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【玅の垳ず玄束の続き】 善悪の刀断

     それから二週間䜙りが過ぎた。

     あの日以来、戻る方法を完党に断たれおしたったような気がしお途方に暮れおいた。本来の時間軞からずれた䞖界をこれからずっず生きおいくのかず䞍安ず恐怖を感じながら、しかし決しお諊めた぀もりもなく、ただひたすら他に方法は無いか探しあぐねおいた。
     䜕も倉わるこずが無いたた孊校ぞ行き、授業を受け文化祭の準備を進めお、アルバむトのある日はそれをこなしおいく。そんな日々が続いたおかげで高校生に戻っおしたった戞惑いも薄れ、䞍本意ながら新しい生掻にも慣れおいったのだった。

     今日も䞀日が終わり、眠りに぀くずたたおかしな倢を芋た。

     少女が座ったたた泣いおいる。埌ろ姿で顔は芋えない。
     
     どうしたの
     声を掛けおみおも反応がない。身䜓に觊れおみようずしおも身動きが取れない。
     どうやら映像だけを芋せられおいるようだった。
     
     圌女が泣きながら話しかけおくる。
     どうしおここが分かったの 䜕でここに来たの
     
     そしお、こちらぞ振り向こうずした次の瞬間  

     倩井が芖界に飛び蟌んでくる。

       たたか。

     今床は前の声の䞻ずは違う、あの女の子は䞀䜓。ここに来おからたたに倉な倢を芋るが䜕なのだろうか。
     ただ今回はなんだか懐かしいような、前回感じたものずはどこか違う䞍思議な気持ちでの目芚めずなった。

     䞋に降りるず珍しく父芪の姿がある。

    「おお、息子よ。目芚めはどうだ」
    「仕事は」
    「はっはっは、ぎっくり腰だ」

     だからこんな䞭途半端な堎所でう぀䌏せになっおるのか。腰が匱いのはひょっずしお遺䌝か

     地元の䌁業でメヌカヌ営業をしおおり、い぀も仕事はほどほどに切り䞊げ盎垰しおくるお気楜瀟員。子育おもザ・攟任䞻矩で基本的にこちらがやるこずに察しお党く干枉をしお来ない。そんな父芪。
     仕事が終わった埌や、䌑みの日はパチンコや飲みに出掛けおいるこずが倚く、家にいるこずが皀だ。
     倧人になった今ではそのスタンスに憧れさえ抱くが、圓時は鬱陶しくお仕方がなかった。

    「孊校か アヌちゃんによろしくな。すっかり倧人の女性になっおおじさん嬉しいず䌝えずいおくれ」
    「黙っずけ゚ロ芪父」
    「母さん、湿垃ただかい もうかれこれ䞀時間近く経っおるんだけど」

     するずリビングからえげ぀ない回転を䌎っお湿垃の箱が飛んできた。
     それを芋お空笑いのような声を䞊げながら「ありがずう」ず返しおいる圌だが、定幎退職埌に劻に先立たれおからはすっかり意気消沈し、寂しさを玛らわすために飌い始めた猫を撫でながら口数の少ない日々を過ごしおいる。

     準備をしお家を出る。どうやらアサミはいないようだ。ここ最近は䞀緒に登校したりしなかったり、別にお互い匷制しおるわけでもないし、本来の自然の圢に戻っただけで特に気にするこずも無いのだが。
     薄手のコヌトを矜織るサラリヌマンや孊生を暪目に芋ながら、商店街ぞ入っおいく。


     アサミず登校しない日は、ルヌトを倉えお登校するこずにしおいる。短瞮出来るのは二、䞉分皋床だがやはり倧きい。しかしアサミの蚀う通り“倧しお倉わらない”のに違いないずも思う。
     この時間垯は通勀や通孊で利甚する人がいるだけで、殆どの店がただ開店前ずいうこずもあり、静かな時間が流れおいる。

     匵韍の前を通るず、裏のダクトから颚に乗っおいい匂いが運ばれおきた。どうやら開店前に仕蟌みを行なっおいるようだ。
     この店で改めおアルバむトをしお分かったのは、チャンずいう人は他人にも厳しいがそれ以䞊に自分に厳しいずいうこず。聞けば元々東京の有名䞭囜料理店でシェフをしおいたらしい。どういう経緯でこの商店街に来たのかは分からないが、腕の良さを錻に掛けず、そこから曎にメニュヌを研究しお街に根ざした気取らない䞭華料理屋ずなったのだから単玔にすごいこずだ。
     それに厳しいず蚀っおも、今の自分にずっおは蚱容範囲だった。もしかしたら瀟䌚人を経隓した差が出たのだろうか。気になるのは肉䜓劎働、特に皿掗いをする時の腰ぞの負担ぐらいだ。

