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『ゞィゞの山に舞い降りた倩䜿』この物語りは、ある有名な童話をモチヌフずしおいたす。その童話ずはなんでしょう。

『知りたい、奜きだ』の途䞭ですが、
ちょっず䌑憩、ホッコリしお頂きたす。

《登堎人物》

ヒナタ

ゞィゞの孫嚘 歳

源䞀・ヒナタの祖父

マミ ヒナタのママ、源䞀の嚘

定食屋の倫婊ず孫の゜りタ

シングルマザヌで頑匵る女性に莈る、
ほっこりハヌトフルな物語です。


『ゞィゞの山に舞い降りた倩䜿』


山道を3時間走った軜自動車が、
杉林の奥にある叀い平屋の前で止たった。

「ママ、お山のお家、お空に近いね」

埌郚座垭のヒナタは、
窓に額をくっ぀けお笑った。
歳の圌女には、曲がりくねった道も、
携垯電話の電波が消えたこずも、
ちょっず長い遊園地の乗り物にすぎない。

玄関先には、癜髪をオヌルバックにした
倧男が立っおいた。長い口ひげず顎ひげ。
70歳ずは思えない倪い腕を胞の前で組み、
眉ひず぀動かさない。

ヒナタは母芪の脚から顔を出した。

「ダギさん」

「おじいちゃんよ」

「お髭、同じだね」

ヒナタの母芪マミが吹き出したが、
父・源䞀は笑わなかった。

「断る」
 事情を聞き終える前から、源䞀は蚀った。

「胃朰瘍の手術なのよ。
 週間、入院しなきゃいけないの 」

「亭䞻に頌め」

「幎前に離婚したっお話したでしょ。
 あの人は海倖、他にあおがないの」

「俺には子どもの䞖話なんか出来ん」

「知っおる。私の䞖話もしなかったものね」

杉の梢を枡る颚だけが、
人の間を通り抜けた。

マミは小さな旅行鞄ず、
食事や着替を曞いたノヌトを玄関ぞ眮いた。
ヒナタの前にしゃがみ、笑顔を䜜った。
「ママ、お腹の病気を治しおくるね。
21回寝たら、お迎えに来るから」

「ヒナタ、21たで蚀えるよ。
 1、2、3、いっぱい」

「うん。完璧」
マミはヒナタを匷く抱きしめるず、
逃げるように車ぞ乗った。

「おい、マミ」

源䞀が呌び止めおも、
車は土煙を残しお山道を䞋っおいく。

ヒナタは䞡手を振っお芋送った。
車が芋えなくなるず、唇を少しだけ
尖らせたが、すぐに源䞀を芋䞊げた。

「ゞィゞもママに眮いおかれたね」

「俺は眮いおいかれおいない」

「じゃあ、ヒナタだけ」
 源䞀は答えられなかった。

家の裏には畑があり、頭のダギがいた。
 源䞀は畑ずダギで食べる物の殆どを賄い、
 ダギのチヌズず少しの野菜だけを
 近くの食堂ぞ卞しおいた。

「柵に入るな。ダギの埌ろに立぀な。
 畑の赀い札には觊るな」

「ダギさんは、赀い札、読める」

「読めん」

「ゞィゞも」

「読める」

「ゞィゞ、ダギさんより、ちょっず偉いね」

そのずき頭のダギが、
 源䞀の尻を抌した。源䞀は歩よろめき、
 ヒナタは腹を抱えお笑った。

「ゞィゞ、ダギさんに、負けた」

源䞀の口髭が、ちょっずだけ持ち䞊がった。

◇

昌食に出されたのは、
ヒナタの顔ほどもある塩むすびだった。

「倧き過ぎるよ。赀ちゃんにしお」

源䞀は黙っお台所ぞ戻り、
小さな手でも持おる様に぀に握り盎した。

぀のシヌンが぀になっおしたった。

皿の䞊ぞ䞊べるず、
ヒナタは぀を源䞀ぞ差し出した。

「これはゞィゞだよ。お髭の圢」
 ただの䞉角だった。

◇

午埌、源䞀はヒナタを軜トラックぞ乗せ、
山の食堂《こもれび》ぞ向かった。
チヌズず野菜を受け取った50代の倫婊は、
無口な源䞀が幌い女の子を連れおきたこず
に目を䞞くした。

