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🔶【23話】倩䞊の楜園・くちびるの予習サチ

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目が芚めるず、ナりちゃんの腕の䞭にいた。おでこが觊れそうな距離にある圌の寝顔に驚いちゃったよ。

長い、長い睫毛、うなじに觊れる冷んやりした腕の枩床。窓から芗く朝日を透かした南囜の緑葉。

䞍思議な朝だ。䜕凊にいるのかなんお分かっおいるのに、倢のような情景に珟実感がない。

ナりちゃんの唇に芖線が釘付けになる。昚日塞がれた唇の感觊。思い出しおしたったら、かっず䜓が熱くなった。

あの時、無様にシャンパンをこがしおしたった自分が恥ずかしい。映画のようなシチュ゚ヌションにもかかわらず、あたしだけがミスキャストに思える。ナりちゃんずラブシヌンを亀わしおいた女の子達。絵になっおたなぁ、なんお。

真䌌しようにも䜙裕っおものがないのだ。ナりちゃんの服の裟を掎んで、転ばないように立っおいるのがやっずだった。

緎習するなら今かもしれない。そんな思い぀きに呆れながらも、少し慣らしおおく必芁性を吊定できない。ナりちゃんはぐっすり眠っおいる。チャンスはそうそうあるものではない。

キスを意識するず、ナりちゃんの唇が誘っおいるような気がする。やだ、あたしったら  無意識に狙いを定めおる。無防備なナりちゃんを盞手に、ほんの少しだけ䜙裕が湧いおくる。䞋手くそだっお今なら平気だ。

ナりちゃんの腕に䜓重をかけないよう、そっず䞊半身をずらす。唇を寄せお、重なる寞前で躊躇した。真っすぐだず錻がぶ぀かっちゃうよ。

銬鹿みたいだ。頭で考えるず、ギクシャクずこんがらがっおしたう。よく考えたら、い぀も盞手からのキスに合わせおいただけなのだ。自分からっお意識したこずすらなかった。反省しながらも気を取り盎し、銖を傟けお再び近づいおみる。

右 巊 そんな今曎の疑問は頭の隅に远いやった。お手本は昚日、目撃した氎䞊飛行機の熱々カップルだ。

チュッ。

䞀瞬觊れるだけの口付けが、そんな音をたおるはずもなく、頭の䞭でむメヌゞを鳎らしおみる。

ピクリずも動かない圌の様子に、少し倧胆な気持ちになる。

もう䞀回。邪魔な髪を束ねようず、サむドテヌブルのゎムに手を䌞ばす。あれ トラベル英䌚話の本が眮かれおいる。そうだ、昚倜眺めながら眠っおしたったのだ。こんなものがナりちゃんの目に觊れおしたった。恥ずかしさで耳が熱くなるのがわかる。

せめおキスくらいはもう少したしにならなくちゃ。気合を入れお髪を束ねるず、圌に芆い被さる。

ぶちゅっ。

頭の䞭の擬音はさっきより倧胆だ。少し長いキスの埌、ゆっくりず離れるず、本圓に唇が小さく音を立おた。倉な満足感に口元が緩む。さっきより䞊達した手応え。息を止めおいた息苊しさから解攟され、ばさっずベッドに倒れ蟌む。

「ん  」

小さな溜息を溢しながら、枕の䞋にあるナりちゃんの腕がもぞりず動いた。

「う  ん」

寝がけながら、ナりちゃんは腕を折り曲げおあたしを匕き寄せた。

「ん、サッちゃん  」

圌の䜓枩を吞っお生枩くなったシヌツの䞊たで抱き寄せられるず、䜓党䜓が絡むほどの距離。もしかしお、キスしたのに気付いお起きおしたったのだろうか 埌ろ手に秘密を隠しおママの前に立぀子䟛の気分。

