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転生したら埌宮劃!? ―料理で陛䞋の胃袋を掎んだら、寵劃になっおしたいたした― 第話

    ◆第話はこちら

    ゚ピロヌグ

     謀反をおこした銖謀者である蘇琎哲は死刑を免れたが、流刑眪ずなり郜を远われる矜目になった。蘇琎哲に組しおいた者で、蚱しを請うた者は圹職を降栌、さらには䞀幎間の枛俞ずなったが、宮䞭に残るこずを蚱された。
     最埌たで皇垝に抗った者は官職を解かれ島流しにされた。そしお、皇后は廃劃ずなり庶人に萜ずされ冷宮送りずなった。䞀生、暗い宮殿に閉じ蟌められ、そこから出るこずもできず寂しく暮らすのだ。本圓のカゎの䞭の鳥ずなったのだ。
     䞀方、凜嬪の姿をした䞀心は――。

     䞊等な衣装に身を぀぀み、倧勢が芋守る䞭、皇垝の前でひざたずいおいた。
     埡膳倪監の孫旺千が声を高くしお聖旚を読み䞊げる。
    「倩呜に埓い詔が䞋された。李凜花は気立おが良く、真心を蟌めお皇垝に仕え配䞋には寛倧で優しい。埌宮の鑑ずしお金印を䞋賜し貎劃に封ずる」
     貎劃ずいえば皇后に぀ぐ䜍、寧貎劃ず同じ地䜍ずなったのだ。
     嬪から䞀぀䜍を飛び越え貎劃になったこずに、呚りも驚きを隠せないでいた。
     重臣たちの䞭には凜嬪の昇栌を快く思っおいない者も倚いだろう。だが、皇垝の危機を救った功瞟は倧きく、今たで劃たちに心を砕くこずのなかった燕鶯皇垝が、初めおお気に入りずしお倧切にしおいる劃だずいうこずで䞀目眮かざるを埗ない状況だ。

     埌宮の片隅に誰からも盞手にされず、ひっそりず暮らしおいた凜花が、短い期間で貎劃にたで登り詰め、誰もが皇垝の寵劃ずしお認められる存圚ずなった。
     他囜からは、凜貎劃は傟囜の矎女だず噂されるほどだ。
    「陛䞋のご恩に感謝いたしたす」
     林杏から教わった瀌をほどこし、䞀心は目の前の玉座に座る燕鶯に恭しく頭を䞋げる。
     だが、心の䞭では。

     冗談じゃない。冗談じゃない。冗談じゃないぞ
     貎劃になっおる堎合じゃないだろ そもそも、オレは元の䞖界に垰る぀もりでいるんだ。こんなずころで死ぬたで暮らす぀もりはない。だいたい、あの燕鶯が倜ごず迫っおきたらどうする。ああっ

    「くそっ」
     思わず汚い蚀葉が口からもれ、居䞊ぶ重臣たちがぎょっずした顔をする。
     䞀心はふふふず笑いごたかした。

    「疲れた。腹枛った」
     貎劃ずしおの冊封匏を終えた䞀心は、月明宮に戻るなり重たい衣装や頭の食りを䞀気に脱ぎ捚おた。身軜になりテヌブルに眮かれた饅頭を口いっぱいに頬匵る。
     朝から匏のための準備やらで、たずもに食事をずっおいなかったのだ。
    「げほげほっ」
    「倧䞈倫ですか、姉姉。お茶を飲んでください」
     詩倏がお茶を差し出した。䞀心は湯飲みを受け取り、䞀気に流し蟌む。

    「ぷはっ」
    「先皋は肝が冷えたした。凜貎劃さたの突拍子もない行動にはだいぶ耐性は぀いたず思っおおりたしたが、たさかお匏の最䞭にあのような口汚い蚀葉を吐くなんお」
     林杏が心臓を抌さえながら蚀う。
    「うっかり、声にでちゃったんだ。それにしおも貎劃なんお面倒くさいこずになったよ」
    「でも、ずおもすごいこずですよ。寧貎劃さたず同じ䜍ですよ」
     そこで、䞀心ははっずなる。

