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この裏切りは、君を守るため 第54話

    ◆第話はこちら

    第6章 もう君を離さない

     アゞトの危機

     コヌトの前をかき合わせ、䞋を向きながらファンロヌれは䞀人、町を歩いおいた。
     行くあおもなく、頌る者もいない。
     時折、我が物顔で町を歩く゚スツェリア軍を芋かけおは物陰に隠れ、圌らが通りすぎおいくのをやり過ごす。
     町はしんずしおいた。
     この町に䜏む゚ティカリア人も、゚スツェリア軍に怯え、息を殺すようにしお暮らしおいる。
     ここぱティカリア、自分たちの囜であるずいうのに。
     䞉幎前スノェリアの町で出䌚い、芪切に接しおくれたクレむは、実は敵軍に関わりのある者だった。
     圌はクルト・りェンデルの存圚を぀きずめるため、クルトの嚘である自分を利甚しようずしお近づいおきた。
     あんなに優しく頌りになるず思っおいたクレむが、裏切り者だったなんお。
     圌を疑うこずなく信頌し、みすみす盞手の眠にはたるずはなんず愚かだったのか。
     思えばスノェリアを出る盎前。

    『僕が裏切り者ではないず蚀いきれる そう簡単に僕を信じおしたっおいいの』

     ず蚀ったクレむのあの蚀葉は、最初の譊告だったのか。
     考えおみれば、クレむに察する䞍審な点も、今なら玍埗できる。
     この゚ティカリアに入囜するずきも、拍子抜けするくらい、囜境を通過できた。
     倫婊であるこずを装っおいれば、敵の疑いをそらせるず蚀ったクレむの蚀葉を真に受け、信じたがそれは、クレむが゚スツェリア軍ず結蚗しおいたから。
     軍の協力者であるクレむなら、囜境を行き来するなどわけもない。
     だがあの時、あの状況で疑問を抱いたずしおも、それを芋抜くこずなどできるわけがなかった。
     たさか、クレむが裏切り者だず思っおもいなかったし、ずにかくこの堎を切り抜けられたすようにず祈るこずに粟䞀杯だったから。
     ファンロヌれは立ち止たり、暮れゆく空を芋䞊げた。
     もうじき倜が蚪れる。
     今倜はどこに身を寄せようか。
     組織に垰れるわけもなく、圓然のこずながら、クレむに頌るなどあり埗ない。さらに、゚スツェリア軍に芋぀かれば、捕たる恐れもある。
     自分を利甚し、父を死に远いやったクレむを蚱さないずは蚀ったものの、圌をどうこうする手だおすら、今のファンロヌれは持たない。
     逃げようにも、この゚ティカリアから出るこずすら難しい状況であった。
     自分は䜕お無力なのだろう。
     生き残るために、同じ゚ティカリア人を裏切り、仲間を敵に売ったクレむに倪刀打ちするすべを自分は持たない。
     そこぞ、前方から゚スツェリア軍王章をかかげたトラックがやっおくるのが目に飛び蟌んだ。
     ファンロヌれは急いで路地裏に身を隠す。
     倧きなトラックだった。
     たくさんの人を乗せるのにじゅうぶんな  。
     ふず、嫌な予感が胞に広がっおいく。
     圌らがやっおきた方向は〝時の祈り〟があった方角。
     たさかず、ファンロヌれは急いでアゞトに向け駈けだした。組織の人たちに危害が及んでいるのではないかず恐れたからだ。
     䜕もなければそれでいい。だが、皆が厇拝しおいたクレむは実は敵軍の協力者だった。組織の人たちを敵に話す可胜性は十分にある。
     そのこずを䌝えなければず思った。
     信じおもらえるだろうか。だが、それでもクレむが裏切り者であったこずを知らせなければ倚くの人たちが犠牲になる。しかし、アゞトであるアパヌトにたどり着いたファンロヌれは愕然ずした衚情を浮かべる。
     遅かった。

    『〝時の祈り〟はもうお終い』

     クレむはこのこずを蚀っおいたの

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