「  おはよう、サッちゃん」

耳元で囁かれるナりちゃんの掠れた声。掗いざらしの癜いシャツから芗く長い銖。チラリず芖線を䞊げるず圢の良い顎のラむンが芋えた。

「  おはよ」

ばれおいないよねぇ そう思いながら口にした朝の挚拶は、劙に埌ろめたく小さな声になっおしたう。

あぁ、でも䜕だか倉な感じ。ナりちゃんず同じベッドで目芚めたなんお。以前にも颚邪の看病で圌の郚屋に泊たったこずはある。だけど、あれは状況が状況だった蚳で。

ナりちゃんの身䜓からは、異囜の銙料の匂いがした。銙氎なんかずはちょっず違う゚キゟチックな銙り。

「サッちゃんの髪、もうミヌになっおる」
「ミヌ」
「ほら、ムヌミンに出おくる女の子」
「え〜、あのミヌ」

䜕がそんなに嬉しいのか、ナりちゃんは楜しそうに頷いおいる。ちょっず我䟭でひねくれっ子っおむメヌゞ。あんたり嬉しくない。

「これもいいけど、今日は俺にいじらせお」

そう蚀うず、ナりちゃんはそっず髪に觊れおきた。倧きな手。そのくせに、すらりず長くお綺麗な指。

噚甚に髪のゎムを倖される。自分の髪がシヌツの䞊にぱらりずほどける感芚が劙に艶かしくお、心臓の高鳎りが抑えられない。

朝っぱらから、あたし䜕だか倉な気分。

ほどいた髪を長い指先で匄ばれる。ベッドにお互い暪たわったたたっおいうのが気恥ずかしい。䜕だかもう目を閉じおナりちゃんにもたれ掛かっおいたい気分。

だけど櫛で梳くようにナりちゃんの指が髪の䞭で動いた途端、ビクッっお䜓が過剰な反応をしおしたった。だっお、くすぐったいんだもん。

「ゆ、ゆ、ゆ  ゆううちゃんっ」

立堎逆転。ナりちゃんが焊った時の口調を真䌌しおいるみたいだ。圌は驚いたように手を匕っ蟌めおしたった。

あぁ、こんないい雰囲気の時にあたしっお色気がないったら。だけど、笑い出さなかっただけただたしだ。そんなこずしたら本圓に呆れられるに違いない。

「お腹すいたねぇ」

䞀瞬きょずんずした顔でナりちゃんはあたしを芋詰めた。だけど、それはすぐに芋慣れたい぀もの穏やかな埮笑に倉わった。

「そうだね、どこで朝ご飯食べようか」


こんな朝食は生たれお初めおだ。

海を芗く朚陰にアダムはテヌブルを甚意しおくれた。薄くスラむスされたパンにお奜みの具をのせる。ボむルされた゜ヌセヌゞ、氎みずしい鮮やかなレタス、卵は日本のものよりも䞍思議ず黄身の色合いが淡い。熟れた果物を盛り぀けた皿からは甘い銙りが挂う。

ひんやりずした砂が柔らかく裞足の足を包み蟌む。時折り足元を暪切っおいく小さなダドカリが、悪戯のように指先をくすぐる。

甘い玅茶に口を付けるず、ナりちゃんが怅子を匕きずっお寄っお来た。い぀から甚意しおいたのか、携垯甚の小さなブラシを手にしおいる。圌は照れ臭そうにあたしの髪をずかし始めた。

目の前に広がる海は、空を蒌く映しおいる。降り泚ぐ陜射しにオブラヌトされた海面は、ちらちらず雚を匟くような金色の光を攟぀。

ナりちゃんは噚甚に髪を線み始めた。時々、銖筋にふわりず觊れる指先がこそばゆいけど、心地良いずも感じた。

「昔芳た叀い映画にさ、こんなシヌンがあっお、䞀床やっおみたかったんだ」

「ふぅん。䜕お映画」

「掋画だったんだけど、タむトルずか芚えおないんだよね。庭にこんなふうに怅子を䞊べお、じいさんが奥さんの髪を結っおあげるんだ。もちろん、奥さんも、もう癜髪のおばぁちゃんなんだけど、すごく印象深くおさ  」

そこでナりちゃんは䞀瞬黙り蟌んでしたった。あたしは話の続きを黙っおお行儀よく埅った。

「ちょっず憧れおたんだ。おれもこんな颚に髪を結っおあげたい人に出䌚えるのかなっお」

ナりちゃんの指が耳朶をかすめる感觊、息のかかる距離。こそばゆい。

でも、そんな蚀葉で心を揺さぶられお、あたしちょっずタガが倖れちゃったみたい。

ねぇ、もっずちゃんず觊れお欲しいんだけど。いや違う、欲しいなら自分で掎たないず駄目なんだ。

ねぇ、ヒロ、あたしは手を䌞ばすね。

線み終わった䞉぀線みの先を、ナりちゃんはゎムで留めおいる。満足そうに正面から、あたしの䞉぀線みを眺めおいる。

䞊手く出来るなんおわからないけれど。怅子の肘掛に手を付くず、腰を浮かせお距離を瞮め、ぶ぀けるように唇を合わせた。

もっずふんわりず優しいキスをしたかったのに気持ちばかり焊っちゃっお、勢いが぀き過ぎた。たるでキツツキじゃない。

ナりちゃんを盞圓驚かせたようだ。蚀葉を倱ったたた力が抜けたように、怅子にもたれおあたしを芋おいる。

キスっお蚀うより、パンチっお感じだったからショックを受けおいるのかもしれない。気を取り盎しおもう䞀床チャレンゞしおみよう。さっきだっお二回目の方が䞊手く出来たもの。

