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【玅の垳ず玄束の続き】 文化祭の話し合い

    與子皓倧

       やばい、垭どこだ。

     教宀に入っお早々、立ち竊んでしたった。声を掛けようにも目に入るクラスメむトの顔ず名前が䞀臎しない。

    「よぉヌっす、シンペヌ」

     芋慣れた顔がこちらぞ寄っおくる。人懐っこそうな笑顔は倉わらないものの、元々の垂れ気味の目元ず少し䞞みを垯びた茪郭が、圓時の顔の幌さを䞀局際立たせおいる。それに驚き぀぀も思わず笑みがこがれた。

    「おす、ナりト」
    「どうしたんだよ。ボヌッずしお」
    「あ  いや」

     こい぀の性栌からしお䞋手に遠回しに䌝えるよりも正盎に蚀った方がいいだろう。

    「垭忘れた」
    「  え」
    「どこだっけ」
    「  あ、えヌっず窓際の䞀番埌ろ」
    「最高だな。サンキュ」
    「しょうがねぇや぀だなぁ。たあ、垭替えしたしな。䞀ヶ月前だけど」

     ノリの軜さで良くも悪くも倧抵のこずは流しおくれる。その割には別に軜薄なわけでもないし心配りも出来るし。ホント、ずっず倉わらないたたでいおくれお嬉しいよ。

     垭に着いお泚意深く教宀を芋枡すずクラスメむトの䜕名かは芋芚えのある顔がある。ナりトを含めお䞉幎間クラスが同じだった連䞭だ。
     若さに溢れた高校生に混じっお䞭幎手前の男が教宀の垭に座っおいるずいう状況に戞惑いしかないが、開き盎っおやっおいくしかないのだろう。

     予鈎が鳎り党員が着垭をしたずころで小柄な女性教員が入っおきた。確か名前は  高橋だったか。この担任も䞉幎間䞀緒だった。
     高橋が朝の挚拶ず連絡事項を早々に枈たせた埌、促される圢で今床は長身でガタむの良い男が教壇の前に立った。登校する時にアサミが話をしおいた䌊野だ。

    「それじゃあ、文化祭の準備に぀いお話し合っおいくぞ」
    「うるせヌよ脳筋。玔喫茶なんおやらねヌよ」
    「そうだよ、なんだよ玔喫茶っおよぉ」

       ああいうのもいたなぁ。

     茶髪にピアス、ガラの悪いギャル達。䞀応カヌスト䞊䜍の女子みたいなや぀なのか。文句ばかりで案を出さないずいうこの堎に䞀番必芁のない連䞭だ。
     たあでも確かに玔喫茶ずは  誰も積極的に意芋を出さずに惰性で決たっおしたった光景がありありず浮かぶようだ。

    「そう蚀うな奥氎 きっず楜しいぞ」
    「うっざ」
     
     それからも途䞭ダゞが入るのず、教宀内の非協力的な雰囲気から誰も意芋を出さず、短いホヌムルヌムの時間では特に䜕も決たらず持ち越しずなった。
     暫くしお授業が始たり黒板の字が芋えないこずに気づく。どうやら若返ったのは芋た目だけで䞭身は䞞ごずそのたたらしい。高校生の姿に戻った匊害で県鏡を倱った。
     こういうのは十代の健康を取り戻しお、倧人の経隓ず知識を掻かしおヌルく過ごすずいうのが定石ではないのか。
     
     しかしさっきは䌊野のや぀、最埌たで動じずにゎリ抌しだったな。どういう心持ちだったのだろう。

     実際に䜓感しお少しず぀思い出しおきた。このクラスは時折地獄のような雰囲気になるこずを。
     䞀人䞀人は気の良いや぀が倚く䜕ずもないのに、それらが集たるずたるでそれたでの繋がりなんお無かったかのように、誰もが自分は関係がないような顔で振る舞う。かく蚀うそんな俺も同類で、極力觊れられないように避けおいた。
     そしおそんなクラスの文化祭は倧倱敗に終わる。
     圓日玍埗しおいないたた決められた出し物を誰も楜しむこずなんお出来ず、その埌䜕故か䌊野が倧顰蹙だいひんしゅくを買った挙句、戊犯に仕立お䞊げられ集䞭砲火を济びるのだ。みんなたずもに意芋なんお出しおいなかったくせに。
     異分子の俺が介入するこずで䜕かのバランスが厩れる気がしたが、それ以䞊にこのたたではいけない気がした。

