メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

番倖線 第䞊行䞖界におけるトラベラヌの掻動 埌線

    前話ぞ戻る

     鳩矎は悪倢を芋おいた。顔なき者どもが圌女の䜕もかもを吊定する恐ろしき倢を。
     顔なき者どもが刀を振り䞊げる。
     そしお鳩矎の党身に刃が突き刺さった。
     駆け巡る激痛。噎き出す鮮血。

    「ああっ」

    ●

    「おっず、危ない」

     男は鳩矎に芋せおいた悪倢を停止させた。
     
    「たずいな。殺しおしたったか」

     スマヌトフォンを操䜜し、鳩矎の郚屋に仕蟌んだ隠しカメラの映像を呌び出す。
     鳩矎は生きおいた。様子を芋る限り、自分が䜓隓したものは単なる悪倢ずしか思っおいないだろう。
     
    「よしよし。テストはこんなもんでいいな。本番が楜しみだ」

     男はほくそ笑む。それはおぞたしいほどに邪悪だった。

    「さお、次はあい぀のずころに行くか」

     男が向かったのは刑務所だった。
     高い塀に囲たれ、譊備の者たちが鋭く目を光らせおいる。
     男はさも圓然のように敷地内ぞず入った。䞍思議なこずに、誰も圌を止めようずしない。男の存圚を知芚しおいなかった。

     途䞭、男は看守の詰め所で鍵を倱敬する。誰も男の行動を止めるどころか、このような出来事が起きおいる事自䜓を認識しおいなかった。
     男は盗んだ鍵の独房ぞず向かう。
     その独房は赀朚誠叞が収監されおいる堎所だった。

    「よう」

     男は鍵を䜿っお䞭に入る。

    「お前 どうしおここに」

     誠叞は男の顔を芋お驚いた。
     
    「久しぶりだな」
    「なにが久しぶりだ。こんなずころ、看守に芋られたら」
    「心配すんな。おれは魔法が䜿えるんだ」

     看守の䞀人が通り過ぎるが、圌は異垞事態に気づいおいなかった。
     
    「な」
    「確かに、倧䞈倫みたいだが  いや、そもそも俺になんの甚だ」
    「お前にチャンスを䞎えようず思っおな」
    「チャンス」
    「そう。今床こそ鳩矎を殺すチャンスをだ」

     その瞬間、誠叞の瞳にくすぶっおいた憎悪の炎が蘇る。

    「䞀幎前、赀朚流の跡継ぎになれなくお絶望しおいた俺の前にあんたは珟れた」
    「そうだな。そしお、俺は誠叞の背䞭を抌しおやった。だが、お前はしくじった」
    「あれは、邪魔が入ったからだ」
    「たしかにそのずおり。でも、お前にも原因があるんじゃないか」

     男は誠叞の耳元で邪悪にささやく
     
    「お前は鳩矎より匱かったんだよ」

     誠叞は歯ぎしりしながら男をにらみ぀ける。
     
    「そこでだ。俺はお前のために、誰にも邪魔が入らない堎所ず、鳩矎を殺せるだけの力をプレれントしにきたんだ」
    「プレれント」

     男はある機械を誠叞に枡す。
     それはゞェヌムス・スコットの自宅から盗たれた、遠隔非接觊型サむバヌスペヌス機噚だった。正確には、盗んだオリゞナルを耇補したものだ。今回の蚈画には遠隔非接觊型が二぀必芁なのだ。
     オリゞナルの遠隔非接觊型はここずは別の堎所に蚭眮しおある。
     
    「䞉日埌の倜、こい぀の電源を入れろ。そうすれば今床こそ鳩矎を殺せる」
    「今すぐじゃだめなのか」
    「䞉日埌だ。それより早くおも遅くおもだめだ。鳩矎を殺すタむミングはそこが䞀番良い」

     男が指定した日は、鳩矎がオフ䌚に参加する前日の倜だった。
     
    「あんたは䞀䜓䜕者なんだ こんな事しおなんの埗になる」
    「俺は悪事の味方だ。損埗じゃ動かない」

     男は誠叞のもずから立ち去っおいった。

    ●

     ゞェヌムスずの面䌚の埌もトラベラヌは第䞊行䞖界の調査を続けた。
     同時に、赀朚鳩矎の身蟺調査もあわせお行った。
     調査ず蚀っおも、故郷から持ち蟌んだ高性胜にたかせおしたえばいい。ある皋床情報化が進んだ文明を持぀䞊行䞖界ならこれで事足りる。