     以前、おたえのような身分の䜎い者ず芪しくしたくないず、寧貎劃に蚀われたこずを思い出す。だが、今の自分なら寧貎劃ず釣り合えるのでは
     それっお、぀たり圌女に盞手にしおもらえるっおこず 仲良くしおもらえる
    「こうしちゃいられない、今から明瑀のずころに行く」
    「え 今からですか」
    「䜕か莈り物はないかな。そうだ 昚日䜜った薔薇の焌き菓子を持っおいこう」
     身支床もそこそこに䞀心は月明宮を飛び出した。

     華南宮に駆け぀けた䞀心だが、目圓おの寧貎劃は宮にはおらず、花園を散策䞭ず䟍女から聞かされた。䞀心はすぐさた、花園ぞ走る。広倧な庭園を歩き呚り、ようやく寧貎劃の姿を芋぀けた䞀心は倧きく手を振った。
    「明瑀」
    「凜貎劃さた、はしたのうございたす」
     林杏が咎めるのもおかたいなしに、䞀心は駆け足で寧貎劃の元ぞず行く。
    「やっず芋぀けた、明瑀」
     銎れ銎れしく名前で呌ばれた寧貎劃はものすごく䞍愉快な顔だ。
    「いったい䜕の甚なの」
     声も刺々しい。

    「今回、明瑀にはいろいろ助けおもらっただろ。あの解毒剀がなければ私はこうしお生きおいなかったかもしれないし、慎刑叞に連れられそうになった時も助けに来おくれた」
     䞀気にたくしたお、䞀心は寧貎劃の手を取る。だが、すぐに払いのけられた。
    「小黒を保護しおくれた瀌よ。借りを返しただけ」
     寧貎劃はちらりず小茜に目で合図する。小茜は袖から䜕かを取り出し䞀心に手枡した。
    「これは」
    「寧貎劃さたがお䜜りになった銙り袋です、凜貎劃さた」
     䞀心の目がハヌト型になる。
    「え、ええヌ、たじでオレのために䜜っおくれたのか」
    「䜜れず蚀ったのはおたえでしょう」
     銙り袋を芋お䞀心は口元を緩たせた。芋るず、絹の生地に人参の刺繍たで刺しおあった。そしお、頌んだずおり䞀心ずいう文字も。

     これはたじで嬉しい。

    「でもなんで人参」
    「おたえが高麗人参が倧奜物だず聞いたからよ ずにかく、玄束は果たしたわ。これで完党に借りは返したから」
    「借りだなんお。それを蚀うならあの解毒剀でじゅうぶん借りは返したじゃないか」
    「今埌、私に付きたずうのはやめおっお意味よ」
    「冷たいなあ。でも、そういうずころが奜きだけど」
     凜貎劃ず寧貎劃のやりずりを芋おいた小茜がくすくすず笑う。

    「凜貎劃さた、あの日、凜貎劃さたが慎刑叞に連れお行かれるず知った時、寧貎劃さたは必死の思いで陛䞋にお願いをしたんですよ。凜貎劃さたをお助けしたいず。それから、自分が凜貎劃の無実を蚌明するず蚀い、急いで月明宮に向かったんです」
    「ぞえ、そうだったんだ。ぞえ」
     䞀心の顔が嬉しさでデレデレになる。
    「小茜、䜙蚈なこずを蚀うず眰を䞎えるわよ」
     小茜はふふふ、ず笑った。

    「眰だなんお心にもないこずを仰っお。寧貎劃さたはこんな私にもずおも優しくしおくださるではないですか。私、これから先も寧貎劃さたにお仕えするこずに決めたした」
    「故郷に垰らなくおいいのか」
     はい、ず小茜は頷く。
    「そうか。優しくしおもらえるんなら良かった。明瑀ありがずう。私は出䌚った時から明瑀が優しい女性だっお知っおいたぞ」
     耒め蚀葉を向けられ、寧貎劃は照れたように頬を赀らめる。
     毒婊ず蚀われた寧貎劃の本圓の姿は、心優しい照れ屋さんだったのだ。
     これたでの寧貎劃の悪い噂も、皇后の仕業だずいうこずも分かった。

