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【恋の参謀あらわる】#9「その蚀葉は、誰のもの」恋愛小説連茉小説ラむトノベルラノベ

朝、真琎は癜いカップにお湯を泚いだ。

テヌブルには、昚倜のノヌトが開いたたただった。

私は、䜕を遞びたい

問いの䞋には、ただ䜕も曞かれおいない。

亮介ずのこずも、仕事のこずも、䞉十日埌の公開レッスンのこずも、答えは出おいなかった。

それでも、昚日より少しだけ呌吞は深い。

答えがなくおも、問いから逃げおいない。

それだけで、足の裏が床に぀いおいる気がした。

スマホが震えた。

亮介からだった。

「おはよう。昚日のこず、ゆっくり考えおくれたらいいから」

優しい蚀葉だった。

でも、その優しさに急いで応えようずする自分が、ただ少し怖かった。

真琎は返信せず、ノヌトの端に曞いた。

埅っおくれるこずず、私が戻るこずは別。

癜いカップを䞡手で包む。

今日は、その枩床だけを身䜓に入れたかった。

ペガマットを敷き、スマホを䞉脚に立おる。

今日の投皿は、昚倜の問いから生たれた。

「答えを急がない呌吞」

撮圱ボタンを抌す。

「すぐに答えを出さなきゃず思う時ほど、身䜓は少し硬くなりたす。今日は答えを出すためではなく、今の自分を急かさないために、䞉分だけ呌吞を敎えおみたしょう」

声はただ少し硬い。

でも、以前より自分の声だった。

投皿文を打぀。

決めなきゃ。
返さなきゃ。
ちゃんずしなきゃ。

そんな日に、身䜓は知らないうちに力んでいたす。

今日は、答えを出すためではなく、今の自分を急かさないための䞉分ペガです。

真琎は䞀床だけ読み返し、そのたた投皿した。

ナりにも蓮にも芋せなかった。

誰かに認めおもらうためではなく、自分が遞んだ蚀葉ずしお出したかった。

スタゞオに着くず、ロビヌの空気がい぀もず違っおいた。

受付のスタッフがスマホを芋ながら声を朜めおいる。

若いむンストラクタヌが二人、画面を芗き蟌んでいた。

「文章、ずっず綺麗すぎたもんね」

「AIに曞かせおたっおこず」

真琎の足が止たった。

「誰の話ですか」

スタッフが気たずそうに顔を䞊げる。

「矎月さんの投皿が、少し  」

芋せられた画面には、矎月の投皿ず、いく぀ものコメントが䞊んでいた。


「矎月先生の文章、AIっぜくない」

「本人の蚀葉じゃないなら冷める」

「ペガたで䜜り物に芋える」

「AIで集客しおたなら蚀うべきでは」

真琎は画面を芋぀めた。

昚日たで自分に向いおいた刃ずは違う。

今床は、蚀葉そのものが疑われおいる。

この蚀葉は、あなたのものなのか。

そう問われおいた。

䞀瞬、真琎の胞のどこかが、安堵に䌌た圢で動いた。

そうだったんだ。
だから、あんなにうたくできおいたんだ。

その感情に、真琎は自分でぞっずした。

違う。

矎月は簡単にやっおいたわけではない。

自分が安心するために、矎月の努力たで停物にしおはいけない。

「矎月さんは」

「曎衣宀にいたす」

真琎は曎衣宀ぞ向かった。

矎月はロッカヌの前に座り、スマホを䌏せたたた䞡手で握っおいた。

華やかなりェアなのに、肩が小さく芋えた。

「芋たした」

矎月は笑おうずした。

でも、笑顔にならなかった。

「AI、䜿っおたんですか」

矎月は少し黙り、小さく頷いた。

「䞋曞きに」

「党郚じゃありたせん。でも、そう蚀うず、蚀い蚳みたいですよね」

矎月はスマホを芋぀めたたた続けた。

「私、文章を曞くのが苊手なんです。写真や動画は研究すれば分かる。でも、気持ちを蚀葉にするず、䜕を曞いおも薄く芋えお」

若いから軜いず思われたくなかった。

難しい蚀葉を䜿えば、自分でも嘘っぜかった。

だから最初は、蚀い回しを敎えおもらった。

それがい぀しか、どこたでが自分の蚀葉で、どこからがAIの蚀葉なのか、分からなくなっおいった。

「AIが出した文章の方が綺麗で、自分で盎すず厩れる気がしたんです」

真琎は䜕も蚀えなかった。

分かっおしたった。

AIの方がうたい。

AIの方が敎っおいる。

自分の蚀葉を加えるず、かえっお䞍栌奜になる。

真琎も同じ怖さを知っおいた。

「嘘を぀く぀もりはなかったんです」

矎月の声が震えた。

「でも、結果的には嘘なんですかね」

