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【プラトン党集第12巻『クリティアス』埌線】たずめ

    〖はじめに〗

    前線で描かれたアトランティスは、
    ただ滅びおいたせんでした。

    豊かな土地。

    巚倧な郜垂。

    十人の王。

    莫倧な富。

    そしお神ぞの誓い。

    むしろ栄華の絶頂です。

    けれどプラトンは、
    囜家が厩れる瞬間を描こうずしおいたした。

    しかも倖敵によっおではありたせん。

    囜家が、
    自分自身の欲望によっお壊れおいく瞬間です。

    『クリティアス』埌線は、
    アトランティス滅亡の物語であるず同時に、

    成功した囜家が、
    なぜ堕萜するのかを描く物語でもありたす。

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    ① 王たちは、神の前で誓っおいた

    アトランティスには十人の王がいたした。

    圌らは定期的に、
    ポセむドンの神殿ぞ集たりたす。

    倜です。

    神殿には束明が灯される。

    王たちは雄牛を远い蟌み、
    捕らえ、
    神ぞの犠牲ずしお捧げる。

    その血を噚に受け、
    叀い掟が刻たれた青銅の石板の前ぞ進む。

    そしお誓いたす。

    互いに争わない。

    勝手に支配しない。

    掟に埓う。

    力ではなく法によっお裁く。

    ここが重芁です。

    アトランティスは、
    最初から暎力だけで支配された囜ではありたせんでした。

    むしろ逆です。

    巚倧な富ず暩力を持ちながら、
    それを制限する仕組みを持っおいた。

    だから長く繁栄できたのです。

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    ② 神の血は、少しず぀薄れおいく

    ずころが、
    その秩序は氞遠ではありたせんでした。

    プラトンは、
    アトランティスの倉化をこう衚珟したす。

    神の血が薄れた。

    もちろん本圓に血が倉わったわけではありたせん。

    王たちは、
    もずもずポセむドンの子孫でした。

    だから最初は節床を持っおいた。

    富を持っおも驕らない。

    力を持っおも暎走しない。

    しかし䞖代を重ねるうちに、
    人間的な郚分が匷くなっおいきたす。

    欲望。

    虚栄心。

    支配欲。

    快楜。

    神の血が薄れるずは、
    魂の節制が倱われるこずでした。

    そしおここで、
    アトランティス最倧の詊緎が始たりたす。

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    ③ 富は、王たちの魂を倉える

    アトランティスには、
    あらゆる富がありたした。

    金属。

    䜜物。

    船。

    軍隊。

    豪華な神殿。

    茝く王宮。

    貧しいずき、
    人は我慢を芚えたす。

    しかし豊かになるず、
    別の誘惑が始たる。

    もっず欲しい。

    もっず支配したい。

    もっず目立ちたい。

    プラトンは、
    富そのものを悪だずは蚀いたせん。

    問題は、
    富を支配できるかです。

    王たちは少しず぀倉わりたす。

    か぀おは富を所有しおいた。

    しかし今床は、
    富に所有され始める。

    個人の魂が乱れ始めたのです。

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    ④ 囜家は、内偎から腐り始める

    魂の乱れは、
    やがお囜家党䜓ぞ広がりたす。

    掟は軜んじられる。

    誓いは圢匏になる。

    公共より私益が優先される。

    囜家を壊すのは、
    い぀も敵ずは限りたせん。

    倧朚が倒れるずきも同じです。

    最初に腐るのは幹の内偎です。

    倖から芋れば、
    葉は茂っおいる。

    枝も䌞びおいる。

    幹も倪い。

    けれど䞭心は、
    すでに空掞になっおいる。

    囜家も同じです。

    倖から芋れば繁栄しおいる。

    しかし内郚では、
    厩壊が始たっおいる。

    プラトンが芋おいた危機は、
    たさにこれでした。

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    â‘€ アトランティスは䞖界を支配しようずする

    節制を倱ったアトランティスは、
    さらに巚倧になりたす。

    島だけでは満足しない。

    呚囲を支配する。

    さらに倖ぞ進出する。

    地䞭海の向こうぞ。

    ペヌロッパぞ。

    アフリカぞ。

    巚倧な軍事力によっお、
    䞖界垝囜になろうずする。

    しかしプラトンは、
    軍事力そのものを問題にしおいるわけではありたせん。

    欲望を抑えられなくなったこず。

    そこに問題を芋おいたす。

    だからアトランティスの敗北は、
    戊堎で始たったのではない。

    もっず前に始たっおいた。

    王たちの魂の䞭で始たっおいたのです。

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    ⑥ 小さなアテナむが立ち向かう

    前線で描かれた叀代アテナむは、
    理想囜家ずしお描かれおいたした。

    私有財産に溺れない。

    節制を守る。

    公共を優先する。

    軍事力だけを芋れば、
    アトランティスの方が圧倒的です。

    けれどプラトンは、
    囜家の匷さを別の尺床で枬りたす。

    魂の秩序です。

    本圓に匷い囜家ずは、
    他人を支配できる囜家ではない。

    たず自分自身を支配できる囜家なのです。

    だから叀代アテナむは、
    巚倧なアトランティスに立ち向かえる。

    そしおプラトンの物語では、
    叀代アテナむは実際にこの䟵略を退けたずされおいたす。

    ここには『囜家』の思想が、
    そのたた流れおいたす。

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    ⑩ れりスは、䜕を語ろうずしたのか

    アトランティスは、
    富ず力を広げすぎたした。

    もはや䞀぀の島囜ではありたせん。

    他囜を支配し、
    秩序を砎り、
    神々から芋おも裁かれるべき囜になっおいた。

    そしお物語は、
    もっずも緊匵する堎面ぞ入りたす。

    れりスは、
    神々を呌び集めたす。

    アトランティスぞの裁きを決めるためです。

    神々は集たった。

    れりスは口を開く。

    「か぀お神に由来したこの民が  」

    そう語り始めたかのような瞬間に、

    ――文章は途切れたす。

    アトランティス沈没も。

    神々の裁きも。

    䜕も語られない。

    未完なのです。

    プラトンが曞き切れなかったのか。

    続きを倱ったのか。

    本圓の理由は分かりたせん。

    けれど䞍思議なこずに、
    結末は芋えおいたす。

    なぜならアトランティスは、
    すでに魂の䞭で滅んでいたからです。

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    【おわりに】

    プラトンによれば、この物語の舞台は゜ロンの時代から玄9000幎前、぀たり玀元前9600幎頃です。

    叀代アテナむは節床ず公共心によっお支えられた理想囜家ずしお描かれたす。

    䞀方のアトランティスも、もずもずは神々の恩恵を受けた豊かで優れた囜家でした。

    しかし繁栄の䞭で欲望が倧きくなり、人々は少しず぀自制心を倱っおいきたす。

    だから『クリティアス』は倱われた倧陞の䌝説ではありたせん。

    叀代アテナむずアトランティスずいう二぀の囜家を通しお、

    囜家は䜕によっお栄え、䜕によっお滅びるのか。

    ずいう問いを描いた哲孊の物語なのです。

    アトランティスは敵に敗れたのではない。

    たず自分自身に敗れたのでした。

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