メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【第1章第3話】「むかし、むかしは終わっていない」 ー 不死と記憶の物語 ー

    昔書いてた小説。途中でやめてたんでAIの力を借りてまた始めていこうと思います!

    第1章:桃太郎を迎えに― むかしむかしの、その続き ―

    第3話「地下の現実」


    ▼第1章 第1話から読む
    「むかし、むかしは終わっていなかった」


    シャッターの奥に入った瞬間、空気が変わった。

    無機質なコンクリートの通路。

    白い照明が等間隔に並んでいる。

    だが――

    「……なんだここ」

    おじいさんは立ち止まった。

    左右に分かれる道。さらに奥でまた分岐。

    下へ降りる階段まである。

    まるで迷路だった。

    「地下施設です」

    男が答える。

    「見りゃ分かる」

    おじいさんは周囲を見回す。

    「地下鉄とかどうしてんだこれ」

    「すべて回避して建設されています」

    「はあ?」

    思わず声が漏れる。

    「そんなことできんのかよ」

    「可能です」

    「……ほんとかね」

    呆れたように言いながらも、目は動く。

    壁、天井、通路。

    一つひとつを確かめるように見ている。

    「……金、いくらかかってんだこれ」

    「非公開です」

    「便利な言葉だな」

    歩き出す。

    重たい扉をいくつも通過する。

    そのたびに電子音が鳴る。

    「ここ、どこまで続いてんだ」

    「正確な範囲はお答えできません」

    「全部それだな」

    おばあさんが小さく言う。

    「隠しすぎよ」

    「必要なことです」

    やがて、一際大きな扉の前で止まる。

    「こちらです」

    扉が開いた。


    広い部屋だった。

    装飾はない。
    中央にテーブルが一つ。

    その奥に、一人の男が立っている。

    落ち着いた雰囲気。
    だが、場の空気を支配している。

    「……あんたか」

    おじいさんが言う。

    男はゆっくりと頭を下げた。

    「初めまして。お二人にお会いできて光栄です」

    丁寧な言葉。

    だが、軽くはない。

    「先ほどは失礼いたしました」

    「まあな」

    おじいさんは肩をすくめる。

    「で? 本題は」

    男は端末を操作する。

    「まずはこちらをご覧ください」

    音声が再生される。

    ――ノイズ。

    その奥に、声。

    『……すべてを、いただく』

    なんとか聞き取れる。

    『この国は、恐怖で満たされる』

    おばあさんの表情がわずかに変わる。

    『逃げ場など――ない』

    『――日本を恐怖で支配し、征服する』

    ノイズと共に途切れる。

    静寂。

    「……気味悪いわね」

    おばあさんが言う。

    男は頷いた。

    「解析できたのがここまでです」

    「元の音源は聞けたものじゃありませんでした」

    「いたずらじゃないのか」

    おじいさんは腕を組む。

    「わかりません」

    はっきり言い切る。

    「ただし」

    男の視線が二人に向く。

    「音源を過去の記録と照合した結果、似た音……声が一つありました」

    間。

    「お二人も関与した案件です」

    おじいさんは目を細めた。

    「……鬼か」

    「はい」

    否定しない。

    「当時と同様の脅威である可能性が高いと判断しています」

    おばあさんが小さく息を吐く。

    「だから私たちを呼んだのね」

    「はい」

    男は続ける。

    「対抗するためには、同等の戦力が必要です」

    「戦力?」

    男は机の上にあった一冊の絵本を取った。

    「“桃太郎”です」

    はっきりと告げる。

    部屋の空気が重くなる。

    おばあさんが目を伏せた。

    「無理よ。あの子はもう――」

    「はい。記録上、すでに亡くなっています」

    あっさりとした言い方。

    だが、続きがあった。

    「しかし、方法が一つあります」

    おじいさんが眉をひそめる。

    「……なんだ」

    男は少しだけ間を置いて言った。

    「時間を遡ることです」

    沈黙。

    おじいさんは数秒、固まる。

    「……は?」

    理解が追いつかない。

    「過去に戻り、桃太郎に接触します」

    「いや待て」

    思わず口を挟む。

    「何言ってんだお前」

    男は表情を変えない。

    「現実的な手段です」

    「どこがだよ」

    おじいさんは額を押さえた。

    「こっちはただでさえ面倒な話に巻き込まれてんだぞ」

    吐き捨てるように言う。

    「断るって選択肢は?」

    「ありません」

    即答だった。

    「このまま放置すれば、被害は拡大します」

    逃げ道を塞がれる。

    おばあさんが静かに言う。

    「……つまり、やるしかないってことね」

    「はい」

    短い肯定。

    おじいさんは大きくため息をついた。

    「はあ……」

    頭をかく。

    「ほんと、ろくなことにならんな」

    ぼやく。

    だが、完全に拒否はしない。

    できないと分かっている。

    「で?」

    投げるように言う。

    「どうやって過去に行くんだ」

    男は答えた。

    一切の迷いなく。

    「タイムマシンです」

    一瞬、間が空く。

    そして――

    「はぁ!?」

    部屋に声が響いた。


    (つづく)


    ここまで読んでいただきありがとうございます。
    面白かったら「スキ」やフォローをいただけると、続きを書く励みになります。


    ※最新話毎日更新中


    【無料公開中】
    昔話は終わっていない。
    それぞれの物語が、一つへと繋がるまで。

    ▼初めて読む方はこちら
    【無料版・目次】「むかし、むかしは終わっていない」

    ▼全話一覧・最新話はこちら
    【完全版・目次】『むかし、むかしは終わっていない』


    お知らせ
    単話購入に代わり、メンバーシップ「昔々記録調査室」を開設しました。「標準閲覧アクセス権限」プランでは、対象の記録(有料記事)を追加料金なしで閲覧できます。
    継続して物語を追いたい方におすすめです。


    この記事が参加している募集

     
     
    むかし、むかし……は終わっていない。 むしろ、そこから始まる物語。 桃太郎を中心に、日本昔話の登場人物たちが交錯するダークファンタジー小説。 【無料公開中】 それぞれの物語が、一つへと繋がるまで。 現在「桃太郎編」を連載中。

    あなたへのおすすめ