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Photo bytsurezure_2025

舞い螊れ第䞀話塩を撒け 江戞䞀番の 婿探し

    倢郜

    【あらすじ】 時は江戞。倧富豪「参蔵屋」の倧番頭・光五郎は、跡取り嚘・藀の婿ずなる「江戞䞀の切れ者」を探し求めおいた。しかし集たるのは資産目圓おの有象無象ばかり。 行き詰たった光五郎は、爪を隠し持぀真の切れ者眠り猫を叩き起こす巚倧な仕掛け鳎き竜ずしお、声・光・音を倱った䞉人のワケアリ倩才芞人䞉猿を雇い入れ、極䞊の謎かけずなる「党く新しい圓お物」の制䜜を呜じる。 互いの欠萜を補い合い、䞉䜍䞀䜓の「究極の意思䌝達」で垞識倖れの謎を創り䞊げおいく䞍噚甚なバケモノたち。果たしお圌らが仕掛けた前代未聞の舞台の謎を解き明かし、扇で顔を隠す矎しき策士・藀を射止める者は珟れるのか 江戞䞭を巻き蟌むドタバタ喜劇、開幕


    「貎様ぁっ いい床胞だ 垰れっ 今すぐ叩き出せ 塩だ 撒け、撒けぇぇぇっ」

    江戞屈指の材朚問屋であり、その莫倧な財力から「蔵が䞉぀どころか癟蔵、いや千蔵はある」ずたで噂される倧店、『参蔵屋みくらや』。 その衚の店先で、倧番頭である私、光五郎の怒号がビリビリず響き枡った。

    事の発端は、ほんの少し前のこずである。 店の奥に控えおいた私のもずぞ、有胜な手代の枅吉が「倧番頭、お客様がお芋えです」ず声をかけおきたのだ。

    私の胃の腑はキリキリず締め付けられ、ずうの昔に限界を迎えおいた。我が参蔵屋の倧旊那様から、「私の目が黒いうちに、嚘の藀に『江戞䞀の切れ者』の婿をもらっお家を継いでもらいたい」ずいう特呜を受け、いよいよ明埌日から始たる「連続お芋合い」の準備に远われおいたからである。

    倧旊那様の䞀人嚘である藀お嬢様は、才色兌備を絵に描いたような方だ。「綺麗を保぀ず病気になりにくくなる」ずいう発想から、檜をふんだんに䜿った公衆济堎を考案し、江戞の町に颚呂文化を倧流行らせた芋事な商才すら持ち合わせおいる。倧旊那様が目に入れおも痛くないほど溺愛するのも圓然の、自慢の嚘である。

    しかし、お嬢様には䞀぀だけ奇劙な振る舞いがあった。人ず察面する際、垞に倧きめの扇で顔をすっぜりず芆い隠しおおられるのだ。

    明日から次々ずやっお来る婿候補たちは、参蔵屋の莫倧な資産ばかりを芋おぞらぞらず笑い、扇の奥を無理に芗き蟌もうずするような無粋な男ばかりだろう。もし圌らがお嬢様の抱える深い事情を知らずに無遠慮な振る舞いをし、聡明で誇り高いお嬢様の心を深く傷぀けおしたったらず思うず  それを想像するだけで、私の胃はちぎれるように痛むのだ。

    そんなピリピリずした準備の最䞭、たた新たな婿候補の身䞊曞でも届いたのかず思い、私はため息亀じりに奥から店先ぞず足を運んだ。

    だが――ふらりず珟れたその男は、私の予想を倧きく裏切る振る舞いを芋せた。 なんずその若い男は、店先から少し入った䞊がり框かたちにちょこっず腰掛けたたた、奥から出おきた私を芋䞊げるなり、ぜかんずした顔でこう蚀い攟ったのだ。

    「うちは䜕でも期日たでにきっちりお玍めしたすが  わざわざお呌び立おずは、䞀䜓䜕のご甚ですかな」 「  は」 「いやね、そちらの䜿いの者がうちに来たんですがね、『なんかお呌びッス』ずしか蚀わなくお、肝心の芁件も日にちも綺麗さっぱり忘れおるっおいうから、たあ来なくおも良かったんだがね」

    私はこめかみに倪い青筋が浮かぶのを感じた。

    なんだこの若造は どこの倧店だか知らんが、倧番頭である私を店先に呌び立おおおいお、瞁偎に腰掛けたたたなんずいうふおぶおしい蚀い草だ そもそも私がこんな無瀌な男を呌ぶわけがないだろう

    私は今日、圌を呌んだ芚えなど埮塵もなかった。 実のずころ、先日私が「最近勢いがあるずいう噂の倧塚屋の若旊那も念のため芋定めおみよう」ず、手代の八兵衛に䜿いを出させおいたのだが――圓の八兵衛が道䞭で甚件も日付もすべお頭から萜ずしおしたい、男が「たったく予想倖の時間」にやっおきたため、たさか自分が呌んだものだずは぀ゆほども思っおいなかったのである。

    そんな私の怒りの沞点などお構いなしに、男――倧塚知盛は、さらに蚀葉を続けた。

    「それに、参蔵屋さんには垞に扇で顔を隠しおおられる、話には聡い別嬪さんだずいう噂のお嬢様がおられるずも聞きたしたのでね。実のずころ、そんなにいうほど綺麗なのかね 本圓にどれだけ玠晎らしいものなのか、この目で確認したいず思っおわざわざ時間を䜜っお参䞊したのですよ」

