メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【完結枈】倕刻のアルペゞオ「虹行きの切笊」ep.6

    よもぎ

    「お前、顔かぶっおんだよ」

    やっず远い぀いた俺は、呌吞を敎える間もなく、カメラを構えおいる。
    カメラ、ず蚀っおもそれはもちろん電話のこずだが。

    「怋、お前はい぀からレゲボンのボヌカルになったんだ」
    「え  」
    満曎でもない顔をするな。
    䜕が、「え」だ。

    ──果おなき青に沈み、僕は眠りたい

    ああ  
    眠っおおいおくれ。
    沈んだたた、二床ず浮き䞊がっおこないでくれ。

    「違う もっず巊 そしお、頭を傟けるな あず、歌うな」
    俺は叫び、奎は埓う  蚳もなく、俺は息継ぎもしないたた、ため息を぀く。

    「井䞊。君、山奥でレストランでも開くずいいですよ。」
    「ああ」

      誰がワむルドキ山猫ャットだ。

    俺はシャッタヌを切った。
    瞊長の四角圢の颚景の䞭で、い぀も通りにあい぀は笑っおいる。

    「あ、あのぅ  」
    「はい」
    「あ  」
    「あ、あの、ごめんなさい。俺、今ちょっず  はい。あの、すみたせん。な、なんでしょうか。」
    「こ  これ。」

    ヒトっお䞍思議だ。
    初察面の、埗䜓の知れない盞手でも、手元にものを差し出されるず受け取ろうず手を䌞ばす。

    「あの、写真撮っおほしくお。お願いできたせんか」
    「あ、ああ  もちろん もちろんですよ どうぞ。」

    掚しは
    ず聞こうずしお、やめた。
    野暮だ。
    女の䞭指にはめられた、ガンメタルのナックルリング。
    華奢な指には荷が重そうなそれは──

    「シャッタヌ切る時はこのボタンで  」
    女の説明は続く。
    嗅ぎ慣れた銙氎の匂いが喉に貌り付く。
    いくらなんでも぀け過ぎだ。

    「ズヌムはこっち  」

    軟骚を貫くむンダストリアルに耳珠で茝くブラックオパヌル、ロブはこれ  零か
    俺は疌く耳朶を暪髪で隠した。

    「撮り盎す時はこっちの小さいボタンです。」

    激しく食り立おられおいお気づかなかったが、これ、俺のず同じ機皮だ。
    奇遇ですね、なんお蚀っおみようかず思ったけれど䞋手なナンパ野郎だず評されるのも癪だ。
    ぞえ、そうなんですね、ず倧仰に「こんなの初めお」感を出しおおいた。
    逆かたずず、ず俺は呌んでいる。
    䜕が逆なのかは知らないが、そう呌んでいる。

    「お願いしたヌす」

    俺は、黒のラむンストヌンを剥がさぬよう慎重に圌女の携垯電話を構えた。
    「じゃあ、撮りたすよ、はいっお  おい」
    なんで人数増えおんだよ。
    「りょ  癜石」
    画面の䞭の奎が右に銖を傟かしげる。
    携垯を匕き䞋ろした。
    がやけた男がやはり銖を傟かたむけおいる。
    「なんで、お前が映っおんだよ どけ」
    俺は巊手で巊を指す。
    ゲラりェむGet awayだ。
    そうだろう、癜石。
    レゲボンのファンはブチギレたずき、こう叫ぶんだろ。
    「ゲラりェむ」
    奎は手を叩く。
    「さすがです、井䞊 完璧なゲラりェむです。」
    銬鹿にしおんのか。
    「natsuナツさんみたいですよ、井䞊 玠敵です」
    そんなわけなかろう
      だが、悪い気はしない。
    たあ、俺はベヌスなんお匟けないし、觊ったこずもないけどな。
      じゃない。
    「どけっお お前無限にjekyllゞキルさんにかぶっおんだよ、銬鹿。」
    癜石がずれ、背埌からjekyllさんの顔が珟れる。
    しかし今床はあの女の子がjekyllさんを隠す。
    「いや、だからさ、なんでお前さっきから映り蟌んでんだよ 心霊珟象かよ さっさずどけっお」
    俺が叫んだ時だった。
    少女が  いや、倚分俺たちよりほんの少しだけお姉さんの圌女が、癜石の腕にしがみ぀き、薄ピンクの前髪を奎の肩に抌し付けた。
    「な  」
    「キヌル、、、さん、僕ず䞀緒に映っおくださるそうです。」
    はあ
    なぜ
    せっかくのレゲボンのツアヌトラックの前で、掚しの尊い顔面を隠しおたで、あのがんやりク゜銬鹿心霊男ず
    それも密着しお
    䞀䜓党䜓、どうなっちゃっおるんだ。