     無論、異なる䞊行䞖界からやっおきたトラベラヌが調査察象でない人間ず䞍甚意に接觊するこずは出来ない。だが、こず赀朚鳩矎に察しおは無関心ではいられなかった。
     やがおが鳩矎の情報を集め終えた。
     
    やはり  

     倚くの䞊行䞖界においお、鳩矎は良くも悪くも平凡ずは皋遠い䜓隓をする。それはこの第䞊行䞖界でも同じだった。
     今から䞀幎近く前、鳩矎は育おの父芪である赀朚誠叞に殺されかけたらしい。
     理由は嫉劬だった。赀朚流剣術の埌継者ずしお指名されたのは誠叞ではなく鳩矎だった。それが圌の殺意を匕き起こした。
     しかも誠叞は、鳩矎が実の芪に捚おられた孀児だったこずを暎露した。

     芪ず思っおいたものに殺されかけ、実の芪に捚おられた。この二぀の衝撃で鳩矎は党おの他人に怯えるようになっおしたっおいるずいう。
     せめおものリハビリずしおプラネット゜ヌサラヌオンラむンを始めたらしい。先日、接客業のアルバむトをしおいるのを目撃したので、効果はあるのだろう。
     トラベラヌは自分も鳩矎のために䜕かしおあげたかったが、盎接の接觊は出来ない。
     
    䞀応、黒井鋌治がすぐ近くにいるけれど

     鳩矎の身蟺調査の結果、鋌治が圌女のすぐずなりに䜏んでいるこずは分かった。

    第䞊行䞖界における赀朚鳩矎ず黒井鋌治の関係がはっきりしおいない。私の期埅通りになるか分からないわね

     もし、鳩矎ず鋌治が恋人同士だずいう確蚌があるのなら、ここたで心配しなかっただろう。
     トラベラヌは第䞊行䞖界の鳩矎が幞犏になるずいう保蚌が欲しかった。
     理性ではこれが自分の気分の問題に過ぎないこずは分かっおいる。分別ずいうものをきちんず付けるべきだった。
     
    い぀たでも第䞊行䞖界にはいられない。でも、せめお  

     垰還する前に、トラベラヌは倢芋荘を蚪れた。あくたで鳩矎が䜏んでいる堎所を眺めるだけだ。それで螏ん切りを぀けお元の䞖界に戻る぀もりだった。
     
    あれは

     鳩矎の郚屋の前で怪しい動きをする男がいた。
     泥棒のたぐいかもしれない。鳩矎から害ずなるものを寄せ付けないため、トラベラヌは男に近づく。
     
    「今すぐ立ち去りなさい」
    「  」
     
     男は無蚀で䜜業を止める。だが、立ち去る気配は䞀切なかった。
     ならば力ずくでもず、トラベラヌが男に手をかけようずした瞬間、圌は玠早く振り向いた。
     危険を察知したトラベラヌは玠早く埌ろに䞋がる。
     盎埌、男ずトラベラヌの間で火が生じた
     
    「発火胜力」

     間違いない。男はフォヌス゚ナゞヌによる胜力を䜿ったのだ。
     
    「邪魔をしないでほしいな。これから誠叞が鳩矎を殺すのだから」
    「鳩矎を殺すですっお」

     䜕故ずトラベラヌは問わなかった。問いただすのは、この男を無力化しおからだ。
     トラベラヌの手に片刃の剣が出珟する。亜空間に栌玍しおいたものを呌び寄せたそれは、故郷の技術で䜜られた歊噚だ。
     
    「おっず、こい぀はたずいな」

     男の姿がかすみのように消えおいく。先皋の発火胜力以倖の力も持っおいるようだ。
     だがトラベラヌには無意味だ。
     トラベラヌはなにもない虚空を切る。だが、確かな手応えがあり、血が宙を埅った。
     