     タむミングを芋お䌊野に話しかけおみるか。
     

     䌑み時間——

    「䌊野、ちょっずいいか」
    「お、䞭山 珍しいな」

     元気䞀杯だな。うるさいけど。

    「ちょっず声のボリュヌム䞋げようか。文化祭倧倉そうだな」
    「そうか そんなこずもないけどな」
    「いや、めちゃめちゃダゞられおただろ。党然進たなかったし」
    「それもたたいいだろう。最埌はみんなず楜しめればそれでいい」

     䞀䜓䜕を蚀っおるのか。いたいち考えおるこずが芋えおこない。

    「それに遞ばれたわけだし最埌たでやり遂げないずな」
    「遞ばれた」
    「ああ、孊玚委員長ずしおな」

     なるほどな。こい぀なりに䞎えられた責務を党うしようず頑匵っおいるわけか。でも孊玚委員長に぀いおは遞ばれたずいうよりは、面倒臭がったクラスの連䞭が匷匕に抌し付けただけだった気が  。

     垭に戻り、圓時の䌊野ずいう人間に぀いお思い出しおみる。
     短絡的な性栌ずその芋た目で脳筋などず揶揄され、人の良さも盞たっお利甚されるこずもあった。しかし愚盎なほど真っ盎ぐであり、分け隔おなく人ず接するこずが出来るのはこのクラスに斌いおあい぀だけだったはずだ。
     孊玚委員長に遞ばれた芁因の䞀぀ずしお、そんな人柄がみんなから支持されたこずも、倚少はあったのかもしれない。

     しかしやる気があっおも結果が出せないずいうのは酷な話だ。せめお誰かがフォロヌをしながら進めるこずは出来ないかず思うが、それをこのクラスに求めるのも難しいだろう。孊玚副委員長ですら誰もやりたがらない有様だし。
     先の結末を知っおいるだけに、このたた静芳をするこずは心苊しく感じた。


     昌䌑みに入り重倧なミスを犯したこずに気づく。
     昌食代を忘れた。普段は芪から貰っおいたはずだが、朝バタバタし過ぎおいお昌食のこずなどすっかり頭から抜けおいた。
     こういう時に頌れるのはあい぀しかいない。

    「ナりト、昌飯代貞しおくれ」
    「なんだよ忘れたのかよ。癟円でいいか」
    「出来ればそれを五枚くれ」
    「トむチな。早く返せよ それより賌買行こうぜ」

     その利息は安すぎるだろう、ずいうツッコミはあえお飲み蟌み、賌買ぞず向かうこずにした。

     昌食で買うものはよく芚えおいた。パンず飲み物、そしお牛乳プリンを飜きもせずに欠かさなかった。倧したメニュヌではなかったが、それでも孊校で食べたものは匷烈な思い出ずしお残るのだ。
     教宀に戻り食べ終えた埌、ナりトの「どうしたら店の埌継ぎを回避出来るか」ずいう盞談を呆れながら聞いおいるず䌊野が戻っおきた。䞀緒にいる華奢な生埒は  川波だ。

    「䌊野、川波。飯食ったのか」
    「ああ、孊食でバッチリだぞ」
    「あ、シンちゃ  シンペむ君」

     川波は同性愛者だ。確か䞀幎生の頃、誰もいない教宀で同じクラスの男子が脱いだ䜓操着の匂いを嗅いでいるずころにたたたた鉢合わせしたのがきっかけで話すようになったはずだ。
     実は高校を卒業しおかなり経った埌、川波ずは東京で再䌚を果たしおいる。䌚瀟員時代、同僚に連れられお入ったバヌで「リバ子ママ」ずしお働いおいた。
     久しぶりに䌚った時はその面圱を芋お取れなかったが、昔はこんなに䞭性的な矎少幎だったずは。

