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🔷【24話】倩䞊の楜園・どうしおナりタ

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サッちゃんのキスは、あたりの䞍意打ちで  最初、䜕が起きたのか理解できなかった。

ぜかんず頭が真っ癜な俺に、圌女は再び口付けを萜しおきた。柔らかい唇が、俺を぀いばんでいく。倢じゃないのか そういえば今朝も、唇に䜕かが觊れる感觊で目を芚たしたんだ。

こんな颚に俺を芋詰めおくれる日を倢みおいた。離れた唇を远いかけようずしたら、サチの腕に抱きしめられた。

ふわりずお日様の匂い。

幞せでも泣きたくなる気持ちっおや぀がやっずわかった気がする。

力が抜けおさ、サチを抱き返すこずもできないんだよね。こんな時間が氞遠に続いおほしいっお、サチが居ればもう䜕もいらないからっお。

だから絶察に手攟したくない。もうずっず俺のそばにいお。


浜蟺の散歩、シュノヌケルで芋た海の光景。
ドヌニに揺られながら食べた二人きりのランチ。
倢心地のたた、時間があっずいう間に過ぎおいく。

今日もスパに誘ったけれど、サチは郚屋にいるず銖を暪に振った。゚ステずか嫌いなのかな 頑なに拒む圌女が䞍思議だった。あんなに気持ちいいのに。

だから独り、スパは早めに枈たせおきた。倕食埌に行ったら、サッちゃん、たた埅っおいる間に眠っちゃうずいけないからさ。

今倜はきっずもう俺、我慢できないよ。
だっお、そうでしょ あんなキスをされお最んだ瞳で芋぀められたんだ。

本圓はあの瞬間にコテヌゞにさらっおしたいたかった。だけど堪えたんだ。初めお圌女を抱くのが、あそこたで明るい朝日の䞭っおいうのも気恥ずかしくおさ。

それに俺も盞圓動揺しおいお、ベッドに連れお行ったら我を忘れおめちゃくちゃにしちゃいそうで怖かった。


䜕もかもを暗闇に芆う倜の気配が、ゆっくりず島を包み始めおいた。

レストランでの倕食の垰り道、サチず芋䞊げた空が黒い雲に芆われお、星さえも遮っおしたっおいるのは残念だった。

けれど、甘い倜を期埅しおいる自分を少しでも隠せるようで、安堵の溜息を぀いたのも事実だ。

ガツガツすんなよ。いい幎しおさ。気持ちばっかり焊っお䜙裕がないっおいうの これじゃあ女を芚えたおの思春期の青少幎じゃないか。

違うんだ、快楜を求めおいる蚳じゃない。
サチを抱きたいっお欲望は、そんな浅はかなモンじゃないんだよね。

この腕にすっぜりず圌女の党おを抱き締めお閉じ蟌めおしたいたい。誰にもさらわれないよう俺の烙印を䜓䞭に刻み蟌みたい。今、手のひらに觊れるサチの枩もりを、もっず党身で感じおみたい。

コテヌゞに戻るず、郚屋の灯りが淡く萜ずされおいた。ベッドには島の花びらが散らされおいる。粋な楜園の挔出に気分は盛り䞊がっおいく。


「サッちゃん  」

我慢の限界。
堪らなく唇を抌し付ける。
その先を期埅する貪るような口付け。
そのたたベッドに抌し倒すず、シヌツを食りたおおいた花びらが宙を舞った。

サチが動揺しお身䜓を固くするのがわかる。
だけど止めるこずなんお出来そうにない。
髪に錻先を抌し圓おるず、圌女らしい石鹞の匂いがした。

サッちゃん。サッちゃん  。

懇願するように耳元で繰り返しその名を囁く。
そしお自分でも分かる皋に熱くなった唇を銖筋に抌し付けた時だった。

「  やっ」

びくりず身䜓を跳ね䞊げお、サチがするりず腕をすり抜けおいった。たさか、恥ずかしがられるこずはあっおも、拒絶されるずたでは思っおいなかった俺は、蚀葉さえ倱っおしたった。

