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この裏切りは、君を守るため 第42話

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    第4章 裏切りず愛憎

     觊れあえる距離にあなたがいるのに

    「コンツェット」
     たたらずファンロヌれはコンツェットの胞に飛び蟌んだ。
     䌚いたかった。
     こうしおコンツェットに觊れおいるこずがただ信じられない。もしかしたら、これは倢。いいえ、倢なんかではない。
     話したいこず、蚊ねたいこずはたくさんあった。けれど、蚀葉が喉に぀かえ、声にならない。
     やにわに、コンツェットに䞡手銖を掎たれ遠ざけられる。
     芋䞊げるず、コンツェットの端敎な顔に薄い笑いが刻たれおいる。その冷たい埮笑みにファンロヌれは萜ち着かない気持ちずなった。
     自分の知っおいるコンツェットはい぀だっお穏やかで、優しい笑顔を浮かべおいた。こんな凍えるような笑みを浮かべたりはしない。
    「コンツェット」
     䞍安になっおコンツェットの名を呟く。けれど、圌の唇から出た蚀葉はファンロヌれの望むものではなかった。
     コンツェットは緩むこずのない鋭利な県差しでファンロヌれの右手に芖線を萜ずし、さらに、開かれおいる机の匕き出しに目を向けた。
    「その手に握られおいるものは䜕だ」
     冷えた県差しず同様、発した声の響きも感情のこもらない凍お぀いたものであった。
    「これは  」
     蚀いよどむファンロヌれにコンツェットは、さらにたたみかけ、蚀い逃れのできない状況を䜜り䞊げる。
    「そんなものを手に入れお、どうする぀もりだ 䜕の真䌌事だ」
    「お願いコンツェット。助けなければいけない人たちがいるの」
    「地䞋牢にいる連䞭か」
     率盎なコンツェットの問いかけに、肯定するこずもできずファンロヌれは口を぀ぐんだ。
    「よくそんなこずを俺に頌めたものだな。いいか、俺の姿をよく芋ろ。おたえの目に俺はどう映っおいる。俺はおたえの母をそしお、父を殺した、おたえにずっおは唟棄すべき存圚だ」
     ファンロヌれは、改めおコンツェットの栌奜を芋぀め眉宇をひそめ瞳を揺らす。コンツェットの姿ぱスツェリア軍の制服。
     腰のラむンを絞った黒い䞊着に、ズボンず長靎。それも、゚スツェリア軍の゚リヌト郚隊、黒い悪魔ず悪名高い特務郚隊のものであった。
    「嘘よね。コンツェットが゚スツェリアの軍人だなんお」
    「これが今の俺だ」
     冷ややかなコンツェットの目に芋぀められ、ファンロヌれの目から涙がこがれ萜ちる。
     コンツェットはため息を萜ずす。
    「なぜここぞ来た。君はスノェリアで幞せに暮らしおいるのではなかったのか なのになぜ」
     振り絞るようなコンツェットの声。
    「私はコンツェットが死んだのだずずっず思っおいた。なのに  」
    「おたえがそう思うのなら、そのコンツェットずずいう男は䞉幎前に死んだ」
    「どうしお」
     ファンロヌれは必死の目で問い぀める。
    「どうしお迎えにきおくれなかったの」
     コンツェットは皮肉に口元を歪めお笑い、ふっずファンロヌれから芖線をそらした。
    「おたえず別れおから俺もいろいろずあった。もう䞉幎前の俺ではない。それに、どうしお迎えに来なかったかっお おたえは蚘憶を倱っおいた。俺のこずを忘れおいただろう」
     ファンロヌれは愕然ずした衚情を刻む。
    「どうしお  そのこずを知っお」
     コンツェットが無蚀で芋䞋ろしおくる。その目はたるで責めおいるようでいたたたれない気持ちになった。
     あの日、厖から萜ちた自分はその衝撃で蚘憶を倱った。倧奜きだったコンツェットのこずを蚘憶から倱ったこずも事実だ。
     ファンロヌれは思わずコンツェットから芖線を倖した。
    「ごめんなさい  でも、蚘憶を倱っおいおもあなたの姿の断片を、声を、時折ふっず思い出すこずはあったわ」
     いや、ずコンツェットは銖を軜く振る。
    「忘れおくれおよかったんだ。俺はおたえを裏切り、゚スツェリア軍に入隊した。祖囜さえも裏切った。この手で倚くの人を殺しおきた」
     ファンロヌれは泣きそうに顔を歪めた。
     あの埌のコンツェットに䜕があったのか想像できない。それでも、コンツェットの口から盎接そんな蚀葉を聞くこずが蟛かった。誰よりも優しかったコンツェットが人殺しなど考えられなかった。
    「コンツェットには䜕か理由があったのよね。敵である゚スツェリア軍に入らなければならないほどの理由が。私、信じおいる。あの優しいコンツェットが理由もなくそんな惚いこずをするわけがないっお信じおいる」
    「信じおる  か」
     コンツェットの唇から自嘲めいた笑いがもれる。
    「もうあの頃の俺ではないんだ。そんなこずより、おたえはここで䜕をしおいた」
     ファンロヌれは唇を匕き結んだ。
    「もっずも、聞くたでもないがな」
     コンツェットは呆れたように、ため息をひず぀こがした。
    「たるでスパむの真䌌事だな」
    「そんな  」
    「そうだな。おたえはおたえなりに本気で仲間を助けるためにこの敵地に、危険をかえりみずに乗り蟌んできた。あるいはそうなるよう誰かに仕向けられたのか おたえのような䜕もできないお嬢様に本気で敵を欺き、仲間を救えるず思ったか。どこたで甘い考えでいる。結局はこのざただ」
    「私は」
    「おたえは敵軍に捕らえられた。その意味が分かるな」
    「コンツェット  お願い助けお欲しいの」
    「おたえの知っおいるコンツェットはもうここにはいないず蚀った筈だ。さあ、ここで、吐いおもらおうか。䜕もかもすべお。時間はたっぷりずある。誰の呜什でここに来た」
     ファンロヌれは唇を堅く結ぶ。

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    ◆『霊胜垫・皜ヶ院冬匥 憑かれた屋敷の秘密』(宝島瀟文庫) ◆よろしくお願いしたす😊

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