    「くそ、どうしお堎所が分かった」

     負傷したためか、胜力が解陀されお男が再び珟れる

    「これは私の認識を防埡する機胜も持っおいる」

     トラベラヌは自分が身に぀けおいる県鏡型の認識阻害装眮を指差す。
     認識を無差別に阻害しおは䜿い物いならない。そのため、装着者の認識だけは防埡するように䜜られおいる。
     
    「だったら、正攻法で行くしか無いな」

     男は手のひらから電撃を攟぀。
     だがトラベラヌは剣を䜿っおその電撃を男に跳ね返した。
     自らの胜力の盎撃を受けた男はその堎に倒れた。
     
    「なぜ赀朚鳩矎を狙った」

     男はただ息がある。トラベラヌは剣の切っ先を向けながら問いただした。
     
    「なぜ なぜっお、そりゃ俺が敵圹だからさ。悪事をするために生たれおきた」
    「そんな抜象的なこずは聞いおいない。なんの利益をがあっお、圌女を狙っおいるのかず聞いおいるのよ」
    「利益は求めおない。俺は誰かの願いを叶えるための存圚だ。無数の人々の心にやどる、邪悪でありたいずいう願いずフォヌス゚ナゞヌが結合しお生たれたのが俺だ。今回だっお赀朚誠叞の願いを叶えるためにやったこずだ」

     トラベラヌは気が぀く。

    「たさか、䞀幎前の事件の原因は  」
    「おいおい、早ずちりすんなよ。その事件で俺は誠叞を掗脳しおいない。ほんのちょっず、そそのかしただけ。あの男にちゃんず良心があれば、そもそも起きなかった事件だ」
    「䜕を蚀う お前さえいなければ圌女は傷぀かなかった」

     たるで他人事のような玠振りを芋せる敵圹にトラベラヌは怒りを顕にする。
     だが、敵圹はいっさい悪びれなかった。
     
    「俺がいなくおも事件は起きた。普通、誰かに蚀われただけで嚘を殺すか 誠叞はい぀か鳩矎を殺そうずする男だったんだよ。俺はその”い぀か”を確定させただけだ」

     トラベラヌは敵圹の蚀葉を肯定も吊定もしなかった。誠叞の人間性などこの際、どうでもよい。問いただすべきこずは他にある。
     
    「それで、今回は䜕をする぀もりだったの」
    「ゞェヌムス・スコットから盗んだ遠隔非接觊型を䜿っお、誠叞ず鳩矎を同じサむバヌスペヌスぞ送り蟌む。そのサむバヌスペヌスは俺の特別性でね。そこで死ねば匷烈なショックを脳が受けお珟実でも死ぬ」
    「でもしくじった。偶然だけど、私がお前を芋぀けお阻止した」

     深手を負いながらも、敵圹は悪戯をした子䟛のようにケラケラず笑った。

    「俺が姿を芋せたのは囮だよ。䞇が䞀にでも邪魔する奎が珟れたら、そい぀を匕き぀けるためのな」

     そしお敵圹は勝ち誇るように蚀った。
     
    「すでに鳩矎をサむバヌスペヌスぞ送っおる。もう死んでるんじゃないか」

     その蚀葉にトラベラヌは動揺しおしたった。それは敵が反撃するのに十分なものであった。
     敵圹が懐からナむフを取り出しおトラベラヌに投擲する。
     ずっさに避けようずしたが、ナむフが認識阻害装眮に圓たっおしたった。
     
    「ああっ」

     トラベラヌの玠顔があらわになるず、敵圹は驚きず玍埗が混ざった感情を浮かべる。
     
    「ああ。そうか。そうだったのか。お前なら鳩矎を助けるはずだ。絶察に」

     トラベラヌは剣を振るい、敵圹に臎呜傷を䞎えた。
     フォヌス゚ナゞヌが生み出した邪悪な超自然存圚は、死ぬず倜の闇ぞ溶け蟌むかのように消滅した。
     あるいは死んだず芋せかけた停装かもしれないが、今は悠長に確かめる時間はない。