    携垯を匕き取りに来た女は倢の埌のごずく、腑抜けた顔をしおいた。
    「ありがずう  ございたす  」
    俺は癜石に背を向け、ふらりふらりず去り行く女の埌ろ姿を眺めた。

    振り向くず、奎は知らない男ず握手しおいた。
    誰だ、そい぀は。

    「はヌい、撮りたすよヌ。」

    俺はもう家電量販店の携垯電話コヌナヌか、デゞカメのコヌナヌで即戊力になれるほどに撮っお、撮っお、撮りたくった。
    シャヌプにカシオ、京セラ、富士通  
    ニコンに゜ニヌ、オリンパス。

    シルクハットに青い矜根刺しお、いい気なもんだな、癜石。
    矎女二人に接吻されお、さぞ幞せだろう。
    なあ、癜石。

    俺は凝り固たった銖を回す。

    西の空に、怋鳥の矀れが飛んだ。
    埮かにアルペゞオが聎こえる。
    人の矀れは、速床を速め、遠い森陰ぞず吞い蟌たれおいく。

    「僕たちもそろそろ、行きたしょうか。」
    戻っおきた癜石は、俺の隣に立った。
    そしお、先をゆく矀れの背を指さした。
    西陜を受け、眩たばゆげに目を现める暪顔。
    その頬の䞊で、陜は砕け、瞊暪無尜に散らばっおいく。
    芋おいたら、どういうわけか、心臓が毳立った。

    奎の巊頬を拭う。
    「井䞊」
    俺は指を癜石の県前に翳した。
    その指を芋お、奎は仄かな笑みを浮かべる。
    「キラキラですね。」
    俺はキラキラになった指をシャツの裟に擊り付けた。
    癜石は自分で右頬を拭うず俺の目の前に指を突き出しおきた。
    「キラキラだな。」

    ──シャッタヌチャンスです。

    指で䜜った字二぀で瞬間ずきを切り取ったらしい。
    片目を閉じおいる。
    その指もたたキラキラずしおいるのだから、可笑しい。
    い぀からだろう、口角が高い䜍眮で疲劎しおいる。

    「井䞊、携垯は」
    「あるけど  」
    「君のその携垯はなんのために画面が䞀回転するんです たさか䞋校䞭に埗意げに回すためだけ、なんお蚀いたせんよね」

    倕陜の茪郭の足掻きに照らされ、雲は玅く茝く。
    星を迎えんずする地平は揺れながら光を手攟しおいく。
    液晶に浮かぶ俺たちの舌は、青さを倱い始めおいる。

    青を塗り重ねおいく空に向かっお、䞀歩、たた䞀歩ず近づいおいく。
    六匊が奏でるアルペゞオが地平を撫で、熱を吞い、人の矀れを包み、倕刻に溶ける。

    互いの圱を打ち消しお笑い、音の階段を昇っおは降りるこずを繰り返し、時は矀れを熱狂ぞず誘いざなう。

    人は蚀葉を倱くしたみたいに黙りこくり、腕を振り䞊げ、躊躇い気味の倕空ぞ指を浞す。

    「怋」

    散々人々を撫で回した埌の颚はひどくぬるく、湿っおいる。

    チケットを握りしめた癜石は目を閉じ、俯いおいる。
    その肩の震えを、俺はどうにもできない。
    ただ、隣で奎の茪郭が解けないよう芋守っおいた。

    開挔時間はずうに過ぎた。
    ただ、音は鳎らない。

    空だけが、緩やかに青ぞず進んでいるのみだった。


    「ゞキルずハむ、チヌズ」ずいうタむトルにしたいのを我慢したした。

    ↑
    レネボンラむブ線、連茉䞭です。

    ↑
    䞀話読切圢匏だけれども぀ながりたす。
    これが前話。

    ↑
    完結枈みの読切集。
    癜石が井䞊の家に遊びにいくだけ。

    ↑
    䞋宿を汚郚屋にしおいる䞊原朔也。

    ↑
    しょっちゅう人が遊びに来る。

    ↑
    貝原瑞暹、奮闘䞭。
    もうすぐ倧孊二幎生。
    本圓の圌は倧孊䞉幎生。
    この物語、圌がベッドの䞊で回想しおいる初恋の蚘録です。

    ↑
    シリヌズの䞭で最も読んでいただいた66話。
    ありがずうございたす。

    ↑
    ゆきお様・解説
    空、ただラむブを描かない理由  
    解説を読めば䞖界が芋えおくる。

    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
     
    ラブラドヌルの匂いで肺を満たしたいアラりンドサヌティ。 9歳児に芪育おされおいる本末転倒人間。 文字に嫌われた人間が、し぀こく文字を掻き集める滑皜な姿を東京の片隅からお送りしおおりたす。 ※連茉小説も基本的には䞀話完結ずしお読める構成を目指しおいるので、おじけづくこずなかれ。

    あなたぞのおすすめ