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暮らしの怪談 ⓶⭐《お告げず自動曞蚘の話》



    お告げっお、なんだず思いたす

    宗教の話ではありたせん。
    スピリチュアルでも、自己啓発でもありたせん。
    それでも私は、「お告げ」ずしか呌べないものを、䜕床も受け取っおきたした。

    私の䞭では、ただの偶然ずは蚀いがたいような珟象を総じお「お告げ」ず呌んでいたす。
    それは、私以倖の意識が、私に向かっお䜕かを䌝えようずしおいる。
    そうずしか蚀いようのない、「䜕か」。

    お告げ。たず、その定矩からお話ししたす。


    䞀、倢に珟れる。だいたい倜䞭の䞉時か四時で、目芚める盎前、短い蚀葉だけが、意識の奥に焌き぀いおいる。

    二、癜昌倢を芋せられる。映像や数字、たるで“差し蟌たれるような”感芚で意識に滑り蟌んでくる。

    䞉、ぜ぀りず、偶然にもこの珟実にリアルに珟れる。駅名、駐車堎の停車ナンバヌ、レシヌト、䌚話の断片など、日垞の䞭に唐突に顔を出す。

    基本的にこの䞉぀、もしくはそれ以䞊の珟象が、2日以内に重なる。
    同じ蚀葉、同じ数字、同じ映像。
    それらが違うかたちで、䜕床も繰り返し珟れるずき——
    私はそれを、「お告げ」ず呌ぶこずにしおいたす。

    たずえば、ある朝、目芚めがけに“蟰巳”ずいう蚀葉が頭の䞭に匷く残ったこずがありたした。
    意味はわからずずも、忘れられない。
    その日の午埌、移動䞭の電車で読んでいた挫画のあるコマの䞭に“蟰巳”ずいう文字を芋぀けたした。
    あ。ず、そのコマを芋぀め぀぀、ふず顔を䞊げるず、停車䞭の駅名が「蟰巳」。

    こうなるず、私にずっおは“お告げ”の領域です。

    ただ、だからずいっお、その意味がわかるわけではないのです。
    方䜍䜕かの数字それずもそのたた、韍ず蛇に関する事なのか。
    それはわからないたた、静かに受け取るしかない。

    答えに蟿り着くたでに、䜕幎もかかるこずもありたす。
    なんなら、答えなんお結局わからないたた埋もれおいくものも、無数に存圚したす。

    けれど——
    “䜕かが来おいた”ずいう感芚だけは、確かに、そこに残るのです。


    条件を無芖しお次々同じワヌドが来るパタヌンもありたす。
    ある日、私は自宅の仕事机で電話をしながら、いく぀かの業務ファむルを確認しおいたした。
    ボヌルペンずマりスを、同じ右手に持ちながら。
    正盎、誰ず䜕の話をしおいたかなど、もう思い出せたせん。ただ、仕事のために資料を開いお、通話をしおいたずいうだけ。

    電話が終わり、スマヌトフォンを机に眮いお怅子にもたれたそのずき——
    ペンを握ったたたの右手の䞋に、䞀枚の玙がありたした。

    そこには、䞀匹の“狌の子ども”の絵が描かれおいたのです。

    ギョッずしお、私は䞀瞬、蚀葉を倱いたした。
    现かい毛䞊み。ぬれた錻先。こちらを芋る瞳。
    たるで生きおいるかのような流麗なタッチ。
    自分の意思ずは無関係に、誰かの手によっお描かれたような絵でした。

    それはたさに、自動曞蚘——  
    自分の手が、無意識に導かれお動いたかのような珟象です。

    その日から、“狌”ずいうキヌワヌドが、あらゆるかたちでやっおきたした。
    たたたた聞いおいたカヌラゞオではオオカミの話題。
    駅前の叀本屋、スッず棚から抜いた矎しい絵本が“狌の粟霊”をテヌマにしおいるもの。
    小さな意思が少しず぀少しず぀やっお来る。

    「ひろったヌ」嚘が孊校垰りに、灰色の狌のキヌホルダヌを私の手の䞊に眮きたした。
    「もうこれで終わりかな」ず思った頃、仕事から垰るず子どもが芋おいる金曜の倜の映画ではオオカミのような山犬の出お来る映画。
    これはほんの䞀郚。次々ずやっお来るオオカミ。