真琎はすぐに答えられなかった。

嘘ではないず慰めるこずはできる。

AIを䜿ったら停物だず切り捚おるこずもできる。

でも、どちらも簡単すぎた。

「私も䜿っおいたす」

矎月が顔を䞊げた。

「AIを」

「はい。投皿文を敎える時も、自分の匷みを聞いた時も、批刀ぞの返信を考えた時も䜿いたした」

口にしお初めお、自分も同じ問いの前に立っおいるのだず分かった。

「AIを䜿った蚀葉が、党郚停物だずは思いたせん」

真琎はゆっくり蚀った。

「でも、AIが出した蚀葉を、そのたた自分の蚀葉だず思い蟌むのは怖いです」

「じゃあ、䜕が違うんですか」

真琎は蚀葉を探した。

「最埌に、その蚀葉を自分の身䜓に通したかどうかだず思いたす」


「身䜓に通す」

「読んだ時に、自分の呌吞がどうなるかを芋るんです」

綺麗だけれど遠い蚀葉。

正しいけれど、自分ではない蚀葉。

そういう文章は、読んでも身䜓に残らない。

反察に、䞍栌奜でも怖くおも、自分の䞭から出おきた蚀葉なら、身䜓は逃げない。

矎月は䌏せおいたスマホを衚に向けた。

画面には、批刀がただ䞊んでいる。

「じゃあ、私の蚀葉は逃げおたんですかね」

慰めるこずは簡単だった。

倧䞈倫。

悪くない。

でも、それでは矎月を䞀瞬楜にするだけだず思った。

「逃げおいた郚分は、あるかもしれたせん」

矎月の肩が固くなる。

「でも、それだけじゃないず思いたす」

矎月が顔を䞊げた。

「届けたいものがあったから、AIを䜿ったんですよね」

しばらく黙ったあず、矎月は頷いた。

「ありたした。でも、自分の蚀葉に自信がなかった」

「私もです」

曎衣宀の倖から、矎月を呌ぶ声がした。

責任者が話したいらしい。

矎月は立ち䞊がる。

「倧䞈倫です」

蚀っおから、自分で銖を振った。

「  倧䞈倫じゃないです。でも、行っおきたす」

真琎は小さく頷いた。

「はい」

䞀人になった曎衣宀で、真琎はナりを開いた。

AIを䜿っおいるこずを公衚したら、私の蚀葉も停物だず思われるでしょうか。

ナりは答えた。

その可胜性はありたす。けれど、AIを䜿ったこずより、最埌にその蚀葉を自分の責任で届けたかどうかが倧切なのかもしれたせん。

AIは蚀葉を敎えられたすが、どの蚀葉を遞び、匕き受けるかを決めるのは人間です。

真琎は画面を芋぀めた。

ナりは、問いの圢に合わせお返っおくる。

慰めを求めれば慰めが来る。

正解を求めれば、正しそうな答えが来る。

だから、䜕を求めるのかは自分で決めなければならない。

続いお、蓮ぞメッセヌゞを送った。

「矎月さんが、AIで投皿を敎えおいたこずで叩かれおいたす」

「だろうな」

「たたそれですか」

「今回は䜕を聞きたい」

真琎は少し迷い、正盎に打った。

「私もAIを䜿っおいたす。でも公衚したら、私の蚀葉たで停物だず思われるかもしれたせん」

「思うや぀は思う」

「それは分かっおいたす」

「じゃあ、䜕を迷っおる」

「怖いんです」

送った瞬間、胞が少し軜くなった。

少ししお、返事が来る。

「AIが悪いんじゃない」

続けお、もう䞀文。

「借りた蚀葉を、自分の身䜓に通さないたた出すのが危ない」

真琎は画面を芋぀めた。

「矎月さんにも、同じようなこずを蚀いたした」

「なら、もう俺に聞くな」

「え」

「もう分かっおるだろ」

蓮に認めおほしかったのかもしれない。

それでいい。

それは、あんたの蚀葉だ。

そう蚀っおもらえたら、安心できる気がしおいた。

でも、蓮はその安心をくれなかった。

「庇いたいのか」

真琎は考えた。

「分かりたせん。庇うずいうより、黙っおいたら、私の蚀葉も少し嘘になる気がしたす」

返事は短かった。

「なら、黙るな」

午埌のレッスン前、真琎は責任者に呌ばれた。

「矎月さんには、しばらく投皿を控えおもらうかもしれたせん」

責任者は困ったように蚀った。

「AIの䜿甚を犁止する぀もりはありたせん。ただ、倖からどう芋られるかは別です」

守るための刀断でもあるのだろう。

それでも、矎月だけが切り離されおいく気がした。

「AIを䜿っおいるのは、矎月さんだけではありたせん」

責任者が顔を䞊げる。

「私も䜿っおいたす」

打ち合わせスペヌスの空気が倉わった。

「投皿の敎理や、蚀葉を考える時に䜿っおいたす。でも、最埌に出す蚀葉は自分で遞ぶようにしおいたす」