あたしは怅子から立ち䞊がるず、怅子に座るナりちゃんを䞊から芋䞋ろした。がんやりずこちらを芋䞊げる圌の癜いシャツには、䞉぀線みをぶら䞋げたあたしの濃い圱が映っおいる。

そっず指を䌞ばし手のひらで圌の頬っぺたを包む。分かっおいるくせにナりちゃんは、瞌を閉じようずしない。䜕かを探すように、あたしの手のひらの䞭から、じっずこちらを芋詰めおいる。

今床は、パンチじゃないキスをあげるから  。意識しおゆっくりず唇を重ねた。唇に觊れる瞬間、ナりちゃんの睫毛がゆっくりず䌏せられるのが芋えた。

ぱさり。
そんな音が聞こえたのは気のせいだろうか。

頬に添えた指に感じるナりちゃんの髪の感觊。手のひらに倧事なものを包んでいる。そんな気がした。䜕だか離れがたくお。

䞍思議な感情がじわじわず心に染み蟌んでくる。䜕だろう

そっず顔を離し、ナりちゃんの頭を抱きかかえおみた。そうしたかったから。海颚にそよぐナりちゃんの髪が、悪戯にあたしの顎をくすぐる。

あぁ、そっか。あたしの心をひたひたず満たしおいく正䜓。こういう感情を幞せっお蚀うのかな。

気付いおしたったら劙に気恥ずかしい。ナりちゃんも黙り蟌んだたただ。

どちらが䜕を蚀ったわけでもなく、テヌブルを離れお二人で海蟺を散歩した。この島に来おから、あたし達は靎ずいう存圚を忘れおしたった。

裞足で螏みしめる砂の柔らかさや、意倖にもひんやりずした枩床。地球を感じながら歩く喜びがあった。

絡めあった指先、ちらちらず遠慮がちに亀差する芖線、䜕もかもがさっきたでず違い、より䞀局茝いお芋える。気持ちが通じ合っおいる。そんな想いがあふれおくる。

誰の目も気にするこずなく寄り添い、倪陜の䞋で亀わす口付け。

恋人同士っお感じ。今曎だけど玠盎にそうなんだっお思えた。


午埌からドヌニに乗っお、シュノヌケルに出かけた。

「すごくいいずころがあるんだっお」

子䟛みたいに嬉しそうに目を茝かせながら、ナりちゃんが耳打ちしおくる。

沈み蟌む皋に柔らかいベヌゞュのクッションにもたれながら、通り過ぎおいく島々を眺める。なんお莅沢な時間だろう。傍らにはナりちゃんの笑顔。

島ず呌ぶにはあたりにも小さな砂州。その手前、玺碧の海でドヌニぱンゞンを停めた。その先だけぜっかりず呚囲の海ずは違う゜ヌダブルヌで、真っ癜な砂州ずダシの朚立が浮かんでいる。

地球が青い意味を垣間芋るような絶景に、思わず息をのんだ。

「ここから飛び蟌めだっおさ」

アダムの英語を、ナりちゃんが隣で優しく蚳しおくれる。

「え、足が぀かないよ」
「倧䞈倫。海亀が芋られるくらい透明なんだっお」

その蚀葉に慌おおマスクずスノヌケルを装着するず、あたしは船尟の階段を降り、そのたた足の届かない海ぞ身を委ねた。

ポチャンッ。

身䜓がふわりず浮き䞊がる。マスク越しに海の䞭をのぞきこんで、息を呑んだ。

魚の矀れ、いや矀れなんおレベルじゃない、枊だ。䜕䞇匹ずいう小指の爪ほどの小さな魚の枊の真ん䞭に入り蟌んでしたっおいた。よく芋るず、小さな身䜓はガラス现工のように透き通り、背骚たで芋えおいた。たるで海の泡から生たれた魚だ。

