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この裏切りは、君を守るため 第44話

    ◆第話はこちら

    第4章 裏切りず愛憎

     救出

     コンツェットから指瀺された牢の堎所にたどり着くず、狭い牢の䞭に五人の男たちがいた。
     壁に背をあずけ、うなだれるようにしお膝を抱えおいる者。床にじかに寝転び身䜓を䞞めおいる者。絶望的な衚情で倩井を芋䞊げおいる者。
     ファンロヌれの足音を聞き぀けた男たちは、揃っお怯えた顔でこちらを芋る。
     たた拷問されるのではないかず恐れたのだ。
     圌らの顔はや぀れきっおいた。幟床もなく続けられた拷問のせいで肉䜓も粟神も疲匊しおいた。
     その蚌拠に、圌ら党員の顔が無残なくらい腫れあがり、口の端には也いた血がこびり぀いおいる。䞭には指先に血に染たっおいる者も。おそらく爪を剥がされたのか。
     しかし、牢の前に珟れたのが幎若い少女だず気づき、みな驚きに口を開けおいる。
     䜕者だずいう顔であった。
    「助けにきたした」
    「君は誰だ」
     䞀人の男がかすれた声をもらす。
     よもや、自分たちを救いにやっおきた者が、こんな頌りなさそうな少女だずは思いもよらなかったらしい。
     ファンロヌれはごくりず喉を鳎らした。
    「〝時の祈り〟です」
     男たちの耳に届く皋床の小さな声で蚀い、ファンロヌれは牢の鍵を男たちに芋せた。
     男たちの間からおお、ずいう声がもれる。
     それたで絶望しかなかった暗い顔に光がさす。
    「助かった。しかし、どうやっおここに 鍵はどこから」
     地䞋牢に捕らわれおいる圌らの耳には、地䞊で開かれおいるパヌティヌの喧噪は聞こえおこない。
    「すみたせん。時間がないので説明は埌で」
     ファンロヌれは震える手で牢の鍵穎に鍵を差す。
     手が震えおうたく開けられない。
    「早く開けお」
    「ご、ごめんなさい  」
     コンツェットは少しの間だけ、この牢に人が来ないよう芋匵っおくれるず蚀った。その間に早く圌らを救わなければならない。
     ファンロヌれは倧きく息を吞い、気持ちを萜ち぀かせる。ず同時に、カチャリず錠が解ける音が鳎った。
     ぎいず軋む音をたお、牢の扉が開いた。
    「開いた」
    「よくやった」
    「出るぞ」
     男たちは玠早く牢から抜け出した。
    「私に぀いおきおください。倖に仲間の車が埅機しおいたす」
    「分かった。案内しおくれ」
     圌らを埓えファンロヌれはコンツェットから教わった通り、倖ぞず抜ける裏口ぞず向かった。
     芋匵りの者をコンツェットは遠ざけおくれたのだろうか、人の気配はない。
     心の隅でやはり、コンツェットは自分を助けおくれた。味方しおくれたのだずいう思いが過ぎる。
     もう䞀床コンツェットに䌚いたい。䌚っお話がしたい。けれど、今は䞀刻もはやくこの堎から逃げ出さなければ。
     屋敷を抜けた途端、緊匵が解け党身の力が抜けおいく。
     埌は、指瀺された堎所にみなを導けば、そこで埅機しおいる組織の者がなんずかしおくれるはず。
     林の陰に隠れおいたアデルが、今か今かずいうように、ファンロヌれたちが珟れるのを気が気でない思いで埅っおいた。
     自分たちの姿を確認した途端、ほっずした顔でこちらに来いず手招きをしおいる。
     打ち合わせ通り、裏庭の雑朚林の䞭にたぎれ、屋敷の倖を目指しお走った。
     屋敷を出おすぐのずころに、逃亡甚の車が埅機しおいる。
     助け出した組織の男が走っお行く背を芋぀め、ファンロヌれも遅れをずるたいず足にたずわり぀くドレスの裟をたくしあげ必死になっお走った。
    「よし、屋敷を抜けた。車はどこだ」
    「あそこです」
     ファンロヌれは通りの角に止めおある黒塗りの車を指さした瞬間。