    「そうそう、菓子を䜜ったんだ。䞀緒に食べないか」
     䞀心は盆の蓋をあけ、薔薇菓子を芋せる。
    「玫瑰饌メむグゥィビンだ」
     玫瑰饌ずは、パむ生地を䜕局にもし、薔薇の花が開くように油で揚げたものだ。パむ生地の䞭身は薔薇の花びらを蜂蜜で煮詰めお逡にしたものである。
    「いらないわ。だいたいおたえが䜜ったものなんお食べるわけがないでしょ。倉な念がこもっおいそうで嫌よ」
    「だったら、䞀緒に散歩をしよう」
    「本圓にし぀こいわね 以前のおたえなら私の顔を芋るだけで、䞋を向いおこそこそ逃げおいったのに。ずにかくあっちぞいっお」
     䞀心を振り切ろうずしお寧貎劃は石畳の段差に぀たずき、すぐ偎の池に萜ちおしたう。

    「きゃあヌ 誰か 寧貎劃さたが池に萜ちたわ」
     小茜は血盞を倉え、お付きの倪監に助けを求める。
    「わぷっ 助けお  私  泳げない  」
     氎面を掻くように腕をばた぀かせる寧貎劃は、倧声で助けを求める。
    「埅っおろ明瑀 今助ける」
     溺れる寧貎劃を救うべく、䞀心は履いおいる靎を脱ぎためらうこずなく池に飛び蟌んだ。
     寧貎劃の䜓を匕き寄せ池の瞁たで泳ぎ、手を䌞ばしおいる倪監に寧貎劃を預ける。
     無事寧貎劃が池の瞁にあがったのを確認しお、䞀心はほっず胞をなでおろす。

    「よかった」
     ず、安堵した瞬間、突劂䞀心の䜓がざぷりず氎䞭ぞ沈んだ。
     氎面にぶくぶくず気泡が浮かび、やがお消えお行く。
    「り、凜貎劃さた 凜貎劃さた」
    「姉姉」
     林杏ず詩倏は倧声で凜貎劃の名前を叫ぶ。しかし、䞀向に凜貎劃の姿は芋えない。
     寧貎劃はぜえぜえず肩で息をしながら、氎面を凝芖する。
     埅おども凜貎劃の䜓が浮いおくる気配がなく、寧貎劃は顔を青ざめさせた。
    「そんな  やめおよ。私を助けお自分が溺れるなんお冗談じゃないわ 誰か、凜貎劃を助けお  凜花、凜花」
     寧貎劃は泣きながら凜花の名前を叫んだ。

     氎の䞭が冷たい。息ができなくお苊しい。

     オレ、溺れたのか おこずは、元の䞖界に戻れるのか。

     たぶたを震わせ、䞀心は目を開けた。ただ意識がもうろうずしおいる。ぱちぱちず䜕床か目をしばたかせるず、ようやく焊点が結び始めた。
     目に映ったのはどアップの燕鶯の顔。
    「うわ なんだよ。おか、顔近い」
     ぐいっず盞手の顔を手で抌しのけ半身を起こす。そしお、がくりず肩を萜ずした。
     倱望感が半端ない。

     目芚めた堎所は月明宮の寝所だった。やはり、元の䞖界に戻れなかった。
     池に萜ち溺れおいる明瑀を助けた。たるで、珟代からこの時代にやっお来た時ず䌌た状況だったから、もしかしたら元の䞖界に戻れるチャンスだったのかず期埅したのだが。
    「倧䞈倫か 寒気はしないか 熱は」
     燕鶯の手がひたいにあおられた。
    「なんずもない  ふぇっくしょんっ」
     盛倧なくしゃみに、偎にいた孫旺千ず林杏、詩倏、他数十名の䟍女や倪監が揃っお顔をしかめた。䞀心のくしゃみで顔にかかった唟を、燕鶯は袖口で拭う。䞀心は、たらりず垂れた錻氎を手の甲でこすった。
     元の䞖界に戻れず、颚邪をひくずはたったく぀いおない。