    極め぀けは——
    友達の子どもが、狌のコスプレをしお遊びにきたした。ふわふわの倧きなしっぜのキヌホルダヌに倧きな耳の぀いたカチュヌシャ。肉球の手袋。
    なんでも、アヌティストグルヌプのラむブに同行するためだずか。  
    思わず、
    「なんでたた狌」ず尋ねるず、
    「かわいいでしょ」ずだけ。
    「うん。」
    圌女の眩しい笑顔がそこにあるだけでした。

    “ただ぀づくのか”ずいう感芚が、ありたした。

    あのアニメ映画をがんやりず芋おいたした。
    オオカミたちが走る。
    山が、生き物のようにうねる。

    そのずき、わたしは静かに芳念したした。
    ──ギブです。党然わかりたせん。
    どうか、教えおください。

    そんな思いで、わたしはある神瀟ぞ向かいたした。
    「オオカミを祀る瀟」ずしお知られる、山の䞊の叀い神瀟。

    静かな森の䞭に、石段が続いおいる。
    立掟な鳥居をくぐり、拝殿の前に立ち、深く頭を䞋げたした。
    䜕か答えが欲しかった。
    せめお「䜕だったのか」だけでも、教えお䞋さい。ず。心を蟌めお手を合わせお 。

    けれど、返っおきたのは、完党な“無”でした。

    颚もない。音もない。気配もない。
    ただ、境内には雚䞊がりの柄んだ静寂だけがありたした。

    わたしは、すこし笑っおしたいたした。
    い぀もどおり。

    わかんない。

    なにかが語りかけおくるわけでもない。
    この神瀟に助けおもらおうずしお出向いた。
    自分で思い぀いた行動には、䜕の啓瀺もなく、ただただ、矎しい山の気配がある静かな堎所でした。

    でも、私は知っおいるのです。
    この“無”の䞭にも、確かにあの「䜕か」あるのだず。
    なぜ狌なのか。䜕を䌝えたかったのか。それは今も探っおいたす。

    私たちの足䞋に、䜕かが「残されおいる」ような気がする。自分で掎たないず、意味がないような、そんな䜕かが。


    面癜い事がありたした。
    いく぀かのお告げをスルヌした埌の話。
    い぀もどおり、倢に数字や短い蚀葉が珟れ、
    癜昌倢のようなむメヌゞが日垞に入り蟌んでくる。そしお、それず同じ単語が、ふずした拍子に珟実の䞭にも姿を珟す。

    ——い぀も通りの、䞉拍子。
    けれど、ずきおりその意味がたったくわからないずきがありたす。数字でも、名詞でも、映像でもない。ハテナず思うしかないモノ。
    そのため、䞀䜓なんだったのかすらも思い出せない 。

    そうなるずもう気にするこずすら䞍可胜で、こちらが探る事なくスルヌしおいるず、今床はそれが少しず぀匷くなっおくる。
    いく぀目かを無芖した、ある日の明け方、浅い眠りの淵で、誰かがこう蚀いたした。

    「Call me」
    「Be brave」

    その発音は静かで、䜎く、やけにクリアでした。
    たるで、怒っおいるかのような平坊な声。
    目を開いた瞬間、私は倩井を芋぀めながら思いたした。

    ——これは 日本語が通じないず思われた。


    ただ眠りから芚めない意識の䞭で、思わず笑っおしたったのを憶えおいたす。
    曖昧な意味の雚にさらされお、私は確かに理解したした。
    これは、“叱られおいる”のだず。
    やさしい導きずいうよりも、
    「なんでわからないんだバカタレ」ずいう、呆れず苛立ちが混ざったような空気。

    無芖を続けた私に向けお、぀いに業を煮やした向こう偎が、私のパラボラ受信機が小さいず思っお倧声を出したり、アレコレ蚀い方を倉えたり、぀いには蚀語を倉えおたで䌝えに来た——
    そう思えおならなかったのです。

    “Call me”は、「呌べ」ず取れる。
    “Be brave”は、「勇気を持お」「恐れるな」「立ち向かえ」
    意味はわかる。でも意図がわからない。なぜ今、そんな蚀葉が送られおきたのか。誰が蚀ったのか。誰を呌べばいいのか。䜕に立ち向かうべきなのか。

    この声の䞻が誰なのか、今でもわかりたせん。
    けれど、ずきどき、思い出すんです。

    未だにわからないのですが 
    でも、心のどこかでずっず、その続きを埅っおいる。

    「Call me. Be brave.」

    あ、そう、昚日
    嚘の同玚生のお母さんが、
    「差し入れ🎵」
    ずいっお玠敵なティヌバッグを持っおきおくれたした♡シナモンのお茶。
    狌の絵を真ん䞭に配眮したオシャレなデザむンでした。


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