
【ギリシア哲学】『アンティフォン』
〖はじめに〗
前回の記事では、
ソフィストの一人
ヒッピアスを紹介しました。
彼は
「万能の学者」として知られ、
さらに
自然と法律の違い
という問題にも触れました。
都市によって
法律は異なります。
しかし
人間の本性は同じではないのか。
この問いを
さらに鋭く掘り下げた人物がいます。
それが
アンティフォンです。
今回は
アンティフォンの思想を
見ていきます。

① アンティフォンとは何者か
アンティフォンは
紀元前5世紀頃のソフィストです。
主に
アテネで活動しました。
ただし彼には
一つ興味深い問題があります。
古代の記録には
・政治家アンティフォン
・弁論家アンティフォン
・哲学者アンティフォン
という人物が登場します。

別人なのかは現在でも議論があります。
② 法律と自然
アンティフォンの思想の核心は
法律と自然の違いです。
古代ギリシアでは
次の区別が重要でした。
ノモス(法)
人間が作った法律や慣習
ピュシス(自然)
人間の本来のあり方
例えば法律は
・都市ごとに違う
・時代によって変わる
ことがあります。
しかし自然には
・痛みを避けたい
・幸福になりたい
・生き続けたい
という
人間に共通する欲求があります。
アンティフォンは
ここに問題を見ました。
それは
法律と自然が衝突することがある
という点です。
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③ 有名な主張
アンティフォンは
次のように述べました。
「法律は見られているときに守られる」
法律は
・罰
・社会的評価
によって守られています。
しかし
誰も見ていなければ
自然に従う人もいる
と彼は考えました。
例えば現代でも
・監視カメラ
・罰則
があると
人はルールを守ります。
アンティフォンは
社会ルールの仕組みを
冷静に観察していたのです。

社会ルールの仕組み
を冷静に観察していたのです。
④ 人間は本来平等
アンティフォンのもう一つの重要な考えは
人間の自然的平等です。
彼はこう述べました。
「自然においてすべての人間は同じである」
当時のギリシア社会には
・自由人
・奴隷
・外国人
といった区別がありました。
しかしアンティフォンは
自然の観点では人間は同じ
と考えました。
これは当時としては
非常に先進的な思想です。
この考えは後に
・ストア派
・自然法思想
・人権思想
へとつながっていきます。
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⑤ ソクラテスとの対立(哲学史的位置)
アンティフォンの思想は
後のソクラテスとの対立を理解する上で重要です。
ソフィストは
・法律は人間が作るもの
・都市や状況で変わる
と考えました。
一方ソクラテスは
正義には普遍的な基準がある
と考えました。
つまり
ソフィスト
法律は人間のルール
ソクラテス
正義には普遍的基準がある
という対立です。
アンティフォンは
法律と自然の対立を示すことで
「正義とは何か」
という哲学の核心問題を
浮かび上がらせた人物と言えます。