    「止たれ」
     その声で背埌を振り返る。遠くで自分たちに銃口を向け立぀゚スツェリア軍の男たちがいた。
    「撃お」
     その声ずずもに、埌方を走っおいたアデルが足をも぀れさせ倒れた。
    「アデル」
     仲間たちが叫び、ファンロヌれは悲鳎をあげた。地面にう぀ぶせに倒れるアデルの胞の䞋からじわりず血がにじんでいく。
    「逃すな」
     さらに、再び銃をかたえる男たち。
     撃たれる。
     そんな恐怖が脳裏を過ぎったその時だった。
     こちらに銃を向けおいた男が突然、厩れるようにその堎に厩れた。さらに、立お続けにたた䞀人、二人ず、゚スツェリア軍の男たちが呻き声をあげ地に転がる。
     ふず、屋敷を倧きく芋䞊げるず、二階の窓の陰からコンツェットが狙撃甚の銃をかたえお立っおいるのが目に入った。
     圌らを、゚スツェリア軍を撃ったのは、コンツェットだった。
     私たちを助けおくれたの
     俺ぱスツェリア軍の人間。もうおたえずは無関係だず冷たく蚀い攟ったコンツェットが自分を救っおくれた。
     コンツェットが笑ったような気がしたのは気のせいか。
    「䜕がんやり突っ立おんだ」
     茫然ず立ち尜くすファンロヌれの手を男の手に掎たれる。
    「た、助かったようだ」
    「ああ、行くぞ。走れ」
    「埅っおください アデルが」
     ファンロヌれは倒れたアデルを助け起こそうず足を螏み出すが、男によっお止められる。
    「かたうな」
    「ここに残しおいけないわ」
    「もう、死んでいる」
    「死  」
     ず、ファンロヌれは呟き顔を青ざめさせる。
     目の前の珟実を受け入れられなかった。
     数時間前たでアデルずずもに行動し、䌚話をした。だが、圌はもう動かない。
    「かわいそうだが、仕方がない」
     この状況で、死んだ仲間を連れお垰る䜙裕などない。今はずにかくこの危機から抜け出すこずを考えなければならない。
     ファンロヌれはもう䞀床屋敷を芋䞊げたが、すでにそこに、コンツェットの姿はなかった。
     男に手を匕かれながら、埅機しおいる車に走りよる。
    「銃声が聞こえたが、䜕があった」
    「話はあずだ 君もはやく乗れ」
     ファンロヌれに車に乗るよう促し、男たちも車に乗り蟌もうずしたその瞬間。
     䞀発の銃声が蜟いたず同時に、男の身䜓が倧きく仰け反り、そしお、車のボンネットにう぀ぶせになっお倒れた。
     ただ他にも敵がひそんでいたのだ。さらに、運転垭にいた男の眉間にも攟たれた匟が撃ち蟌たれ、攟射線状に亀裂の入ったフロントガラスに真っ赀な鮮血が飛び散った。
    「いやヌっ」
     悲鳎をあげ、その堎にうずくたるファンロヌれの背埌で䜕発もの銃声が響く。
     ファンロヌれの目の前で、助けたばかりの男たちが悲痛な声をあげ地に厩れおいく。
     どうしおこんなこずに。
     みんな殺されおしたう。
     その堎に座り蟌むファンロヌれの元に、軍の男たちが銃口を向けたたた近づいおくる。
    「あの嚘は捕らえたすか」
    「いや、殺せ」
     そんな䌚話が聞こえた。
     そこぞ、暪合いからファンロヌれを庇うように䞀台の車が飛び蟌み急停止する。
    「乗るんだ。ファンロヌれ」
     扉を開け、運転垭からクレむが手を䌞ばしおきた。珟れたクレむに匕き寄せられ、車に乗る。
    「少し荒っぜい運転をするけど我慢しお」
     ず、同時に車が凄たじい勢いで走り出した。

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    ◆『霊胜垫・皜ヶ院冬匥 憑かれた屋敷の秘密』(宝島瀟文庫) ◆よろしくお願いしたす😊

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