「源䞀さんのお孫さん」

「荷物だ」

「ヒナタは荷物じゃないよ。歳だよ」

食堂にいた倫婊の孫、゜りタが笑っお、
「お前、山の道、知らないだろ」

「゜りタくん、信号、知らないでしょ」

「知っおるわヌ」

「じゃあ、おあいこだね」

䜕がおあいこなのか分からないたた、
人は店の裏ぞ駆け出した。
源䞀は止めようずしたが、
久しぶりに聞く子どもたちの笑い声に、
䞊げた手を䞋ろした。

゜りタは沢ぞ続く秘密の近道を教え、
ヒナタは石の䞊で䞡手を広げた。
「ヒナタ、お山のテレビに出おるよ」

「テレビなんかないぞ」

「ゞィゞが芋おるから、今、映っおるよ」

源䞀は慌おお芖線をそらした。
食堂の倫婊は、顔を芋合わせお笑った。
これたで玍品を終えればすぐ垰っおいた
源䞀が、子どもの遊びを眺めお
10分も立っおいる。
それだけで、山では小さな事件だった。

◇

垰宅するず、ヒナタはマミの
ノヌトの䜙癜ぞ、人の顔を描いた。
マミは赀、ヒナタは黄色、
源䞀は茶色の䞞だった。

「俺だけダギじゃないか」

「ゞィゞは、ダギず人間、半分こだね」

その倜、
 源䞀は小さなすすり泣きで目を芚たした。

客間の垃団で、ヒナタがマミの
残したノヌトを胞に抱いおいた。

「ママのお腹、治る」

「医者が治す」

「痛いっお、泣いおない」

「マミは、お前より泣き虫じゃない」

ヒナタは少し安心したように錻をすすり、
垃団の䞭から小指を出した。

「ゞィゞ、明日もいる」

「ここは俺の家だ」

「いる」

源䞀は、倪い小指を小さい小指ぞ絡めた。

「いる」

ヒナタはようやく目を閉じた。

人を信じるこずをやめた男が、
幎以䞊ぶりに、
誰かず玄束をした倜だった  

◇

ヒナタが来おから、
源䞀の朝は15分遅くなった。

長靎を巊右逆に履くのに分。
自分で䞊着のボタンを留め盎すのに分。
ダギ党員ぞ「おはよう」を蚀うのに
分かかるからだ。

「急げ」

「ヒナタ、急いでるよ」
ゆっくり歩きながら、きっぱり蚀う。

乳搟りを教えるず、
ヒナタは真剣な顔でダギの腹ぞ話しかけた。
「牛乳、ちょうだい」

「ダギだから、ダギ乳だ」

「じゃあ、ダギ乳、ちょうだい」

滎出ただけで、ヒナタは䞇歳した。
 源䞀が䜎く笑うず、圌女は目を䞞くした。
「ゞィゞのお顔、盎った」

「壊れおいたのか」

「うん。ずっず、怖いお顔だったよ」
源䞀は、それから少し笑うようになった。

食堂ぞ玍品する日は、゜りタが埅っおいた。
歳の山の先茩は、ヒナタにドングリの笛、
沢の浅い堎所を教えた。

 ヒナタは代わりに、タンポポを゜りタの
 錻の䞋ぞ挟んで「゜りタじいさん」の
 顔を䜜り、皆を笑わせた。

◇

週間が過ぎ、2週間が過ぎた

ヒナタが食卓にいるだけで、
圢の悪い野菜は顔になり、雚挏りの音は
倪錓になった。静かだった家には、毎日、
新しい名前が増えおいった。

食堂ぞ卞すチヌズの包みには、
ヒナタがクレペンで笑う顔を描いた。

「これは、ゞィゞの顔だよ」

「䌌おいない」

「ただ、緎習䞭のお顔だよ」

その包みを買った客が「おいしかった」ず
瀌を蚀うず、源䞀は照れくさそうに
「そうか」ず答えた。

翌週には、自分から「たた持っおくる」ず
源䞀が蚀った。食堂の倫婊は驚いたが、
ヒナタだけは圓然のようにうなずいた。

源䞀は少しず぀思い出しおいた。
人に裏切られた蚘憶の陰にも、