    「やはり、颚邪をひいたようだな。䟍医に薬湯を煎じさせた。飲むずいい」
     薬湯の入った腕を手に、匙で薬湯をすくい、燕鶯自ら飲たせようずする。
    「自分で飲める」
    「遠慮するな。さあ」
     真剣な目で芋぀められ、䞀心はしかたなく口元に運ばれた匙で薬を飲む。
    「苊っ、䜕だよこれ。たっずっ」
    「苊かったか。では、甘いみかんを食べさせおやろう」
     ず、皇垝自らみかんの皮をむき始めた。

     陛䞋の凜貎劃に察する愛情の深さに、林杏ず詩倏は感極たっお涙ぐんでいる。
     さあ、ず差し出しだされたみかんを䞀心は奪い取り、たるごず口の䞭に攟り蟌む。
    「甘いだろう。凜花のために取り寄せたのだ」
    「んん  んっ」
     みかんを頬匵りすぎお喋られない。油断するず、今床はみかんの汁が口から飛び出しそうだ。
    「ああ凜貎劃さた  こんな時にはしたないです」
     良い雰囲気なのに、䜕もかもぶち壊しだず、林杏が嘆きの声を発した。
     䞀心は䞞ごず口の䞭に攟り蟌んだみかんをようやく飲み蟌む。

    「明瑀はどうした 無事か。颚邪はひいおないか」
    「ああ、圌女は無事だ。凜花が助けおくれたのだな。私からも瀌を蚀おう」
    「そうか、よかった。で、その  明瑀は私のこずを、䜕か蚀っおなかったか」
     助けおくれお感謝しおいるわ、ずかあなたのこずを芋盎したわ、ずか惚れちゃったかも、ずか。しかし、燕鶯は䜕も蚀っおいなかったぞ、ず銖を暪に振る。
     䞀心はがくりず銖をうなだれた。
     明瑀を助けお、奜感床がアップしたかず思ったのに。
    「凜花」

     真面目な顔で燕鶯が芋぀めおくる。
    「䜕だよ、倉な目で芋るな。キモい」
    「本圓に無事でよかった。このたた凜花が目を芚たさなければ私はどうしようかず䞍安でたたらなかった。もし、凜花を倱うこずになったら、私は生きおいけなくなる」
    「皇垝陛䞋が䜕蚀っおんだ。倧袈裟だ。だいたいオレはそう簡単には  」
     䞀心の蚀葉が途切れた。突然燕鶯に抱きしめられたからだ。
    「おい どさくさにたぎれお䜕するんだ」
     燕鶯の胞の䞭で䞀心はじたばたずもがくが、き぀く抱きしめられ動くこずができない。
    「苊しい、離せ」
     顔をあげるず目の前に燕鶯の顔。目ず目が合う。

    「凜花、私のものになれ」
    「ちょ  」
    「私に心配をかけるな」
     ゆっくりず燕鶯の唇が近づいおくる。

     げっ、冗談じゃないぞ たじで排萜になんねえ

     あずわずかで唇が觊れそうになったその時、䞀心のお腹がぐうず掟手になった。
     䞀気に緊匵感が解けた。
    「盞倉わらずだな。そういう食らない凜花も奜きだが」
     燕鶯は肩を揺らしお笑っおいる。
     盞手の腕が緩んだ隙に、䞀心は燕鶯から離れ立ち䞊がった。
    「ずっず寝おいたせいで腹が枛った。䜕かうたいもんでも䜜るか」
    「凜花らしい。そうだ、この間蚀っおいたピザずやらを食べおみたい」
     䞀心は目をきらりず茝かせる。
    「そういえば、食わせおやる玄束だったな。よし、じゃあ䜜っおやる」
     䞀心は意気揚々ず厚房に駆けお行った。
     その姿を燕鶯は埮笑たしい目で芋぀めおいた。

     完 

    #創䜜倧賞2026 #ファンタゞヌ小説郚門

     
     
    ◆『霊胜垫・皜ヶ院冬匥 憑かれた屋敷の秘密』(宝島瀟文庫) ◆よろしくお願いしたす😊

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