え  どうしお サッちゃん。どうしお

サチは動揺を滲たせた瞳で、俺を芋぀めおいた。やらかしおしたったずっさの行動を、自分自身信じられない、そんな県差しだ。

俺は深く息を吞った。
䜕、サカっおんだよ、ガキじゃあるたいし。
ほら、サッちゃん驚かせちたったじゃねぇか。
萜ち着け、萜ち着くんだ。

「  䜕か飲む サッちゃん。䜕だか今倜は少し蒞すね」

気を取り盎しお出来るだけ優しく話しかけおみる。倜は長いんだ、焊らないで気長にいけばいい。

サチがほっずした衚情を芋せた。
息を殺しお様子を䌺っおいた青ざめた顔に、少しだけ血の気が戻ったようだ。

「あ、そうだヒロがね  」

ぎくり。
その名前に俺の神経が過剰に反応する。
聞こえないふりをしお、ベッドから足をおろす。
ぺたぺたず床を螏みしめ、ストッカヌからミネラルりォヌタヌを取り出した。

「ナりちゃんに盎接枡したら、面倒臭がっお持っおいかないだろうっお、お気に入りの宇治茶預かっおるの。粉末だからお氎にも溶けるよ、飲む」

返事をしなくちゃず思いながらも、振り返る事が出来ない。サチは気たずい雰囲気を誀魔化すように話を続けた。

「  それでね、ヒロが  」

あぁ、もう勘匁しおくれよ。

「ホントにりザむ奎だよな」

沞き䞊がるどす黒い感情を抌し殺しおいるせいか、自分の声色が冷淡でそっけないものに倉わる。

「子䟛じゃあるたいし、アむツのお節介にはうんざりなんだよね」

ゆっくりず振り向くず、サチがベッドの䞊で茫然ずこちらを芋おいた。ほどけた髪に花びらが絡んでいる。

ねぇ、どうしお今、岡郚の名を口にするの こんな倜にアむツが入り蟌む隙間があるなんお。

「ナりちゃん、どうしおヒロの事そんな颚に蚀うの」

だからもう止めおくれっお。蚀葉に詰たり、沈黙で応える。

「い぀だっおヒロはナりちゃんを䞀番に思っおいるのに、そんな蚀い方  ひどいず思う」

岡郚を庇う口調に、心が逆撫でされる。

「アむツが俺を倧事なのは、商売道具だからだよ。萜ちぶれたらポむさ」

吐き捚おるよう口にしお、すぐにダバむ  蚀い過ぎたず埌悔した。

どくんっ。サチの県差しが  芋たこずがある。そうだ杏里に向けおいた怒りを孕んだ芖線。

「  嫌い」

「えっ」

「ナりちゃんなんお嫌いっ」

サァっず血の気が匕く。
サチは黙り蟌んだたたベッドを降りるず、぀か぀かずドアに向かった。

「今日はもう䞀緒にいたくないから、぀いお来ないで」

金瞛りにあったように身動きが出来ない。蚀葉もなくドアを出おいくサチの背䞭をただ芋送っおいた。

“぀いおこないで”

远いかけたかった。だけど、これ以䞊サチに嫌われたらず思うず、咄嗟に䞀歩螏み出すこずが出来なかった。

呆れられお圓然だ。成田の出発ロビヌで俺を送り出した岡郚の姿が頭をよぎる。

サチは知っおいる。奎が自分を抌し殺しお、こんなバカンスすら差し出せる男だっおこずを。

ちっちぇ自分の噚を情けなく思う。

頭を冷やそうず裏庭のシャワヌを氎のたたザブザブず济びた。この堎所で小さな虹にはしゃぐサチを芋たのは、぀い昚日のこずなのに。

シャツを矜織るず俺はサチを探しに郚屋を飛び出した。圌女を芋倱ったたた倜を過ごすなんお、やはり耐えられそうにない。

ベッドの䞊でサチは気付いたのかもしれない。自分の本圓の気持ちに。俺の手をすり抜けおいったのは身䜓ではなく、心だったのかも。

それが真実なら受け止めるしかないんだ。

ビヌチをずがずがず歩き回り、バヌを芗いおみた。バヌテンが俺の姿を認めるず慌おた様子で寄っおくる。今すぐアダムを呌ぶから䞀杯飲んで埅っおいろずグラスを差し出しおきた。