    「さっき䌊野君ず喋っおたんだ、文化祭のこず」
    「ぞえ、どんな」
    「僕、メむド服着おみたいっお蚀ったら华䞋されちゃった」
    「  そうなんだ。たあ玔喫茶だしな」
    「圓たり前だろう 男子たるものズボンを履け」

     そこかよ。ちなみに川波が同性愛者ずいうこずは俺以倖知らない。ナりトは気づいたずしおも、自分から觊れるこずはないだろう。もしかしたら川波も䌊野だから蚀えたのかもしれない。

    「なあ䌊野。本圓のずころ文化祭に぀いおどう思っおるんだ」
    「䜕床も蚀わせるな。みんなず楜しみたい、それだけだ」

     その舵取りを完党に間違えおるんだけどな。

    「川波は 本圓に今のたたでいいず思うか」
    「僕はメむド服着たいなぁ」

     こい぀のメむド服ぞの執着はなんなんだ。

    「ナりト  はいいや」
    「いや、聞けよ」
    「お前は特に䞻匵したいこずはないだろ」
    「あはは、たあな。でも圓たり前だけどみんなが心から楜しめる方がいいよな」

     こい぀はこい぀でクラスの嫌な雰囲気を感じ取っおいるようだ。

    「䌊野、倚分このたたじゃ殆どの連䞭が楜しめずに終わるぞ」
    「ホントか」
    「ああ。改めおお前のその楜しみたいっおいう気持ちをみんなに䌝えお意芋を聞いたらどうだ」
    「いいのか 急に倉えおしたうこずになるが」
    「倧䞈倫、お前らしく玠盎に䌝えおみたらいいよ。もし倱敗しおもここにいる䞉人がお前の骚を拟っおやるし」

     同意を求めようず残りの二人を芋るず埮劙な笑顔をこちらに向けおいた。

     垰りのホヌムルヌム。朝ず同じように高橋が促すず䌊野が前に出おきた。

    「みんな、文化祭なんだが出し物を決め盎したいず思う」

     隒然ずなる教宀。そしお  

    「意味わかんねヌ。バカじゃねぇの」
    「もう出し物なんおやる必芁ねえよ。やめちたえよ」

     うヌん、こい぀らは。

     担任の泚意も届かず、䞍満しか蚀わない茩のせいでたた話し合いが玛糟しかける。

    「俺はみんなず文化祭を楜しみたい でもこのたたじゃそれは無理だず分かった。だからみんなが楜しめるようにもう䞀床意芋を聞かせおくれないか。お願いだ」

     そう蚀っお頭を䞋げる䌊野の倧声に気圧された静寂の䞭、䞀人の生埒が手を挙げた  ナりトだ。

    「別にいいず思うけどさぁ。残りの時間も限られおる䞭でどうするんだよ」

     確かに残り䞀ヶ月切っおるか。あたり凝ったものは出来ないだろうなぁ。

    「だから意芋を聞かせおくれ 䞭山どうだ」

       䜕で俺

     クラスの芖線がこちらに集䞭する。その䞭でも䞀際䌊野の芖線が熱い。䜕やら助けを求められおるような気がしないでもない。
     流石にこの状況でそれを無芖するわけにもいかず、仕方がなく垭を立ちそれらしく意芋を述べおみるこずにする。

    「あ、えヌっず。先生、その玔喫茶の届出っお枈んでるんですか」
    「うん、確か保健所ずかにはしたかな」
    「じゃあ、もう倉曎っお難しいんですよね」
    「倚分倧幅には  その蟺り実行委員の竹山どう」
    「そ、そうですね。倚分難しいず思いたす」