信じお埅っおくれた人たちがいたこずを。

手術を終えたマミずは、
食堂の通信を借りお映像通話をした。

『ヒナタ、迷惑かけおない』

「倧䞈倫。
 ゞィゞ、おしゃべり、䞊手になったよ」

『本圓』

「今日、぀もおしゃべりした」

食堂の倫婊ず゜りタが笑い、
源䞀は画面から顔を背けた。
画面の䞭のマミも笑っおいたが、
少し痩せお芋えた。

通話が終わった垰り道、
ヒナタが尋ねた。
「ママも、ゞィゞの子どもなの」

「そうだ」

「ゞィゞ、ママに怒っおる」

「ん 自分に怒っおいる」

源䞀は歩みを止めた。

昔、仕事仲間が䌚瀟の金を䞍正に動かし、
その責任を源䞀ぞ抌し぀けた。
信頌しおいた人間たちは口裏を合わせ、
源䞀を犯人にした。
長い裁刀の末に冀眪だず蚌明されたが、
源䞀は人間そのものを信じられなくなった。

自分を信じ続けた劻にも、
嚘のマミにも背を向けた。
裏切られる前に遠ざければいいず思った。

「マミは䜕床も来たが、俺が远い返した」

「ゞィゞ、間違えたの」

「ああ」

ヒナタは難しい顔で考え、
それから源䞀の倧きな手を握った。

「間違えたら、ごめんなさいだよ。
 ヒナタもできるよ」

歳に教えられるずは、源䞀は空を仰いだ。

週間目の朝、マミの車が山を䞊っおきた。

「ママ」

ヒナタは駆け出した。
マミはしゃがんで嚘を抱き止め、
その小さな䜓ぞ顔を埋めた。

「ごめんね。寂しかったね」

「ちょっずだけ。
 ゞィゞは、もっず寂しかったよ」

「䜙蚈な こずを蚀うな 」

源䞀は、チヌズず野菜を
詰めた箱を車ぞ茉せた。
マミが頭を䞋げる。

「週間、本圓にありがずう」

「マミ」

「䜕」

「あの時、お前は俺を信じおいた。
 聞こうずしなかったのは俺だ」

源䞀は䜕床も口を閉じ、ようやく蚀った。
「すたなかった」

マミの目から涙が萜ちた。
「遅いよ、お父さん」

「そうだな」

人の間ぞ、ヒナタが割り蟌んだ。

「ママも、ゞィゞの子どもでしょ。
 抱っこしおあげお」

「30歳を過ぎた嚘は無理だ」

「じゃあ、ギュり」

ヒナタに䞡脚を抌され、
源䞀はぎこちなく嚘の肩ぞ腕を回した。
マミは父の胞ぞ額を぀け、
子どものように泣いた。

「お父さんの髭、痛い」

「お前もヒナタず同じこずを蚀うんだな」

源䞀が笑った。マミも笑い、
ヒナタは人の間で埗意そうに胞を匵った。

垰り際、源䞀が蚀った。
「たた、い぀でも連れおこい」

ヒナタは銖を振った。
「今床は、ゞィゞが来る番。
ヒナタのお家、時間だよ」

「遠いな」

「ゞィゞ、ダギさんより、
 ちょっず偉いから、倧䞈倫」

「そうだな」
 源䞀は倧きくうなずいた。

車が山道の向こうぞ消えおも、
家はもう以前の静けさには戻らなかった。
瞁偎には小さな長靎が片方、残っおいた。
来月、それを届ける理由ができた。

山の氷を溶かしたのは、春颚や花でもない。
長靎を巊右逆に履いた、歳の倩䜿だった。

おわり

教 蚓

子どもは、倧人に育おられるだけではない。
無邪気な蚀葉ず笑顔で、解けおしたった
家族の絆をふたたび、結ぶこずがある。

ご愛読頂き、ありがずうございたした。
この物語は、ご存じ、
『アルプスの少女ハむゞ』をモチヌフずしお
今の日本でありそうな話にアレンゞしたした。
よろしければ、ご感想をお願いいたしたす。

明日からは、『知りたい、奜きだ』䞭孊校線
になりたす。匕き続き、お楜しみください。