
吾輩は猫なのだろうか【第二部】 長いお別れ ― 目次 ―
ある夜、赤い満月の下で人間としての生を終えた「吾輩」は、一匹の猫として目を覚ました。
拾ってくれたのは、かつての部下・慶子さん。その膝の上で、吾輩は死期の近づいた体を横たえながら、ずっと蓋をしてきたある記憶を辿りはじめる。
言葉を持たずに生まれてきた、次女・千尋。
彼女と歩いた二十年の日々を、猫になった今、もう一度。
第一部が「妻への、言えなかったありがとう」の物語なら、
第二部は「娘との、終わらないお別れ」の物語です。
人間だった頃には受け取れなかった声を、猫になった吾輩は、ただ静かに受け取っていく。
――どうか、最後の一話まで。
◆ あらすじ
重度の自閉症を持って生まれた次女・千尋。
目が合わない。言葉が出ない。手をつないでいないと、どこかへ行ってしまう。
妻は倒れ、家族は少しずつ追い詰められ、ついに幼い千尋を、遠い施設へ預けることになる。
ガラス越しに名前を呼んでも、振り返らない。
それでも家族は、毎月七時間の道を走り、会いに行き続けた。
やがて千尋は、初めての言葉を口にする――「おつきさま」。
成長した千尋。大人になった長女。
そして、何も知らずに猫を撫でる慶子さんが、ふと語りはじめる、昔の「センター長」の思い出。
届くのが遅くても、届かなかったわけではない。
言えなかった言葉の、その後を描く物語です。
◆ 各話一覧(全5話)
第20話 まだ、ここにいる
https://note.com/wise_dahlia7898/n/ndfef3a4d048b
第21話 触れられない場所
https://note.com/wise_dahlia7898/n/n06ad21a78fbb
第22話 それでも、隣にいる
https://note.com/wise_dahlia7898/n/ne26c5b19e9cf
第23話 少しずつ、いなくなる
https://note.com/wise_dahlia7898/n/ncefdbf78ddd6
最終話 長いお別れ(エピローグ)
https://note.com/wise_dahlia7898/n/ndafa409ffec0
◆ おもな登場人物
吾輩(タロウ)……かつて、人間だった猫。今は慶子さんに飼われ、その膝の上で記憶を辿る。
慶子さん……吾輩を拾って育ててくれた、心優しい女性。猫の正体を、知らない。
妻……次女の介護を一身に背負い続けた人。「この子よりも一日でも長く」が口癖。
長女……「だいじょうぶ。私が守るから」と言った姉。今は、子どもたちに職業体験をさせる会社で働いている。
次女・千尋……言葉を持たずに生まれた女の子。満月を見上げ、初めての言葉を口にする。
◆ 第一部をまだお読みでない方へ
この物語は、第一部『満月と缶チューハイ』から続く連作です。
第二部だけでも読めますが、第一部から読むと、ある場面の意味が、まったく違って見えてきます。
第一部 マガジン
https://note.com/wise_dahlia7898/n/n90dd70521bba