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創作大賞2025感想文 : モスキート エリさん『パープル・セィヴィア』

    ちょっとおかしい。

    「人類って、思考というギフトを与えられてほんとに幸せだなぁ、という気持ちになりました」

    これが、色々グルグル考えた末の感想って絶対おかしい。エリさんも、はっ?って思うはず。
    でも、ここに至った経緯を書かせて欲しい。


    こんな気持ちになった作品がこちら。


    巷では、感想を書くのが超絶難しいという噂があるとかないとか。

    それでも、自称モスキート エリの大ファンの私なので、問題なく感想もスラスラ出るはず、と思って読んだらとんでもなかった。


    この作品の凄さは余韻だと思う。


    最初に読んで感じるのは、看護師という生と死に一番近いお仕事で奮闘する主人公、千咲のリアリティ。

    出会いと別れが当たり前のようにやってきて、ただただその流れに流されていく。
    確かに、心を無にして自分を守ろうとした時期があったかもしれない。それでも千咲は、自分の心に向き合って、色を感じようとする。

    そこに交差する、アキと佐藤先生。弥生さんに綾、そして日野くん。
    救いがあると思った矢先に手からすり抜けていく現実。


    それを読んで、目の前に突きつけられて、感じるのは辛さじゃなかった。むしろ、生きている実感だった。


    振り返ると、こんな美しい色は無かったかもしれないけど、わたしも沢山のすれ違いを経験してきた。それでも今こうして生きている。そして、パープル・セィヴィアをこうして読んでいる。


    読者はどこに共感してもいい。いや、しなくてもいい。むしろ、考えることをやめて、心が動くままに読むのがいい。そして最後まで読み終わったとき、その余韻に酔いしれ、自分の中から溢れ出てくる思考の波にのまれるのがいい。


    自分の中でも、語りたい場面、言及したいところが無限に湧いてくる。これを、読んだ人とぶつけ合いたい。


    何でこんなふうに思うのか。多分これは、いい映画を観た時と同じ感覚だ。一気に最後まで観終わって、余韻にひたりながらエンドロールを眺め、パンフレットを手に取って何度も世界に戻り、良かったね、と感想を語り合いたくなる。

    そしてこんなことができるのは、私たち人類が思考というギフトを与えられたからなのだ。


    ありがとう人類。


    ありがとう、モスキート エリさん。


    半径1mの世界はとんでもなく居心地の良い世界でした。



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