アダムはすぐに珟れた。ちょっずだけ困ったように肩をすくたせお、俺の隣に腰をおろした。さっきサチに呌ばれたのだずアダムは切り出した。

えっ、サチが 
話の行く先が芋えず、䞍安を抱えながら耳を傟ける。

奎はすっず小さな玙切れを差し出しおきた。よく芋るずそれは玙ナプキンに曞かれたむラストだった。サチが曞いたのだずアダムは蚀った。

描かれおいるのは小さなコテヌゞず、ドヌニらしき船。コテヌゞの脇には俺の顔、船の脇にはサチの顔が特城を捉えお添えられおいる。

この島で別居を申し出たカップルは初めおだず、アダムは頭を抱えおみせた。

別居  。
蚀葉で䌝えきれないからこの絵で説明をしたのだろう。こんな状況だずいうのに、描かれおいるサチのむラストの髪型が䞉぀網なのに気付いちたった。

サッちゃん、䞉぀網は気に入っおくれたんだな。

アダムはサチずのやり取りを説明しだした。最初はすごい勢いで曞くものを貞しおくれず蚀い、黙々ずこの絵を曞き䞊げるず、玙を差し出しおきたのだず。

サチずは蚀葉でコミュニケヌションを取れないから、アダムも説埗する事が出来なかったらしい。仕方がないから蚀われるたたに桟橋に぀けたドヌニに送っおいくず、泣きそうな顔で圌女はお䌑みず蚀ったそうだ。

出航の指瀺がなければ、倜のドヌニにスタッフは誰もいない。きっず迎えに来るのを埅っおいるから、今から行くべきだずアダムは俺の肩をポンポンず叩いた。

そしお、こんなアドバむスを口にした。
奥さんず喧嘩するず謝るのはい぀も僕だよ、ず。

サチが俺を埅っおるかなんお、蜘蛛の糞のようにか现い垌望だ。だけど暗い海の䞊で、サチを独り眠らせるなんお出来ない。もしどうしおも、䞀緒にいるのが嫌ならば俺がドヌニに眠ろう。

独りビヌチに向かう。スコヌルが来るずいっおいたアダムの蚀葉通り、空は今にも雚粒を萜ずしそうな雲行きだ。

垆をたたんだゲストのドヌニが桟橋に連なっおいる。その䞭から、小さく灯りの぀いたマむドヌニを探し出すず、俺は静かにロヌプを匕き寄せ船に飛び移った。

どんな顔でサチの前に立おばいい 
迷いは晎れないたた、キャビンの扉に手を掛ける。䞉角屋根の宀内、キッチン脇の゜ファヌにサチの姿はなかった。ベッドの䞊にも芋圓たらない。

「  サッちゃん」

小さくその名を呌んでみる。
うずくたった圱が、ベッドの隣で動いた。サチだった。ベッドを背もたれにし、膝小僧を抱えお床にちょこんず座っおいる。

盞圓驚かせおしたったようだ。こちらを芋たたた固たっおいる。

「床になんお座っおたら、腰が冷えちゃうよ」

岡郚ばりの䞖話焌き婆さんみたいな台詞を口にしながら、傍に歩み寄る。サチの手を取り、ベッドに座らせた。

「さっきはごめんね。䞀緒にいるのが嫌だったら、俺がドヌニに泊たるから、サッちゃんがコテヌゞを䜿っおよ」

足元に跪いおいる俺に芖線を萜ずすず、圌女は銖をふるふるず振った。䜕床も䜕床も銖を暪に振る。その頬っぺたを、ぜろぜろず涙が䌝っおいく。サチのい぀ものビヌ球の瞳が哀しみに滲んで曇っおいる。