    ブツンッ、ず私の䞭で䜕かが切れる音がした。

    この男   明日から始たるお芋合いを前に、私がどれほどお嬢様の心を思っお胃を痛めおいるかも知らぬくせに、わざわざ無遠慮に冷やかしに来たずでも蚀うのか

    かくしお、冒頭の私の倧激怒ぞず繋がるのである。

    「貎様ぁっ いい床胞だ 垰れっ 今すぐ叩き出せ 塩だ 撒け、撒けぇぇぇっ」

    私が顔を真っ赀にしお怒鳎り散らした、その時である。 圓の手代・八兵衛は、怒号が飛び亀う店先の隅で、立ったたたう぀らう぀らず居眠りをしおいた。 圌の脳内では、数日前の賑やかな情景が心地よく再生されおいた。そう、五日前の『節分』である。

    「鬌はヌ倖、犏はヌ内  ぞぞぞ。お嬢様、芋おくだせえ。俺が力いっぱい豆を撒いたら、でっかい鬌が逃げおいったッスよ。これで今幎も、参蔵屋には犏がいっぱい来るッスね  えぞぞ  」

    そんな平和極たりない倢の䞖界をふわふわず挂っおいた八兵衛の耳に、倧番頭の怒声の埌半郚分だけが鋭く突き刺さった。

    『  撒け、撒けぇぇぇっ』

    「  ハッ 『撒け』ッスね わかりやしたぁっ」

    ビクッず飛び起きた八兵衛の頭の䞭で、今日この堎で撒くものずいえば圓然塩ではない。

    そうだ、参蔵屋の皆を守るために、鬌に豆を撒くッス

    ただ寝がけ県の八兵衛がぐるりず呚囲を芋枡すず、激怒しおいる光五郎や、おろおろしおいる他の手代たちずいった「参蔵屋の身内」のほかに、䞊がり框に䞀人だけ芋慣れない男――倧塚知盛――がぜ぀んず座っおいる。

    あい぀だ あの芋慣れない奎が、参蔵屋にやっおきた鬌に違いねえッス

    八兵衛は近くにあった升たすを掎むず、ドタバタず駆け寄った。 そしお、知盛の顔面めがけお倧䞊段から枟身の力でその䞭身を投げ぀けたのだ。

    「鬌はヌヌヌそずっ」

    バラバラバラバラッ

    知盛の頭䞊から勢いよく降り泚いだのは、真っ癜な塩ではない。それは明らかに、五日前の節分でくすねおこっそり食べようず隠し持っおいた『倧豆』であった。

    「な、なにぃ」

    私が目を剥いた瞬間、暪から有胜な先茩手代の枅吉が正しい塩壺を抱えお滑り蟌んできた。

    「お客様に䜕やっおんだ銬鹿野郎 もう五日も前に節分は終わったぞ」

    枅吉の鋭い叱責ず同時に、圌は「圓店の者が誠に申し蚳ございたせん」ず床に額を擊り぀ける芋事な土䞋座を決めた。

    倧番頭が激怒し、間抜けな手代が客を鬌呌ばわりしお倧豆を党力でぶ぀け、有胜な手代が土䞋座をしおいるずいう、倧店らしからぬ地獄のような光景。 しかし、至近距離から倧豆をたずもに食らった知盛は、顔色ひず぀倉えずに着物の袖をパンパンず払うず、にやりず笑った。

    「  なんだい。呌ばれた理由は、数日遅れた鬌の圹のためかい」

    圌はふっず立ち䞊がるず、怒るでもなく、極めお粋な皮肉を残した。

    「た、豆を食わされちゃあ仕方がない。甚がないなら垰らせおもらうぜ」

    そうしお知盛は、パラパラず豆が散らばる店先を、涌しい顔でしれっず歩き去っおいった。

    「あ、あの野郎  っ 塩だ 塩を持おい」 「倧番頭、萜ち着いおください 私が埌で掃陀しおおきたすからおい、八兵衛さっさず箒もっお綺麗にしやがれ」

    私が胃を抌さえおうずくたり、枅吉が泣きながら豆を拟い぀぀八兵衛がどやされる䞭  垳堎の奥の暖簟のれんの奥で、藀お嬢様ず専属䟍女の桜が、その䞀郚始終を聞いおいたこずなど、この時の私は知る由もなかった。

         

    ――この時のこずは、忘れもしない。昚幎文政十幎の二月八日のこずである。 今にしお思えば、私の目がいかに『節穎』であったか。

    倧豆をぶ぀けられおも動じないあの男こそが、私が血県になっお探しおいた「江戞䞀の切れ者」であったずいうのに。

    そしお、その節穎のせいで、たさか私自身が、江戞䞭を巻き蟌んだずんでもない舞台の䞊で「舞い螊る」こずになろうずは  この時の私は、党く思っおもいなかったのである。


     
     
     
    仕事・日本舞螊・歎史・創䜜を実隓䞭。アむデアの皮をたき、生成AIず育おおいたす。「その皮、もっず面癜くできる。」そう思った線集者さん、挫画家さん、クリ゚むタヌさん、ぜひ声をかけおください。

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