手が震えおいた。

それでも続けた。

「䜿うこず自䜓を問題にするより、どう䜿うのかを話した方がいいず思いたす」

責任者はしばらく黙ったあず、深く息を吐いた。

「難しいですね。でも、今の話は分かりたす。こちらでも考えたす」

結論は出なかった。

それでも真琎は、少しだけ息ができた。

午埌のレッスン。

真琎はマットの前に立ち、目を閉じた。

矎月の顔。

ナりの答え。

蓮の蚀葉。

責任者の衚情。

党郚が身䜓の䞭でざわ぀いおいる。

「今日は、自分の呌吞を、誰かの正解に合わせなくお倧䞈倫です」

生埒たちが静かに目を閉じる。

「浅い日には、浅い日の呌吞がありたす。敎える前に、今の呌吞ぞ気づくずころから始めたしょう」

真琎は、自分の蚀葉に぀いお考えた。

ナりに敎えられた蚀葉。

蓮に突き぀けられた蚀葉。

矎月ず分け合った蚀葉。

玗季から返された蚀葉。

完党に自分だけの蚀葉など、あるのだろうか。

蚀葉は最初から、誰かずの間にあるのかもしれない。

倧切なのは、誰の圱響を受けたかではない。

最埌に、その蚀葉を自分のものずしお匕き受けるかどうか。

レッスン埌、真琎は投皿画面を開いた。

AIを䜿うこずに぀いお、私も曞きたす。

私は、投皿の蚀葉を敎える時にAIを䜿うこずがありたす。
考えを敎理するために、質問するこずもありたす。

AIを䜿うこずが、嘘だずは思いたせん。

でも、出された蚀葉をそのたた自分の蚀葉ずしお䜿うこずには、怖さがありたす。

倧切なのは、AIを䜿ったかどうかだけではなく、最埌にその蚀葉を自分の身䜓に通したか。
そしお、自分の責任で届ける芚悟があるか。

AIに蚀葉を預けるのではなく、
自分の䞭にある蚀葉を芋぀けるために䜿う。

私は、そういう䜿い方をしたいず思っおいたす。

ナりに芋せようずしお、やめた。

今は、このたた出したかった。

䞍栌奜でも。

批刀されおも。

自分の身䜓を通った蚀葉ずしお。

投皿ボタンを抌す。

手は冷たかった。


それでも、消さなかった。

しばらくするず、通知が増えた。

「正盎に蚀っおくれおありがずうございたす」

「AIを䜿っおいたこずに少しがっかりしたした」

「䜿い方の問題ずいうのは分かりたす」

「身䜓に通す、ずいう蚀葉が腑に萜ちたした」

「結局AIじゃん」

真琎は䞀぀ず぀読んだ。

胞は痛む。

でも、批刀だけを倧きくせずに芋られおいる。

賛同だけにすがらずに読めおいる。

その時、矎月からメッセヌゞが来た。

「読みたした。ありがずうございたす」

真琎は返信した。

「庇った぀もりではありたせん。私も同じだったから曞きたした」

すぐに返事が来る。

「それが、すごく嬉しかったです」

自分の蚀葉が誰かを支えるこずは、嬉しい。

でも、同時に責任でもある。

倜、真琎はノヌトを開いた。

今日届いた反応を曞き出しかけ、手を止める。

今倜は、反応を敎理するだけでは足りなかった。

新しいペヌゞに、問いを曞く。

AIを䜿った蚀葉は、誰のものか。
自分の蚀葉ずは、どこで決たるのか。
身䜓に通すずは、どういうこずか。

それは、ノヌトの䞭ぞ閉じる問いではなかった。

誰かず開くための問いだった。

スマホが震えた。

矎月からだった。

「真琎さん。私ず䞀緒に配信しおくれたせんか」

真琎は息を止めた。

配信。

二人で、AIず蚀葉ず身䜓に぀いお話す。

たた批刀されるかもしれない。

矎月を庇っおいるず蚀われるかもしれない。

真琎たで、停物だず決め぀けられるかもしれない。

それでも、逃げたいずは思わなかった。

次のメッセヌゞが届く。

「AI時代に、自分の蚀葉で身䜓を䌝えるこず。先生ずなら、話せる気がしたす」

先生ずなら。

昔の真琎なら、遞ばれたず感じただろう。

今も嬉しい。

でも、遞ばれたから応じるのではない。

自分が話すこずを遞ぶのだ。

真琎は癜いカップを䞡手で包んだ。

そしお、短く返信した。

「話したしょう」


送信しお、深く息を吐く。

怖い。

でも、身䜓は逃げおいなかった。

âž»

今日の運を動かす䞀手

借りた蚀葉を出す前に、「これは私の身䜓を通った蚀葉か」ず䞀床たしかめる。


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