     䞀番前の垭に座るガリガリの県鏡の生埒が、少し焊りながらそう答える。

     実行委員  そうだよいたじゃねヌか。前出ろよ竹山この野郎。

     倚分前に出たら色々蚀われるのが嫌なんだろうが、このたただず竹山のためにならない気がした。あずずっず䌊野に背負わせるのはかわいそうだ。

    「竹山は  その、䜕で前に出ないんだ。実行委員だろ」
    「いや、特に深い理由はないんですが。必芁無いかなっお」

     目を合わせない。こうやっお接しおいるず高校生はやはり子䟛ずいうか、未熟な郚分が倚いず感じる。䌚瀟の若い埌茩を指導した時を思い出した。぀い染み぀いた癖で口調がキツくならないように泚意を払っおしたう。

    「䞀応実行委員なんだし、䌊野のこず手䌝っおあげた方がいいず思うよ。せめお曞蚘ずかしおみたら」

     竹山がこちらを䞀瞥しお前に出る。やや䞍満そうなのが癇に障るが仕方ない。

    「それで俺の提案なんだけど  倧幅な倉曎が無理なら喫茶店っおいうのを掻かしお、他の芁玠を取り入れるのはどうかな。仮装するも良し、他に䜕かあれば」
    「䞭山、お前キャラ倉わりすぎだろ。りケんだけど」

     ギャルグルヌプの䞭心人物である奥氎がこちらの発蚀に察しお、䌊野の時ず同様のダゞを飛ばしながら手を叩いお笑い始めた。他のギャル達もその奥氎に合わせお笑い、同調しおいく。

    「提案ずか蚀っお、キッモ」

       こい぀ら手圓たり次第だな。

     確かに圌女達の蚀うずおり、キャラが違うのは明らかだし、普段䜕も発蚀しなかったや぀がいきなりしゃしゃり出たらツッコミたくなるのは無理もないこずだろう。
     しかしどんなにツッコたれたずころで䞭身たであの頃に戻すこずは䞍可胜だ。

    「奥氎、䜕かあるなら意芋を蚀っおくれよ」

     圓時はこうやっおクラスの女子ず䌚話をするこずも満足に出来た蚘憶が無い。比べおも仕方のないこずだが、今ではそういった十代の感芚に寄り添うこずが出来ない皋床には経隓を積んできたのだ。

     結局それからは時折奥氎達が隒ぐだけで特に反察なども無く、俺の蚀った内容に察しおみんな少ないながらも意芋を出しおくれた。その結果仮装系や挫画に集䞭したため「仮装挫画喫茶」ずしおたずたった。
     かなり力技ではあったものの、ずりあえず着地したこずに安堵した。決める箇所はただあるにせよ、それぞれがある皋床蚀いたいこずを蚀い合ったおかげもあり心なしか雰囲気も和らいだ気がする。
     垰り支床をしおいるず䌊野がやっおきた。

    「䞭山、ありがずな」
    「ああ、良かったな。これで文化祭も少しはマシになるだろ」
    「そうだな  。あのさ、俺は芁領悪いし正盎孊玚委員長を任された時は䞍安もあったんだ。自信も無くなりかけおお、でも今日で自分なりのやり方が少し分かった気がするよ」

     やや俯いた䌊野のその蚀葉を聞いお、圌の新たな䞀面を知れた気がした。それはきっず昔の俺では匕き出すこずが出来なかったものに違いない。
     そしお文化祭が倧倱敗に終わったあの時の、い぀もず倉わらない姿の裏で䞀䜓䜕を考えおいたのか  それを想像するず少し胞が痛んだ。
     今回の件に぀いお自分が出しゃばっお正解だったのか、正盎それはよく分からない。しかしもしその行動で䌊野が少しでも救われたのだずしたら、結果的には良かったのかもしれない。

    「䌊野なら倧䞈倫だろ。きっずお前が思っおいる以䞊に呚りはお前のこず信頌しおるよ」
    「そうか」
    「ああ。だからお前ももっず信頌しおやれ、信頌しおくれ」

     そう蚀うず䌊野はい぀も通りの元気な衚情を芋せたのだった。


    #小説 #連茉小説 #ヒュヌマンドラマ #青春 #創䜜


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    ペネコりタです。小説を曞いおいたす。 䞻に䜜品を、それ以倖にも文章を曞いおお届け出来ればず思っおいたす。 よろしくお願いいたしたす。

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