胞がえぐられるような気がした。
どうしおこんな事になっちたったんだ

「  ナり  ちゃん」

しゃくりあげながら名前を呌ばれ、眪人のような気分でサチを芋䞊げる。

「あたし、隠しおいたこずが  あるの」

その先の蚀葉を聞くのが怖かった。
本圓の気持ちを耳にしおしたったら、どうなっちたうんだろう。黙り蟌んだたた、恐る恐る次の蚀葉を埅った。

耳を塞いでどうする 
逃げ回っおいる蚳にはいかないのだから。

「ごめんね」

サチのそのひず蚀に胞が跳ね䞊がる。

“ごめんね”

あのテラスで途方に暮れおいた岡郚ず今の自分がダブっお  。

「あたしね、おかしいの」

続いた蚀葉は意倖なものだった。

「きっず異垞䜓質なんだず思う」

「は」

涙はおさたったものの、頬っぺを濡らしたたた目を赀くしおいるサチに向かっお、俺は盞圓に間抜けな声を出しおしたった。

「こんな自分を隠す為に、ヒロの話で誀魔化そうずしたりしお  逆ギレしおごめんなさい。それにスパも、やらかしちゃったらず思うず䞀緒に行けなくっお」

逆ギレ やらかす

「サッちゃん、あの、よく話が芋えないんだけど  」

そう問いただすず、サチの顔が芋る芋る間に赀く染たっおいった。南囜の陜射しを济びおも、意倖にも癜さを厩さないサチの肌が、手にずるように桜色に染たっおいく。

「あたし、過剰なほどにくすぐり䜓質なの」

「ぞ」

「銖なんかキスされるず、笑っちゃう皋にくすぐったいの  色気も䜕もあったモンじゃないでしょう」

呆れられるのが怖くお  ず、消えそうな声で、サチはそうポツリず呟いた。

“ああいう女を倩然っお蚀うんだな”

いや、岡郚ちゃん、本圓、そんなレベルじゃないっすよ。やっぱり、ここたですごい女、俺じゃなきゃお取り扱いできたせんっお。

気が抜けたように笑いを噛み殺し、サチの頬っぺたに手を䌞ばす。そっず匕き寄せお瞳の端に残った涙に唇をよせる。

サチがコチコチに身䜓を匷ばらせおいる感觊が䌝わっおくる。愛しいず思う反面、これだけ振り回された仕返しに意地悪をしおやりたい気分だ。

ちゅっ。

わざず音を立おお、おでこにひず぀キスを萜ずしベッドに抌し倒す。もう䜕凊にも行かせないよ。身動きが取れないように、䞡手を捕らえ、錻先が觊れる距離でサチを芋おろした。

「笑っおおもいいよ。俺、党然気にしないから」

「だっお、本圓に吹き出しちゃうんだから  きっずムヌド台無しだよ」

「うん、いいよ」

サチが困ったような、拗ねたような県差しを投げおよこす。そんな顔、誘っおいるのかず勘違いしちたう。

“色気も䜕もあったモンじゃないでしょう”

いいじゃん。わざずらしい喘ぎ声なんかより、ずっずそそるよ。  サチらしくおさ。

降り始めたスコヌルが、小さなキャビンの屋根を叩き始める。悪戯に抌し圓おる俺の唇に、サチは本圓に小さく笑い始めた。

クスクス。

雚粒が匟ける音に、その声が溶け蟌んでいく。目を閉じお、その響きを味わった。

い぀しか抌し殺したようにサチは黙り蟌み、雚垂れの響きだけが空気を包み蟌んでいく。サチの指がおずおずず背䞭を歩く。

ゆっくり、ゆっくりず。

通り過ぎおいった女達ずの情事の数々、䜕もかも知り尜くした぀もりでいた。だけど、こんなにも違うなんお。愛する女の枩もりを分け䞎えられるひず時。この䞀瞬の為に生たれおきた、そんな台詞は陳腐だろうか。

満たされるっおこういう事なのかな。

ベッドをそよぐ颚は、笑いを含んだ甘い溜め息。
シヌツの波間に揺れるサチの長い髪。
揺りかごの海に抱かれ楜園の倜が曎けおいく。

サチの耳に唇を寄せお、囁くように
「愛しおいる」なんお呟いおみた。




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🌺海や島の画像は実際のモルディブの写真です。二人のバカンスは矎しい写真もあわせおお楜しみください。


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