     トラベラヌは鳩矎の元ぞず急ぐ。
     圌女の郚屋は叀めかしい倖芋ずは裏腹に、セキュリティは最新で、玄関ドアは指王認蚌匏で斜錠されおいた。
     
    「良かった。これなら」

     トラベラヌがドアノブに手をかけるず同時に解錠される。指王認蚌システムは故障しおいない。”正垞に動䜜しおいるからこそ、解錠した”。
     トラベラヌが郚屋に螏み蟌むず、苊悶の衚情を浮かべる鳩矎がベッドの䞊で暪たわっおいる。
     
    決しお䜿いたくなかったけど、今は緊急事態よ

     トラベラヌが取り出したのは、他人の意識に䟵入するマむンドハックツヌルだ。任務で他人が持぀機密情報を盗む際に䜿うものだが、トラベラヌずしおは倫理芳に反するので、支絊されおも決しお䜿っおこなかったものだ。
     だが、今はそれが鳩矎の呜を救うために䜿われる。
     トラベラヌはマむンドハックツヌルで自分ず鳩矎の意識を接続する。
     
    これで、圌女がいるサむバヌスペヌスに行ける

     自分の意識が別の堎所ぞ移動する感芚の最䞭、トラベラヌは鳩矎の蚘憶を垣間芋た。
     プラネット゜ヌサラヌオンラむンで出䌚ったスティヌルフィストに恋心をいだいおいるが、鳩矎は珟実ずゲヌム内でのギャップで䞀歩螏み出す勇気を持おないでいた。
     だが、呚囲の支えもあっお、ようやく次の䞀歩を螏み出そうずしおいた。
     
    なおのこず、こんなずころで死なせるわけにはいかない

     サむバヌスペヌスで認識阻害装眮は䜿えない。そこでトラベラヌは鳩矎の蚘憶を元に、自分の姿を圌女がゲヌム内で䜿っおいるピゞョンブラッドぞ倉身させた。
     やがおトラベラヌは鳩矎ず誠叞がいるサむバヌスペヌスにたどり着く。色を倱った灰色の䞖界だった。

     そこでは鬌が今たさに鳩矎を殺そうずしおいるずころだった。
     鬌は誠叞だ。あの姿は敵圹が䞎えた力だろう。
     トラベラヌはずっさに炎を発生させお誠叞を攻撃する
     
    「ああああ」

     鬌が悲鳎を䞊げる。
     
    「鳩矎」

     トラベラヌはブルヌセヌバヌを鳩矎に投げ枡す。それは鳩矎がゲヌム内で䜿っおいるものずは違う。
     殺傷力はなく、攻撃した盞手をサむバヌスペヌスからログアりトさせるように䜜り倉えおある。

     鳩矎は、ここでの死が珟実の死に぀ながるず知らない。悪党が盞手ずはいえ、圌女に人殺しをさせるわけにはいかない。
     同時にトラベラヌは鳩矎自身の手で誠叞を倒すべきだず考えた。そのためにブルヌセヌバヌから殺傷力を取り陀いたのだ。

    「あなたは鬌ず成り果おた男などには負けはしない。なぜなら私は、ピゞョンブラッドはあなたなのよ」

     トラベラヌは鳩矎に勇気づけるため、あたかもピゞョンブラッドそのものが圌女を助けるかのように振る舞う。
     鳩矎がブルヌセヌバヌを起動し、灰色の䞖界に青い茝きが生たれる。
     わざわざ鳩矎に歊噚を䞎えお戊わせるのは、心の傷を乗り越えさせるためだ。
     
     父芪によっお䞎えられた心の傷を真に乗り越えるためには、自らの手で父芪を打倒する必芁がある。
     そしお、鳩矎は芋事に邪悪な鬌ず成り果おた父芪を打倒した。
     
    「お前、よくも 捚お子が恩を仇で返しやがっお」
    「私を拟っおくれたのはお母さんです。人の心を捚おたあなたに恩も矩理も有りたせん。消えおください。もう私の倢に出おこないで」

     鬌ずなった誠叞が消滅する。圌の意識は珟実の独房ぞず戻っただろう。
     
    「頑匵ったわね」

     トラベラヌがピゞョンブラッドの姿で優しい笑みを浮かべる。

    「ありがずう。あなたのお陰で助かりたした」
    「忘れないでね、私は、ピゞョンブラッドは停物のあなたではないずいうこずを」
    「はい。あなたは玛れもなく私自身です」

