
香箱座りするカエルに学ぶ
田んぼに水が張られ、オタマジャクシたちが無事にカエルへと成長すると、あちこちで大合唱が始まる。
ゲコゲコ、ゲコゲコ。
この鳴き声を聞くと、「ああ、今年もこの季節が来たなあ」と妙に安心する。私にとっては、天然の睡眠導入BGMである。
田んぼパトロールをしにいくと、畦道でくつろいでいたカエルたちが一斉にぴょんぴょん飛び出し、優雅に泳ぎ始める。あの一斉避難も、毎年の楽しみだ。
だいたいからして、カエルに近づくとすぐに逃げ出してしまうのだが、今日あった子は微動だにしなかった。
イチジクの実がどのくらいなったかな~と大きな葉っぱをそっとかき分けた、その瞬間。目があった。
数秒、お互いぴくりとも動かず見つめあう。
あれ?この子、お陀仏?!なわけないな・・・
スマホをそ~っと取りだして、ピントをあわせている間に逃げるかと思いきや、まったく動かない。
カエルって、前足を伸ばして、犬のお座りみたいな座り方するんじゃ?
ど根性ガエルのぴょん吉をみてもそんなイメージ。

ところが、この子は前足をきれいに体の下へしまい込み、ちょこんと座っている。
これは・・・まるで猫の香箱座りじゃないか。

と思って調べたら、アマガエルの香箱座りは割と知られた行動らしい。知らなかった。
なんで、こんな座り方しているんだろ。猫みたいにリラックス状態なのか?
早速、質問。Gemini先生はものの数秒で回答をだしてきた。
まずは乾燥対策。
カエルは皮膚から水分が失われやすいため、手足をたたんで空気に触れる面積を減らし、水分の蒸発を防ぐ。さらに、お腹を地面にぴったりつけることで、地面の湿気も取り込んでいるという。
なるほど、理にかなっている。
さらに体温調節。
カエルは変温動物なので、少し肌寒い日は手足をしまって熱を逃がさないようにしているらしい。
そして極めつけは、敵へのカモフラージュ。
手足を投げ出していると「カエルです!」というシルエットになる。でも、丸く縮こまれば、鳥やヘビの目をごまかせるのだという。
なんとも賢い。勝手に
「あざとかわいさアピール」
だと思っていた自分を反省した。
ちなみに、「リラックスしている時にも見られる姿勢」とも言われているそうだ。
つまり、この場所はこの子にとって安全地帯。そう思ってくつろいでいたところへ、人間が現れ、
葉っぱを揺らし、スマホを向け、
「かわいい、かわいい」
と写真を撮り始めたのである。さぞかし迷惑だったであろう。
そんなことは気にせず、後ろ足はどうなっているのか?と横からのぞいてみると、後ろ足まできれいに収納されていた。
徹底した香箱座り。かわいすぎる。

結局、その場を離れるまで、一歩も動かなかった。
いや、動かなかったのではない。
「早く帰ってくれないかな」
と、じっと耐えていただけだったのかもしれない。
写真を見返すと、どう見ても歓迎ムードではない。
むしろ、
「さっさといけよ」
とイラっとした顔にしか見えないのである。大変失礼いたしました。