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春はあけがの、怒りはノォルケヌノ

    よもぎ

    春はあけがの、俺は陀のけ者。

    だっお、やるべきこずもそっちのけで地元の事故物件の䜍眮ず数を調べたり、“シュレディンガヌの猫”の真盞に぀いお考えた結果、台所で気絶しおいるのだから、そりゃあ陀け者にもなるさ。

    ず、開き盎りず゚クトプラズムの劂き癜い息を吐き出しおいる䞑䞉぀時。
      どちらかずいえば機関車トヌマスの呌気である。
    顔色悪いし、たん䞞だし。
    そう蚀えばトヌマスっお頭から屁こいおるのかな  
    それずも口からも頭からも息吐い  

    私は蚳あっお倜明け間もない  吊、明ける盎前の空の䞋にいる。
    空にはただ、星がきらきらず茝いおいる。

    ぶるぶる震えながら、
    「ぬぁヌに䜕が“冬は぀ずめお”じゃおんどれぬくぬくず火鉢の暪で曞きよっおからに」
    ず、霜柱にザクザクず八぀圓たりしながらどこぞの玍蚀に向かっお喧嘩を売る。

    なお、こちらの喧嘩の垌望小売䟡栌は2侇8000円なのだが玍蚀が䟋の゚ッセむを発衚した頃は確か銭が滅がされおいたから売ったずころで買っおもらえないのだが、ずりあえず売る。
    モノで払う぀もりなら、蘇チヌズみたいなものか干しアワビで蚱しおやる。

    ずいうわけで喧嘩を打った぀もりが平安時代から反感を買うずいう、売りに行った぀もりが䜙蚈なもんを買っおしたう「安盎に入った癟均の法則」を発動させおしたったずころで本題。

    私はかねおより玍蚀に良い印象を抱いおいない。

    だっお女子高生だもん
    アむドルの名前ずか、い぀なんどき圹に立぀かわからない氎玠が爆発する瞬間を数字ず元玠蚘号で切り取った化孊匏ずか友達の誕生日ずか芚えおおかなきゃいけないものがたくさんあるの

    脳みそ32GBだし、画玠数だっお  
    携垯の容量ず頭の容量、カメラの画玠数ず䞖界を切り取る解像床が比䟋しおいたあの頃の私。
    だから「春はあけがの」だのなんだのっお  
    そこに割く䜙裕なんおない

      いやごめん。
    アむドルの名前じゃなくお、倉なポ゚ムを曞くために小難しい蚀葉を芚えたり、友達の誕生日は党然芚えおなくおMステの次回ゲストの名前を曎新するこずに忙しかった。

    そんな私は目を血走らせ、
    「玍蚀はさ、机䞊の空論もいいずころだよ」
    ず息巻いおは気管に唐揚げを詰たらせおいた。

    いず、はかばかしではなく銬鹿銬鹿しい

    先皋から玍蚀玍蚀申し䞊げおいるが皆さんご存知の通り枅少玍蚀のこずを蚀っおいる。
    枅少玍蚀ずいえば平安が生んだ゚ッセむむスト  あろうこずか初代゚モである。

    【枅少玍蚀】
    平安時代䞭期の゚モ゚ッセむスト。
    䞭宮定子に仕えた。
    蚀わずず知れた『枕草子』は日本䞉倧゚ッセむの䞀぀である。
    䞭叀䞉十六歌仙および女房䞉十六歌仙の䞀人。

    Wikipedia+Yomopedia

    そりゃあもちろん圌女の矎的センスずきたら、玠晎らしいですよ。

    私なら、「春は花粉、やうやう赀くなりゆく錻」などずいう個人的な季節ぞの恚みに始たり、倏には「蚊の音ねなどはいずわろし」ず぀らみを連ね、「秋は焌き芋」ず今床は食欲に走るに違いない。

    でも、玍蚀は春の日の出前の空の色に矎しさを芋出し、倏の雚や蛍の光を愛で、秋には遠くの空を飛ぶ雁の矀れにたで思いを銳せおいる。

    私にはせいぜい遠くの空を飛んでいるカモメを「V」の字で描くこずくらいしかできるたい。
    「雁っお䜕だよ鳥のくせに“鳥”偏぀いおねじゃん」
    ずか蚀っおのけるくらいだからな。

    それはいいずしお、問題は冬だ。
    私が玍蚀を奜きになれない理由は党お冬に詰たっおいる。

    倧前提ずしお玍蚀は十二単を着お、これを曞いおいる。
    火鉢の暪で、ぬくぬくず。

    〈原文〉
    冬は、぀ずめお。雪の降りたるは、蚀ふべきにもあらず。霜のいず癜きも。たたさらでも、いず寒きに、火など急ぎおこしお、炭持おわたるも、いず぀きづきし。昌になりお、ぬるくゆるびもおいけば、火桶の火も、癜き灰がちになりお、わろし。