     トラベラヌが安堵する。もう鳩矎は珟実ずゲヌム内でのギャップに苊したないだろう。
     
    「これからの人生、あなたには幟床ずなく他人の敵意や悪意に遭遇するでしょう。もしかするず赀朚誠叞以䞊の悪人に襲われるかもしれない。でも、あなたにはそれらに立ち向かう術がある」
    「そのずおりです。赀朚流だけじゃない。私には家族や仲間が぀いおいる。心を通わせた人達がいれば、この䞖にどれほど酷い人達がいたずしおも、私はもう怯えたりしたせん」

     トラベラヌの励たしに、鳩矎は自身に満ちた顔で答えたあず、付け加えるように蚀った。

    「もっずも、今の振る舞い方が染み付いおしたったので、昔のようには戻れないかもしれたせんが」
    「それでいいのよ」

     トラベラヌは肯定する。

    「倉わらないこずを良しずする堎合もあれば、昔ずは違うこずを良しずする堎合もある。そこに良心さえあれば、どっちでも良いのよ」

     そう。それで良いのだ。
     過去ず珟圚の違いだけではない。党おの䞊行䞖界に存圚する赀朚鳩矎は同じようでいお、しかしそれぞれ違っおいた。それは䜕ら悪いこずではない。
     暖かな陜の光が珟れた。灰色だった荒野に色が戻り始める。

    「さあもう目芚めるずきよ。そしお、あなたにずっお最愛の人に䌚いに行きなさい」

     トラベラヌは鳩矎の蚘憶を垣間芋た時、スティヌルフィストの正䜓が鋌治であるず確信しおいた。圌のこずはよく知っおいる。姿圢が倉わっおもすぐに分かった。
     鳩矎の蚘憶を通しおではあるが、鳩矎ず鋌治は間違いなく愛し合っおいる。
     ならば鳩矎は必ず幞犏になる。それは䞍確かな未来を願っおのこずではない。これたで䜓隓した実䟋によるものだ。
     トラベラヌは鳩矎をこのサむバヌスペヌスからログアりトさせた。

    ●

     鳩矎ず助けた埌、圌女の郚屋に仕掛けられた監芖カメラず盗聎噚を人知れず凊分したトラベラヌは、第䞊行䞖界でやるべきこずをすべお終えた。
     しかし最埌にもう少しだけトラベラヌは第䞊行䞖界にずどたった。
     今、トラベラヌの前では鳩矎ず鋌治が、お互いがピゞョンブラッドずスティヌルフィストであるこずに気が぀いた。

     二人が抱き合うのを芋届けたトラベラヌは、もう第䞊行䞖界での心残りがなくなった。
     トラベラヌは密かに鳩矎ず鋌治から立ち去るず、ここずは別の䞊行䞖界を調査しおいる倫に連絡をずった。
     
    「やあ、そちらの調子はどうだ」
    「今終わったずころよ。これから垰還する぀もり」

     久々に聞く倫の声はトラベラヌの疲れを癒やした。
     
    「そうそう。たた調査先で赀朚鳩矎ず黒井鋌治を芋かけたわ」
    「奇遇だな。こっちもだ。他の人も俺たちみたいに、調査先の䞊行䞖界に存圚する自分を目撃するこずが、よくあるみたいだ。瞁みたいなのがあるんだろうな」
    「ええ。そうね」

     トラベラヌは認識阻害装眮を倖す。圌女の顔は倚少の幎霢差はあれど、鳩矎ず党く同じであった。
     
    「今の案件が終わったら、䌑暇がもらえる。しばらく鳩矎ずゆっくり過ごせそうだ」
    「私もよ。鋌治さんず䞀緒にいられるのを楜しみにしおいるわ」

     トラベラヌずその倫。様々な䞊行䞖界を枡り歩く二人は、最初の䞖界《あなたがいる堎所》から初めお分岐した䞊行䞖界。すなわち第䞊行䞖界における赀朚鳩矎ず黒井鋌治であった。

     
     
     
    䞻にMTG関係の蚘事ず自䜜の小説を投皿しおいたす。