
アニマナイト #3-3願いの海
ファンタジー小説 三戦士アニマナイト〜クロワールの守り手〜 第三章 願いの海 3
「ぷっ・・ふはははっ!」
キルトは突然、吹き出すように笑い始めた。その姿はまるで、無邪気な子供のようだった。
アスカ達は突然の出来事にどう反応していいのか分からず、ただ、キルトの様子を見つめていた。
一方、くまは「やれやれ」というセリフがピッタリ合うであろう、短い両手を横に広げ、短い首を左右に振っていた。
「ごめんごめん。ちょっと、あまりにも熱い言葉だったからさ。気持ちは嬉しいけど、そんなに気負わなくていいんだよ。確かに、クロワールは今大ピンチだし、アピサルは確実に沈むけど、今すぐってわけじゃないよ?急ぐ気持ちはわかるけど・・焦ると、足元掬われるよ?」
「え、えーと・・あの・・はい・・?」
アスカは何とか相槌の言葉を探したが、結局言葉は出てこなかった。
「キルト!私達は、使命があってプリンセスグリーンに呼ばれたの。ここまでの道のりで、三人で戦う決意をしたの。助けを待っている人達の為に、少しでも早く・・・」
「トーコ!言ったよね?焦ることは無いんだ。」
キルトは、椅子から立ち上がり、ゆっくり、トーコの前に歩み寄り、トーコの額に手を翳した。
「えっ?!」
その瞬間、トーコの脳裏に映像が流れ込んできた。
トーコと似たような人影が、海の中に立っている。誰?確認したくても、その部分だけ霧がかかったように霞んでいて見えない。
すると、大きな黒い水の塊が現れ、その人影を呑み込んだ。
視界が眩しくなり、思わず瞬きをすると、キルトがじっとトーコを見つめていた。
「い、今の・・・今のは何?」
「先代のアニマナイトの記憶さ。」
「先代の?!」
「うん。その時のアニマナイトも、トーコのように焦っていた。早くアニマナイトとして力を開花させたかったんだろうね。心が未熟なまま、召喚をしてしまった。ラグーナの精霊の力を制御できなくて、そのまま呑み込まれてしまったんだ。」
「そんな!!じゃあ、あの人、先代のあの人はどうなったのよ?!」
「もちろん、ちゃんと助けたよ?父上が、命懸けでね。深く引き摺り込まれれる前に救い出せたから良かったけど。完全に呑まれると・・精霊の一部になってしまうから。」
「精霊の・・」
「一部に・・」
二人のやりとりを見守っていたアスカとナギサは息を呑む。
自分達も、一歩間違っていたら、失敗していたのかも知れない。考えるだけで冷や汗が出てきた。
そして、トーコは召喚前にこの事実を、良くも悪くも知ってしまった。
「トーコちゃん。」
アスカはすぐにトーコに寄り添った。
「・・・・・。うん。ありがとう。私は大丈夫。キルト、どれくらい余裕がありそう?」
「うん。そうだね・・、今日を入れないで、二日間。三日目には召喚しよう。それぐらいがちょーどいいよ。」
「わかった。それまでに、私に出来ることは?」
「今のトーコに焦る気持ちは無いようだね。出来ることは一つ。心を強く、願うこと。」
「願う?」
「そうだよ。トーコの本当の願いを力に変えるんだ。願う心は強い力を生む。トーコ自身の願いを見つけてごらん?」
キルトはそう言って、トーコに街の地図を渡した。
「ねぇ・・さっき『父上が命懸けで』って言ってたけど、お父さんは?」
「アニマイトを救って、精霊の一部になった。まぁ、悪くない運命さ。ラグーナの精霊の一部になってるわけだから、『意味は一緒』。さ、堅苦しい話は終わり!せっかくだから街を見てくるといいよ!あ、「沈むのかぁ」とか考えないでよ?人が生きる限り、街は終わらないんだから。い・い・ね!」
三人に目配せして、キルトは立ち去った。
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https://note.com/yakiimo_ga_suki/n/nf003af502a90