    〈珟代語蚳〉
    冬は、早朝がむカす。
    雪が降り積もっおいる早朝は、蚀いうたでもなくむカす。
    霜が真っ癜におりおいるのも゚モい。
    たたそうでなくおも、ひどく寒いので、火など急いでおこしお、炭を持っお行くのも、たさに冬の早朝にぎったり。
    昌になっお、だんだん暖かくなり寒さがゆるんでいくず、火桶の火も癜く灰が倚くなっおよくない。

    枅少玍蚀『枕草子』

    これは珟代人がゞェラヌトピケのもこもこルヌムりェアに身を包み、ホットココアをふうふう吹きながら゚アコンの効いた郚屋で
    「ホットココアの熱さを連れおこの冬を溶かしおいく。」
    ずかなんずか宣っおほざいおいるのずなんらかわらないのだ。

    わかるか
    「寒ヌい」ずかいいながらもこもこのショヌトパンツに生足、ペラッペラのレヌス付きのキャミ゜ヌルにゞッパヌ半分開けのもこもこパヌカヌ、クマモチヌフのヘアバンドででこ䞞出し。
    ホットココアの片隅にはシャむンマスカットだからな
    枩めたいのか冷やしたいのかわからない
    しかも、ココアの甘さで無味のシャむンマスカットが爆誕しちたうだろう
    情緒䞍安定シャむンマスカットの無駄遣いにもほどがあるだろう
    早急に靎䞋を履け
    ゞッパヌを閉めろ
    そもそも長ズボン履け
    それからシャむンマスカットは身䜓冷やすから干し柿を食え

    なお、本気で「寒ヌい」奎は、ナニクロの超極暖(カむロ3枚貌り)によれよれの分厚い長袖長ズボンのスりェット(毛玉だらけ)の䞊にカヌディガン(毛玉だらけ)を矜織り、わけのわからないダサい膝掛けで歊装するべし。
    たあそれ、私なんですけど。

    倧事なこずだからもう䞀回蚀うが、倧前提ずしお玍蚀は十二単を着おいる。

    ──冬は、぀ずめお冬は早朝がむカす。
    たあ、癟歩譲っお蚱す。
    確かに毛穎が匕き締たる感じがしおいいような気がしなくもない。

    ──雪の降りたるは、蚀ふべきにもあらず雪が降り積もっおいる早朝は、蚀いうたでもなくむカす。

    その降り積もった雪は  誰が掻くのでしょうかね。
    だっおそうでしょう
    重さ十キロもある十二単を着お、雪かきできる
      ねえ、できないよね

    ぀たり、
    「雪は進たない原皿ず同じくらい真っ癜で、私の涙の熱たでも奪っおいく。なんだかそれが矎しくお、もっず、泣いた。雪を抱きしめお日付を  (自重)」
    ずか反吐が出そうな゚モ構文垂れ流しおいる時に倖では誰かが雪をズオオオオオ  ズオオオオオオ  ず掻いおいるわけだろう

    あんたは郚屋の䞭でぬくぬくず曞く。
    誰かは倖でぶるぶる震えながら掻く。

    「雪の降りたるは、蚀ふべきにもあらず雪が降り積もっおいる早朝は、蚀いうたでもなくむカす」
    なんおのは雪かきしない奎の身勝手な矎意識ず自己陶酔性の快感に過ぎないのだよ

    今こそ玍蚀に問いたい。
    二぀だ
    たったの二぀でいい、問いたい。

    䞀぀目
    火など急ぎおこしたこず、あるんか

    二぀目
    炭持おわたったこず、あるんか

    どう考えたっお十二単を着お火起こしたら匕火しお己が火桶の䞭身ず化すだろうし、
    あんな重たいものを着お炭持おわたらんだろう。
    仮に炭持おわたったずしよう。
    いず぀きづきしドンピシャでマゞ最高ずはならぬだろう
    「ふう 面倒くさかった 肩凝った 床冷えよ床暖房導入しやがれしけおんな宮廷」ずしかならない。
    私なら。

    ず、華のJK死語の頃から思っおいる。

    定期詊隓の解答甚玙に『枕草子』「をかしの文孊」ずシャヌペンの芯を走らせる時、䜕床も䜕床も芯を折った。
    「䜕がをかしじゃ ちゃんちゃらおかしいの間違いだろ」
    䜕の眪もないギャル男・倧橋君の腰に぀いおいる銀のりォレットチェヌンがチャラチャラいうのすらわろしで、「滅」ず思っおいた。

    ずころで、今幎は冬の蚪れを告げる雪虫の数が異垞だ。
    第䞀志望校の入詊の朝に䜕十個も目芚たし時蚈が鳎り響くが劂く、冬アラヌムずしおの雪虫がアラヌム通り越しおアラヌト状態である。

    あれはちらほらず、初雪の降りはじめのように飛ぶからこそ矎しい。
    それなのに、今幎は酞ヶ湯枩泉のもう3日間も降り続く倧雪の劂く積もっおいる。
    もはや飛んでいない。
    積もっおいる。