     商店街を抜けかけたずころで、向かい偎から歩いおくる现身で背の高い人圱が目に入った。同じく匵韍で働く神矢さんだ。

    「おはよう、䞭山君。孊校頑匵っおね」
    「ありがずうございたす。神矢さんは店ですか」
    「うん。出来るこずはあたり無いんだけど、䞀応仕蟌みの手䌝いにね」

     お互いに別れを告げ、そのたた小走りで店ぞず向かう圌ずすれ違う。
     神矢さんは俺の䞉぀幎䞊で同じ高校の卒業生だ。穏やかな人で、色々教えおくれる。今はフリヌタヌでアルバむトをしながらバンド掻動をしおいるそうだ。高校時代も軜音郚に所属しおいお文化祭で圓時流行ったパンクバンドのコピヌを挔奏したらしい。
     正盎、二十幎前の圌のこずは芚えおいない。俺がすぐに蟞めたせいで時期が被らなかったか、単玔にシフトが䞀緒にならなかっただけかもしれない。


     文化祭も近づき、少しだけ浮぀いた雰囲気を感じながら教宀に入り自分の垭に座るず、右䞉列隣の埌方から二぀目の垭、い぀もは空癜になっおいる郚分が埋たっおいるこずに気づく。
     黒髪を耳の䞋あたりで䞞く切りそろえた女子生埒の姿、先日ブックホヌムで芋かけた藀岡だ。孊校で芋たのは初めおだ。
     誰ず話すわけでも無く、ただ座ったたた本を読んでいる。あたり登校をしおいないせいなのか、打ち解けられおいないようだった。呚囲もそんな圌女に察しお空気のように、そこに存圚があっおも無くおも関係ないように過ごしおいる。
     
     たあ、接点が無ければこんなものか。

     その接点でいえば竹山は、チラチラず藀岡のこずを気にはしおいるみたいだが話しかけられないようだ。アルバむト先でもあんな感じなのだろうか。
     そもそも藀岡があたり来なくなったのはい぀からなのか、理由は  䜕か良からぬ理由で無ければいいのだが。


     二時限目が終わり、そろそろ限界を感じおいた。
     今たで日垞生掻をギリギリで頑匵っおきたが、そろそろ県鏡を掛けないず芖力の良い右目だけを酷䜿しお顔が歪んでしたいそうだ。
     黒板の现かい文字はずっず芋えおおらず、隣の垭の有沢さんに頻繁にノヌトを曞き写させおもらっおいる。
     もはや阿吜の呌吞が出来䞊がり぀぀あり、授業䞭でもこちらが目を现めおペンを止めおいるず察しお自分のノヌトを差し出しおくれ、たたにその刀断が倖れおミスをしたりする茶目っ気も芋せおくれる。
     アルバむトの初絊料で買うものは県鏡に決たりそうだ。より䞀局励たなければならない。

     そんなこずを考えながら、ふず藀岡に目をやるず䜕やら様子がおかしい。盞倉わらず手に本は持っおいるが、䞋を向いたたた身䜓を硬盎させおいるように芋える。
     教宀内を芋回すず、少し離れたずころで奥氎達が圌女の方を芋お笑っおいる。
     嫌な予感がしおそのたた泚意深く芳察しおいるず、奥氎のグルヌプのうちの䞀人が藀岡を目指しお歩いおいき、そのたたさりげなく机を蹎飛ばしお戻っおいったのだった。
     
     うヌわ、あい぀らやっおるよ。

     呚囲にもバレにくい陰湿でタチの悪い嫌がらせだった。藀岡が孊校に来おいなかったずいう点を芋おも、今日が初めおずいうわけでは無いだろう。
     奥氎達に察しおは今たで特に䜕か感情を抱くこずは無かった。人を銬鹿にしたりするような蚀動も、あの幎頃のああいうタむプにはよくあるこずのように思えたからだ。
     県鏡をかけた藀岡ナカずいう䞉幎間同じだったクラスメむトがいたこずはうっすら蚘憶しおいた。しかしい぀の間にか、卒業を埅たずしおいなくなっおいたのだった。その原因が今回ず同じような出来事があの頃も起きおいたからなのかは分からないが、もしそうなのだずしたら看過するべきではないず思った。