ざぶんっ。

すぐ隣にナりちゃんが飛び蟌んできた。驚いたように、魚のカヌテンがふわりずなびく。だけどそれはほんの䞀瞬。すぐに元の圢に戻り、枊を巻き始める。

ナりちゃんがあたしの手を匕いお泳ぎ始めた。魚のカヌテンをくぐり抜けるず、四、五メヌトルほどの氎深しかない浅瀬がひろがっおいた。

あぁ、船から芋えた゜ヌダブルヌは、この浅瀬だったんだ。

ぜっかりず䞞く色を倉えおいた海の䞋には、珊瑚の庭が続いおいる。チョりチョりりオがひらひらず舞い、色ずりどりの熱垯魚が珊瑚の隙間を瞫うように泳いでいた。

ひゅんっ。

ものすごい勢いで前方から䜕かがすり抜けおいく。

ひゅんっ。

青い  魚

ナりちゃんが指差す先に、コバルトブルヌの雲が浮かんでいた。キラキラず茝くそれは、あっずいう間に目の前ぞ迫っおくる。

ひゅんっ。ひゅんっ。

信じがたい光景に、ただ呆然ず芋぀めるしかなかった。

それは、アゞほどの倧きさの青い魚の矀れだった。

ざぁぁっ。

暪殎りの雚のように、それはあたし達ぞ降り泚ぐ。思わず力を蟌めおナりちゃんの手を握り締めた。繋いだ腕の隙間さえ、魚たちは鱗を茝かせながら矢のようにすり抜けおいく。同極の磁石が決しお觊れ合わないように、尟びれの先すらあたし達には觊れない。

どんな反射神経なのだろう。

数えようもないほどの青い魚が、青い嵐ずなっおあたし達を吹き抜けおいく。

その時だった。

ゆらりず倧きな黒い圱が芖界の端を暪切る。

でっかい  。

いか぀い顔をした魚が、こちらぞ向かっお泳いでくる。

サメじゃないよねぇ 思わず身䜓が匷匵る。

するずナりちゃんが、あたしを庇うようにそっず前ぞ出た。海の䞭で、その背䞭がやけに倧きく芋えた。

倧きな魚はこちらには興味もないずいった様子で、プむっず進路を倉え、深い海の向こうぞ消えおいく。

すごい  。

穏やかに揺れる海の䞋では、こんなドラマが繰り広げられおいたなんお。

しばらく浅瀬のシュノヌケルを楜しんだ埌ドヌニにあがるず、デッキのテヌブルに昌食が甚意されおいた。銙ばしいカレヌの匂い。モルディブではカレヌが日垞食なのだずアダムが教えおくれた。

あたし達は興奮を抑えきれず、さっき芋た倧きな魚の話で盛り䞊がった。

「食われるかず思っお焊ったよ。目を反らしたら負けだず思っお、俺ずっず睚み合っおたんだ」

くすくすず笑い合う。この島に来おから初めお経隓する事ばかりだ。その驚きを二人で積み重ねおいく。

けれどもあたしの蚘憶にだけ焌き付くものもある。そう、䟋えば圌のさっきの背䞭。あたしを庇おうずした、さりげない仕草。

あ、たただ。
気づけば、胞の奥がじんわり熱くなっおいる。

ナりちゃん。ナりちゃん。

䞀緒にいるず、楜しくっお、可笑しくっお、だけど觊れおいたくお、䞀瞬でも離し難いなんお思っおしたうよ。

「今倜はナむトクルヌゞングに出かけお、そのたたドヌニに泊たっおみようか」

ナりちゃんが思い぀いたように、そう口にした。

「そっか、ドヌニに泊たっおもいいんだものね。海の䞊で眠るなんお初めお」

アダムを呌ぶず、ナりちゃんはその事を盞談した。アダムは肩をすくめお申し蚳なさそうに答えおいる。

「どうしたの」

「今倜は結構激しいスコヌルが来そうなんだっお。せっかくナむトクルヌゞングで星空を芋るなら明日のほうがいいんじゃないかっお」

「じゃあ、明日がいいね。どうせなら満倩の倜空を眺めたいもの」

お楜しみが䞀日䌞びおしたったけれど、それは倧した事じゃない。

だっお、ほら。
沢山のワクワクが、ここには溢れおいるんだから。




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🌺海や島の画像は実際のモルディブの写真です。二人のバカンスは矎しい写真もあわせおお楜しみください。


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