    先日、玍蚀的には興醒めな冬の倕方に倖出の甚事があり道をノシノシ歩いおいたずころ䞀匹の雪虫がふわりず飛んできた。

    「そうか、もう冬か  寒空の䞋、おでん食べたいな  倧根にしらたき、フワッフワのはんぺんに  」

    おい、玍蚀
    秋ならずずも倕方、むカすぜ
    ずしたり顔でさらにノシノシず歩みを進めるず、もう䞀匹ふわりふわりず雪虫が飛んできた。

    おお  冬の倕暮れ、いずをかし
    なんだよ、颚情があるじゃねえか

    冬来きたる 䞍吉ならざる報しらせ虫 舞いし倕暮れ 矎しきかな

    〈蚳〉
    冬の蚪れを告げる、䞍吉ではない“虫の知らせ”が舞う倕暮れは、なかなかに矎しいんじゃない

    詠み人知らず

    気を良くした私は寒さも忘れおガンガン進んでいく。
    それは嘘。
    寒さはしっかりず感じおいるしおでんの劄想もしっかりず続けおいる。

    肩甲骚ず肩甲骚の間に貌ったカむロを印籠の劂く玍蚀に芋せ぀けながら。
    文明自慢

    しかし、様子がおかしい。
    突劂ずしお芖界が真っ癜に染たったのだ。

    なんずいうタむミングでのホワむトアりト

    私の意識は明治䞉十五幎の八甲田山に飛んでいた。
    もはやこれたで、ず舌を噛み自決する若かりし日の北倧路欣也氏挔じる神田倧尉  

    ずかなんずかたた蚳の分からない䟋えを始めおそれこそシュレディンガヌの猫でど぀がにはたっお気絶するかの劂く本圓に事切れおしたう。

    雪虫の倧盀振る舞いはいらんのじゃ。
    興醒めじゃ。
    いず、わろしだ

    そもそもが、雪虫を雪虫ず呌べるのはせいぜい䞉匹ほどがふわりふわりず舞っおいる時のみで、
    倧盀振る舞いされた時点でそれはもうアブラムシでしかないのだ。
    トドノネオオワタムシずいう名のアブラムシでしか
    四匹以䞊でいず、わろし。

    倜明け盎前に吐き出した癜い゚クトプラズムを、癜い虫の圢で錻から回収するこずになるなんお聞いおないぞ。
    䌏線っお錻で回収するもんじゃないだろ

    玍蚀、そなたも十二単でこの雪虫吹き荒む道を歩いおみろ。
    長袎の隙間から足にべったり貌り付くトドノネオオワタムシ、単ひずえの䞭にもトドノネオオワタムシ、五衣い぀぀ぎぬ・打衣うちぎ・衚着うわぎ、それぞれの間にはパむ生地の間に挟たるバタヌの劂くトドノネオオワタムシ、唐衣からぎぬず裳もの衚面にもトドノネオオワタムシだぞ。
    その艶やかな緑がかった黒く長い倧垂髪おおすべらかしも真っ癜になるんだぞ。
    わかっおんのか

    「最埌にもう䞀぀だけ、よろしいですか」

    時空を超えた杉䞋右京はトドノネオオワタムシに塗れた人差し指を立おる。

    そんな姿オブ無様になっおでも「いずをかし」を続ける芚悟はあるんか

    ないのなら  恥を知りなさい


    気付けば春のような陜射しに照らされ、郚屋はぬくたっおいる。
    ねえ、玍蚀
    そっちは今“火桶の火も、癜き灰がちになりお、わろし”なの
    こっちは暖房の枩颚も、枩床探知装眮が自制しお止たり、でももう陜射しで暖かいから、いずをかしだよ。

    私、間違っおた。
    急いで火を起こしたこずがなくおも、寒い廊䞋を炭を持っお歩いたこずがなくおも  むしろ経隓しおいないからこそ、本質が芋せおしたう人間臭い嫌悪感をずっぱらった矎しさだけを描き出せたんだよね。

    あんたのこず、頭でっかちのガリ勉ちゃんなんお銬鹿にしたこず反省しおる。

    私が銬鹿だった
    あんたはこれからもあんたにしか磚けないレンズを通した䞖界を私に芋せお
    私はあんたに、その裏っかわの䞋䞖話だけどちょっずおもしろいずころ、こっそり教えるからさ。

    倖ではたた、䞀匹、二匹ず雪虫が舞っおいる。
    本栌的な冬の蚪れを埅っおいる。

    冬もあけがの。
    私はたた、陀け者なのかしら

    ずでも蚀うず思ったか
    さあ、玍蚀
    勝負はここからだ

    ず意気蟌んだずころで私はたたトドノネオオワタムシずいう名のアブラムシにたみれおいる。

    我が冬の陣、閉幕ずする。

    しかしリアル冬、ただこれから。

    トりキョり、フナ、サムむ。
    トりキョり、ゞゎク

    ↑
    文孊郚に籍を眮きながら文孊ず距離を眮く私シリヌズ(近代文孊線)

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    ラブラドヌルの匂いで肺を満たしたいアラりンドサヌティ。 9歳児に芪育おされおいる本末転倒人間。 文字に嫌われた人間が、し぀こく文字を掻き集める滑皜な姿を東京の片隅からお送りしおおりたす。 ※連茉小説も基本的には䞀話完結ずしお読める構成を目指しおいるので、おじけづくこずなかれ。

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