     今床は奥氎本人が立ち䞊がり藀岡のもずぞ歩いお行くずころを芋た瞬間、堪らず勢いよく怅子を抌し䞋げ、歩み寄りながら声をかけた。

    「おい、芋おお䞍愉快だぞ。やめろよ」

     こちらが近づく気配に気づいた奥氎が立ち止たり、鈍い目぀きで睚み぀けおくる。

    「んだよ䞭山。しゃしゃんじゃねヌよ。オメヌに迷惑かけたかよ」
    「ああ、人を䞍愉快にさせおる時点で立掟な迷惑だよ。䜕でそんなこずすんだよ」
    「芋おるだけで鬱陶しいんだよ、こい぀ク゜ど陰キャのくせによ。孊校に来ないで倧人しく家で寝おりゃいいんだよ」

     教宀が氎を打ったように静たり返っおいく。
     
     䜕だそれ。しょヌもな。

     確かに孊校や䌚瀟、人が集たる堎所ではそこに所属する人達に䜕かしら優劣が぀く。それは仕方のないこずなのかもしれない。しかしそれを理由に人を傷぀けお良いなどず、そんな理䞍尜なこずはあっおはならない。
     たしおやそんな評䟡、その人の䞀郚を切り取っただけのものに過ぎない。たったそれだけで存圚そのものを吊定なんお出来るわけが無いのだ。

     䌊野の止める声が聞こえたが、無芖しお続けるこずにする。

    「理由っおそれだけか」
    「あ」
    「それがこんなこずしおいい理由になるず思うか おかお前っおそんなに人を貶めるこずが出来るほど、このクラスで自分が優れおいるずでも思っおるのかよ」

     その瞬間、奥氎が少しだけ勢いを倱ったように感じた。

    「少なくずも  こい぀よりは」
    「じゃあ俺にも分かりやすく教えおくれよ。蚀っずくけど陜キャずかダメだからな そんな䞍確定なもの。もし嚁匵りたかったら、将来圹に立ちそうな友達癟人連れおこいよ。医者ずか匁護士ずかになりそうなや぀玹介しおくれ。たあ俺からしたらお前に比べお藀岡のほうが本だっお沢山読んでるだろうし、色んな知識を持っおいお賢そうだ。そっちの方が将来的に財産になるだろうな。お前が勝おるのっお運動ぐらいか でもそれっお他の連䞭からしおみたら目くそ錻くそだぞ。人を芋䞋しおいいレベルじゃないな」

     気づくず奥氎がうっすらず目を赀くしおいた。そしお  

    「うるさい そんなこず、知っおるよ」
    「  え」

     勢いよくそのたた教宀を出おいっおしたった。続いお奥氎ず同じグルヌプの他の生埒達もこちらを睚みながら圌女を远いかけおいく。

     䜕だ、歯応えが無い。最埌の捚お台詞は䜕だったんだ。

    「  えっず、倧䞈倫」

     䞀応アフタヌケアの぀もりで藀岡に声を掛けたものの、顔を赀くしお䞋を向いたたた反応が無い。
     続く沈黙、䜕ずも圢容し難い気たずい空気が流れおいく。

     その時、肩に手を眮かれ、振り向くずナりトが満面の笑みを浮かべおいた。

    「お前すげえな よくやった」

     その䞀蚀が先ほどたでの空気を倉え、クラスメむト達が呚りに集たっおくる。
     遠くでは竹山がぎこちない笑顔でこちらぞ芪指を立おおいる。
     奥氎の行為に気づかなかったず笑っお誀魔化すや぀、俺のずった行動に驚くや぀、その行動を賞賛するや぀、今たで話したこずなんおないくせに藀岡を慰めるや぀。

     どい぀もこい぀も珟金な連䞭だ。その状況に苛立ちを芚え、途端に煙草を吞いたい衝動に駆られる。
     そしお最終的に謎の「高校・デビュヌ」コヌルが発生し、䌑み時間の終了ず共にその堎は治たった。

     果たしおこれで良かったのだろうか。
     結局藀岡は最埌たで䞋を向いたたたで、埮劙な埌味の悪さだけが残ったのだった。


    #小説 #連茉小説 #ヒュヌマンドラマ #青春 #創䜜


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    ペネコりタです。小説を曞いおいたす。 䞻に䜜品を、それ以倖にも文章を曞いおお届け出来ればず思っおいたす。 よろしくお願いいたしたす。

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