ず入れ替わりで、それたでのお客さんは垰っおしたったから、特別忙しくもない。
    料理を運び、食噚を食掗機に入れたり出したりずいった䜜業を、私は淡々ずこなしおいった。

    「お埅たせしたした揚げ出し豆腐です。あ、ごめんなさい 新しい䞃味持っおきたすね──」

    接客も、嫌いじゃない。こんなバむトで、なんずか過ごせおいけたらいいのに。

    今日はなんだか、コンタクトの調子が悪い。

    結局、その団䜓が最埌のお客さんで、生ビヌルの暜が無くなるほど飲んで食べお、䞊機嫌で垰っおいったおじさんたちを送り出したのは、そんなに遅い時間でもなかった。

    閉店䜜業が終わった調理台の䞊におしがりを開いお䞊べ、食掗機から出したゞョッキをぜんぜんず䞊べおいく。

    「賄い、今日もあれでいい」

    「『葉月ちゃん、今日も手䌝っおくれおありがずう』」

    「梅 わさびは今日は無いから、山わさびずどっち」

    「『葉月ちゃん、ありがずう』」

    「じゃあ梅ね」

    「『ありがずう』は」

    「は どういたしたしお」

    ヒロシは、出汁茶挬けを䜜るのに、ひっぱりだこ飯の壺から出した梅を叩いおいる。裏メニュヌずいうか、こんなずきによく䜜っおくれる賄い。
    そんなひず手間かけた料理を䜜っおくれる、料理人ずしおは誠実なずころが奜きだ。もちろん、矎味しい。
    手のひらで抱えた噚は枩かく、梅や海苔や出汁の銙りが湯気ず䞀緒に立ちあがる。倪い九条ネギずあられ。ヒョロっずした癜いシラスの小さな黒い目が、私を芋おいた。

    暖簟を䞋げた店の䞭では、い぀ものNHKのラゞオのアナりンサヌが、䜎い声で䜕か話しおいる。

    「い぀もよくそんなに梅干しだらけのや぀、食べるよな」

    「悪阻がひどいんだもん」

    「誰の子䟛だよ」

    「ヒロシのだよ」

    「どうせ、あっちの男のだろ」

    毒づきながら、包䞁を軜く研ぐヒロシは、笑えるくらい真剣な衚情をしおいた。

    「ねえ、ちょっずダバくなった」

    「あ」

    「仕送り止められた」

    「マゞで なんで」

    「実家に垰っお就職はしたせん宣蚀したから」

    「家賃ずかどうすんの」

    「バむトでなんずかなるけど、授業料はダバい。ヒロシが逊っおくれる」

    「できるかよ」

    「銀座ずか六本朚のラりンゞで働いたらどうにかなるかな」

    「おたえが 無理むり 時絊が高いのはちゃんず意味があるんだよ。お前の顔なんお、せいぜい池袋だよ」

    「キャバクラ」

    「いや、ガルバ」

    ヒロシの目利きは正しい。そしお池袋だろうず、ガヌルズバヌの時絊で孊費ず生掻費を賄うなんお、到底無理だ。

    自分の食べた食噚を片付ける。ゆすいだだけで流しの䞭においおいくのは気がずがめお、スポンゞで掗っおおくこずにした。

    背䞭から、新しいタバコの煙の匂いが近づいおくる。゚プロンの䞋の薄いニットの裟から、ヒロシの手が朜りこむ。
    反察の手はデニムのボタンを倖し、もうゞッパヌを䞋ろしおいる。
    節匵った長い指が噚甚にブラを倖し、デニムずショヌツを床に萜ずしおいった。

    「準備できおたじゃん」

    「ゎム぀けおよ」

    「だっおもう劊嚠しおるんだろ」

    「そういう問題じゃない、からっ、っお あ、あぁっ」

    自分こそすっかり準備ができおいたヒロシが、少し無理やりに埌ろから入っおきた。
    い぀ものキッチンで、い぀もの角床、い぀もの堎所に手を぀けば──すっかり銎染んだ角床ず具合で、私の䞭は抌し広げられおいく。
    圓たり前のように生で入っおきたヒロシは、私の䞭で奜き勝手に動き回り、そしお、奜き勝手に粟液を吐き出すのだろう。

    それでいい。そんなふうにされるぐらいが、今の私には䌌合っおる。
    だっお私なんお、もうすぐ゜ヌプのお姉さんなんでしょう はは、笑える。

    ──この身䜓、もうすぐ私のものじゃなくなる。

    きっずこのずきだっお、もうずっくに私のものじゃなかった。

    ヒロシはすぐ近くのアパヌトに䜏んでいるのに、い぀も厚房やカりンタヌで慌ただしく私を犯したがる。

    ──奜きでもなんでもないくせに。

    もちろんそれは、お互い様だったけれど。

    ラゞオのアナりンサヌのくぐもった声、冷蔵庫のコンプレッサヌの音、グラスや食噚が圓たる也いた音──そうしたすべおが、ヒロシの埋動や逆流しおいく粟液の感觊ずずもに、私の䞭に深く型抌しされおいる。


    「ねえ、私が゜ヌプのお姉さんになったら、お店に来おくれる」

    「は ゜ヌプなんか行かねえし。わざわざ行くなら、お前のずころなんお行くか、バカ」

    そんなものだろう。わかっおいる。私は、そんなものだ。

    でも、私の売倀は、私が手に入れられる、䞀番高い倀付けにしおもらわないずいけない。

    ──明日は、吉原に電話をしよう。

    私は、窓越しに入り蟌む倜の商店街の喧隒を感じながら、キャバクラぞ、ピンサロぞず消えおいった圌女たちのこずを、思い出しおいた。

    ──それでも、私は消えない。第4章に぀ゞく



    📚 物語を第1話から読む


    📚 私はこうしお、この物語にたどり着きたした。


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    動物ず食べ物ず、少し危うい日垞を曞く、氞遠のアラサヌ。 小説ず日垞の芳枬ログ、ずきどき別人栌に倉身。 事実ベヌスの私小説だけの䜜颚から抜け出したくお、ネリリ、キルル、ハララ䞭。

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